IQが高い性格があるのをご存知でしょうか?
私たちの性格は、知能指数(IQ)と関係があるかもしれません。
IQは、知的能力の高さを表す指標の一つです。
例えば、IQが高い人は、複雑な問題をすばやく解いたり、抽象的な概念を理解したりするのが得意だと言われています。
でも、IQの高さは、単に頭の良さだけを意味するのでしょうか?実は、IQと性格には、興味深い関係があるようなのです。
アメリカの研究チームが「Personality and intelligence: A meta-analysis」というタイトルの論文を発表しました。この論文は、これまでに行われた272の研究、16万人以上のデータを分析した、大規模なメタ分析研究です。
研究の結果、いくつかの性格特性がIQと関連していることがわかりました。
また、研究では、性格のより詳細な側面に着目することで、IQとの関連性がさらに明らかになりました。
それでは具体的に紹介していきます。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
IQが高い性格を探る大規模メタ分析
4つの主要な性格検査を用いた272のサンプル、16万人以上のデータを分析
この大規模メタ分析では、4つの主要な性格検査を用いて、272のサンプル、16万人以上のデータを分析しました。
取り上げた性格検査は以下の通りです。
- NEO
- BFAS
- BFI-2
- HEXACO
これらの性格検査は、ビッグファイブ(開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向)やHEXACO(正直-謙虚、情動性、外向性、協調性、誠実性、開放性)といった、性格の基本的な特性を測定するために広く使われているものです。
つまり、これらの検査を用いることで、性格の主要な側面を網羅的に捉えることができるのです。
今回のメタ分析は、これだけ大規模なデータを用いて性格と知能の関係を調べた点で、非常に意義深いものだと言えるでしょう。
知能IQとの相関を上位項目、下位項目、質問レベルで検討
本研究では、性格と知能IQの相関を、性格の上位項目、下位項目、質問レベルで詳細に検討しました。
上位項目とは、性格の大まかな次元(例:ビッグファイブの5つの次元)のことを指します。
一方、下位項目は、上位項目をさらに細分化した性格の側面を表しています。
そして質問レベルとは、性格検査で用いられる個々の質問項目のことを指します。
これらの異なるレベルで性格と知能の関係を調べることで、より詳細で複雑な関連性が明らかになりました。
言い換えれば、「IQが高い性格」は、性格のどの側面に着目するかによって変わってくるということです。
本研究の手法は、性格と知能の関係をより深く理解するための重要な一歩だと言えるでしょう。
IQが高い性格は開放性、神経症傾向は弱い負の相関
性格の上位項目と知能IQの関係を見ると、開放性がIQと最も強い正の相関を示しました。
これは、知的好奇心が強く、新しいアイデアに開放的な人ほど、知能IQが高い傾向にあることを意味しています。
対照的に、神経症傾向は知能IQと弱い負の相関を示しました。
神経症傾向が高い人は、不安やストレスを感じやすい傾向にあります。
つまり、情緒的に不安定な人ほど、知能IQがやや低くなる傾向があるようです。
他の上位項目である外向性、協調性、誠実性は、知能IQとほとんど相関がありませんでした。
「IQが高い性格」は、特定の性格特性に限定されるようです。
IQが高い性格の上位項目
開放性が知能IQとの最も強い正の相関
性格の上位項目の中では、開放性が知能IQと正の相関を示しました。
開放性は、以下のような特徴を持つ人に高くなる傾向があります。
- 知的好奇心が強い
- 新しいアイデアに興味がある
- 想像力が豊か
- 美的センスがある
このような特徴を持つ人は、知的な刺激を求める傾向が強く、結果として知能IQも高くなりやすいのかもしれません。まさに「IQが高い性格」とはこれのことです。
知能に影響を与える要因は、性格以外にも多数あると考えられますが、「IQが高い性格」を理解する上で、開放性は重要な手がかりになるでしょう。
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IQが低い性格:神経症傾向は知能IQと弱い負の相関
