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サイコパス犯罪者:サイコパスの種類を論文で解説!

    サイコパス犯罪者

    サイコパス犯罪者と聞くと、恐ろしいイメージを持つ人が多いかもしれません。

    サイコパスは、感情に乏しく、人との関わりを避け、衝動的な行動をとる傾向があると言われています。

    そのため、サイコパスは犯罪者になりやすいと考えられがちです。

    しかし、最近の研究では、サイコパスの特徴を持っていても、必ずしも犯罪に走るわけではないことが分かってきました。

    それどころか、社会で成功している”適応的サイコパス”や”成功したサイコパス”と呼ばれる人たちもいるようです。

    では、サイコパスが犯罪者になるかどうかは、何が決め手になるのでしょうか?

    ドイツの研究者たちが行った「A Moderated Mediation Analysis to Further Examine the Role of Verbal Intelligence in the Association Between Psychopathic Personality and Crime」という研究が、その謎に迫ります。

    それでは見ていきましょう!

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。

    ※MBTI診断よりも科学的な性格診断は、こちらのHEXACO(ヘキサコ)診断!ビッグファイブに新しく1つの指標を追加して、性格のダークさ(サイコパスなど)がわかるようになりました。

    サイコパス犯罪者の特徴

    サイコパスの中核的要素

    この特性中核的要素は、感情面の乏しさ、対人関係からの離脱、抑制の効かない行動傾向です。

    これらの特徴は、1941年にアメリカの精神科医ハーベイ・クレックリーが著書『The Mask of Sanity(正気の仮面)』で整理しました。

    感情面の乏しさとは、他者の感情を理解したり、共感したりすることが難しいことを指します。

    対人関係からの離脱は、他者との深い絆を形成することが苦手で、孤立しがちであることを意味します。

    抑制の効かない行動傾向は、衝動的で、自分の欲求を抑えることが難しいことを表しています。

    これらの特徴が組み合わさることで、サイコパスは他者への共感性に欠け、自分の欲求を優先する行動をとりやすくなると考えられています。

    適応的サイコパスと成功したサイコパス

    サイコパシー特性が高くても、必ずしも犯罪者になるわけではありません。

    一般の人々の中でも、サイコパシー傾向の高い人は珍しくなく、「適応的サイコパス」や「成功したサイコパス」と呼ばれることがあります。

    適応的サイコパスは、社会に適応し、犯罪行為に手を染めない人を指します。

    一方、成功したサイコパスは、高い社会的地位や権力を持ちながら、反社会的行動をとる人を表します。

    これらのサイコパスは、社会的に成功しているように見えますが、その背景には他者を操作したり、搾取したりする行動があると考えられています。

    適応的サイコパスと成功したサイコパスの存在は、サイコパシー特性が高いことが直接的に犯罪行動につながるわけではないことを示唆しています。

    サイコパス犯罪者の要因

    サイコパシーと犯罪の関連性には、様々な要因が影響していると考えられています。
    例えば、以下のような要因が挙げられます。

    • 年齢
    • 知能
    • 実行機能
    • 子育て
    • 社会経済的地位
    • 生理学的特徴
    • 神経学的特徴

    これらの要因が、サイコパシーと犯罪の関連性を調整している可能性があります。

    また、サイコパシーには複数の側面があり、犯罪に結びつきやすい側面とそうでない側面が存在すると考えられています。

    サイコパシーと犯罪の関連性を理解するためには、これらの要因や側面を考慮に入れる必要があるでしょう。

    サイコパス犯罪者と言語性知能の関係

    知能の高さとサイコパス犯罪者の関係

    知能の高さは、犯罪を抑制する方向に比較的大きな影響を与えることが知られています。

    しかしその一方で、犯罪行為を行いながらもその発覚を回避したり、法的な違反を回避できる人々は、むしろ知能が高い傾向があるという指摘もあります。

