ダークトライアドという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは、ナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーという3つの性格特性の組み合わせを表す心理学用語です。
一見難しそうな言葉ですが、私たちの身近にも、これらの特性を持つ人が存在するかもしれません。
近年、ダークトライアドに関する研究が盛んに行われており、その代表的な論文に「The Dark Triad of personality: Narcissism, Machiavellianism, and psychopathy」があります。
この論文では、ダークトライアドを構成する3つの性格特性について、その特徴や関連性が詳しく調べられています。
本記事では、この論文の内容を踏まえながら、ダークトライアドについて分かりやすく解説していきます。ダークトライアドの性格特性がどのようなものなのか、それぞれの特性がどう関連しているのか、そして、私たちの日常生活とどのように関わっているのかを探っていきましょう。
ダークトライアドは、一見ネガティブな印象を与える言葉ですが、その性格特性を理解することは、自分自身や他者を知る上で重要な意味を持ちます。
この記事を通して、ダークトライアドについての知識を深め、人間性の多様さについて考えるきっかけになれば幸いです。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
ダークトライアドとは? 3つの性格特性を理解しよう
ナルシシズムの特徴と測定方法
ナルシシズムは、自己愛傾向が非常に強い性格特性です。
自分自身に酔っていて、他者からの賞賛を常に求めます。
また、共感性に乏しく、他者を利用する傾向があります。
ナルシシズムの測定には、以下のような尺度が用いられます。
- Narcissistic Personality Inventory (NPI)
- Pathological Narcissism Inventory (PNI)
- Five Factor Narcissism Inventory (FFNI)
これらの尺度は、質問紙形式で回答者のナルシシズム傾向を評価します。
ナルシシズムは、自尊心の高さや自己愛の強さを表す適応的な側面もありますが、極端な場合は対人関係に問題を引き起こす可能性があります。
ナルシシズムの特徴や測定方法を理解することで、自他の性格をより深く知ることができるでしょう。
マキャベリアニズムの特徴と測定方法
マキャベリアニズムは、他者を操作し利用する傾向が強い性格特性です。
自分の目的のためには手段を選ばず、他者の感情や利益を考慮しません。
また、冷淡で計算高く、良心の呵責を感じにくいとされています。
マキャベリアニズムの測定には、以下のような尺度が用いられます。
- Mach-IV scale
- Machiavellianism Personality Scale (MPS)
- Dirty Dozen scale (DD)
これらの尺度は、質問紙形式で回答者のマキャベリアニズム傾向を評価します。
一方で、マキャベリアニズムが高い人は、戦略的思考に長けている場合もあります。
マキャベリアニズムの特徴や測定方法を知ることで、対人関係における駆け引きを理解し、適切に対処する方法を学べるでしょう。
サイコパシーの特徴と測定方法
サイコパシーは、共感性の欠如と衝動性の高さを特徴とする性格特性です。
良心の呵責を感じず、他者の感情を理解できません。
また、衝動的で危険な行動をとりやすく、反社会的行動と関連しています。
サイコパシーの測定には、以下のような尺度が用いられます。
- Psychopathy Checklist-Revised (PCL-R)
- Self-Report Psychopathy scale (SRP)
- Levenson Self-Report Psychopathy scale (LSRP)
これらの尺度は、質問紙形式や面接形式で回答者のサイコパシー傾向を評価します。
サイコパシーは、犯罪や反社会的行動と関連が深いとされていますが、一般集団にも一定の割合で存在すると考えられています。
サイコパシーの特徴や測定方法を理解することで、社会的に問題のある行動の背景にある性格特性を知ることができるでしょう。
ダークトライアドの3つの性格特性は互いにどう関連している?
