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悪者の生産性:ダークテトラッドは仕事ができる?論文解説

    悪者の生産性

    「悪者の生産性」という言葉を聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。

    悪者は職場で問題ばかり起こして、生産性を下げるイメージがあるかもしれません。

    しかし、最近の研究では、ダークな性格特性を持つ人が、仕事の成果を上げることもあるということが分かってきました。

    ダークな性格特性とは、ナルシシズム(自己愛)、マキャベリアニズム(他者操作)、サイコパシー(冷酷さ)、サディズム(残虐性)のことを指します。

    これらの特性は、一般的に悪いイメージがありますが、仕事の場面では良い面もあるようです。

    そんなダークな性格特性と職務遂行能力の関係について、興味深い研究結果が報告されています。

    論文のタイトルは「Bad guys perform better? The incremental predictive validity of the Dark Tetrad over Big Five and Honesty-Humility」。

    この記事では、その研究内容を分かりやすく解説していきたいと思います。

    目次

    ダークな性格特性とは?

    マキャベリアニズム:自分の利益のために他者を利用する

    マキャベリアニズムとは、自分の利益や目的のために他者を利用する性格特性のことです。
    つまり、マキャベリアニズムが高い人は、他者を操作したり、だましたりすることに長けているのです。
    具体的には、以下のような特徴があります。

    • 他者を利用して自分の目的を達成しようとする
    • 他者の弱みにつけ込んで操ろうとする
    • 良心や罪悪感よりも自分の利益を優先する

    要するに、マキャベリアニズムが高い人は、自分の利益のために手段を選ばない傾向があるのです。

    他者への共感性が低く、良心の呵責を感じにくいのも特徴と言えるでしょう。

    マキャベリアニズムは、対人関係においてネガティブな影響を与える可能性が高い性格特性です。

    ナルシシズム:自分が特別で優れていると信じている

    ナルシシズムとは、自分が特別で他者より優れていると信じている性格特性のことです。
    言い換えれば、自己愛が極端に強く、自分を過大評価する傾向があるのです。
    ナルシシズムが高い人の特徴としては、以下のようなものがあります。

    • 自分が他者より優れていると考える
    • 他者からの賞賛や称賛を求める
    • 他者への共感性が低い

    つまり、ナルシシズムが高い人は、自分を特別な存在だと思い込んでいるのです。

    他者からの賞賛を過度に求める一方で、他者への関心や共感性は低くなる傾向があります。

    ナルシシズムは、対人関係において問題を引き起こす可能性がある性格特性だと言えるでしょう。

    サイコパシー:冷淡で非社会的な行動をとる傾向がある

    サイコパシーとは、冷淡で非社会的な行動をとる傾向がある性格特性のことです。
    分かりやすく言うと、良心や道徳心が欠如していて、反社会的な行動をとりやすいのです。
    サイコパシーが高い人の特徴は、以下のようなものがあります。

    • 良心や罪悪感が希薄である
    • 他者への共感性が低い
    • 衝動的で危険な行動をとることがある

    要するに、サイコパシーが高い人は、社会のルールやモラルを無視しがちなのです。

    他者の気持ちを考えることが苦手で、自分の欲求を優先する傾向があります。

    サイコパシーは、社会生活において深刻な問題を引き起こす可能性が高い性格特性だと言えます。

    サディズム:他者の苦しみを楽しむ傾向がある

    サディズムとは、他者の苦しみや不幸を楽しむ傾向がある性格特性のことです。
    端的に言うと、他者を苦しめることに快感を覚えるのです。
    サディズムが高い人の特徴としては、以下のようなものがあります。

    • 他者を支配したり、苦しめたりすることを楽しむ
    • 他者への共感性が低い
    • 攻撃的で残忍な行動をとることがある

    つまり、サディズムが高い人は、他者の痛みや苦しみを楽しむ傾向があるのです。

    他者への思いやりや同情心が希薄で、自分の欲求を満たすために残忍な行動をとることもあります。

    サディズムは、対人関係だけでなく、社会全体に悪影響を及ぼす可能性が高い性格特性だと言えるでしょう。

    悪者の生産性:職務遂行能力の3つの側面

    悪者の生産性:タスクパフォーマンス

    タスクパフォーマンスとは、仕事の内容に直接関わる行動のことです。
    言い換えれば、職務記述書に書かれているような、職務に直結する行動を指します。
    具体的には、以下のような行動が含まれます。

