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マインドフルネスでネガティブ思考を改善する方法とは?

    マインドフルネス

    マインドフルネスという言葉を聞いたことがありますか?

    最近、ストレス対策として注目されている方法なんです。

    でも、マインドフルネスがどんなものなのか、よく分からないという人も多いですよね。

    実は、イギリスの大学の研究で、「マインドフルネス認知療法(MBCT)」というプログラムを受けることで、ストレスに弱い性格が改善されることが分かったんです。

    この研究について書かれた論文のタイトルは、「Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Neuroticism (Stress Vulnerability): A Pilot Randomized Study」です。

    今回はこの論文の内容を中心に、マインドフルネスについて分かりやすく解説していきたいと思います。

    どんな風にストレス対処力がアップするのか、一緒に探っていきましょう!

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。

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    ※認知行動療法については以下の記事をご覧ください。

    目次

    マインドフルネスとは?ストレス対策に効果的なメンタルトレーニング

    今この瞬間に意識を向ける「気づき」の練習

    マインドフルネスの基本は、今この瞬間の体験に意識を向けることです。
    普段は何となく過ごしがちな日常に、敢えて目を向けてみるのです。
    例えば、呼吸に注意を払ったり、五感で感じたことを観察したりします。
    そうすることで、自分の内面の状態により気づけるようになります。
    これは「気づき」と呼ばれる、マインドフルネスの重要な要素です。
    また、思考や感情は常に移り変わるものだと実感できるようにもなるでしょう。
    そのため、物事への捉われが減り、心が安定してくるのです。
    気づきの練習は、日常生活の中でいつでもどこでもできます。
    例えば、以下のようなやり方があります。

    • 呼吸に意識を向ける
    • 体の感覚を観察する
    • 音や景色などの外の世界に注意を払う

    このように今に意識を向けることを習慣づけることが、マインドフルネスの第一歩となります。気づきの力を育むことで、ストレスフルな状況でも冷静さを保ちやすくなるのです。

    判断せずにありのままを受け入れる態度を養う

    マインドフルネスのもう一つの重要な要素は、「あるがまま」の姿勢です。

    私たちは無意識のうちに、物事を「良い/悪い」「好き/嫌い」などと判断しがちです。

    しかし、そうした判断にとらわれすぎると、かえってストレスが増してしまうことがあります。

    マインドフルネスでは、価値判断をせずに、あるがままを受け入れる練習をします。

    つまり、物事をあるがままに見て、そのままにしておく態度を身につけるのです。

    例えば、不安な気持ちが湧き上がってきたとします。

    その不安にこれは良くない感情だ、なんとかしなければと反応するのではなく、ただ不安があることに気づいて、そっとそのままにしておくのです。

    そうすることで、不安に振り回されることなく、冷静でいられるようになるでしょう。

    判断せずにありのままを受け入れる練習は、特に自分の内面の体験に対して行うことが多いです。

    不快な感情や痛みなども、抵抗せずにそのまま感じる練習をすることで、次第にストレスに負けない強さを身につけることができるのです。

    ストレス反応との上手な付き合い方を身につける

    マインドフルネスを実践することで、ストレス反応との賢明な付き合い方ができるようになります。

    ストレスを感じると、体が緊張して心拍数が上がったり、不安になって考え込んだりと、様々な反応が起こります。

    しかし、それらの反応と上手につきあうスキルを身につけることで、ストレスに振り回されにくくなるのです。

    マインドフルネスでは、以下のようなストレス反応との付き合い方を練習します。

    • ストレス反応が起こっていることに気づく
    • ストレス反応をそのまま感じる。抑え込もうとしない。
    • ストレス反応は一時的なものだと理解する

    つまり、ストレス反応を避けるのではなく、反応に気づいて、それを感じ続ける練習をするのです。

    そうすることで、反応をコントロールしようと力むことがなくなり、反応を反応として受け止めやすくなります。

    例えば、職場でミスをして動揺しているとします。

    その時の動揺に気づいて、動揺した気持ちをそのまま感じてみるのです。

    しばらくすれば自然と動揺も収まるでしょう。

    一方、動揺を抑え込もうとすればするほど、動揺がかえって大きくなりがちです。
    ストレス反応をあるがまま味わい、それが過ぎ去るのを待つ練習をすることが大切なのです。
    そうした付き合い方を身につけることで、ストレスに負けない強靭な心を育めるでしょう。