ダークトライアドの3つの性格特性は、互いに関連しているものの、同一ではありません。
ナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーは、以下のような共通点があります。
- 自己中心的な傾向が強い
- 他者への共感性が乏しい
- 対人関係において搾取的な行動をとりやすい
しかし、各性格特性にはそれぞれ固有の特徴もあります。
例えば、ナルシシズムは自己愛の強さ、マキャベリアニズムは戦略的思考、サイコパシーは衝動性の高さなどが特徴的です。
また、研究によると、これらの性格特性の間には中程度の相関があるものの、完全に重複しているわけではないことが示されています。
これらの3つの性格特性は、互いに関連しながらも独立した側面を持っていると言えるでしょう。
ダークトライアドの遺伝要因
ダークトライアドの特性には遺伝的な要因が大きく関わっていることがわかります。
以下に、それぞれの特性の遺伝要因を箇条書きで整理します。
- ナルシシズム
- 遺伝率: 59%
- 非共有環境: 41%
- マキャベリアニズム
- 遺伝率: 31%
- 共有環境: 39%
- 非共有環境: 30%
- サイコパシー
- 遺伝率: 64%
- 共有環境: 4%
- 非共有環境: 32%
ダークトライアドの特性は遺伝的要因と環境要因の両方が関与しています。
特にサイコパシーは遺伝の影響が強いです。 環境要因もそれぞれの特性に影響を与えています。
ダークトライアドと性別の関係
ダークトライアドの性格特性は、男性に多く見られる傾向があります。
多くの研究で、男性のほうが女性よりもナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーの得点が高いことが報告されています。
この性差は、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 進化的に形成された行動傾向の違い
- 社会的・文化的な性役割の影響
- ホルモンなどの生物学的な差異
ただし、性差の程度は研究によって異なり、個人差も大きいことが指摘されています。
また、ダークトライアドの性格特性と外的変数との関連パターンは、男女でおおむね同様であることが示されています。
つまり、ダークトライアドの性格特性を持つ人の行動傾向は、性別に関わらず類似しているのです。
ダークトライアドとビッグファイブ性格特性の関係
ダークトライアドに共通する性格特性とは?
これらの3つの性格特性に共通するのは、協調性の低さです。
ビッグファイブ性格特性の1つである協調性は、他者への思いやりや協力的な姿勢を表します。
ナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーは、いずれも協調性と負の相関があることが研究で示されています。
つまり、ダークトライアドの性格特性が高い人は、以下のような傾向があると言えます。
- 他者の感情や意見を尊重しない
- 協力や妥協を好まない
- 自己中心的で利己的である
協調性の低さは、ダークトライアドの性格特性に共通する特徴であり、対人関係における問題行動と関連していると考えられます。
ただし、各性格特性はビッグファイブの他の次元とも関連しており、それぞれ固有の性格的特徴を持っています。
ダークトライアドの性格特性に共通するのは協調性の低さですが、各性格特性の理解には、ビッグファイブとの関連を多角的に検討する必要があるでしょう。
ナルシシズムに特有の性格特性
ナルシシズムは、外向性と開放性が高いことが特徴です。
ビッグファイブ性格特性のうち、外向性は社交性や積極性を、開放性は新しい経験への興味や創造性を表します。
研究によると、ナルシシズムはこれらの性格特性と正の相関があることが示されています。
つまり、ナルシシズムの高い人は、以下のような傾向があると言えます。
- 社交的で人当たりが良い
- 自信があり、リーダーシップを発揮する
- 新しいアイデアを好み、独創性がある
また、ナルシシズムは、神経症傾向や誠実性とはあまり関連がないことが報告されています。
これらの結果から、ナルシシズムに特有の性格特性は、外向性と開放性の高さであると考えられます。
ただし、ナルシシズムの適応的な側面と不適応的な側面を区別して理解することが重要です。
ナルシシズムに特有の性格特性は、外向性と開放性の高さですが、極端な自己愛は対人関係に問題を引き起こす可能性があることを忘れてはいけません。
マキャベリアニズムに特有の性格特性
マキャベリアニズムは、正直・謙虚さと誠実性が低いことが特徴です。
正直・謙虚さは道徳心や倫理観を、誠実性は計画性や自制心を表します。
研究によると、マキャベリアニズムはこれらの性格特性と負の相関があることが示されています。
つまり、マキャベリアニズムの高い人は、以下のような傾向があると言えます。
- 嘘をつきやすく、道徳的な基準に従わない
