新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの中で、感染対策の徹底が求められています。
マスクの着用や手洗い、ソーシャルディスタンスの確保など、一人一人の行動が感染拡大防止に大きな影響を与えます。
しかし、これらの対策を実践するのは、なかなか難しいものです。そこで注目されているのが、性格特性と感染対策の関連性です。
ブラジルの研究チームは、性格特性と感染対策の実践状況について調査を行い、論文「Personality differences and COVID-19」を発表しました。
この研究結果は、感染対策の徹底には、性格特性への配慮が重要であることを示唆しています。
感染対策は、私たち一人一人が取り組むべき課題です。自分の性格特性を理解し、それに合わせた対策を実践することが大切だといえるでしょう。
この記事では、上記の研究結果を詳しく解説しながら、性格特性と感染対策の関連性について考えていきます。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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性格特性が感染対策の実践に与える影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年末から世界的に流行しています。
このウイルスは、感染力が非常に強く、世界中で多くの感染者と死者を出しています。
WHOは、2020年3月にパンデミック(世界的大流行)を宣言しました。
COVID-19は、主に飛沫感染や接触感染によって広がります。
感染すると、発熱や咳、呼吸困難などの症状が現れます。
重症化すると、肺炎や呼吸不全などを引き起こし、死に至ることもあります。
高齢者や基礎疾患のある人は、特に重症化のリスクが高いとされています。
現在、ワクチンや特効薬の開発が進められていますが、まだ十分に普及していません。
そのため、感染予防のための対策が非常に重要となっています。
個人の行動が、感染拡大防止に大きな影響を与えるのです。
感染拡大防止のための主な感染対策
感染拡大を防ぐためには、以下のような対策が有効とされています。
- マスクの着用
- 手洗いや手指消毒の徹底
- 人との距離を保つ(ソーシャルディスタンス)
- 不要不急の外出を控える
- 換気を行う
- 体調管理に気を付ける
これらの対策を組み合わせることで、感染リスクを大幅に下げることができます。
特に、マスクの着用と手洗い、ソーシャルディスタンスは、感染予防の基本として重要視されています。
一人一人が意識を高く持ち、できる対策を確実に実行することが求められています。
ただし、これらの対策は、生活様式の大幅な変更を伴うものばかりです。
人との交流を制限したり、外出を控えたりすることは、ストレスを感じる人も多いでしょう。
そのため、対策の実践には、個人の意識や性格特性が影響を与える可能性があります。
性格特性に応じて、対策への取り組みやすさが異なるのではないでしょうか。
感染対策:社会的距離の確保の重要性
社会的距離の確保は、感染拡大防止に非常に効果的な対策です。
これは、人と人との物理的な距離を保つことを意味します。
具体的には、以下のような行動が該当します。
- 人混みを避ける
- 密集した場所に行かない
- 不要不急の外出を控える
- 対面での会話を減らす
- オンラインでのコミュニケーションを活用する
近距離での会話や、密集した環境での接触は、感染リスクを高めます。
そのため、可能な限り人との距離を保ち、接触の機会を減らすことが重要なのです。
特に、不特定多数の人が集まる場所への外出は、できるだけ控えるべきでしょう。
また、どうしても外出が必要な場合は、人との距離を十分に取ることを心がけましょう。
社会的距離の確保は、一人一人の心がけから始まります。
自分だけでなく、周囲の人の健康も守るという意識を持つことが大切です。
一方で、人との交流を制限することは、ストレスを感じる原因にもなります。
外向的な人にとっては、特に実践が難しい対策なのかもしれません。
感染対策:手洗いの徹底の重要性
手洗いは、感染予防の基本中の基本です。
COVID-19は、ウイルスが付着した手から、口や鼻、目などの粘膜に入ることで感染します。
そのため、こまめな手洗いによって、手に付着したウイルスを洗い流すことが重要なのです。
手洗いのポイントは、以下の通りです。
- 流水と石けんを使う
- 30秒以上かけて丁寧に洗う
- 手のひら、手の甲、指の間、指先、親指、爪の間を洗う
- 洗い終わったら、清潔なタオルやペーパータオルでよく拭く
外出先からの帰宅時や、調理の前後、食事の前などは、特に念入りに手を洗いましょう。
石けんと流水が使えない場合は、アルコールを含んだ手指消毒剤を使うのも効果的です。
手洗いは、誰でも簡単に実践できる対策です。
一回一回の手洗いを丁寧に行うことで、感染リスクを大きく下げることができるのです。