神経症傾向は、知能IQと弱い負の相関を示しました。
この傾向が高い人は、以下のような特徴を持ちます。
- 不安になりやすい
- ストレスを感じやすい
- 気分の浮き沈みが激しい
- 心配性である
こうした特徴を持つ人は、知的なパフォーマンスを発揮しづらいのかもしれません。
ただし、相関係数はr=-.09と非常に小さく、ほとんど無視できるレベルです。
つまり、神経症傾向の高さは、知能IQにはあまり影響しないと言えそうです。
知能IQの個人差を説明する要因としては、神経症傾向よりも他の要因の方が重要なのかもしれません。
ただ、神経症傾向が極端に高い場合は、知的なパフォーマンスに何らかの影響を与える可能性があります。
外向性、協調性、誠実性は知能IQとほとんど相関なし
外向性、協調性、誠実性は、知能IQとほとんど相関がありませんでした。
つまり、これらの性格特性の高さは、知能の高さとはあまり関係がないようです。
例えば、外向性の高い人は、以下のような特徴を持ちます。
- 社交的である
- 積極的である
- 活発である
- 刺激を求める
しかし、こうした特徴は、知的な能力とは直接的な関係がないのかもしれません。
同様に、協調性の高い人は、他者と良好な関係を築くことができますが、それが知能の高さに直結するわけではありません。
誠実性についても、勤勉で責任感が強いことが、知能の高さを保証するわけではないようです。
これらの結果は、性格と知能が完全に独立した概念ではないものの、密接に関連しているわけでもないことを示唆しています。
性格と知能の関係を理解するには、より詳細な分析が必要だと言えるでしょう。
IQが高い性格の下位項目
知的好奇心や非伝統性は知能IQとの相関が強い
性格の下位項目と知能IQの関係を見ると、知的好奇心や非伝統性が知能IQとの相関が強いことがわかりました。
これらの特性は、以下のような行動として表れます。
- 新しいアイデアを探求する
- 複雑な問題に取り組むことを好む
- 慣習にとらわれない考え方をする
- 創造性を発揮する
このような特徴を持つ人は、知的な刺激を求め、自ら学ぼうとする姿勢が強いのかもしれません。
その結果、知識や技能を獲得し、知能IQを高めていくのではないでしょうか。
逆に言えば、知的好奇心が低く、伝統的な考え方を好む人は、知能IQがやや低くなる傾向があるようです。
ただし、これらの関連性は因果関係を示すものではありません。
知能IQが高いから知的好奇心が高くなるのか、知的好奇心が高いから知能IQが高くなるのかは、さらなる研究が必要です。
いずれにせよ、「IQが高い性格」を探る上で、知的好奇心や非伝統性は重要な手がかりになるでしょう。
社交性と秩序志向は知能IQと負の相関
一方、社交性と秩序志向は、知能IQと負の相関があることがわかりました。
社交性が高い人は、以下のような特徴を持ちます。
- 他者と交流することを好む
- パーティーなどの社交イベントを楽しむ
- 友人や知人が多い
- 人々と連絡を取り合うことを好む
また、秩序志向が高い人は、以下のような特徴があります。
- 計画を立てて物事を進める
- 整理整頓を心がける
- 規則正しい生活を送る
- 予定通りに物事を進めようとする
これらの特性は、知的な探求心とはやや相反する面があるのかもしれません。
社交的な活動や秩序立った生活を重視する人は、知的な活動に時間を割く機会が少なくなるのではないでしょうか。
ただし以下のギフテッド(高IQの子ども)のメタ分析ではあまり関連がありませんでした。
外向性の下位項目では、社交性と刺激追求が結晶性知能と負の相関
外向性の下位項目のうち、社交性と刺激追求が、結晶性知能と負の相関を示しました。
結晶性知能とは、学習や経験によって獲得された知識や技能のことを指します。
一方、社交性の高い人は、他者とのコミュニケーションを重視し、社会的な活動を好む傾向にあります。
また、刺激追求の高い人は、新奇な経験や興奮を求める傾向が強いと言えます。
これらの特性は、以下のような行動として表れるかもしれません。
- パーティーや社交イベントに参加する
- 友人と頻繁に連絡を取り合う
- スリルのあるアクティビティを楽しむ
- 慣れない場所や状況に飛び込んでいく
こうした行動は、知識の獲得や学習とはやや相反する面があるのかもしれません。
