職場の人間関係で悩む人は、実に約8割にのぼるという調査結果があります。
しかし、その悩みの多くは「性格の違い」から生まれています。
自分と相手の性格タイプを知るだけで、対処法は大きく変わります。
この記事では、性格心理学の知見をもとに、職場の人間関係を楽にする具体的な方法を解説します。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
職場の人間関係が辛い理由
職場の人間関係が辛くなる原因の多くは、性格の違いへの無理解です。
人は自分の価値観や行動スタイルが「普通」だと感じやすい傾向があります。
そのため、自分と違う行動を取る人に対して、不満やストレスを感じてしまいます。
性格心理学では、この「違い」を5つの次元で説明するビッグファイブという枠組みを使います。
ビッグファイブとは、人の性格を以下の5つで表すモデルです。
- 外向性:人と関わることでエネルギーを得る度合い
- 協調性:他者への共感や思いやりの高さ
- 誠実性:計画性や責任感の強さ
- 情動性:感情の揺れやすさ・ストレスへの敏感さ
- 開放性:新しいことへの興味・好奇心の強さ
たとえば、誠実性が高い人は締め切りや細かいルールを大切にします。
一方で、開放性が高い人は自由な発想を好み、ルールに縛られることを窮屈に感じます。
この2人が同じチームで働くと、摩擦が起きやすくなります。
つまり、多くの職場トラブルは「どちらが悪い」のではなく、「性格の組み合わせの問題」といえます。
性格タイプ別の職場での摩擦パターン
性格によって、職場で起きやすいトラブルのパターンは異なります。
以下に代表的な4つのパターンをまとめました。
| 性格の特徴 | 起きやすい摩擦 | 相手から見た印象 |
|---|---|---|
| 誠実性が高い | ルール・期限にこだわりすぎる | 「融通がきかない」 |
| 外向性が高い | 会議や雑談が多すぎる | 「うるさい・集中できない」 |
| 協調性が低い | 直接的な物言いが多い | 「冷たい・怖い」 |
| 情動性が高い | 感情的な反応が大きい | 「不安定・気を遣う」 |
研究では、協調性と情動性の組み合わせが職場の人間関係に特に影響すると示されています。
協調性が低く、情動性が高い場合、衝突が起きやすい傾向があります。
さらに、MBTIでいえば「思考型(T)」と「感情型(F)」の違いも摩擦の原因になりやすいです。
思考型は論理や効率を優先し、感情型は関係性や気持ちを重視するためです。
どちらが正しいわけではなく、視点が違うだけだと理解することが第一歩です。
苦手な相手への科学的な対処法
苦手な相手と上手くやるための方法は、性格心理学の研究でも裏付けられています。
ここでは特に効果があるとされる3つのアプローチを紹介します。
①相手の性格を「タイプ」として理解する
「あの人はなぜこんな行動をするのか」と悩むとき、性格の枠組みで見ると納得しやすくなります。
たとえば、いつも細かいことを指摘する上司は、誠実性が高い可能性があります。
その場合、「嫌がらせ」ではなく「性格的に正確さを大切にしている」と解釈できます。
解釈が変わると、感情的な反応も和らぐ傾向があります。
②コミュニケーションのスタイルを合わせる
外向性が高い人には、話し合いの場を積極的に設けると良い傾向があります。
対して、内向的な人にはメールや文書で情報を伝えると受け取られやすくなります。
相手のスタイルに合わせるだけで、誤解やすれ違いが大幅に減ります。
これは「心理的安全性」の研究でも支持されているアプローチです。
③謙虚さを意識的に高める
謙虚さとは、自分の限界を認め、他者の意見を尊重できる力のことです。
研究では、謙虚さを高めるトレーニングが職場の人間関係を改善すると示されています。
具体的なワークブックを使った実践法については、以下の記事が参考になります。
苦手な相手に対しても、「違う性格を持つ人間」として見る視点が持てると、関係が大きく変わります。
相手を変えようとするより、自分の受け取り方を変えるほうが現実的で効果的です。
自己制御が人間関係を変える
職場の人間関係で最も重要なスキルの1つが、自己制御の力です。
自己制御とは、感情や衝動をコントロールして、適切に行動できる力のことです。
情動性が高い人は感情的になりやすい傾向があり、自己制御を鍛えることで関係が改善しやすくなります。
実際に、自己制御能力が高い人には以下のような特徴が見られます。
- 感情的な言動を抑えて、冷静に話し合いができる
- ストレスを感じても、相手にぶつけずに処理できる
- 長期的な関係を大切にした判断ができる
- 職場の生産性や評価にも良い影響が出やすい
研究では、自己制御能力は健康・収入・人間関係すべてに影響することが示されています。
鍛え方や具体的な方法については、下の記事で詳しく紹介しています。
自己制御は生まれつきの才能ではなく、日々の練習で伸ばせる力です。
小さな習慣から始めることで、職場での言動が変わり、人間関係も変化していきます。
職場のつながりが成果を生む理由
職場の人間関係は、ストレスの問題だけでなく、仕事の成果にも直結します。
研究では、職場での良好なつながりがある人は、そうでない人に比べて生産性が高い傾向が示されています。
孤立した環境では、情報共有が滞り、ミスが増えやすくなります。