    知能が高いことが、直接的に犯罪行動を抑制するわけではなく、状況に応じて適応的に行動することを可能にしているのかもしれません。

    サイコパス犯罪者と知能の関係は、単純ではなく、他の要因との相互作用を考慮する必要があります。

    知能の中でも、言語性知能に注目することで、サイコパシーと犯罪の関連性をより深く理解できる可能性があります。

    サイコパス犯罪者単独では犯罪回避に影響なし

    サイコパシーの高さは、犯罪を回避することに対して直接的な影響を与えないようです。

    つまり、サイコパシーが高いからといって、巧みに犯罪を回避できるわけではありません。

    サイコパシーは、犯罪行動に対する脆弱性を高める可能性がありますが、それだけでは犯罪回避能力を説明できません。

    犯罪回避には、サイコパシーとは異なる要因が関与していると考えられます。

    例えば、知能や実行機能、社会的スキルなどが、犯罪回避に影響を与えている可能性があります。

    サイコパシー単独では犯罪回避に影響を与えないことを踏まえると、サイコパシーと他の要因の組み合わせを検討する必要性が浮き彫りになります。

    言語性知能とサイコパシーの組み合わせが重要

    サイコパシーと言語性知能の組み合わせが、犯罪行動や犯罪回避に影響を与えている可能性があります。

    言語性知能は、言葉を理解したり、操ったりする能力を指します。

    この能力が高いと、巧みに言葉を使って他者を操作したり、自分の行動を正当化したりすることができるかもしれません。

    サイコパシーの高さと言語性知能の高さが組み合わさることで、適応的に反社会的行動をとることが可能になるのかもしれません。

    逆に、サイコパシーが高くても、言語性知能が低い場合は、不適応的な行動をとりやすく、犯罪行動のリスクが高まる可能性があります。

    言語性知能とサイコパシーの組み合わせを検討することで、サイコパス犯罪者の特徴をより深く理解できると期待されます。

    サイコパス犯罪者の研究方法

    一般市民と受刑者の比較

    この研究では、一般市民と受刑者を比較することで、サイコパシーと言語性知能の関係を検討しています。
    具体的には、以下の2つのグループを対象としました。

    • 132名のドイツの一般市民
    • 173名のドイツの矯正施設の受刑者

    一般市民と受刑者を比較することで、サイコパシーや言語性知能の程度の違いを明らかにすることができます。

    また、犯罪行動との関連性についても、一般市民と受刑者の違いを検討することができます。

    一般市民と受刑者の比較は、サイコパシーと言語性知能の関係を理解するための重要なアプローチだと言えるでしょう。

    サイコパシー測定尺度

    この研究では、サイコパシーを多面的に測定するために、30項目の尺度を使用しています。
    この尺度は、以下の6つの側面からサイコパシーを評価します。

    1. 共感性の欠如
    2. 大胆不敵
    3. 自己愛的自己中心性
    4. 衝動性
    5. 社会的操作
    6. 権力

    これらの側面を測定することで、サイコパシーの特徴を詳細に捉えることができます。

    また、サイコパシーの異なる側面が、犯罪行動とどのように関連しているのかを検討することも可能になります。

    多面的なサイコパシー測定は、サイコパシーと犯罪の関連性を理解するための重要な手がかりを提供してくれるでしょう。

    反社会的行動の頻度測定

    この研究では、反社会的行動の頻度を測定するために、18項目の尺度を使用しています。
    この尺度には、以下のような質問項目が含まれています。

    • 医者に行かなければならないほど強く人を殴った
    • 証明書(学校の証明書など)を書き換えたり偽造したりした

    これらの項目に回答することで、参加者がどの程度反社会的行動をとっているのかを評価することができます。

    反社会的行動の頻度を測定することは、サイコパシーと犯罪の関連性を理解するために不可欠です。

    また、一般市民と受刑者の反社会的行動の頻度を比較することで、サイコパシーや言語性知能との関係をより明確に捉えることができるでしょう。

    言語性知能の測定方法

    この研究では、言語性知能を測定するために、単語選択課題を使用しています。

    この課題では、実在する単語と存在しない疑似単語が提示され、参加者は実在する単語を選択します。