    マインドフルネス認知療法(MBCT)がストレスに弱い人の性格を改善

    神経症傾向の高さが様々な悩みのもとに

    この特性が高いと、ストレスに弱くなったり、心身の不調を感じやすくなったりします。
    神経症傾向とは、感情が不安定になりやすく、些細なストレスでも過剰に反応してしまう性格特性のことです。
    悲観的になりがちで、考え込みやすいのも特徴と言えるでしょう。
    こうした傾向が強いと、以下のようなつらい症状を感じることが多いのです。

    • 気分の落ち込み
    • 感情の起伏が激しい
    • 心配ごとが頭から離れない
    • 疲れやすい
    • 緊張で力が入りやすい

    神経症傾向は、様々なこころの病気の原因になることが分かっています。

    例えば、うつ病や不安障害のリスクを高めることが知られています。

    それだけでなく、心身の健康や人間関係、仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼしやすいのです。

    そのため、神経症傾向の高さは、生活全般の質を下げる大きな要因だと考えられています。

    しかし、性格は生まれつきで変えられないものだと思われがちでした。

    ところが最近の研究で、後天的なアプローチによって性格を変化させられることが分かってきたのです。神経症傾向の改善にも、一筋の光明が差したと言えるでしょう。

    マインドフルネス認知療法(MBCT)で神経症傾向が下がることが研究で判明

    マインドフルネス認知療法(MBCT)を行うことで、神経症傾向が改善することが最新の研究で明らかになりました。

    イギリスの大学の研究チームが行った臨床試験によると、神経症傾向の高い人を対象にMBCTを実施したところ、神経症傾向が有意に下がったのです。

    オンラインの自助療法と比較して、MBCTの方が効果が高かったことも分かりました。

    この研究の対象者は、大学の学生と教職員34名でした。

    無作為に、17名ずつMBCTとオンラインの自助療法のグループに分けられました。

    そして8週間のプログラムの前後で、質問紙による評価が行われたのです。

    すると、MBCTを受けた人は、自助療法を受けた人に比べて、神経症傾向の得点が大きく下がっていました。

    統計的にも有意な差が認められ、効果量は大きかったのです。

    また、MBCTを受けた人の80%以上が、最後までプログラムを完了したことも分かりました。MBCTは神経症傾向の高い人にとって、受け入れやすく実践しやすい手法だと言えるでしょう。

    この研究により、後天的な介入によって神経症傾向を改善できる可能性が示されました。MBCTは、ストレスに弱い人の性格傾向を変える有望な方法の一つだと考えられます。

    8週間のマインドフルネス認知療法(MBCT)の内容と特徴

    MBCTは8週間のプログラムで行われ、週に1回2時間程度のグループセッションと、毎日の宿題に取り組みます。
    プログラムの内容は以下のような特徴があります。

    • マインドフルネス瞑想の練習
    • ストレスへの反応パターンの理解
    • 思考と感情への気づきを深める
    • 自分へのやさしさと思いやりを培う
    • グループでの気づきの共有

