遺伝って聞くと、「顔や体型が親に似てる」ってイメージを持つ人が多いかもしれません。
でも最近の研究では、性格や能力、年収や恋愛の傾向までも、ある程度は遺伝で決まっていることがわかってきました。
もちろん全部が生まれつきで決まるわけではありません。
でも、「自分らしさ」や「得意・苦手」には、生まれつきの要素がけっこう影響しているんです。
この記事では、「性格の遺伝はどれくらい?」「IQやEQって生まれつき?」「幸せや年収に遺伝は関係ある?」など、気になるテーマを最新の論文にもとづいてわかりやすく解説します。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
遺伝を学ぶ前に知っておきたい基本知識
双子研究とは?遺伝を調べる特別な方法
双子研究は、遺伝の影響を確かめる方法です。
特に、一卵性と二卵性の双子を比べて調べます。
一卵性の双子は、まったく同じ遺伝子を持っています。
一方で、二卵性の双子は兄弟姉妹と同じくらいの遺伝子です。
ここから、性格や能力の違いを比べることができます。
たとえば、こんなときに使われます。
- 同じ性格なら、遺伝の影響が大きい
- 違う性格なら、環境の影響が大きい
- 一卵性だけ似ていれば、遺伝の可能性が高い
こうした比較により、人の行動の原因を探れます。
この研究は長年、世界中で行われてきました。
双子研究によって、性格や能力の理解が深まりました。
人の個性に遺伝がどれだけ関わるかを見つけるために、欠かせない方法です。
行動遺伝学とは?人の違いを科学する研究
行動遺伝学は、人の性格や能力を研究する学問です。
この学問は、遺伝と環境のどちらが影響しているかを調べます。
行動とは、日常のふるまいや考え方のことです。
たとえば、優しさや努力する力も行動に含まれます。
この学問で使う考え方は次の通りです。
- 「遺伝要因」:生まれつき持っているもの
- 「共有環境」:家族で同じように受ける育ち方
- 「非共有環境」:兄弟姉妹でもちがう体験や友人関係
それぞれの影響を数字で表し、比べていきます。
多くの研究では、性格の半分近くが遺伝だとわかっています。
一方で、家族環境の影響は少ないこともあります。
行動遺伝学は、私たちの個性のしくみを知る手がかりです。
遺伝率とは?遺伝がどれくらい影響しているか
遺伝率とは、ある性質の違いがどのくらい遺伝によって説明できるかを表す割合のことです。
たとえば「性格」「知能」「EQ(感情知能)」など、人によって違いがありますよね。
その「違い」全体のうち、どれくらいが生まれつきの影響かを数字で示したのが遺伝率です。
よくある例を見てみましょう。
- IQの遺伝率は約80%
- 外向性は45%前後
- EQは約40%
このような数字が出ると、「じゃあ自分の知能の80%は遺伝なんだ」と思いがちですが、それは間違いです。
遺伝率は「個人の中でどれくらいが遺伝か」ではなく、「集団の中の違いをどれだけ遺伝で説明できるか」という意味です。
つまり、同じような環境で育った人たちを比べたとき、その違いの何割が遺伝のせいなのかを示しているのです。
さらに、この値は環境が変わると変動します。たとえば、教育や生活のばらつきが少ない国では、遺伝率は高く出やすくなります。
遺伝率は、生まれつきの影響を知る上でとても大切な数字ですが、「決まっている割合」とは少し違う意味を持っている点に注意が必要です。
共有環境とは?家族に共通する育ちの要素
共有環境とは、兄弟や姉妹が一緒に経験する環境のことです。
たとえば、親の教育方針や住む場所がこれにあたります。
兄弟姉妹が同じように育てられることで、似た性格になることがあります。
共有環境に含まれるものには、以下があります。
- 家庭のルール
- 親のしつけ
- 経済的な状況
- 同じ学校や先生
一方で、多くの研究では共有環境の影響は少ないとされています。
とくに、性格やIQではほとんど影響が見られませんでした。
年収や一部の社会的行動では、若い時期に影響があるとされます。
共有環境は兄弟姉妹が似ている理由のひとつですが、すべてではありません。