    • 仕事の目標を達成するための行動
    • 仕事に必要な知識やスキルを活用する行動
    • 仕事の質や量を維持・向上させる行動

    要するに、タスクパフォーマンスは、仕事の成果に直接影響を与える行動だと言えるでしょう。

    仕事の目標達成に向けて、自分の能力を発揮し、高い成果を出すことが求められます。

    タスクパフォーマンスは、職務遂行能力の中でも特に重要な側面だと考えられています。

    悪者の生産性:コンテクスチュアルパフォーマンス

    コンテクスチュアルパフォーマンスとは、仕事に関連する間接的な行動のことです。
    つまり、職務記述書には明記されていないが、職場の雰囲気やチームワークに影響を与える行動を指します。
    コンテクスチュアルパフォーマンスの具体例としては、以下のようなものがあります。

    • 同僚を助けたり、協力したりする行動
    • 職場のルールや手順を守る行動
    • 仕事に対して前向きで建設的な態度を示す行動

    簡単に言うと、コンテクスチュアルパフォーマンスは、職場の人間関係や環境を良好に保つための行動だと言えます。

    直接的な仕事の成果には結びつかないかもしれませんが、長期的には組織の生産性に影響を与える重要な行動なのです。

    コンテクスチュアルパフォーマンスは、タスクパフォーマンスを支える基盤となる側面だと考えられています。

    悪者の生産性:逆生産的職務行動

    逆生産的職務行動とは、組織や同僚に悪影響を与える行動のことです。
    言い換えれば、職場の生産性や雰囲気を損なう行動を指します。
    逆生産的職務行動の具体例としては、以下のようなものがあります。

    • 仕事をサボったり、手を抜いたりする行動
    • 同僚との人間関係を悪化させる行動
    • 組織の規則や方針に反する行動

    要するに、逆生産的職務行動は、職場にとってマイナスの影響を与える行動だと言えるでしょう。

    仕事の成果を下げるだけでなく、職場の人間関係や秩序を乱すことにもつながります。

    逆生産的職務行動は、組織の生産性や業績を阻害する要因となる可能性が高い側面だと考えられています。

    悪者の生産性の研究方法

    613名の従業員を対象に調査を実施

    この研究では、613名の従業員を対象に調査が行われました。
    つまり、様々な職種や業種で働く人々から、データが収集されたのです。
    調査対象者の特徴は、以下の通りです。

    • 男女比は、男性が46%、女性が54%
    • 平均年齢は38.8歳
    • 平均勤続年数は8.4年

    要するに、この研究は、幅広い属性の従業員を対象としたものだと言えるでしょう。

    性別や年齢、勤続年数などが偏らないよう、調査対象者が選定されています。

    調査対象者の多様性は、研究結果の一般化可能性を高める上で重要な点だと考えられています。

    悪者の生産性を測定するための尺度を使用

    この研究では、性格特性と職務遂行能力を測定するために、複数の尺度が使用されました。
    具体的には、以下のような尺度が用いられています。

    • ビッグファイブ尺度:性格特性を測定する代表的な尺度
    • HEXACO尺度:正直・謙虚さを測定する尺度
    • ダークテトラッド尺度:ダークな性格特性を測定する尺度
    • 職務遂行能力尺度:タスクパフォーマンスなどを測定する尺度

    つまり、この研究では、性格特性と職務遂行能力を多面的に捉えるために、複数の尺度が用いられたのです。

    各尺度は、信頼性と妥当性が確認されたものばかりであり、測定の精度を高める工夫がなされています。

    性格特性と職務遂行能力を適切に測定することは、研究の質を左右する重要な要素だと言えるでしょう。

    悪者の生産性:ダークテトラッドと職務遂行能力

    ダークな性格特性は協調性と弱い負の関係がある

    ダークな性格特性は、ビッグファイブ尺度の「協調性」と弱い負の関係があることが分かりました。
    言い換えれば、ダークな性格特性が高い人ほど、協調性が低い傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように解釈できます。

    • ダークな性格特性が高い人は、他者との協力や調和を重視しない
    • 自分の利益を優先するあまり、他者への配慮が欠けている
    • 対人関係において、摩擦や対立を引き起こしやすい

    要するに、ダークな性格特性は、協調性と相反する特徴を持っているのです。

    他者との良好な関係構築よりも、自分の欲求や目的の達成を重視する傾向があります。

    ダークな性格特性と協調性の負の関係は、対人関係における困難さを示唆していると言えるでしょう。

    サイコパシーとサディズムの関係が比較的強い

    ダークな性格特性の中でも、「サイコパシー」と「サディズム」の関係が比較的強いことが明らかになりました。
    つまり、サイコパシーが高い人は、サディズムも高い傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように説明できます。