社交的な活動や刺激的な経験を追求することで、勉強や技能の習得に割く時間が減ってしまう可能性があります。
むしろ、適度な社交性や新奇性追求は、知識の獲得に良い影響を与えるかもしれません。
感情や価値への開放性は結晶性知能と正の相関
感情や価値への開放性は、結晶性知能と正の相関があることがわかりました。
この傾向が強い人は、以下のような特徴を持ちます。
- 自分の感情を大切にする
- 感情の機微に敏感である
- 感情を表現することを恐れない
- 他者の感情に共感できる
また、価値への開放性が高い人は、以下のような特徴があります。
- 既存の価値観に疑問を持つ
- 多様な価値観を受け入れる
- 自分なりの価値観を大切にする
- 倫理的な問題について考えることを好む
これらの特性は、知識の獲得や学習に良い影響を与えるのかもしれません。
感情や価値観に開かれていることで、様々な情報を柔軟に受け入れられるようになるのではないでしょうか。
また、自分なりの価値観を持つことは、学びへの動機づけにもつながる可能性があります。
下位項目は上位項目の2倍以上の分散を説明
性格の下位項目は、上位項目と比べて、知能IQの個人差を2倍以上説明できることがわかりました。
つまり、「IQが高い性格」を理解するには、大まかな性格の次元だけでなく、より詳細な性格の側面に着目する必要があるということです。
性格のどの側面に着目するかによって、知能との関連性は大きく変わってくるのです。
ですから、性格と知能の関係を正しく理解するには、性格の下位
項目に目を向けることが不可欠だと言えるでしょう。
上位項目だけを見ていては、性格と知能の関係の重要な部分を見落としてしまう可能性があります。
本研究の結果は、性格研究における下位項目の重要性を改めて示したと言えます。
今後の研究では、性格の下位項目と知能の関係をさらに詳しく調べていく必要がありそうです。
そうすることで、性格と知能の関係の全体像が、より明確になっていくはずです。
IQが高い性格はどんな質問に答えるのか
質問レベルでの分析は下位項目よりもさらに知能IQをよく予測
性格と知能IQの関係を、性格検査の質問レベルで分析したところ、下位項目よりもさらに知能IQをよく予測できることがわかりました。
質問レベルとは、性格検査で用いられる個々の質問項目のことを指します。
例えば、「新しいアイデアをよく思いつく」や「複雑な問題に取り組むのが好きだ」といった質問が該当します。
こうした質問に対する回答パターンと、知能IQの高さには、かなり強い関連性があったのです。
つまり、性格と知能の関係は、性格の下位項目よりもさらに細かいレベルで捉えることができるということです。
言い換えれば、知能の高さは、性格特性の現れ方の細部と結びついているのかもしれません。
ただし、質問レベルでの分析は、より多くのデータを必要とします。
また、質問の内容や表現によって、結果が左右される可能性もあります。
質問レベルでの分析は、性格と知能の関係を探る上で有望な方法ではありますが、慎重に行う必要があるでしょう。
上位項目、下位項目、質問レベルと知能IQの相関は大きく増加
性格と知能IQの相関は、上位項目、下位項目、質問レベルと、段階的に大きくなることがわかりました。
具体的には、以下のような結果が得られました。
- 上位項目:r = .17
- 下位項目:r = .32
- 質問レベル:r = .44
このように、性格のより詳細な側面に着目するほど、知能IQとの関連性が強くなっています。
特に、質問レベルでの相関係数はr = .44と、かなり高い値を示しました。
これは、性格と知能の関係を理解する上で、質問レベルの分析が非常に有用であることを示唆しています。
ただし、相関係数が高いからといって、因果関係があるとは限りません。
性格と知能の関係は、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
相関の背後にあるメカニズムを明らかにするには、さらなる研究が必要でしょう。
いずれにせよ、本研究の結果は、性格と知能の関係を多角的に検討することの重要性を示したと言えます。
質問レベルのモデルは異なるサンプルでも高い予測力
質問レベルで性格と知能の関係を分析したモデルは、異なる特性を持つサンプルに適用しても、高い予測力を示しました。