    セッションでは、座禅やボディスキャンなどのマインドフルネス瞑想を行ったり、ストレスへの反応について学んだりします。

    宿題では、毎日の瞑想練習や気づきを記録することが求められます。時間は1日30分程度です。

    MBCTの大きな特徴は、認知療法の要素を取り入れていることです。

    ストレス反応には、思考パターンが大きく関わっています。

    認知療法の視点から、ストレスを引き起こす考え方に気づき、それを変えていく方法を学びます。

    また、自分を大切にする心を育むことも重視されています。

    セルフケアや自己肯定感を高めることで、ストレス耐性を上げる狙いがあるのです。

    こうした多角的なアプローチにより、MBCTは性格傾向に働きかけ、ストレス反応を根本から改善することを目指しているのです。

    会話形式のグループセッションで理解を深める

    MBCTのグループセッションでは、講義だけでなく、会話形式で進められるのが特徴です。
    セッションでは、まずファシリテーターによる説明やデモンストレーションがあります。
    瞑想の方法やストレスについての知識などが、分かりやすく解説されるのです。
    その後、参加者同士で感想を話し合ったり、体験を共有したりする時間が設けられています。
    こうした会話形式のやりとりを通して、マインドフルネスへの理解を深めていくのです。
    例えば、瞑想中の体験を参加者同士で報告し合うことで、それぞれの気づきを言語化したり、他者の気づきに触発されたりできます。
    また、ストレスフルな場面での自分の反応パターンを参加者同士で出し合うことで、新たな視点を得ることもできるでしょう。
    このように、MBCTでは一方的に知識を教え込むのではなく、参加者自身が主体的に気づきを得ていくことを大切にしているのです。
    そうすることで、知識を自分ごと化し、より腑に落ちた理解へとつなげていく狙いがあります。グループでの会話は安心感を生み出す効果もあるでしょう。同じような悩みを抱えた仲間と語り合うことで、一人じゃないという感覚を持てるのです。孤独感が和らぐことで、ストレスの軽減にもつながります。会話形式のグループセッションは、MBCTの中核を成すユニークな取り組みだと言えるでしょう。

    毎日の瞑想や宿題で習慣づける

    MBCTでは、グループセッションだけでなく、毎日の瞑想や宿題にも取り組むことが求められます。
    これは、マインドフルネスを日常生活に定着させるために欠かせない取り組みです。
    MBCTのプログラムでは、以下のような宿題が課されることが一般的です。

    • 座禅やボディスキャンなどの瞑想を毎日行う
    • 宿題シートに毎日の気づきを記入する
    • 音声ガイドに合わせて瞑想を行う
    • ストレスへの反応を観察する

    こうした宿題に地道に取り組むことで、マインドフルネスが徐々に習慣になっていくのです。
    瞑想は1日15分から30分ほど行うことが推奨されています。
    最初のうちは眠くなったり、うまく集中できなかったりして大変に感じるかもしれません。
    それでも毎日コツコツと続けることが肝心だと言えます。
    宿題シートへの記入は、マインドフルネスの気づきを言語化するのに役立ちます。
    瞑想中の体験やストレス場面での反応を書き留めることで、自分の癖に気づきやすくなるのです。
    音声ガイドを使った瞑想は、自宅でも取り組みやすいでしょう。
    提供された音声に合わせて練習することで、一人でも着実にマインドフルネスを身につけられます。
    日々の瞑想と宿題は、MBCTの効果を高める上で不可欠の要素です。セッションで学んだことを日常で実践することで、マインドフルネスの輪を広げていけるのです。最初は難しく感じても、諦めずに続けることが何より大切だと言えるでしょう。

    マインドフルネス認知療法はネガティブ思考改善に効果

    グルグル考え込む「反すう」が減った

    MBCTを受けた人は、物事を反芻するクセ、つまり「反すう」が大きく減ったことが分かりました。
    反すうとは、嫌な出来事について何度もグルグル考え込んでしまう思考パターンのことです。
    MBCTでは、こうした反すうの悪循環を断ち切る方法を学びます。

    研究によると、MBCTのグループでは、反すうの得点が大幅に下がったのです。
    一方、オンラインの自助療法グループでは、そこまでの変化は見られませんでした。

    反すうは、ストレスや落ち込みを悪化させる大きな要因です。
    嫌なことをいつまでも考え続けることで、気分が沈んでしまうのは誰にでも心当たりがあるでしょう。
    そして気分が落ち込むと、ますます思考が否定的になり、さらに反すうが加速するという悪循環に陥ります。

    こうしたループから抜け出すには、反すうの連鎖を断ち切ることが大切だと言えます。
    MBCTでは、反すうが起きていることに気づき、そこから意識を切り離す練習をします。
    具体的には、以下のような方法が用いられます。

    • 反すうに巻き込まれている自分に気づく
    • 反すうする心を、そっと見守る
    • 反すうをストップさせ、今この瞬間に意識を向ける

    つまり、反すうの内容に引きずられるのではなく、反すうしている自分を客観的に眺める練習をするのです。
    そうすることで、思考に巻き込まれずに済み、反すうの連鎖を食い止められるようになります。

