職場の人間関係で悩む人は、全体の約60〜70%にのぼるとされています。
その原因の多くは、性格の違いへの無理解です。
性格心理学のビッグファイブ理論を使うと、なぜあの人と合わないのかが客観的に見えてきます。
この記事では、職場の人間関係を改善するための具体的な方法を、性格の視点からわかりやすく解説します。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
職場の人間関係が難しい本当の理由
職場の人間関係がうまくいかないのは、性格の違いが根本にある場合がほとんどです。
努力や気合いだけで解決しようとすると、かえって消耗してしまいます。
性格心理学では、人の性格を5つの軸で捉える「ビッグファイブ」という理論が広く使われています。
ビッグファイブとは、以下の5つの特性で人の性格を説明する心理学モデルです。
- 開放性:新しいことへの好奇心や柔軟さ
- 誠実性:計画的で責任感が強い傾向
- 外向性:社交的でエネルギッシュな傾向
- 協調性:他者への共感や思いやりの強さ
- 情動性:感情が揺れやすい・ストレスを受けやすい傾向
これら5つの特性の高低の組み合わせが、職場での行動や対人スタイルの違いを生み出します。
たとえば、誠実性が高い人はルールや期限を重視しますが、開放性が高い人は柔軟な進め方を好みます。
この違いが摩擦の原因になることは、非常によくあるパターンです。
性格の違いを「相性が悪い」と切り捨てるのではなく、仕組みとして理解することが、職場の人間関係改善の第一歩です。
5つの性格特性と職場での影響
ビッグファイブの各特性は、職場でのコミュニケーションや仕事の進め方に直接影響します。
自分と相手の特性を知るだけで、対処法が見えてきます。
| 特性 | 高い人の特徴 | 低い人の特徴 | よくある摩擦例 |
|---|---|---|---|
| 開放性 | 変化を好む・アイデア重視 | 安定を好む・実績重視 | 新しいやり方 vs 従来のやり方 |
| 誠実性 | 計画的・期限厳守 | 柔軟・行き当たりばったり | 締め切り意識のズレ |
| 外向性 | 積極的に話す・議論好き | 静かに考える・1対1が得意 | 会議での発言量の差 |
| 協調性 | 相手の気持ちを優先する | 主張をはっきり伝える | 配慮 vs 論理で対立 |
| 情動性 | 感情が揺れやすい・敏感 | 感情が安定している・鈍感に見える | 反応の温度差 |
さらに、研究では誠実性が高い人ほど職場でのパフォーマンスが高くなる傾向が示されています。
一方で、情動性が高い状態が続くと、対人関係のトラブルが増えやすくなる傾向もあります。
自分の特性を知り、相手の特性を推測することが、摩擦を減らす鍵になります。
タイプ別の対処法と関わり方
相手の性格特性に合わせて関わり方を変えるだけで、職場の人間関係は大きく改善されます。
以下に、特性別の具体的な対処法を示します。
誠実性が高い相手への対処法
- 期限や約束は必ず守る
- 曖昧な指示や連絡を避け、具体的に伝える
- 進捗を定期的に共有し、安心感を与える
外向性が低い(内向的な)相手への対処法
- 大勢の前で意見を求めず、1対1や文章で確認する
- 考える時間を与えてから返答を求める
- 雑談を強要せず、静かな作業時間を尊重する
情動性が高い相手への対処法
- 批判よりも「どうすればよくなるか」に焦点を当てる
- 感情を受け止める言葉を最初にかける
- 突然の変更や否定を避け、段階的に伝える
協調性が低い相手への対処法
- 感情よりもデータや論理で話す
- 遠回しな表現を避け、率直に伝える
- 相手の意見を否定せず、まず聞いてから自分の考えを伝える
つまり、「自分のやり方」を相手に押しつけるのではなく、相手の特性に合わせて接し方を調整することが大切です。
これは妥協ではなく、コミュニケーションの技術です。
自分の性格を知ることが人間関係の出発点
職場の人間関係を改善するには、まず自分自身の性格特性を把握することが不可欠です。
自分のビッグファイブ特性を知ると、なぜ特定の状況でストレスを感じるのかが理解できます。
たとえば、外向性が低い人が毎日長時間の対面会議を求められると、強い消耗感を覚える傾向があります。
その場合、会議後に1人で回復する時間を確保するだけで、ストレスが大幅に軽減されることがあります。
また、情動性が高いと自覚している人は、感情が揺れやすい状況を事前に予測し、対策を立てやすくなります。
自分の性格特性を知る方法として、以下の3つが挙げられます。
- 信頼性のあるビッグファイブ診断を受ける
- 過去の対人トラブルのパターンを振り返る
- 「この状況でなぜ自分はストレスを感じるか」を言語化する習慣をつける
研究では、自己認識が高い人ほど対人関係の満足度も高くなる傾向が示されています。
自分を知ることは、相手を理解する力にも直結します。
MBTIと職場の人間関係の関係
MBTIは16タイプの性格分類で、職場での行動スタイルや対人傾向を大まかに把握するのに役立ちます。
ビッグファイブほど精度は高くありませんが、相手のタイプを知ることで接し方のヒントが得られます。