非共有環境とは?兄弟姉妹でも違う経験のこと
非共有環境とは、家族の中でも個人にしかない経験のことです。
たとえば、友人関係や好きな先生との出会いなどが含まれます。
双子でもちがうクラスになれば、それは非共有環境になります。
非共有環境には、次のようなものがあります。
- 仲のよい友だち
- クラブ活動の経験
- 偶然出会った本や映画
- 怪我や病気の経験
この環境は、性格や人生観に強く影響することがあります。
研究では、共有環境よりも大きな影響を持つとされています。
たとえば、自己効力感や幸福感は、非共有環境が6割以上でした。
自分だけの体験が、個性をつくる大きな要因になります。
性格特性と遺伝の関係をやさしく解説
外向性はどれくらい遺伝で決まるのか
外向性は約45%が遺伝の影響とされています。
この特性は、人と話すのが好きだったり、明るく行動的な性格のことです。
双子研究では、一卵性双生児がよく似ていることがわかりました。
つまり、外向性には生まれつきの要素があるということです。
いっぽうで、以下のような環境でも左右されます。
- クラスの雰囲気や先生の対応
- 自信をつけた体験や成功の経験
共有環境の影響はありません。
非共有環境やその人だけの体験が、残りの部分に関係しています。
外向性は半分近くが遺伝で決まり、あとの部分は経験でつくられていきます。
誠実性に遺伝はどの程度関係しているのか
誠実性の遺伝率は約52%とされています。
この特性は、まじめに取り組む力や、責任感の強さのことです。
双子研究では、誠実性も生まれつきの影響が大きいとわかっています。
つまり、コツコツ努力できる人は、生まれつきの気質が関係しているのです。
また、次のような習慣も関係することがあります。
- 小さいころからの学習習慣
- 忍耐強さを育てる体験
- 目標を立ててやりきる経験
一方で、家族のしつけなどの共有環境の影響は少ないとされます。
遺伝とその人特有の環境の両方で形づくられる性格です。
誠実性は、生まれも育ちも両方が関わる、バランスのとれた性格特性です。
開放性の高さは生まれつきなのか
開放性は約52%が遺伝で決まると報告されています。
この特性は、新しいことへの好奇心や想像力の豊かさのことです。
新しい考え方を受け入れる柔らかさも、この特性に含まれます。
研究では、双子の間で開放性が似ていることが多くありました。
これは、遺伝がかなり関係していることを示しています。
いっぽうで、次のような経験も影響します。
- 本や音楽との出会い
- 多様な文化や人との交流
- 自分で工夫したり考えたりする場面
こうした非共有環境が、残りの部分をつくります。
開放性は生まれつきの力と、出会いや体験から育つ力の両方で決まります。
協調性は育ちよりも遺伝なのか
協調性は約35%が遺伝の影響とされています。
この特性は、まわりの人とうまくやっていこうとする気持ちのことです。
やさしさや思いやりの強さにも関係しています。
他の性格特性に比べると、遺伝の影響は少なめです。
これは、まわりの人との関係が性格に強く影響するからです。
とくに関係が深いのは次のような環境です。
- 家庭の中でのやりとり
- 友だちとの関係やけんかの経験
- 相手を思いやる言葉をかけられた体験
双子研究でも、協調性は非共有環境の影響が大きいとされます。
協調性は生まれつきだけでなく、人との関係の中で育まれていく性格です。
情動性は遺伝の影響が大きいのか
情動性(神経質さ)はおよそ45%が遺伝によるものです。
この特性は、気分が変わりやすい、心配しやすいなどの傾向です。
ネガティブな感情を感じやすい性格としても知られています。
双子研究では、一卵性双生児の情動性がよく似ていることが確認されました。
これは、遺伝の影響が強いことを示しています。
ただし、以下のような経験も関係してきます。
- つらい体験やいじめ
- 精神的に安心できる人の存在
- 気持ちを整理する方法を学んだかどうか
非共有環境も情動性にとって大切な要素です。
情動性は生まれつきの気質と、過ごしてきた環境の両方から影響を受けています。
ダークな性格特性にも遺伝が影響?