    自分を責める「自己批判」も和らいだ

    MBCTを受けると、自分を責めたり批判したりする「自己批判」も大きく減ることが明らかになりました。
    自己批判とは、自分の欠点やミスを厳しく責める心の声のことです。
    神経症傾向の高い人は、自己批判が特に強くなりやすい傾向にあります。
    些細なミスでも「ダメな自分」と決めつけ、自分を責め続けてしまうのです。

    しかし、MBCTのプログラムを通して、そうした自己批判が和らぐことが分かったのです。
    MBCTに取り組んだ人は、自己批判の度合いが大幅に下がりました。

    一方、オンラインの自助療法では、自己批判の改善効果はそれほど見られませんでした。
    MBCTと自助療法の効果の差は、統計的にも有意だったのです。

    自己批判は、自尊感情を大きく損ない、ストレス耐性を下げてしまう厄介者です。
    自分を責め続けることで、自信を失い、物事に臆病になりがちだと言えます。
    そして、ストレスに弱くなるので、些細なことでくじけてしまう悪循環に陥るのです。

    MBCTでは、そんな自己批判の声に惑わされない方法を練習します。
    例えば、以下のような工夫が用いられます。

    • 自己批判の声に気づいたら、「批判する声が聞こえている」と言い換える
    • 批判する自分を、思いやりの目で見守る
    • 自分をいたわり、励ますフレーズを唱える

    自己批判する自分を、批判するのではなく、そっと受け止める練習をするのです。
    そうすることで、批判の声に振り回されずに済むようになります。

    思考は事実ではない、という捉え方ができるように

    MBCTでは「脱中心化」と呼ばれる視点を養うことで、ネガティブな思考との付き合い方が変わることが分かっています。
    脱中心化とは、思考や感情を、あくまで心の中で起こる出来事として捉える見方のことです。

    例えば、「私はダメだ」というネガティブな考えが浮かんだとします。
    その時、「ダメな自分だ」と思考を事実だと信じ込むのではなく、「『私はダメだ』という考えが浮かんでいる」と捉えるのです。

    つまり、考えをあくまで考えとして見る視点を持つことを脱中心化と言います。
    MBCTでは、この脱中心化の観点を身につけるための練習をします。
    すると、思考に過剰に巻き込まれずに済むようになり、思考をコントロールしようと足掻く必要がなくなるのです。

    研究でも、MBCTを受けた人は、脱中心化の度合いが大きく上昇することが示されました。
    オンライン自助療法グループよりも、有意に大きな伸びを示したのです。
    脱中心化は、以下のような利点をもたらします。

    • ネガティブな思考をそのまま受け流せるようになる
    • 考えに惑わされて感情が揺さぶられにくくなる
    • 思考をコントロールしようと悪戦苦闘しなくて済む

    考えをあくまで考えとして扱えるようになることで、思考への捉われから解放されるのです。
    そうすることで、マイナス思考が和らぎ、ストレス反応も小さくなると言えるでしょう。

    マインドフルネス認知療法で自分へのやさしさと受容力を!

    自分の苦しみをそっと包み込む「自己慈悲」が増えた

    MBCTを通して、辛い気持ちの自分を慈しむ「自己慈悲」の心が育まれることが明らかになりました。
    自己慈悲とは、苦しみや辛さを感じている時に、自分に優しさを向ける態度のことです。
    神経症傾向が高い人は、つらい気持ちの自分を責めたり否定したりしがちです。

    しかしMBCTでは、そうした自分も受け止め、慈しむ練習をします。
    すると、自己慈悲の度合いが大きく高まることが研究で示されたのです。

    MBCTを受けた人は、オンラインの自助療法を受けた人と比べて、自己慈悲が有意に増加しました。
    効果量も大きく、自己慈悲の大幅な改善が認められたのです。
    自己慈悲は、以下のようなプロセスで育まれます。