職場での人間関係においては、以下の軸が特に影響しやすい傾向があります。
- 内向(I)vs 外向(E):会議での発言スタイルや情報共有の好みに差が出やすい
- 思考(T)vs 感情(F):意思決定の際にロジック優先か感情配慮優先かで対立しやすい
- 知覚(P)vs 判断(J):締め切りへの意識やタスク管理の方法に大きな差が出る
実際に、MBTIのJ(判断)タイプとP(知覚)タイプは、プロジェクト管理でぶつかりやすいことが多いとされています。
Jタイプはスケジュールをきっちりたてたいのに対し、Pタイプは締め切り直前まで柔軟に動きたい傾向があるからです。
どちらが正しいわけではなく、2つの強みを組み合わせることが理想的なチームを生み出します。
職場の人間関係改善で避けるべき行動
よかれと思った行動が、かえって職場の人間関係を悪化させることがあります。
性格心理学の知見をもとに、避けるべき代表的なパターンを3つ挙げます。
- 「自分と同じようにやれば問題ない」と思い込む:性格特性は人によって大きく異なります。自分の方法を押しつけると摩擦が生まれます
- 相手を変えようとする:ビッグファイブ特性は比較的安定していて、短期間では変わりにくいとされています。変えるべきは相手ではなく、関わり方です
- 感情的に反応する前に相手の性格特性を無視する:情動性が高い状態での言動は、後で後悔するトラブルを生みやすいです
加えて、「あの人はおかしい」とラベルを貼ることも関係改善を妨げます。
性格の違いは「個性の幅」として捉えることで、不必要な対立を減らせる傾向があります。
職場の人間関係は、相手への理解と自分の行動の調整の両方で少しずつ改善されていくものです。
よくある質問
職場の人間関係が原因でストレスを感じるのは普通ですか?
はい、非常によくあることです。職場の人間関係のストレスは、働く人の約60〜70%が経験するとされています。性格の違いによる摩擦が主な原因のひとつであり、対処法を知ることで改善できる場合が多いです。
ビッグファイブで職場の人間関係が改善できますか?
ビッグファイブは自分と相手の性格特性を客観的に理解するための理論です。相手の特性に合わせた関わり方を実践することで、摩擦を減らし、コミュニケーションの質を高める効果が期待できます。ただし、即効性があるわけではなく、継続的な実践が大切です。
苦手な上司とうまくやるにはどうすればいいですか?
まず、上司の性格特性を観察することが大切です。誠実性が高い上司には明確な報告を、外向性が高い上司には積極的に意見を伝えることが効果的な傾向があります。相手を変えようとするより、自分の接し方を調整することが現実的な改善につながります。
内向的な性格でも職場でうまくやっていけますか?
はい、うまくやっていける方法はあります。内向的な人は1対1のコミュニケーションや文章での情報共有が得意な傾向があります。自分の強みを活かせる場面を意識的に増やし、回復のための静かな時間を確保することで、消耗を防ぎながら職場の人間関係を維持できます。
MBTIは職場の人間関係の改善に使えますか?
MBTIは相手の大まかな行動傾向や価値観を理解するヒントとして使えます。ただし、MBTIはビッグファイブほど科学的な根拠が強くないため、決めつけには注意が必要です。あくまで「相手を理解するための入口」として活用するのが効果的です。
職場の人間関係で一番大切なことは何ですか?
性格心理学の観点では、「自分と相手の性格特性の違いを理解した上で、関わり方を調整すること」が最も重要とされています。相手を変えようとするより、自分の行動を少し変えるほうが、職場の人間関係の改善につながりやすい傾向があります。
職場の人間関係が原因で辞めたいと思ったらどうすればいいですか?
まず、自分の感じているストレスの原因が性格の違いによるものなのか、職場環境の構造的な問題なのかを切り分けることが大切です。性格の違いが原因であれば、対処法を試す価値があります。一方で、ハラスメントや健康への深刻な影響がある場合は、専門機関への相談や転職の検討も重要な選択肢です。

ライター兼監修者:トキワエイスケ
性格心理学研究者 / 株式会社SUNBLAZE 代表
子どもの頃、貧困・虐待家庭・いじめ・不登校・中退など社会問題の当事者として育つ。社会問題を10年間研究し、自由国民社より『悪者図鑑』を出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、査読付きジャーナル論文2本掲載(Frontiers in Psychology、IEEE Access)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。
専門:性格心理学 / ビッグファイブ / HEXACO / MBTI / 社会問題の予測
研究者プロフィール: ORCID / Google Scholar / ResearchGate
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