ナルシシズムの遺伝率と環境の関係
ナルシシズムは約59%が遺伝の影響です。
このナルシシズムとは、自分を特別と思う気持ちや注目されたい願望のことです。
この性格特性は、双子研究でも高い遺伝率が示されました。
つまり、自分をすごいと思いやすい気質は生まれつきの影響が強いのです。
いっぽうで、残りの41%は非共有環境の影響でした。
これは、兄弟姉妹でも異なる経験が影響することを意味します。
たとえば、こんな要因があります。
- 周囲からの評価や賞賛
- 自分が注目された経験
- 成功体験や失敗体験の違い
共有環境の影響はほとんど見られませんでした。
ナルシシズムは、半分以上が遺伝で決まり、残りは自分の経験でつくられます。
マキャベリアニズムは環境か遺伝か
マキャベリアニズムの遺伝率は約31%とされています。
これは、ダークな性格の中では遺伝の影響が比較的少ないほうです。
マキャベリアニズムとは、人をうまく操作したり、だます傾向のことです。
この特性では、共有環境の影響が約39%と高めでした。
つまり、家庭での育ち方や価値観が大きく関係しているのです。
具体的には次のような育ち方が影響します。
- 相手を信じにくい家庭環境
- 力で勝つことが正しいと教えられた
- 自分の得を優先する行動をよく見てきた
残りの約30%は非共有環境、つまり個人の経験が占めます。
マキャベリアニズムは、遺伝よりも育ちや経験が性格に影響するタイプです。
サイコパシーはほとんどが遺伝によるのか
サイコパシーは64%が遺伝の影響とされています。
このサイコパシーとは、共感しにくく、冷たく見える性格のことです。
この特性は、他のダークな性格よりも遺伝の割合が高いと報告されました。
共有環境の影響はわずか4%ほどしかなく、ほとんど見られません。
非共有環境の影響は約32%ありました。
つまり、次のような個人的な体験が残りの要因です。
- 孤独な時間が長かった
- 他人とのつながりが少なかった
- 感情を表に出さない環境で育った
このように、サイコパシーは生まれつきの要素がかなり強い性格特性です。
サイコパシーは、主に遺伝で決まりやすく、育ちや経験の影響はやや小さめです。
問題行動を示す子どもに見られる遺伝傾向
子どもの問題行動には80%の遺伝の影響があります。
問題行動とは、ルールを守れなかったり、攻撃的なふるまいをすることです。
とくに、サイコパシーに近い性質を持つ子どもにはこの傾向が強く出ます。
この研究結果では、共有環境の影響はほとんどありませんでした。
つまり、家庭のしつけや教育よりも、生まれつきの性質が関係しているのです。
一方で、非共有環境の影響は残りの部分を占めています。
これは、本人にしかない経験が問題行動に影響するということです。
- 学校での人間関係
- いじめや無視などの体験
- 自分の気持ちをうまく出せなかった状況
問題行動は、もともとの気質と、個人的な体験が深く関わっています。
ダークな性格特性に育ちの影響はあるのか
育ちの影響は、ダークな性格特性によって異なります。
たとえば、マキャベリアニズムでは育ちがかなり関係していました。
一方で、サイコパシーやナルシシズムでは、影響は小さくなります。
共有環境とは、兄弟姉妹で共通する家庭の環境のことです。
この影響が大きければ、家族の育て方が性格に関わることになります。
しかし研究では、次のような傾向が見られました。
- ナルシシズム:共有環境の影響なし
- サイコパシー:わずか4%だけ共有環境の影響
- マキャベリアニズム:39%が共有環境の影響
このように、育ちの影響は性格特性によってばらつきがあります。
育ちの影響が強い特性もありますが、多くは個人の経験と生まれつきが関係しています。
スキルや能力にも遺伝の影響がある?