ただし、手洗いの徹底には、一人一人の意識が大きく影響します。
面倒くさがらずに、こまめに手を洗う習慣を身に付けることが大切だといえるでしょう。
性格特性によっては、手洗いの実践に違いが出てくるのかもしれません。
性格特性と感染対策の関連を調べた心理学研究
ブラジルで行われた715人を対象とした調査
ブラジルでは、715人の成人を対象に、性格特性と感染対策の関連を調べる調査が行われました。
この調査は、2020年3月18日から19日にかけて、オンラインで実施されました。
参加者の年齢は18歳から78歳で、平均年齢は34.6歳でした。
性別は、女性が77.3%、男性が22.7%でした。
学歴は、大学院卒が40%、大学卒が28.8%、高校卒が7.6%などでした。
人種は、白人が69.5%、褐色人種が22.5%、黒人が6.6%などでした。
婚姻状況は、独身が52.2%、既婚が41.5%、離婚が4.5%などでした。
調査では、性格特性と感染対策の実践状況について、オンラインで質問に回答してもらいました。
質問項目は、性格特性を測定する尺度と、感染対策の実践状況を尋ねる項目で構成されていました。
この調査は、性格心理学と感染症予防の分野で注目されている研究の一つです。
COVID-19のパンデミックにおいて、個人の性格特性が感染対策の実践に与える影響を探る試みとして、興味深い調査だといえるでしょう。
外向性と誠実性に着目した分析
この研究では、性格特性のうち、外向性と誠実性に着目して分析が行われました。
外向性は、社交的で活発な性格傾向を示す特性です。
外向的な人は、人との交流を好み、パーティーなどの社交的な場を楽しむ傾向があります。
一方、誠実性は、まじめで几帳面な性格傾向を示す特性です。
誠実な人は、規則や約束を守り、物事を丁寧に行う傾向があります。
研究者たちは、外向性と誠実性が、感染対策の実践状況とどのように関連しているのかを調べました。
具体的には、以下の2つの感染対策に着目しました。
- 社会的距離の確保(ソーシャルディスタンス)
- 手洗いの徹底
外向的な人は、社交的な活動を好むため、社会的距離の確保が難しいのではないか。
一方、誠実な人は、規則を守る傾向があるため、感染対策を実践しやすいのではないか。
このような仮説のもと、性格特性と感染対策の関連が分析されました。
性格特性が感染対策の実践に与える影響を明らかにすることで、より効果的な感染拡大防止策を考えるヒントが得られるかもしれません。
感染対策の実践姿勢によって参加者を4つのグループに分類
研究では、感染対策の実践姿勢によって、参加者を4つのグループに分類しました。
分類の基準となったのは、以下の2つの質問への回答です。
- 社会的距離の確保は必要だと思いますか?
- 手洗いの徹底は必要だと思いますか?
この2つの質問に対して、「はい」か「いいえ」で回答してもらいました。
回答のパターンによって、参加者は以下の4つのグループに分けられました。
- 両方の対策が不要だと考えるグループ(6名)
- 社会的距離の確保は必要だが、手洗いは不要だと考えるグループ(17名)
- 手洗いは必要だが、社会的距離の確保は不要だと考えるグループ(23名)
- 両方の対策が必要だと考えるグループ(669名)
グループごとに、性格特性の得点を比較することで、感染対策の実践姿勢と性格特性の関連が分析されました。
ただし、グループによって人数に大きな偏りがあったため、統計的な分析には注意が必要です。
また、感染対策の実践姿勢を尋ねる質問は、あくまで主観的な回答に基づいています。
実際の行動と、回答した内容が一致しているかどうかは不明です。
それでも、この分類は、性格特性と感染対策の関連を探るための興味深い試みだといえるでしょう。
健康的な性格特性の測定にビッグファイブを使用
健康的な性格特性の測定には、Big Five Inventory-2 Short(BFI-2-S)が使用されました。
BFI-2-Sは、ビッグファイブ(Big Five)と呼ばれる性格特性の5因子モデルに基づいた尺度です。
ビッグファイブとは、以下の5つの性格特性を指します。
- 外向性(Extraversion)
- 協調性(Agreeableness)
- 誠実性(Conscientiousness)
- 神経症傾向(Neuroticism)
- 開放性(Openness)
BFI-2-Sは、これらの5つの性格特性を、それぞれ6つの質問項目で測定します。
つまり、合計30個の質問項目から構成されています。
各質問項目は、5件法のリッカート尺度で回答してもらいます。
BFI-2-Sは、ビッグファイブの性格特性を簡便に測定できる尺度として、世界的に広く使われています。
信頼性と妥当性が確認されており、研究や実践の場面で活用されています。
この研究では、BFI-2-Sを使って、参加者の外向性と誠実性の得点を測定しました。
健康的な性格特性と感染対策の関連を調べるために、適切な尺度が選ばれたといえるでしょう。