本研究では、4つの大規模なデータセット(industry、MOOC、student、firefighter)と1つのオランダ人サンプルを用いて、質問レベルのモデルの一般化可能性を検証しました。
その結果、以下のような知見が得られました。
- サンプル間で知能の測定方法が異なる
- サンプル間で対象者の特性が大きく異なる
- にもかかわらず、質問レベルのモデルは高い予測力を示した
つまり、質問レベルのモデルは、サンプルの特性に左右されにくい頑健なモデルだと言えます。
言い換えれば、性格と知能の関係には、普遍的な側面があるのかもしれません。
ただし、今回の検証では、欧米の文化圏のサンプルが中心でした。
より多様な文化的背景を持つサンプルでの検証も必要でしょう。
また、質問レベルのモデルが高い予測力を持つメカニズムについても、さらなる研究が求められます。
質問レベルのモデルは、性格と知能の関係を理解する上で、有望なアプローチの一つだと言えるでしょう。
IQが高い性格:年齢と性別の影響は小さい
年齢と性別の違いが性格と知能IQの相関に与える影響は小さい
年齢と性別の違いが、性格と知能IQの相関に与える影響は小さいことがわかりました。
つまり、性格と知能の関係は、年齢や性別によってあまり変化しないということです。
ただし、細かく見ていくと、いくつかの興味深い傾向が見られました。
- 60歳以上では、開放性と神経症傾向の知能IQとの相関が強くなる
- ただし、サンプルサイズが小さいため、解釈には注意が必要
年齢によって、性格と知能の関係が多少変化する可能性はありそうです。
しかし、全体的に見れば、年齢の影響は限定的だと言えるでしょう。
一方、性別については、ほとんど影響がないことがわかりました。
男女で性格と知能の関係に大きな違いはないようです。
ただし、今回の分析では、年齢と性別以外の要因については検討していません。
例えば、文化的背景や社会経済的地位などが、性格と知能の関係に影響を与える可能性があります。
これらの要因についても、今後の研究で明らかにしていく必要があるでしょう。
ただし60歳以上では開放性と神経症傾向の知能IQとの相関が強くなる傾向
60歳以上の高齢者では、開放性と神経症傾向の知能IQとの相関が強くなる傾向があることがわかりました。
具体的には、以下のような結果が得られました。
- 開放性と知能IQの相関が、他の年齢層よりも強くなる
- 神経症傾向と知能IQの負の相関が、他の年齢層よりも強くなる
ただし、これらの結果は、サンプルサイズが小さいため、解釈には注意が必要です。
高齢者では、知的好奇心や創造性が、知能の維持に重要な役割を果たすのかもしれません。
また、神経症傾向が高いと、認知機能の低下が早まる可能性があります。
ただし、これらは仮説の域を出ません。
高齢者における性格と知能の関係を明らかにするには、より大規模な研究が必要でしょう。
また、縦断的な研究デザインを用いて、加齢に伴う変化を追跡することも重要です。
いずれにせよ、高齢者の認知機能を維持・向上させるためには、性格の影響を考慮することが有用かもしれません。
今後の研究の進展が期待されます。
IQが高い性格:研究の調整変数の影響
WAISを用いた研究では開放性と知能IQの相関がより強い
知能検査としてWAISを用いた研究では、開放性と知能IQの相関が他の検査を用いた研究よりも強いことがわかりました。
WAISとは、ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale)の略称です。
言語理解や知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度など、多岐にわたる認知能力を測定できる検査として知られています。
本研究の結果は、以下のような可能性を示唆しています。
- WAISは、知能のより広範な側面を捉えている
- そのため、性格との関連性がより明確になった
ただし、WAISを用いた研究の数は限られています。
また、他の知能検査との比較も十分ではありません。
WAISと性格の関係をより詳しく理解するには、さらなる研究の蓄積が必要でしょう。
知能検査の選択は、性格と知能の関係を検討する上で重要な意味を持つと言えます。
研究目的に応じて、適切な知能検査を選ぶ必要があるでしょう。
また、複数の知能検査を組み合わせることで、知能のより多面的な理解が可能になるかもしれません。
