「生きづらい」と感じるのは、あなたの弱さではありません。
性格心理学の研究では、生きづらさの多くは「性格の特性」と「環境のずれ」から生まれると示されています。
ビッグファイブ(Big Five)という5つの性格次元を使うと、自分がなぜしんどいのかを科学的に整理できます。
この記事では、生きづらさの原因を性格の視点から読み解き、少しだけ楽になるヒントをお伝えします。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
「生きづらい」とはどういう状態か
「生きづらい」とは、日常の中で慢性的な疲れや孤立感を感じる状態のことです。
特定の出来事が原因ではなく、「なんとなくずっとしんどい」という感覚が続くのが特徴です。
これは甘えでも弱さでもなく、性格と環境のかみ合わせの問題である場合が多いと研究では示されています。
- 人と話すだけで消耗する
- 職場や学校での「普通」についていけない感覚がある
- 感情の波が激しく、気持ちを立て直すのに時間がかかる
- 周囲の期待に応えようとして、自分を見失う
- 「自分だけがおかしい」という孤独感がある
これらの感覚は、約5人に1人が日常的に経験していると報告されています。
つまり、生きづらさはかなり広く共有されている状態です。
まず「自分だけではない」と知ることが、最初の一歩になります。
ビッグファイブとは何か
ビッグファイブ(Big Five)とは、性格を5つの次元で測る、世界で最も広く使われている性格モデルです。
「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「情動性」の5つで構成されています。
これらは遺伝と環境の両方から形成されており、完全に変えることは難しい一方で、自己理解には非常に役立ちます。
| 次元 | 高いと | 低いと |
|---|---|---|
| 開放性 | 好奇心旺盛・創造的 | 現実的・慣習を好む |
| 誠実性 | 計画的・責任感が強い | 柔軟・自由を好む |
| 外向性 | 社交的・エネルギッシュ | 内向的・一人を好む |
| 協調性 | 思いやりがある・協力的 | 自己主張が強い・競争的 |
| 情動性 | 感情の波が大きい | 安定・ストレスに強い |
ビッグファイブの各次元はグラデーションで、どれが「良い」「悪い」というわけではありません。
大切なのは、自分の特性を知り、環境との相性を理解することです。
性格と社会的なスキルの関係については、こちらの記事も参考になります。
生きづらさと関わりやすい性格特性
生きづらさと最も関連が深い次元は「情動性の高さ」と「外向性の低さ」の組み合わせだと研究では示されています。
ただし、これは「この性格だからダメ」ということではありません。
その特性がどんな環境に置かれているかで、しんどさの度合いが大きく変わります。
情動性が高い場合
- 小さなことでも深く傷つきやすい傾向がある
- ストレスを感じる場面が他の人より多くなりやすい
- 不安や心配が頭から離れにくい
- 気持ちを立て直すのに時間がかかる
外向性が低い(内向的)場合
- 社交的な場に長くいると消耗する
- 「もっと積極的に」と言われるプレッシャーを感じやすい
- 日本社会の「空気を読む」文化との相性が難しいことがある
- 一人の時間を必要とするが、孤独に見られることがある
協調性が高すぎる場合
- 断れずに引き受けすぎてしまう
- 他者の感情を優先して自分のニーズを後回しにしやすい
- 「いい人」と思われる一方で、消耗が積み重なる
日本では特に、同調圧力を感じやすい環境があると指摘されています。
内向的な人や感受性の強い人は、そのプレッシャーをより強く受けやすい傾向があります。
同調圧力と性格の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
生きづらさは環境との「ずれ」から生まれる
生きづらさの多くは、性格そのものの問題ではなく、性格と環境のずれから生じると研究では考えられています。
たとえば、情動性が高くても、安心できる環境や理解ある人間関係があれば、その特性は感受性の豊かさとして発揮されます。
逆に、競争的で変化の激しい環境では、誠実性の高い人も追い詰められやすくなります。
- 内向的な人が「常に明るくふるまえ」という職場にいる
- 誠実性が高い人が「なんとなくやっていけばいい」という職場にいる
- 開放性が高い人が「前例通りにやれ」という組織にいる
- 協調性が高い人が競争・成果主義のチームにいる
さらに、生育環境や経済的な背景も性格の形成や生きづらさに影響することが明らかになっています。
性格は個人の内側だけで決まるものではなく、環境との相互作用の産物でもあります。
貧困と性格の関係については、以下の記事で科学的に解説しています。
性格を知ったうえでできる3つのこと
性格は大きく変えるのは難しいですが、「自分の特性を知って対策する」ことは誰にでもできます。
ビッグファイブで自分を理解したあと、取り組める方向性は大きく3つあります。
どれも「自分を直す」ことではなく、「自分に合った環境や関わり方を選ぶ」という発想です。
