社会階層という言葉を聞くと、ちょっと難しく感じるかもしれません。
でも実は、これは「どんな家庭に生まれたか」「どんな学校に通っているか」など、私たちの日常にも深く関わっていることなんです。
たとえば、友達のタイプや将来の仕事、収入などにも影響してくることがあるんです。
最近発表された「Social capital II: determinants of economic connectedness」という論文では、社会階層のちがいが友人関係や将来の収入にどんな影響をあたえるのか、データをもとに詳しく調べています。
(この論文は後編となっており、前編は「社会関係資本によって将来の所得があがる?論文を解説」の記事で紹介しています。)
このページでは、その研究をもとに、わかりやすく社会階層と人とのつながりについて解説していきます。
「どんな人と友達になるか」「どんな環境で育つか」が、どれほど大切なのかが見えてくるはずです。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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社会階層と友人関係の深い関係
社会階層によって友達のタイプが変わる
人は同じ社会階層の人と友達になりやすいです。
つまり、お金持ちはお金持ちと、そうでない人はそうでない人と関わることが多いのです。
その理由は、普段の生活の場所や環境がちがうからです。
たとえば、学校や習い事、住んでいる町などが違います。
結果として、日常で会う人がかたよってしまうのです。
具体的には、次のような違いがあります。
- 高収入の家庭の子どもは私立や進学校に通うことが多い
- 低収入の家庭の子どもは地元の学校が中心になる
- 習い事やクラブ活動にも差が出る
こうしたちがいが、友達の作られ方に影響しています。
実際の調査では、低所得の人はお金持ちの友人が約22%少ないとわかりました。
つまり、生活のちがいが友人関係にもはっきり出ているのです。
まとめると、社会階層は人間関係に大きく関わっており、出会う人が変わることがわかります。
学校や住む場所が友達関係に影響する
どこに住んで、どの学校に通うかで友達は変わります。
なぜなら、日々の出会いはその場所で生まれるからです。
特に学校は、友達を作る最も大きな場所のひとつです。
住む場所も同じくらい重要です。
以下のような影響が確認されています。
- 高所得層が多い地域では、子ども同士の交流も高所得層中心
- 地域が分かれていると、階層間の接点が減る
- 同じ地域でも住宅のタイプで生活が分かれることもある
たとえば、アメリカの調査では、低所得の人は高所得者と友達になる割合が最も低いのが住んでいる地域でした。
反対に、大学などでは高所得の人とのつながりが多くなります。
これは、大学に行く人の多くが高所得層だからです。
まとめると、どこに住み、どこで学ぶかが、友人関係に強く影響しているといえます。
同じ場所でも仲良くなりにくい理由とは
同じ学校にいても、仲良くなりにくいことがあります。
その理由は、「友人形成バイアス」と呼ばれる傾向にあります。
これは、「知り合うチャンスがあっても、友達にならないことが多い」という意味です。
以下のような要因が考えられます。
- 学力や成績でクラスが分かれている
- 親の収入によって使うお金や話題がちがう
- 外見や持ち物から距離が生まれる
たとえば、ある高校では成績でクラス分けされていて、同じ学校内でも交わらない生徒が多くいました。
このように、同じ場所にいても、自然には仲良くなれないことがあるのです。
まとめると、出会う機会があっても、関係ができるとは限らないのが現実です。
友達になりやすい環境とそうでない環境
人が仲良くなりやすい環境には特徴があります。
調査では、宗教団体などが友人形成バイアスが低いことがわかっています。
つまり、階層に関係なく仲良くなりやすいのです。
いっぽう、住んでいる地域ではバイアスがとても高いです。
以下の特徴が関係していました。
- 宗教団体:活動を一緒に行うことで距離が近づく
- 地域:収入によって住む場所が分かれがち
- 職場:役職や給料で関係に差が出やすい
たとえば、宗教の集まりでは高所得の人と仲良くなる率が3%高いという結果もあります。
逆に、同じ町に住んでいても、あまり接点がないことが多いです。
まとめると、関係を作りやすい場所は、活動や交流の仕組みが整っている場所です。
実は宗教団体は交流が生まれやすい場所
宗教団体は階層を超えて交流しやすい場です。
これは意外に思う人もいるかもしれません。
しかし、研究では宗教団体の友人形成バイアスはマイナス3%でした。
つまり、階層を越えて友達になる割合が高いのです。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
- 共通の目的や価値観がある
- 年齢や職業に関係なく集まる
- 日常的に顔を合わせる機会が多い
こうした環境が、自然な関係づくりを支えています。
また、宗教団体ではお金の話題や身なりに重きが置かれにくいのも特徴です。
そのため、社会階層に関係なく付き合えるのです。
まとめると、宗教団体のような場所は、交流をうながす大切な場であるといえます。
社会階層が将来の収入にどう関係する?
高収入の友達が多いと収入も上がる?