    • つらい気持ちの自分に気づく
    • 自分の辛さを認め、そっと受け止める
    • 苦しんでいる自分に、優しい言葉をかける

    つまり、つらい気持ちを避けるのではなく、むしろ自分の辛さに意識を向けるのです。
    その上で、苦しみを抱えた自分を批判するのではなく、そっと慈しむ心を育てていくのです。
    自己慈悲は、自尊感情を高め、ストレス耐久力を上げる効果があると考えられています。
    自分の弱さも含めて自分を受け入れられるようになることで、多少のストレスでは動じなくなるのです。

    感情をコントロールしようとしない姿勢が身についた

    MBCTでは、感情をコントロールしようとしない受容的な姿勢を育むことを重視しています。
    私たちは、ネガティブな感情を感じると、それを何とか取り除こうとしがちです。
    怒りや不安、悲しみなどの感情は、できるだけ早く消し去りたいと願うのが普通でしょう。

    しかしMBCTでは、そうした感情のコントロールを手放すことを勧めています。
    感情は自然に湧き上がるものであり、無理に抑え込もうとしても、かえって感情が暴れ出してしまうのです。

    むしろ、感情をありのままに受け止め、そのまま感じ続ける練習をするのがMBCTの特徴と言えます。
    実際、MBCTを受けた人は、感情のコントロールへのこだわりが減少することが示されました。
    感情を抑えようとする気持ちが和らぎ、感情をあるがまま受け入れる姿勢が強まったのです。

    例えば、MBCTでは以下のようなアプローチを用います。

    • ネガティブな感情が湧いていることに気づく
    • 感情をコントロールしようとする衝動をそっと手放す
    • 感情をじっくりと味わい、そのまま感じ続ける

    感情に抵抗するのではなく、感情をオープンに味わうことを訓練するのです。

    すると不思議なことに、湧き上がった感情が自然と収まっていくことを体験できます。

    感情は常に移り変わるものであり、それを柔軟に受け止めることが大切だと実感できるのです。

    自分の状態をあるがままに認める力がついた

    MBCTを通じて、自分の内面の状態をありのままに認める力が高まることが分かっています。
    私たちは無意識のうちに、自分の気持ちを認めたくないことがあります。

    例えば、不安や怒り、嫉妬など、ネガティブな感情を抱いている自分を受け入れられないのです。
    そうした自己否定は、かえって感情を抑圧してしまい、心の不調を招く原因になります。

    しかしMBCTでは、自分の内面をあるがまま見つめ、認める練習をします。
    感情や思考、身体感覚など、自分の中に生じているものを、判断せずに眺めるのです。

    そうした練習を通して、自分の状態をオープンに受け止められるようになることが示されました。
    つまり、MBCTによって以下のような変化が起こるのです。

    • 自分の感情を、善し悪しで判断しなくなる
    • 自分の考えを、正しい / 間違っていると評価しない
    • 身体の不調を、あるがまま感じられるようになる

    こうした自己受容の態度は、ストレスに負けない強靭な心を育む土台になります。
    自分の状態を認められない時、ストレスはさらに大きくなるものです。

    例えば不安を感じている時に、その不安を否定したくなるでしょう。
    すると不安は余計に高まり、不安に感じている自分を責める悪循環に陥ります。

    しかし、不安をありのまま認められれば、不安に振り回されずに済むのです。

    マインドフルネス認知療法は多くの人にとって高い満足度と実践しやすさ

    8割以上が最後までプログラムを完遂

    MBCTの受講者の大多数が、8週間のプログラムを最後まで完遂することが分かりました。
    冒頭でご紹介した研究では、MBCTグループの参加者17名のうち、実に15名が全課程を修了したの

    です。
    つまり、脱落率はわずか12%ほどに留まったと言えます。
    これは、心理教育プログラムの平均的な完遂率と比べても非常に高い水準だと考えられます。
    多くの参加者が最後までMBCTに取り組めたのは、以下のような理由が考えられます。

    • 1回2時間、週1回のペースが無理なく続けられた
    • グループでのサポートが励みになった
    • 毎日の宿題が30分ほどで、日常生活に組み込みやすかった