    • サイコパシーが高い人は、他者への共感性が低く、罪悪感も乏しい
    • サディズムが高い人は、他者の苦しみを楽しむ傾向がある
    • 両者は、他者を搾取したり、傷つけたりすることに抵抗がない

    簡単に言うと、サイコパシーとサディズムは、他者への冷酷さという点で共通しているのです。

    良心の呵責を感じにくく、自分の欲求を満たすために他者を犠牲にすることをためらいません。

    サイコパシーとサディズムの強い関係は、対人関係における危険性を示唆していると考えられます。

    ダークな性格特性は職務遂行能力全体と弱い正の関係がある

    ダークな性格特性は、職務遂行能力全体と弱い正の関係があることが分かりました。
    言い換えれば、ダークな性格特性が高い人ほど、職務遂行能力も高い傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように解釈できます。

    • ダークな性格特性が高い人は、自分の利益のために努力を惜しまない
    • 目的達成のために、手段を選ばず、高い成果を出そうとする
    • 他者を出し抜くことで、自分の評価を高めようとする

    要するに、ダークな性格特性は、職務遂行能力を高める要因になり得るのです。

    自分の利益を追求する姿勢が、仕事の成果につながる可能性があります。

    ただし、ダークな性格特性と職務遂行能力の正の関係は弱いものであり、他の要因の影響も考慮する必要があるでしょう。

    逆生産的職務行動とダークな性格特性の関係が予想通り確認された

    逆生産的職務行動とダークな性格特性の関係が、予想通りに確認されました。
    つまり、ダークな性格特性が高い人ほど、逆生産的職務行動をとる傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように説明できます。

    • ダークな性格特性が高い人は、組織や同僚への配慮が欠けている
    • 自分の利益のために、ルールを破ったり、手抜きをしたりする
    • 他者を脅かしたり、傷つけたりすることで、職場の雰囲気を悪化させる

    簡単に言うと、ダークな性格特性は、逆生産的職務行動の原因になり得るのです。

    自分の欲求を満たすために、組織や同僚に悪影響を及ぼす行動をとる可能性が高まります。

    逆生産的職務行動とダークな性格特性の関係は、職場における問題行動の予測に役立つと考えられます。

    悪者の生産性:各職務遂行能力とダークテトラッドの関係

    タスクパフォーマンスは誠実性、ナルシシズム、マキャベリアニズムと正の関係

    タスクパフォーマンスは、誠実性、ナルシシズム、マキャベリアニズムと正の関係があることが明らかになりました。
    言い換えれば、これらの性格特性が高い人ほど、タスクパフォーマンスも高い傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように解釈できます。

    • 誠実性が高い人は、仕事に真面目に取り組み、高い成果を出す
    • ナルシシズムが高い人は、自分の能力を誇示するために、仕事で結果を出そうとする
    • マキャベリアニズムが高い人は、自分の利益のために、仕事の目標達成に尽力する

    つまり、誠実性、ナルシシズム、マキャベリアニズムは、タスクパフォーマンスを高める要因になり得るのです。

    ただし、これらの性格特性がタスクパフォーマンスに与える影響の大きさは異なると考えられます。

    誠実性、ナルシシズム、マキャベリアニズムとタスクパフォーマンスの正の関係は、仕事の成果を予測する上で重要な示唆を与えてくれます。

    コンテクスチュアルパフォーマンスは開放性、誠実性、ナルシシズムと正の関係

    コンテクスチュアルパフォーマンスは、開放性、誠実性、ナルシシズムと正の関係があることが分かりました。
    つまり、これらの性格特性が高い人ほど、コンテクスチュアルパフォーマンスも高い傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように説明できます。

    • 開放性が高い人は、新しいアイデアを提案したり、変化に柔軟に対応したりする
    • 誠実性が高い人は、職場のルールを守り、同僚と協力的な関係を築く
    • ナルシシズムが高い人は、自分の評価を高めるために、職場で積極的に行動する

    要するに、開放性、誠実性、ナルシシズムは、コンテクスチュアルパフォーマンスを高める要因になり得るのです。

    これらの性格特性が高い人は、職場の雰囲気づくりや人間関係の構築に貢献しやすいと言えます。

    開放性、誠実性、ナルシシズムとコンテクスチュアルパフォーマンスの正の関係は、職場における適応力の予測に役立つでしょう。

    コンテクスチュアルパフォーマンスはマキャベリアニズムと負の関係

    コンテクスチュアルパフォーマンスは、マキャベリアニズムと負の関係があることが明らかになりました。
    言い換えれば、マキャベリアニズムが高い人ほど、コンテクスチュアルパフォーマンスが低い傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように解釈できます。