高収入の友達が多い人は、将来の収入が高くなる傾向があります。
これはアメリカの大規模調査でわかったことです。
「経済的連結性」が高い地域では、子どもたちの収入が高くなりやすいのです。
経済的連結性とは、高収入の人とどれくらい友達になっているかを表す指標です。
研究で見つかった傾向は次のとおりです。
- 高収入の友達が多い子どもほど、成人後の収入が高い
- 交流のある地域では、経済的なチャンスも広がる
- 友達の影響は、親の収入以上に重要なこともある
この関係は、単なるお金の差ではなく、考え方や経験の共有が影響しています。
たとえば、進学の情報や仕事の紹介などがあることも理由の一つです。
まとめると、高収入の人とのつながりは、将来の可能性を広げる大きな力となります。
小さい頃の人間関係が大人になって影響する
子どものころに誰と関わったかが、大人になっても影響します。
特に、低所得の家庭の子どもにとってはその影響が大きいです。
なぜなら、周囲にいる人が未来の行動や考え方を形づくるからです。
研究によると、次のようなことがわかっています。
- 子どもの時期の交流が、その後の収入に直結する
- 同じ家庭の収入でも、友人関係の差で結果が変わる
- 子ども時代のつながりが、自己肯定感や希望に影響する
たとえば、経済的連結性が10%高いと、将来の収入が2.4%高くなることが示されています。
これはわずかな違いに見えて、大きな差につながります。
まとめると、子どものうちにどんな人と出会ったかが、人生に深く関わっているのです。
経済的な交流がある地域の子どもは伸びる
経済的に多様な人が交わる地域では、子どもたちの未来が明るくなりやすいです。
これは、生活の中でさまざまな人と関われることが理由です。
とくに、高所得の人と関わる機会が多いと、前向きな影響があります。
具体的には次のようなことがわかっています。
- 将来の仕事や進路について相談できる
- チャンスに気づくきっかけが増える
- 自信や行動力が育ちやすい
このような交流ができる場所は、学校だけでなく、地域の活動や団体でも生まれます。
研究では、社会的なつながりの多い地域のほうが、所得の伸びも大きいと示されています。
まとめると、多様なつながりがある地域は、子どもたちの可能性を広げる土台になるのです。
親の収入だけでは説明できない差
同じ親の収入でも、子どもの将来には差があります。
それは、周囲の人との関係や環境の違いによるものです。
つまり、家庭の収入よりも「誰と関わったか」が大切なのです。
研究では次のようなことがわかっています。
- 親の年収が同じでも、交流の広さで収入に差が出る
- 経済的つながりが多い人ほど収入が高くなりやすい
- 学校や地域での体験が収入差に影響している
たとえば、友人形成バイアスが低い学校では、同じ家庭の子どもでも収入が高くなる傾向があります。
このことから、子どもに与える環境の重要さが見えてきます。
まとめると、親の年収だけではなく、人との関わりが未来の収入を決める大きな要素になるのです。
学校の環境が将来の選択肢を広げる
通う学校によって、将来の選択肢が大きく変わります。
これは、学びの内容だけでなく、そこで出会う人たちの影響によるものです。
とくに、社会階層が混ざっている学校では、さまざまな考え方にふれることができます。
次のような環境が選択肢を広げてくれます。
- 多様な家庭の生徒がいる
- クラス分けが偏っていない
- 生徒同士の交流が多い
たとえば、友人形成バイアスが低い学校では、将来の所得上昇率が高いという結果もあります。
また、そうした学校では異なる社会階層の生徒も自然と交流しやすくなります。
まとめると、学校選びは学習内容だけでなく、人間関係を広げる機会としても重要なのです。
よくある質問(FAQ)
社会階層による友人関係の違いは日本でも当てはまりますか?
この研究はアメリカで行われましたが、日本でも似たような傾向があると考えられています。学校や住む場所による社会階層の分離は、多くの国に共通する現象です。
友人形成バイアスを下げるにはどうすればよいですか?
共通の目標や活動がある場に参加することが効果的です。スポーツクラブ、ボランティア活動、地域のイベントなどでは、社会階層に関係なく自然な交流が生まれやすくなります。
大人になってからでも経済的な友人関係を築けますか?
もちろん可能です。転職、習い事、社会人サークルなどを通じて新しい人脈を築くことができます。ただし、子ども時代の方が自然に関係を築きやすい傾向があります。
宗教団体が階層を超えた交流に良いのはなぜですか?
共通の価値観や目的があり、定期的な集まりがあることで自然に距離が縮まるためです。また、物質的な豊かさよりも精神的なつながりが重視される環境だからです。
経済的連結性を意識しすぎるのは良くないのでしょうか?
あからさまに利益を求める関係は長続きしません。自然な交流を通じて築かれる信頼関係の中で、結果として様々な機会が生まれるという考え方が大切です。
親として子どもの友人関係にどう関わるべきですか?
多様な活動に参加する機会を提供し、様々な背景の人と自然に出会える環境を作ることが重要です。無理に特定の人と仲良くさせようとするのではなく、選択肢を広げることを心がけましょう。