    MBCTは、無理のない時間設定で進められるため、脱落せずに済むのでしょう。
    特に宿題が30分ほどに収まっているのは、継続のしやすさに直結します。

    また、同じ悩みを抱えた仲間とグループで学べることも、モチベーションを維持する上で効果的だと考えられます。

    お互いの体験を共有し、励まし合える環境があることで、修了まで歩みを進められるのです。
    MBCTの高い完遂率は、プログラムの実践しやすさを物語っています。
    忙しい現代人でも、無理なく取り組める内容になっているのです。

    最後までMBCTを修了することで、確実に効果を実感できると期待されます。
    こうしたアクセスのしやすさこそ、MBCTの大きな魅力の一つだと言えるでしょう。

    6割以上が「とても役立つ」と評価

    MBCTの参加者の大半が、プログラムを非常に役立つと評価していることが明らかになりました。
    先の研究では、MBCTを修了した人の満足度を調査しています。
    その結果、実に62.5%の人が「とても役立った」とMBCTを評価したのです。
    また、「役立った」「まあまあ役立った」を合わせると、満足度は100%に達しました。
    つまり、否定的な評価をした人は一人もいなかったのです。
    この数字は、オンラインの自助療法グループと比べても際立って高いことが分かっています。
    MBCTの高い満足度は、以下のような点に起因すると考えられます。

    • ストレス対処法が具体的に学べた
    • 感情との付き合い方が変わった
    • 自分を大切にする気持ちが芽生えた
    • 人生の質の向上を実感できた

    MBCTでは、ストレスと上手に付き合うスキルを身につけられます。
    それだけでなく、自分の内面と向き合う方法も学べるため、人生が大きく変わった実感を得られるのでしょう。

    否定的な感情にも柔軟に対処できるようになり、自分を慈しむ心も育まれます。
    その結果、人生の質が目に見えて向上するのです。

    こうした体験的な変化が、MBCTへの高い満足度につながっていると推測されます。
    ストレス対策としてだけでなく、人生を豊かにする手段としても、MBCTは大きな可能性を秘めているのです。

    宿題は毎日30分程度、無理なく続けられる

    MBCTでは、自宅での宿題が毎日30分ほどに設定されており、誰でも無理なく実践できるのが特徴です。
    1日30分ほどなら、就寝前や朝の時間などを使って、どんな人でも確保できるでしょう。
    長時間の宿題だと、脱落しやすくなることが知られています。
    しかしMBCTでは、そのリスクが最小限に抑えられているのです。
    また、宿題の内容も、特別な用具を使わず、どこでもできるものばかりです。
    具体的には、以下のようなものが中心です。

    • 呼吸に意識を向ける瞑想
    • 体の感覚を順番に観察するボディスキャン
    • ヨガのポーズを取り入れた瞑想
    • 日常生活の中でマインドフルに過ごす

    どれも、自宅で座ったり横になったりするだけで、誰にでもできる方法です。
    難しいイメージのある瞑想も、シンプルに呼吸や身体感覚に意識を向けるだけなので、初心者でも自然に習得できます。

    MBCTの宿題は、日常生活にマインドフルネスを運ぶ工夫もされています。
    食事や歩行など、当たり前の動作をマインドフルに行うことで、瞑想の効果を高めるのです。
    こうした宿題のやりやすさは、MBCTの完遂率の高さに直結していると考えられます。

    誰でも続けられる宿題だからこそ、最後までMBCTを修了できるのです。ストレス対策に取り組む上で、継続は何より大切な要素だと言えます。

    その点、MBCTなら挫折せずに実践できる。それが、多くの人に支持される理由の一つなのかもしれません。

    マインドフルネスでストレスに負けない心を育てよう

    人生のあらゆる場面に活かせるスキル

    MBCTで培うマインドフルネスのスキルは、ストレス対策だけにとどまらず、人生のあらゆる局面で役立つことが分かっています。

    日常生活の中で起こるストレスフルな出来事に柔軟に対処できるようになるのはもちろんのこと、対人関係のストレスや仕事のプレッシャーにも動じなくなるでしょう。

    さらに、人生の困難な局面、例えば病気や喪失など、避けられないストレスにも冷静に向き合えるようになります。
    マインドフルネスは、以下のような効果をもたらすことが知られています。