- 衝動的で、長期的な目標を追求しない
- 怠惰で、責任感が乏しい
また、マキャベリアニズムは、外向性や開放性、神経症傾向とはあまり関連がないことが報告されています。
これらの結果から、マキャベリアニズムに特有の性格特性は、正直・謙虚さと誠実性の低さであると考えられます。
ただし、マキャベリアニズムが高い人でも、状況に応じて戦略的に行動することができる場合があります。
マキャベリアニズムに特有の性格特性は、正直・謙虚さと誠実性の低さですが、その特性が適応的に働く場面もあることを理解しておく必要があるでしょう。
サイコパシーに特有の性格特性
サイコパシーは、神経症傾向の低さが特徴です。
ビッグファイブ性格特性のうち、神経症傾向は不安やストレスへの脆弱性を表します。
研究によると、サイコパシーはこの性格特性と負の相関があることが示されています。
つまり、サイコパシーの高い人は、以下のような傾向があると言えます。
- 不安やストレスを感じにくい
- 恐怖心が乏しい
- リスクを恐れず、大胆な行動をとる
また、サイコパシーは、協調性や正直・謙虚さ、誠実性とも負の相関があることが報告されています。
これらの結果から、サイコパシーに特有の性格特性は、神経症傾向の低さであると考えられます。
ただし、サイコパシーの特徴である共感性の欠如や衝動性の高さは、反社会的行動につながる危険性があります。
サイコパシーに特有の性格特性は、神経症傾向の低さですが、その特性が極端な場合は社会的な問題を引き起こす可能性があることを忘れてはいけません。
ダークトライアドと知的能力の関係
ナルシシズムと知的能力の関係
ナルシシズムは、知的能力と弱い正の相関があることが示されています。
つまり、ナルシシズムの高い人は、平均的に知的能力が高い傾向があるのです。
ただし、この関連性は非常に弱いものであり、個人差が大きいことに注意が必要です。
ナルシシズムと知的能力の関連については、以下のような説明が考えられています。
- ナルシシズムの高い人は、自己高揚的な傾向があるため、知的能力を実際よりも高く評価している可能性がある
- 知的能力の高さが、ナルシシズムの形成に影響を与えている可能性がある
ただし、ナルシシズムと知的能力の関連性については、さらなる研究が必要とされています。
また、知的能力の高さは、ナルシシズムの適応的な側面と関連している可能性があります。
ナルシシズムと知的能力には弱い正の相関がありますが、両者の関連性については慎重に解釈する必要があるでしょう。
マキャベリアニズムと言語性・非言語性知能の関係
マキャベリアニズムは、言語性知能よりも非言語性知能が高い傾向があります。
言語性知能は、言語の理解や表現に関する能力を、非言語性知能は、視覚情報の処理や操作に関する能力を表します。
研究によると、マキャベリアニズムの高い人は、以下のような特徴があることが示されています。
- 言語性知能と非言語性知能の差が大きい
- 非言語性知能が相対的に高い
- 言語性知能は平均的である
この結果は、マキャベリアニズムの高い人が、言語的なコミュニケーションよりも、非言語的な情報処理に長けている可能性を示唆しています。
ただし、マキャベリアニズムと知能の関連性については、さらなる研究が必要とされています。
また、知能の偏りが、マキャベリアニズムの形成に影響を与えているのか、その逆なのかは明らかではありません。
マキャベリアニズムは、言語性知能よりも非言語性知能が高い傾向がありますが、両者の関連性については、慎重に解釈する必要があるでしょう。
サイコパシーと言語性・非言語性知能の関係
サイコパシーは、言語性知能よりも非言語性知能が高い傾向があります。
マキャベリアニズムと同様に、サイコパシーの高い人は、言語的な能力よりも非言語的な能力に長けていることが示唆されています。
研究によると、サイコパシーの高い人は、以下のような特徴があることが報告されています。
- 言語性知能と非言語性知能の差が大きい
- 非言語性知能が相対的に高い
- 言語性知能は平均的である
この結果は、サイコパシーの高い人が、言語的なコミュニケーションよりも、非言語的な情報処理に優れている可能性を示しています。
ただし、サイコパシーと知能の関連性については、さらなる研究が必要とされています。
また、知能の偏りが、サイコパシーの形成に影響を与えているのか、その逆なのかは明らかではありません。
サイコパシーは、言語性知能よりも非言語性知能が高い傾向がありますが、両者の関連性については、慎重に解釈する必要があるでしょう。
ダークトライアドと自己高揚傾向の関係
自己高揚傾向を測定する2つの方法
自己高揚傾向を測定する方法には、自己評価と客観的指標の乖離を見る方法と、自己申告による方法があります。
乖離を見る方法では、以下のような指標が用いられます。
- 自己評価と他者評価の差
- 自己評価と実際の能力の差
自己申告による方法では、以下のような尺度が用いられます。