    • マキャベリアニズムが高い人は、他者を操作しようとするため、協力的な関係を築きにくい
    • 自分の利益のために、職場のルールを無視したり、同僚を脅かしたりする
    • 他者への配慮に欠けるため、職場の雰囲気を悪化させる可能性がある

    つまり、マキャベリアニズムは、コンテクスチュアルパフォーマンスを低下させる要因になり得るのです。

    自分の利益を優先するあまり、職場の人間関係や秩序を乱す行動をとりがちだと言えます。

    マキャベリアニズムとコンテクスチュアルパフォーマンスの負の関係は、職場における問題行動の予測に役立つと考えられます。

    逆生産的職務行動は神経症傾向とサディズムと正の関係

    逆生産的職務行動は、神経症傾向とサディズムと正の関係があることが分かりました。
    つまり、これらの性格特性が高い人ほど、逆生産的職務行動をとる傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように説明できます。

    • 神経症傾向が高い人は、ストレスに脆弱で、衝動的な行動をとりやすい
    • サディズムが高い人は、他者を苦しめることで満足を得ようとする
    • 両者とも、組織や同僚に悪影響を及ぼす行動をとる可能性が高い

    簡単に言うと、神経症傾向とサディズムは、逆生産的職務行動の原因になり得るのです。

    ストレス耐性の低さや他者への加虐的な欲求が、職場における問題行動につながりやすいと考えられます。

    神経症傾向とサディズムと逆生産的職務行動の正の関係は、職場の生産性や秩序を脅かす要因の特定に役立つでしょう。

    逆生産的職務行動は正直さ・謙虚さと負の関係

    逆生産的職務行動は、正直さ・謙虚さと負の関係があることが明らかになりました。
    言い換えれば、正直さ・謙虚さが高い人ほど、逆生産的職務行動をとりにくい傾向があるのです。
    この関係性は、以下のように解釈できます。

    • 正直さ・謙虚さが高い人は、誠実で、他者を尊重する態度を持っている
    • 組織のルールや規範を守り、同僚との良好な関係を維持しようとする
    • 自分の欲求よりも、組織や同僚の利益を優先する傾向がある

    つまり、正直さ・謙虚さは、逆生産的職務行動を抑制する要因になり得るのです。

    正直で謙虚な人は、職場の秩序を乱すような行動を避け、協調的な態度を示しやすいと言えます。

    正直さ・謙虚さと逆生産的職務行動の負の関係は、職場における問題行動の予防に重要な示唆を与えてくれます。

    まとめ:悪者の生産性と職場での影響

    ダークな性格特性は職務遂行能力に影響を与える

    ダークな性格特性は、職務遂行能力に一定の影響を与えることが明らかになりました。
    マキャベリアニズム、ナルシシズム、サイコパシー、サディズムといった特性が、仕事の成果や職場での行動に関係しているのです。
    影響の方向性や大きさは、性格特性の種類や職務遂行能力の側面によって異なります。
    例えば、以下のような関係性が見出されました。

    • ナルシシズムは、タスクパフォーマンスやコンテクスチュアルパフォーマンスと正の関係がある
    • サディズムは、逆生産的職務行動と正の関係がある
    • マキャベリアニズムは、タスクパフォーマンスと正の関係があるが、コンテクスチュアルパフォーマンスとは負の関係がある

    これらの結果は、ダークな性格特性が職務遂行能力に複雑な影響を及ぼすことを示唆しています。

    ダークな性格特性は良い面と悪い面の両方に関係している

    ダークな性格特性は、職務遂行能力の良い面と悪い面の両方に関係していることが分かりました。
    つまり、ダークな性格特性が高い人は、仕事の成果を上げる一方で、職場の秩序を乱す可能性もあるのです。
    具体的には、以下のような関係性が見出されました。

    • ナルシシズムやマキャベリアニズムは、タスクパフォーマンスを高める可能性がある
    • サディズムは、逆生産的職務行動を増加させる可能性がある
    • マキャベリアニズムは、コンテクスチュアルパフォーマンスを低下させる可能性がある

    これらの結果は、ダークな性格特性がもたらす影響の両面性を示唆しています。

    ダークな性格特性を持つ人材を活用する際には、その長所と短所を十分に理解する必要があるでしょう。

    ダークな性格特性の良い面と悪い面のバランスを取ることが、組織の生産性と職場の健全性を維持する上で重要だと考えられます。

    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。