    課題の難易度は徐々に上がっていき、参加者の言語性知能を評価することができます。

    この課題は、ドイツ語版の知能検査と高い相関(0.8以上)があることが確認されています。

    言語性知能を測定することで、サイコパシーと犯罪の関連性における言語能力の役割を明らかにすることができます。

    また、一般市民と受刑者の言語性知能の違いを検討することで、犯罪行動との関係をより深く理解できるでしょう。

    サイコパス犯罪者の研究結果

    受刑者のサイコパシー傾向と一般市民の言語性知能

    この研究の結果、受刑者は一般市民よりもサイコパシー傾向が高く、一般市民は受刑者よりも言語性知能が高いことが明らかになりました。

    具体的には、一般市民の言語性知能は、受刑者よりも標準偏差で1分高い傾向が見られました。

    この結果は、サイコパシーと言語性知能が反対の関係にあることを示唆しています。

    つまり、サイコパシー傾向が高い人は言語性知能が低く、言語性知能が高い人はサイコパシー傾向が低い可能性があります。

    受刑者と一般市民の比較から、サイコパシーと言語性知能の関係性が浮き彫りになったと言えるでしょう。

    サイコパシー特性と反社会的行動の関連性

    サイコパシー特性は、反社会的行動を予測することが明らかになりました。

    反社会的行動とサイコパシー特性の相関係数は0.30を超えており、比較的強い関連性が示されました。

    つまり、サイコパシー特性が高い人は、反社会的行動をとる傾向が強いと言えます。

    この結果は、サイコパシーが犯罪行動のリスク要因であることを裏付けています。

    ただし、相関係数が示す通り、サイコパシーと反社会的行動の関連性は完璧ではありません。

    他の要因も反社会的行動に影響を与えている可能性があります。

    言語性知能と反社会的行動の関係

    言語性知能は、反社会的行動の結果としての有罪判決に影響を与えることが明らかになりました。

    具体的には、言語性知能が低い人は、高い人に比べて、反社会的行動が多いと有罪判決を受ける確率が高くなります。

    この結果は、言語性知能が反社会的行動の結果に影響を与えていることを示唆しています。

    言語性知能が高い人は、反社会的行動をとっても、巧みに言葉を使って有罪判決を回避できる可能性があります。

    一方、言語性知能が低い人は、反社会的行動が発覚しやすく、有罪判決を受けるリスクが高まるのかもしれません。

    反社会的行動と言語性知能の関係は、犯罪行動のメカニズムを理解する上で重要な示唆を与えてくれます。

    言語性知能が高いと法的問題を回避できる可能性

    言語性知能が高い人は、反社会的行動をとっても法的問題を回避できる可能性があります。

    この研究では、一般市民の中に、反社会的行動を多くとりながらも巧みに立ち回る人々がいることが示唆されました。

    彼らは言語性知能が高いために、反社会的行動による法的問題を回避できているのかもしれません。

    例えば、言葉巧みに自分の行動を正当化したり、罪を認めないように振る舞ったりすることで、有罪判決を免れているのかもしれません。

    言語性知能の高さが、適応的な反社会的行動を可能にしている可能性があります。

    ただし、言語性知能が高いことが反社会的行動を助長しているわけではないことに注意が必要です。

    むしろ、言語性知能は反社会的行動の結果を調整する要因の1つだと考えられます。

    サイコパス犯罪者と言語性知能の関係のまとめ

    サイコパシーは反社会的行動や逮捕につながる可能性

    サイコパシーは、反社会的行動や逮捕のリスクを高める可能性があります。

    この研究では、サイコパシー特性と反社会的行動の関連性が示されました。

    つまり、サイコパシー傾向が高い人は、反社会的行動をとりやすい傾向があると言えます。

    また、反社会的行動は逮捕につながる可能性があります。

    したがって、サイコパシーは間接的に逮捕のリスクを高めている可能性があるのです。

    ただし、サイコパシーと反社会的行動の関連性は完璧ではありません。

    他の要因も反社会的行動に影響を与えている可能性があることを忘れてはいけません。

    言語性知能などの要因で問題行動を抑制できる

    サイコパシーと反社会的行動の関連性は、言語性知能などの要因によって調整される可能性があります。