- 自尊心尺度
- ナルシシズム尺度
これらの方法を用いることで、個人の自己高揚傾向を測定することができます。
ただし、自己高揚傾向の適応的な側面と不適応的な側面を区別して理解することが重要です。
また、自己高揚傾向の測定には、文化的な影響も考慮する必要があります。
自己高揚傾向を測定する方法には、乖離を見る方法と自己申告による方法がありますが、それぞれの方法の特徴を理解し、適切に用いることが重要です。
ナルシシズムと自己高揚傾向の強い関連
ナルシシズムは、自己高揚傾向と強い正の相関があることが示されています。
つまり、ナルシシズムの高い人は、自己評価が非常に高く、自分を過大に捉える傾向があるのです。
研究によると、ナルシシズムの高い人は、以下のような特徴があることが報告されています。
- 自己評価が非常に高い
- 他者からの評価よりも自己評価が高い
- 実際の能力よりも自己評価が高い
この結果は、ナルシシズムの高い人が、自分自身を過大に評価し、自己高揚的な傾向が非常に強いことを示しています。
ただし、自己高揚傾向の適応的な側面と不適応的な側面を区別して理解することが重要です。
また、ナルシシズムと自己高揚傾向の関連性については、さらなる研究が必要とされています。
ナルシシズムは、自己高揚傾向と強い正の相関があることが示されていますが、両者の関連性については、慎重に解釈する必要があるでしょう。
サイコパシーと自己高揚傾向のつながり
サイコパシーは、自己高揚傾向と弱い正の相関があることが示されています。
つまり、サイコパシーの高い人は、ある程度自己評価が高い傾向があるのです。
ただし、ナルシシズムほど強い関連性は見られないことに注意が必要です。
研究によると、サイコパシーの高い人は、以下のような特徴があることが報告されています。
- 自己評価が高い傾向がある
- ただし、ナルシシズムほど極端ではない
- 自己高揚傾向は、不適応的な側面と関連している可能性がある
この結果は、サイコパシーの高い人が、ある程度自己高揚的な傾向を持っていることを示唆しています。
ただし、サイコパシーと自己高揚傾向の関連性については、さらなる研究が必要とされています。
また、自己高揚傾向の適応的な側面と不適応的な側面を区別して理解することが重要です。
サイコパシーは、自己高揚傾向と弱い正の相関があることが示されていますが、両者の関連性については、慎重に解釈する必要があるでしょう。
マキャベリアニズムには自己高揚傾向がない?
マキャベリアニズムは、自己高揚傾向と関連がないことが示されています。
つまり、マキャベリアニズムの高い人は、自己評価が高いわけではないのです。
研究によると、マキャベリアニズムの高い人は、以下のような特徴があることが報告されています。
- 自己評価は平均的である
- 自己高揚傾向は見られない
- 現実的な自己評価を持っている
この結果は、マキャベリアニズムの高い人が、自分自身を過大に評価するわけではなく、現実的な自己評価を持っていることを示唆しています。
ただし、マキャベリアニズムと自己高揚傾向の関連性については、さらなる研究が必要とされています。
また、自己高揚傾向の適応的な側面と不適応的な側面を区別して理解することが重要です。
マキャベリアニズムは、自己高揚傾向と関連がないことが示されていますが、両者の関連性については、慎重に解釈する必要があるでしょう。
ダークトライアドの社会的影響と今後の研究課題
ダークトライアドの根底にある「協調性の低さ」
3つの性格特性に共通するのは、「協調性の低さ」であると考えられています。
協調性は、他者への思いやりや協力的な姿勢を表すビッグファイブ性格特性の1つです。
ナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーは、いずれも協調性と負の相関があることが示されています。
つまり、ダークトライアドの性格特性が高い人は、以下のような傾向があると言えます。
- 他者の感情や意見を尊重しない
- 協力や妥協を好まない
- 自己中心的で利己的である
協調性の低さは、ダークトライアドの性格特性に共通する特徴であり、対人関係における問題行動と関連していると考えられます。
ただし、各性格特性はビッグファイブの他の次元とも関連しており、それぞれ固有の性格的特徴を持っています。
ダークトライアドの性格特性の根底にあるのは、「協調性の低さ」であると考えられますが、各性格特性の理解には、多角的な視点が必要不可欠です。
※他にもダークさのパターンを以下の記事で紹介しています。
サイコパシーが最も危険な特性である可能性
ダークトライアドの中で、サイコパシーが最も危険な特性である可能性が指摘されています。
サイコパシーは、共感性の欠如や衝動性の高さ、倫理観の欠如などの特徴を持ち、反社会的行動と関連が深いとされています。
研究によると、サイコパシーの高い人は、以下のような傾向があることが報告されています。