高ステークスの状況では性格と知能IQの相関が弱くなる
高ステークスの状況、つまり結果が重要な意味を持つ状況では、性格と知能IQの相関が弱くなることがわかりました。
具体的には、以下のような状況が該当します。
- 就職試験
- 昇進試験
- 入学試験
こうした状況では、人々は良い結果を出そうと、より慎重に振る舞うと考えられます。
そのため、普段の性格特性が表れにくくなるのかもしれません。
また、高ステークスの状況では、知能以外の要因、例えば動機づけや感情コントロールが、パフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。
そうした要因が、性格と知能の関係を見えにくくしているのかもしれません。
ただし、本研究では高ステークスの状況のデータが限られていました。
より多くのデータを集めて、詳しく検討する必要があるでしょう。
また、高ステークスの状況でのパフォーマンスと、性格・知能の関係を探ることも重要です。
高ステークスの状況では、性格と知能の関係が変化する可能性を考慮しておく必要があります。
IQが高い性格:本研究の意義と限界
性格と知能IQの関係についての理解を大きく前進
本研究は、性格と知能IQの関係について、これまでで最も包括的かつ詳細な検討を行いました。
その結果、以下のような重要な知見が得られました。
- 性格と知能の関係は、性格の下位項目や質問レベルで見ると、かなり複雑で多面的である
- 特に、知的好奇心や非伝統性、感情・価値への開放性が、知能と関連している
- 一方、社交性や秩序志向は、知能と負の関連がある
- 年齢や性別の影響は限定的だが、60歳以上では開放性と神経症傾向の影響が強まる可能性がある
- 知能検査の種類や状況によって、性格と知能の関係は変化する
これらの知見は、性格と知能の関係についての理解を大きく前進させるものです。
特に、性格の下位項目や質問レベルでの分析は、今後の研究に重要な示唆を与えてくれました。
また、本研究では大規模なデータを用いて、頑健な結果を得ることができました。
今後は、さらに多様なサンプルや文化的背景での検討が求められます。
また、性格と知能の関係がどのようなメカニズムで生じているのかを明らかにすることも重要な課題です。
本研究は、そうした今後の研究の礎となるでしょう。
横断的研究、尺度の制約、サンプルの偏りなどの限界点も
ただし、本研究にはいくつかの限界点もあります。
まず、本研究は横断的な研究デザインを用いているため、因果関係を明らかにすることができません。
性格と知能の関係がどのように発達し、互いに影響を与え合っているのかを理解するには、縦断的な研究が必要です。
また、本研究で用いられた性格検査や知能検査には、一定の制約があります。
例えば、自己報告式の性格検査では、社会的望ましさが結果に影響を与える可能性があります。
知能検査も、知能のすべての側面を測定できているわけではありません。
より多様な測定方法を用いることで、性格と知能の関係をさらに詳しく理解できるかもしれません。
さらに、本研究で分析されたサンプルは、主に欧米の文化圏に偏っていました。
より多様な文化的背景を持つサンプルでの検討が求められます。
こうした限界点は、今後の研究で克服していく必要がありますが、本研究の価値を大きく損なうものではありません。
むしろ、本研究は、性格と知能の関係を多角的に検討することの重要性を示したと言えるでしょう。
最後に
今回の研究から、私たちの性格と知能の間には、複雑で興味深い関係があることがわかりました。
特に、「開放性」や「知的好奇心」といった性格特性は、IQと強く結びついていることが明らかになりました。
一方で、「神経症傾向」や「社交性」といった性格特性は、IQとは負の関係にあることもわかりました。
ただし、これらの関連性は非常に弱いものでした。
また、性格と知能の関係は、年齢や性別によってあまり変化しないことも明らかになりました。
今回の研究は、性格と知能の関係について、これまでで最も詳しく調べたものです。
今後、さらに多くの研究が行われることで、性格と知能の関係についての理解が深まっていくはずです。
そして、そういった理解は、私たち一人ひとりが自分らしく生きていくためのヒントになるかもしれません。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。