極端な性格特性の測定にDimensional Clinical Personality Inventory 2の一部を使用
極端な性格特性の測定には、Dimensional Clinical Personality Inventory 2(IDCP-2)の一部が使用されました。
IDCP-2は、性格障害などの臨床的な問題と関連する性格特性を多面的に測定できる尺度です。
この研究では、IDCP-2の中から、以下の4つの下位尺度が使用されました。
- 注目欲求(Need for attention)
- 親密性の回避(Intimacy avoidance)
- 几帳面さ(Thoroughness)
- 詳細へのこだわり(Concern with details)
注目欲求と親密性の回避は、外向性に関連する極端な性格特性を測定します。
一方、几帳面さと詳細へのこだわりは、誠実性に関連する極端な性格特性を測定します。
これらの下位尺度を使うことで、健康的な性格特性だけでなく、極端な性格特性と感染対策の関連も調べられました。
ただし、IDCP-2の一部の下位尺度のみを使用しているため、結果の解釈には注意が必要です。
それでも、この研究は、性格特性の多面的な測定を試みた点で、意義のある取り組みだといえるでしょう。
外向性が高い人は社会的距離の確保が苦手な傾向
社会的距離の確保を重視しないグループで外向性が高かった
分析の結果、社会的距離の確保を重視しないグループでは、外向性の得点が高い傾向がみられました。
つまり、社会的距離の確保をあまり重要だと考えていない人は、外向的な性格特性を持っている可能性が高いということです。 具体的には、以下のような結果が得られました。
- 社会的距離の確保を重視しないグループの外向性得点は、他のグループに比べて有意に高かった(p < .001)
- 社会的距離の確保を重視するグループの外向性得点は、他のグループに比べて有意に低かった(p < .001)
この結果は、外向性が高い人ほど、社会的距離の確保を実践しにくい傾向があることを示唆しています。
外向的な人は、人との交流を好む傾向があるため、人との距離を保つことに抵抗を感じるのかもしれません。
一方、外向性が低い人は、もともと人付き合いが少ない傾向があるため、社会的距離の確保を比較的容易に実践できるのかもしれません。
ただし、この結果は、あくまで参加者の主観的な回答に基づいています。 実際の行動を観察したわけではないため、結果の解釈には注意が必要です。
それでも、外向性と社会的距離の確保の関連を示唆する興味深い結果だといえるでしょう。
外向的な人は社交的で人との接触を好む傾向がある
外向的な人は、社交的で活発な性格を持ち、人との接触を好む傾向があります。 外向性の高い人は、以下のような特徴を持っていることが知られています。
- パーティーなどの社交的な場を楽しむ
- 新しい人との出会いを好む
- 人前で話すことを得意とする
- 注目されることを好む
- 刺激的な経験を求める
このような特徴を持つ外向的な人にとって、社会的距離の確保は、自然な行動スタイルに反する行為なのかもしれません。
人との接触を制限することで、ストレスを感じやすくなる可能性があります。 また、外向的な人は、人との交流を通じてエネルギーを得る傾向があります。
社会的距離の確保によって、そのエネルギー源が失われることで、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
ただし、外向性はあくまで性格特性の一つに過ぎません。 外向的な人の中にも、感染対策の重要性を理解し、実践している人は多いはずです。
感染対策に関するよくある質問
外向的な人は必ず感染対策を怠るのでしょうか?
外向的な人でも感染対策を実践している人は多くいます。性格特性は傾向を示すものであり、個人の意識や理解によって行動は変わります。外向的な人も感染リスクを理解すれば適切な対策を取ることができます。
誠実性が低い人は手洗いを全くしないのでしょうか?
誠実性が低い人でも基本的な衛生習慣は持っています。ただし、こまめな手洗いや細かい感染対策の継続には、誠実性の高い人より困難を感じる可能性があります。習慣化や環境設定でカバーできます。
性格特性を変えることで感染対策は向上するのでしょうか?
性格特性自体は変えることが困難ですが、自分の特性を理解することで対策方法を工夫できます。外向的な人はオンライン交流を活用し、誠実性の低い人は自動化やリマインダーを使うなど、工夫次第で改善可能です。
感染対策への取り組み方に性格以外で影響する要因はありますか?
年齢、教育レベル、職業、健康状態、家族構成、経済状況など多くの要因が影響します。また、メディアからの情報や周囲の人の行動、住んでいる地域の感染状況なども重要な影響要因となります。
この研究結果は日本人にも当てはまるのでしょうか?
この研究はブラジル人を対象としているため、文化や社会的背景が異なる日本人に直接当てはめるには注意が必要です。ただし、基本的な性格特性と行動の関連性については、一定の普遍性があると考えられます。