実行機能がほぼすべて遺伝で決まる理由
実行機能はほぼ100%が遺伝で決まると報告されています。
この実行機能とは、「考えて行動する力」のことです。
たとえば、計画を立てたり、気持ちをコントロールしたりします。
この能力は、集中力や問題解決の力にも関わっています。
研究によると、一卵性双生児は実行機能の特性がとてもよく似ていました。
これは、遺伝の影響が非常に大きいという証拠です。
以下のような力も実行機能に含まれます。
- 順番を考える力
- 衝動をおさえる力
- 注意を切りかえる力
環境の影響はほとんど見られませんでした。
実行機能は、生まれもった能力が強く関係しているのです。
EQ(感情知能)の約4割が遺伝のワケ
EQはおよそ40%が遺伝の影響とされています。
このEQとは、自分や他人の気持ちを感じ取り、うまく関わる力のことです。
たとえば、友だちの気持ちに気づいたり、場の空気を読むことなどです。
研究では、双子の比較により、EQにも遺伝の影響があると確認されました。
しかし、残りの60%は環境、特に非共有環境の影響でした。
影響する要素は以下のようなものです。
- 他人との関係や対人トラブル
- ほめられた経験や失敗体験
- 感情を表現する方法を学んだかどうか
共有環境の影響はほとんどありませんでした。
EQはある程度は生まれつきですが、多くは経験から身につける力でもあります。
自己効力感はどこまで遺伝で説明できるか
自己効力感はおよそ75%が遺伝の影響とされています。
この自己効力感とは、「自分ならできる」と思える気持ちのことです。
勉強やスポーツ、日常の目標にも関わる力です。
この感覚は双子研究により、高い遺伝率があることがわかりました。
共有環境、つまり家族での育て方の影響はほぼありませんでした。
関係する体験には次のようなものがあります。
- 自分で成功した経験
- 挑戦してうまくいったときの記憶
- 応援してくれる存在の有無
残りの25%は非共有環境、つまり個人の経験です。
自己効力感は生まれもった部分が大きく、自分の体験が残りをつくります。
非認知能力に遺伝はどれだけ関わっているか
非認知能力は30〜50%が遺伝の影響と報告されています。
この非認知能力とは、テストの点数に出ない力のことです。
たとえば、やる気、協調性、がまん強さなどが含まれます。
この能力は、学校生活や社会でも重要とされています。
研究では、遺伝と非共有環境の両方が関係しているとされました。
具体的には以下のような力があります。
- あきらめずに続ける力
- 周りの人とうまくやる力
- 自分を落ち着かせる力
家庭のような共有環境の影響はあまりありませんでした。
非認知能力は、生まれと経験のどちらも大切にして育つ力です。
自己決定に関する欲求も遺伝で決まる?
自己決定理論の3つの欲求にも、遺伝の影響があります。
この理論は、人がやる気をもって行動するために必要な心理的な欲求を示したものです。
それぞれの欲求と遺伝率は以下のとおりです。
- 自律性(自分で決めたい気持ち):約44%
- 有能感(できるという感覚):約45%
- 関係性(人とつながりたい思い):約52%
研究では、これらの欲求も遺伝の影響を受けることがわかりました。
残りの部分は非共有環境が関係し、共有環境の影響は見られませんでした。
これらの気持ちは、やる気や行動の持続にもつながっています。
人が自分らしく行動するための欲求にも、生まれつきの要素が深く関係しています。
IQ(知能)はどれくらい遺伝で決まるのか
IQは約80%が遺伝の影響で決まるとされています。
このIQとは、いわゆる「地頭のよさ」とも呼ばれる知能の指標です。
記憶力、計算力、論理的な考え方などが含まれます。
双子研究では、一卵性双生児のIQが非常によく似ていることがわかっています。
これは、知能がほぼ生まれつきの影響で決まることを意味します。
いっぽうで、環境の影響もわずかにあります。
- 本や学びの機会の多さ
- 落ち着いた学習環境
- 自分で考える時間の有無
共有環境の影響は成長とともに小さくなると報告されています。
IQは多くが遺伝によって決まり、環境による伸びしろは限られています。
人生の選択や結果に見る遺伝の力
幸せを感じやすさは遺伝で決まるのか
幸せを感じるかどうかは30~40%が遺伝の影響です。
幸福感とは、毎日の生活に満足したり、心が穏やかに感じることです。
双子研究では、どちらの双子も同じように幸せを感じやすい傾向が見られました。
ただし、半分以上は環境や経験が関係しています。
つまり、育った場所や人間関係なども大切なのです。
特に影響があるのは次のような要素です。
- 自分の努力がうまくいった体験
- 信頼できる友人や家族の存在
- ストレスにうまく対処できる力
このように、幸せは遺伝だけでなく、日々の過ごし方にも左右されます。
幸福感はある程度は生まれつきですが、自分の行動や考え方でも大きく変わります。
結婚しやすさや離婚しやすさは遺伝の影響?