    • 集中力や記憶力が高まる
    • 感情のコントロール力が増す
    • 他者への共感性が育まれる
    • 創造性が刺激される

    つまり、認知能力や感情面だけでなく、対人関係や創造的な活動にも好影響を与えるのです。
    これらは、人生のあらゆる領域で求められる能力だと言えるでしょう。

    MBCTで鍛えるマインドフルネスの力は、ストレス対処だけにとどまらない、広範な効果をもたらすのです。

    例えば、集中力が高まることで、仕事のパフォーマンスが上がるかもしれません。
    感情のコントロールができれば、怒りに任せて失言することも減るでしょう。
    他者への共感性は、円滑な人間関係を築く上で欠かせません。
    そして創造性は、問題解決や新たな価値の創出に直結します。

    一人でも実践できるシンプルな方法

    MBCTで学ぶマインドフルネスは、基本的に一人で実践できるシンプルな方法です。
    グループで学ぶことに大きな意味がありますが、いざマインドフルネスを実践する際は、ご自身だけの力で行えます。
    特別な道具も必要なく、ヨガマットなどがあると良いですが、なくても問題ありません。
    座布団やベッドの上など、安楽に座れる場所があればどこでも練習できるのです。
    マインドフルネスの基本は、以下のようなシンプルな方法です。

    • 今ここでの体験に意識を向ける
    • 意識を向けた対象を、判断せずにありのまま感じる
    • 意識が逸れたら、優しく元の対象に戻す

    これらのステップを繰り返すだけで、マインドフルネスを育めます。
    例えば呼吸に意識を向けるなら、鼻の出入り口あたりの感覚に集中します。
    息を深くしたり浅くしたりせず、自然に任せるのがコツです。
    考えが浮かんできて、呼吸から意識が離れたら、それを責めずに呼吸に意識を戻します。
    たったそれだけのシンプルなプロセスの中に、マインドフルネスの本質があるのです。

    自分らしい生き方を取り戻すサポートに

    MBCTで身につけるマインドフルネスは、自分らしく生きるためのサポートになります。

    ストレスに弱い人は、つい他人の評価が気になったり、周囲に合わせようと無理したりしがちです。

    自分の心の声を聴かずに、外からの期待に応えることに必死になるのです。

    そんな生き方をしていると、次第に自分を見失い、生きづらさを感じるようになるでしょう。

    しかしマインドフルネスを習慣にすることで、自分の内面の声に素直に耳を傾けられるようになります。

    他人の評価にとらわれずに、自分の気持ちを大切にできるのです。
    例えば、以下のような変化が期待できます。

    • 自分の感情を抑圧せずに表現できる
    • 自分の欲求や願望を尊重できる
    • 自分に合った生き方を選択できる
    • 自分を愛おしく感じられる

    こうした変化は、自分らしい人生を歩む上で欠かせないと言えるでしょう。
    他人の期待に応えるために自分を犠牲にするのではなく、自分の内なる声に正直に生きること。
    それこそが、真の意味での自己実現だと考えられます。
    マインドフルネスを通して自分自身と向き合うことで、そんな自分らしい生き方への道が拓かれるのです。

    最後にマインドフルネスのまとめ

    マインドフルネスは、ストレスにも負けない強靭な心を育むのに役立つことが分かりましたね。

    MBCTというプログラムを通じて、ストレスを感じやすい性格が改善されたり、ネガティブな思考グセが減ったりと、様々な効果が明らかになりました。

    そして、自分の辛い気持ちにも寄り添えるようになる「自己慈悲」の心が育まれることも大きなメリットだと言えます。

    MBCTに取り組んだ人の満足度の高さからも、その効果の大きさが伺えました。

    でも何より魅力的なのは、マインドフルネスが人生のあらゆる場面で役立つスキルだということ。

    ストレス対策だけでなく、仕事や勉強の効率アップ、人間関係の改善など、生活のあらゆる側面に好影響を与えてくれるのです。

    自分らしい生き方を取り戻すサポートにもなってくれます。

    ぜひ、マインドフルネスを生活に取り入れて、ストレスに負けない強い心を育んでみませんか?

    ※本記事は以下の本に掲載されている論文をもとに作成しています。ぜひご覧ください。

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    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。