反対に、良好な関係がある職場には以下のようなメリットが生まれます。
- 困ったときに気軽に相談できる
- フィードバックが素直に受け取れる
- チームとしての判断スピードが上がる
- モチベーションが維持されやすい
- 心理的安全性が高まり、新しいアイデアが出やすくなる
また、職場のつながりを深める際には、雑談や非公式な交流も大切です。
業務外の会話が、信頼関係の土台になることが多いからです。
以下の記事では、職場のつながりと生産性の関係をさらに深く解説しています。
人間関係を「面倒なもの」と捉えるより、「成果につながる資源」と見ることで、取り組み方が前向きに変わります。
職場での小さな気遣いや声かけが、長期的には大きな違いを生み出します。
MBTIで見る職場の相性と改善策
MBTIは、職場での人間関係を理解するための参考ツールとして広く使われています。
MBTIとは、人の性格を16タイプに分類する枠組みで、認知や判断のスタイルを4軸で表します。
ただし、MBTIはあくまで傾向を示すものであり、「このタイプだから絶対こう」とは断定できません。
職場でよく見られる相性の悩みとして、以下の3つが挙げられます。
- INTJ(建築家)とESFP(エンターテイナー):計画重視と即興型の衝突
- ISTJ(管理者)とENFP(広報運動家):ルール重視と自由奔放型の摩擦
- ENTJ(指揮官)とINFP(仲介者):効率優先と価値観優先のずれ
これらの組み合わせで摩擦が起きやすい理由は、お互いの「当たり前」が違うからです。
解決策は、違いを「欠点」ではなく「別の強み」として見ることです。
たとえば、計画型の人は即興型の人から柔軟な発想を学べます。
逆に、即興型の人は計画型の人からリスク管理を学べます。
違いを補い合う視点に切り替えると、チームとしての力が最大化されます。
よくある質問
職場の人間関係が辛いのは自分の性格のせいですか?
必ずしもそうではありません。職場の人間関係の悩みは、自分と相手の性格の「組み合わせ」から生まれることが多いです。ビッグファイブ研究では、どんな性格にも強みと課題があると示されています。自分だけを責めるより、お互いの違いを理解することが解決への近道です。
苦手な上司とどう付き合えばいいですか?
まず、上司の行動パターンを性格の枠組みで理解することが有効です。たとえば、細かく指示してくる上司は誠実性が高い可能性があります。その場合、報告・連絡・相談を丁寧に行うと関係が改善しやすくなります。相手を変えようとするより、自分のアプローチを変えるほうが現実的です。
内向的な性格でも職場の人間関係は築けますか?
はい、築けます。内向的な人は深い信頼関係を結ぶのが得意な傾向があります。無理に外向的に振る舞う必要はなく、1対1の対話やメールでのコミュニケーションを活用することで、着実に関係を深めることができます。研究でも、内向型が職場で高い成果を出す事例は多く報告されています。
MBTIは職場の人間関係改善に本当に役立ちますか?
MBTIは相手の行動スタイルを理解する「入口」として役立ちます。ただし、タイプだけで人を判断するのは危険で、あくまで傾向の参考として使うことが大切です。ビッグファイブなどの学術的な枠組みと組み合わせて使うと、より精度が高まります。
職場の人間関係がストレスになるのはなぜですか?
性格心理学では、情動性(感情の揺れやすさ)が高い人ほど、対人ストレスを感じやすい傾向があると示されています。また、自分の価値観と職場の文化が合わない場合もストレスの原因になります。自己制御の力を高めることで、ストレス反応を和らげることができます。
職場の人間関係を改善する最初の一歩は何ですか?
最初の一歩は「相手の性格を理解しようとすること」です。自分と違う行動を取る人に対して、「なぜそうするのか」を考える習慣を持つだけで、感情的な反応が減りやすくなります。ビッグファイブやMBTIの基本を学ぶことが、その理解を助けます。
協調性が低い性格は職場で不利ですか?
協調性が低い人は直接的な物言いをする傾向があり、誤解を招くことがあります。しかし、交渉や競争が必要な職種では強みになることもあります。研究では、協調性の影響は職種や文化によって異なると示されています。不利かどうかは環境次第であり、コミュニケーション方法を工夫することで改善できます。

ライター兼監修者:トキワエイスケ
性格心理学研究者 / 株式会社SUNBLAZE 代表
子どもの頃、貧困・虐待家庭・いじめ・不登校・中退など社会問題の当事者として育つ。社会問題を10年間研究し、自由国民社より『悪者図鑑』を出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、査読付きジャーナル論文2本掲載(Frontiers in Psychology、IEEE Access)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。
専門:性格心理学 / ビッグファイブ / HEXACO / MBTI / 社会問題の予測
研究者プロフィール: ORCID / Google Scholar / ResearchGate
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