結婚には約60%、離婚には約30%の遺伝の影響があります。
この研究では、恋愛や結婚のしやすさにも遺伝が関係していることが示されました。
特に、結婚のしやすさは性格や社交性と関係があると考えられています。
いっぽうで、離婚のしやすさはもっと複雑です。
関係性や価値観、すれちがいなど多くの要因が関係します。
そのため、離婚の遺伝率はやや低めになっています。
- 結婚:遺伝60%、残りは非共有環境
- 離婚:遺伝30%、他は環境や相手との相性
家庭の育て方や親の結婚生活などの共有環境の影響はあまりありませんでした。
恋愛や結婚にも生まれつきの傾向はありますが、すべてが決まっているわけではありません。
年収はどれくらい遺伝で決まっているのか
年収には年齢によって異なる遺伝の影響があります。
20歳前後では遺伝の影響は約20%程度でした。
しかし、60歳ごろになると、遺伝の影響は約40%にまで高まります。
若いうちは家庭環境の影響が大きく出ることもわかっています。
20代では家族の経済状況や教育が収入に関係していました。
一方で、年を重ねると自分自身の特性が影響し始めます。
- 若年期:共有環境60%、遺伝20%
- 中高年:遺伝60%、非共有環境40%
つまり、最終的な収入は自分の性格や行動の積み重ねが表れた結果でもあります。
年収は年齢とともに遺伝の影響が強くなり、家庭の影響は少なくなっていきます。
寿命は親から受け継ぐものなのか
寿命には20~40%の遺伝的な影響があるとされています。
双子研究によると、長生きの傾向は親から受け継ぐ部分があることがわかっています。
特に、病気に強い体質や代謝の良さなどが関係しています。
ただし、多くは環境や生活習慣の影響です。
どんな食事をしているか、運動しているかも寿命に大きく関わります。
以下のような行動が寿命に影響します。
- タバコやアルコールの使用
- ストレスの受け方
- 健康診断を受けているかどうか
遺伝は大切な要素のひとつですが、自分の選択でも変えられます。
寿命はある程度生まれつきで決まりますが、それ以上に日々の生活の積み重ねが大事です。
愛着スタイルは大人になると遺伝の影響が出る?
愛着スタイルは大人になると約40%が遺伝の影響と報告されています。
この愛着とは、人とどのようにつながるか、安心感を感じるかという心のくせのことです。
子どものころは育て方が大きく影響します。
しかし、大人になると遺伝の影響が目立つようになります。
研究では次のような傾向が示されています。
- 安定型や不安型などの傾向は双子で似る
- 成長とともに育ちの影響は弱くなる
- 自分の性格や行動パターンが愛着に影響
つまり、大人になってからの人間関係は、生まれつきの性格にも左右されるのです。
愛着スタイルは育ちだけでなく、後から生まれつきの特性が表れてくるものです。
最後に
この記事では、性格や能力、年収、恋愛、寿命まで、さまざまなことに遺伝がどれくらい影響するのかを紹介してきました。
研究では、多くの特性が30~60%ほどは生まれつきで決まると分かっています。
でも逆に言えば、残りの40~70%は自分の経験や行動で変えられるということです。
たとえ遺伝的に向いていなくても、あきらめる必要はありません。
たとえば、EQは半分以上が経験によって育つし、誠実性や幸福感も日々の行動で伸ばせます。
大事なのは、「自分を知って、どう動くか」を考えることです。
遺伝はスタート地点を決めるかもしれないけれど、ゴールはあなた次第。
この記事が、自分らしい生き方を考えるきっかけになればうれしいです。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。