① 自分のエネルギーの使い方を知る
- 内向的なら、一人の回復時間を意図的に確保する
- 情動性が高いなら、感情が揺れやすい場面を事前に把握しておく
- 誠実性が高いなら、「完璧にやらなくていい」場面を決めてしまう
② 「合わない環境」を見極める
- 職場・学校・コミュニティの中で、特にしんどい場面を記録する
- しんどさのパターンが「特定の環境」に集中していないか確認する
- 環境を変えることを「逃げ」ではなく「最適化」として捉え直す
③ つながりの質を上げる
- 人数より「理解してくれる人」の存在が重要だと研究では示されています
- 1〜2人でも「自分をわかってくれる人」がいることで、情動性の高さが和らぐ傾向があります
- 職場での人間関係と心理的な安全感については、研究でも効果が確認されています
職場のつながりと心身の状態の関係については、以下の記事も参考になります。
MBTIとビッグファイブの違いと活用法
MBTIとビッグファイブはどちらも性格を理解するためのツールですが、目的と精度が異なります。
MBTIは「タイプ分け」をする定性的なツールで、自己理解のきっかけとして広く使われています。
一方でビッグファイブは、研究で広く検証された定量的なモデルで、各次元を数値で測れます。
| 比較項目 | MBTI | ビッグファイブ |
|---|---|---|
| 目的 | タイプで自己理解 | 次元で特性を測定 |
| 科学的検証 | 研究では限定的 | 多数の研究で支持 |
| 結果の形式 | 16タイプに分類 | 5次元のスコア |
| 活用シーン | コミュニケーション・自己発見 | 研究・臨床・キャリア |
生きづらさを「科学的に整理する」なら、ビッグファイブの方が具体的な手がかりを得やすい傾向があります。
ただし、MBTIも自分の傾向を言語化するきっかけとして有用です。
両方を組み合わせて使うことで、自己理解の解像度がさらに上がります。
よくある質問
生きづらいのは性格のせいですか?
性格が関係していることはありますが、性格だけが原因ではありません。生きづらさは、性格と環境のずれから生まれることが多いと研究では示されています。性格を「直す」より、自分の特性に合った環境や対処法を探すことが効果的です。
ビッグファイブのどの特性が生きづらさと関係しますか?
情動性(神経症傾向)の高さが、生きづらさと最も関連しやすいと研究では示されています。感情の波が大きく、ストレスを受けやすい傾向があります。また、外向性の低さ(内向性)も、社交を求められる環境ではしんどさにつながりやすい傾向があります。
性格は変えられますか?
性格は遺伝と環境の両方で形成されており、大きく変えることは難しいとされています。ただし、行動パターンや対処法は変えられます。自分の特性を理解したうえで、特性を活かせる環境を選ぶことが、生きやすさにつながりやすいと考えられています。
内向的な性格だと生きづらいですか?
内向的な性格自体が問題なのではなく、内向性に合わない環境に置かれることが生きづらさを生みやすいと考えられています。一人の時間を確保したり、少人数での関わりを中心にしたりすることで、消耗を減らせる傾向があります。
MBTIで生きづらさの原因はわかりますか?
MBTIは自分の傾向を言語化するきっかけとして役立ちますが、科学的な精度はビッグファイブの方が高いとされています。生きづらさの原因を科学的に整理したい場合は、ビッグファイブを活用する方が具体的な手がかりを得やすい傾向があります。
誠実性が高い人はなぜ疲れやすいですか?
誠実性が高い人は、計画や責任感が強く、手を抜くことが苦手な傾向があります。そのため、完璧を求め続けることで消耗しやすくなります。「ここまでやれば十分」という基準を意識的に設定することが、疲れを軽減するひとつの方法です。
生きづらさを感じたときに最初にできることは何ですか?
まず「自分がどんな場面でしんどくなるか」を記録することが有効です。パターンが見えてくると、それが性格と環境のずれによるものかどうかが整理しやすくなります。そのうえでビッグファイブなどの性格モデルを参照すると、しんどさの原因がより明確になります。

ライター兼監修者:トキワエイスケ
性格心理学研究者 / 株式会社SUNBLAZE 代表
子どもの頃、貧困・虐待家庭・いじめ・不登校・中退など社会問題の当事者として育つ。社会問題を10年間研究し、自由国民社より『悪者図鑑』を出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、査読付きジャーナル論文2本掲載(Frontiers in Psychology、IEEE Access)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。
専門:性格心理学 / ビッグファイブ / HEXACO / MBTI / 社会問題の予測
研究者プロフィール: ORCID / Google Scholar / ResearchGate
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