    この研究では、言語性知能が高い人は、反社会的行動をとっても法的問題を回避できる可能性が示唆されました。

    つまり、言語性知能が高いことで、反社会的行動の結果を調整できるのかもしれません。

    言語性知能以外にも、知能全般や実行機能、社会的スキルなどが、反社会的行動を抑制する要因となる可能性があります。

    サイコパシーと反社会的行動の関連性を理解するためには、これらの要因の影響を考慮する必要があるでしょう。

    適応的サイコパスの存在

    サイコパシー傾向が高くても、犯罪行動をとらない適応的サイコパスが存在します。

    この研究では、一般市民の中に、反社会的行動を多くとりながらも巧みに立ち回る人々がいることが示唆されました。

    彼らは適応的サイコパスと呼ばれ、社会に適応しながら反社会的行動をとっていると考えられます。

    適応的サイコパスの存在は、サイコパシーが直接的に犯罪行動につながるわけではないことを示唆しています。

    サイコパシーと犯罪の関連性を理解するためには、適応的サイコパスの特徴や行動パターンを明らかにする必要があるでしょう。

    成功したサイコパスの概念への示唆

    この研究の結果は、成功したサイコパスの概念に示唆を与えています。

    成功したサイコパスとは、高い社会的地位や権力を持ちながら、反社会的行動をとる人を指します。

    言語性知能が高いサイコパスは、成功したサイコパスになりやすい可能性があります。

    言語性知能の高さが、反社会的行動の結果を調整し、社会的成功を可能にしているのかもしれません。

    ただし、成功したサイコパスの反社会的行動は、表面化しにくい可能性があります。

    成功したサイコパスの特徴や行動パターンを明らかにするためには、さらなる研究が必要だと言えるでしょう。

    今後のサイコパス犯罪者の研究課題

    サイコパシーと犯罪の関連性に影響する他の要因の探索

    サイコパシーと犯罪の関連性には、言語性知能以外の要因も影響を与えている可能性があります。

    例えば、一般的な知能や実行機能、社会的スキル、衝動性など、様々な要因が考えられます。

    これらの要因がどのようにサイコパシーと犯罪の関連性に影響するのかを明らかにすることで、サイコパス犯罪者の特徴をより深く理解できるかもしれません。

    また、生物学的な要因や環境的な要因など、多面的な視点からサイコパシーと犯罪の関連性を探索する必要があるでしょう。

    サイコパシーと犯罪の関連性に影響する要因を特定することは、犯罪予防や犯罪者の更生につながる可能性があります。

    適応的サイコパスと成功したサイコパスの詳細な研究

    適応的サイコパスと成功したサイコパスの特徴や行動パターンを明らかにするために、詳細な研究が必要です。

    この研究では、適応的サイコパスと成功したサイコパスの存在が示唆されましたが、彼らの具体的な特徴については十分に明らかにされていません。

    適応的サイコパスや成功したサイコパスを対象とした研究を行うことで、サイコパシーと犯罪の関連性をより深く理解できるかもしれません。

    例えば、適応的サイコパスや成功したサイコパスの言語性知能や社会的スキル、行動パターンなどを詳細に分析することが考えられます。

    また、彼らが反社会的行動を抑制できている要因を特定することも重要な研究課題だと言えるでしょう。

    サイコパス犯罪者の予防と対策の検討

    サイコパス犯罪者の特徴や行動パターンを理解することは、犯罪の予防や対策につながる可能性があります。

    この研究では、サイコパシーと犯罪の関連性や、言語性知能の役割が示唆されました。

    これらの知見を活用することで、サイコパス犯罪者の早期発見や予防的介入、効果的な更生プログラムの開発などが可能になるかもしれません。

    例えば、言語性知能の向上を目的とした教育プログラムを実施することで、サイコパス犯罪者の反社会的行動を抑制できる可能性があります。

    また、適応的サイコパスや成功したサイコパスの特徴を理解することで、彼らの反社会的行動を早期に発見し、適切な介入を行うことができるかもしれません。

    サイコパス犯罪者の予防と対策については、多角的な視点から検討を進める必要があるでしょう。

    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。