- 犯罪行為に関与しやすい
- 他者を搾取しやすい
- 良心の呵責を感じにくい
また、サイコパシーは、ナルシシズムやマキャベリアニズムと比べて、感情的な冷淡さや共感性の欠如がより顕著であることが示唆されています。
これらの特徴から、サイコパシーが最も危険な特性である可能性が指摘されているのです。
ただし、サイコパシーの適応的な側面についても、さらなる研究が必要とされています。
サイコパシーが最も危険な特性である可能性が指摘されていますが、その特性の多面的な理解が求められています。
ダークトライアドと反社会的行動の関係
ダークトライアドの性格特性は、反社会的行動と関連があることが示されています。
反社会的行動とは、社会的規範から逸脱し、他者や社会に害を及ぼす行動を指します。
研究によると、ダークトライアドの性格特性が高い人は、以下のような反社会的行動をとりやすいことが報告されています。
- 犯罪行為
- 攻撃性や暴力
- 非倫理的な行動
特に、サイコパシーは反社会的行動と強い関連があることが示唆されています。
ただし、ダークトライアドの性格特性が高いからといって、必ずしも反社会的行動をとるわけではありません。
また、反社会的行動には、ダークトライアドの性格特性以外の要因も関わっていると考えられます。
ダークトライアドの性格特性は、反社会的行動と関連がありますが、両者の関係性については、多面的な理解が必要不可欠です。
一般集団におけるダークトライアドの個別測定の重要性
ダークトライアドの性格特性は、一般集団においても個別に測定する必要があると指摘されています。
これまでの研究では、臨床群や犯罪者群を対象にダークトライアドの性格特性が調べられることが多くありました。
しかし、近年では、一般集団を対象とした研究も行われるようになってきています。
一般集団におけるダークトライアドの個別測定の重要性は、以下のような点から指摘されています。
- ダークトライアドの性格特性は、一般集団にも一定の割合で存在する
- 各性格特性が、適応的な側面と不適応的な側面を持っている
- 性格特性の組み合わせによって、行動傾向が異なる可能性がある
これらの点を踏まえると、一般集団においてもダークトライアドの性格特性を個別に測定し、その特徴を理解することが重要だと言えます。
ただし、測定尺度の選択や結果の解釈には、慎重さが求められます。
一般集団におけるダークトライアドの個別測定は、性格特性の多面的な理解につながる重要な取り組みだと言えるでしょう。
ダークトライアドの適応的側面と今後の研究課題
ダークトライアドの性格特性には、適応的な側面もあることが指摘されています。
これまでの研究では、ダークトライアドの性格特性の不適応的な側面に焦点が当てられることが多くありました。
しかし、近年では、適応的な側面についても注目が集まっています。
ダークトライアドの性格特性の適応的な側面として、以下のような点が挙げられています。
- ナルシシズムの高い自尊心や自信
- マキャベリアニズムの戦略的思考や交渉力
- サイコパシーの冷静さや果断さ
これらの特性は、状況によっては適応的に働く可能性があると考えられています。
ただし、適応的な側面と不適応的な側面のバランスを理解することが重要です。
また、ダークトライアドの性格特性の適応的な側面については、さらなる研究が必要とされています。
今後の研究課題としては、以下のような点が挙げられます。
- ダークトライアドの性格特性の適応的な側面と不適応的な側面のバランスを探る
- 性格特性の組み合わせによる行動傾向の違いを明らかにする
- 文化的な影響を考慮した研究を行う
これらの課題に取り組むことで、ダークトライアドの性格特性のより深い理解が得られると期待されます。
ダークトライアドの性格特性には適応的な側面もありますが、その理解には多角的な視点と慎重さが求められます。今後の研究の発展が期待されるでしょう。
最後に
ダークトライアドは、ナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーという3つの性格特性の組み合わせを表す言葉です。
ダークトライアドの性格特性は、対人関係における問題行動と関連していますが、状況によっては適応的に働く可能性もあります。
ただし、ダークトライアドの性格特性が極端に強い場合は、他者や社会に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、サイコパシーは反社会的行動と強く関連しているため、注意が必要です。
ダークトライアドについて理解を深めることは、自分自身や他者の性格特性を知る上で重要です。
また、他者の性格特性を理解することで、円滑な対人関係を築くことができるでしょう。
ダークトライアドについて学ぶことは、人間理解の第一歩となるでしょう。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。