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完璧主義の性格は2種類?特徴や向き合い方を科学的に解説

    完璧主義

    完璧主義は、自分自身に高い基準を設定し、完璧であることを求める性格特性です。

    一見すると、完璧主義は良い特性のように思えるかもしれません。

    しかし、完璧主義には「完璧性追求」と「完璧性懸念」という2つの側面があり、それぞれが適応的な面と不適応的な面を持っているのです。

    最近の研究「Multidimensional Perfectionism and the Big Five Personality Traits: A Meta-Analysis」では、この完璧主義の2側面とビッグファイブ性格特性(開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向)との関連性が明らかになりました。

    完璧主義の適応的な側面と不適応的な側面を理解することは、私たちの心理的健康と適応を考える上で重要です。

    この記事では、完璧主義の2側面の特徴とビッグファイブ性格特性との関連性について詳しく解説していきます。

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。

    ※MBTI診断よりも科学的な性格診断は、こちらのHEXACO(ヘキサコ)診断!ビッグファイブに新しく1つの指標を追加して、性格のダークさ(サイコパスなど)がわかるようになりました。

    完璧主義とは?2つの側面を理解しよう

    完璧主義の定義

    完璧主義とは、自分自身に非常に高い基準を設定し、完璧であろうとする性格特性のことです。
    一般的に、以下の2つの側面に分けられます。

    • 完璧性追求:自分自身に高い目標を設定し、完璧であることを重視する側面
    • 完璧性懸念:失敗を恐れ、自分の能力に疑問を持ち、他者からの期待に応えようとする側面

    完璧主義はポジティブな面とネガティブな面の両方を持ち合わせており、その強さや現れ方は個人によって異なります。
    適度な完璧主義は目標達成を助ける一方で、極端な完璧主義は心理的な苦痛をもたらす可能性があるのです。

    完璧性追求の特徴

    完璧性追求は、自分自身に高い基準を設定し、完璧を目指す完璧主義の側面です。
    以下のような特徴があります。

    • 自分自身に非常に高い目標や基準を設定する
    • 完璧であることを重要視し、最高の結果を求める
    • 努力を惜しまず、粘り強く目標に向かって取り組む

    完璧性追求は、目標達成や自己成長を促進する適応的な側面もありますが、行き過ぎると過度のストレスや疲労を引き起こす可能性もあります。
    自分自身に対する高い期待は、モチベーションを高める一方で、現実的な目標設定も重要だと言えるでしょう。

    完璧性懸念の特徴

    完璧性懸念は、失敗への恐れや自分の能力への疑念を特徴とする、完璧主義の不適応的な側面です。
    これは以下のような特徴があります。

    • 失敗することへの強い恐れや不安を持つ
    • 自分の能力や実績に満足できず、常に疑問を抱く
    • 他者からの評価や期待に敏感で、それに応えようと力む

    完璧性懸念は、自己評価の低さや絶えざる不安と関連しており、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。
    自分自身に非現実的な期待を課し、失敗を過度に恐れることで、挑戦する機会を逃したり、ストレスを蓄積させたりしてしまうのです。

    完璧主義の2側面は異なる性質を持つ

    2つの側面、完璧性追求と完璧性懸念は、異なる性質を持っていることが研究により示されています。
    完璧性追求は、以下のような適応的な特徴と関連しています。

    • 高い目標設定と達成動機
    • 粘り強さと自己規律性
    • ポジティブな感情体験

    一方、完璧性懸念は以下のような不適応的な特徴と関連しています。

    • 失敗への過度な恐れと不安
    • 自己評価の低さと自信のなさ
    • ネガティブな感情体験

    このように、完璧主義の2側面は異なる性質を持ち、私たちの心理的健康や適応に異なる影響を与える可能性があるのです。

    完璧主義とビッグファイブ性格特性の関係

    ビッグファイブ性格特性とは

    ビッグファイブ性格特性は、人格を5つの主要な次元で捉える、心理学における代表的な性格モデルです。
    以下の5つの性格特性から構成されています。

    • 開放性:知的好奇心、創造性、感受性の高さを表す
    • 誠実性:勤勉さ、規律性、責任感の強さを表す
    • 外向性:社交性、活発さ、積極性の高さを表す
    • 協調性:思いやり、協調性、温和さの高さを表す
    • 神経症傾向:情緒不安定性、不安感、ストレスへの脆弱性を表す

    ビッグファイブ性格特性は、人格の基本的な構造を理解するための枠組みとして広く用いられており、様々な行動や適応との関連が研究されています。

    誠実性と完璧性追求の強い正の関連

    完璧性追求は、ビッグファイブ性格特性の中でも特に誠実性と強い正の関連があることが示されています。
    誠実性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 目標達成に向けた強い動機づけ
    • 自己規律性と計画性の高さ
    • 勤勉さと粘り強さ

    完璧性追求と誠実性は、ともに高い目標設定と達成への強い動機づけを共有しており、正の関連を示すと考えられます。
    完璧性追求が高い人は、自己規律的で勤勉であり、目標達成に向けて粘り強く取り組む傾向があるのです。

    開放性と完璧性追求の弱い正の関連

    完璧性追求は、ビッグファイブ性格特性の開放性とも弱い正の関連があることが報告されています。
    開放性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 知的好奇心の高さ
    • 新しいアイデアや経験への積極性
    • 創造性と想像力の豊かさ

    完璧性追求と開放性の正の関連は、新しいアイデアを取り入れ、より良い結果を目指す姿勢と関連しているのかもしれません。
    ただし、この関連は比較的弱く、完璧性追求と開放性の関係性については更なる研究が必要とされています。

    外向性と完璧性追求の弱い正の関連

    完璧性追求は、ビッグファイブ性格特性の外向性とも弱い正の関連が見られることがあります。
    外向性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 社交性の高さ
    • 積極性とアクティブさ
    • 自己表現力の高さ

    完璧性追求と外向性の弱い正の関連は、目標達成に向けて積極的に行動する姿勢を反映しているのかもしれません。
    ただし、この関連性は一貫しておらず、研究によっては関連が見られないこともあります。
    完璧性追求と外向性の関係性は、状況や個人差によって異なる可能性があると考えられています。

    協調性と完璧性追求には関連なし

    完璧性追求は、ビッグファイブ性格特性の協調性とは関連がないことが示唆されています。
    協調性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 他者への思いやりと共感性
    • 協力的で調和的な対人関係
    • 寛容さと柔軟性

    完璧性追求は、自分自身の目標達成に焦点を当てる傾向があるため、他者との協調性とは直接的な関連がないのかもしれません。
    ただし、極端な完璧性追求は、他者との関係性に悪影響を及ぼす可能性もあります。
    適度な完璧性追求と協調性のバランスを保つことが、健全な人間関係の構築に役立つと考えられます。

    神経症傾向と完璧性懸念の強い正の関連

    完璧性懸念は、ビッグファイブ性格特性の神経症傾向と強い正の関連があることが一貫して示されています。
    神経症傾向の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 情緒的な不安定性
    • ストレスや不安への脆弱性
    • ネガティブな感情体験の多さ

    完璧性懸念と神経症傾向は、失敗への恐れや自己評価の低さ、ネガティブな感情体験を共有しています。
    完璧性懸念が高い人は、情緒的に不安定で、ストレスに脆弱である傾向があります。
    この強い関連性は、完璧性懸念の不適応的な性質を反映していると考えられます。

    外向性と完璧性懸念の負の関連

    完璧性懸念は、ビッグファイブ性格特性の外向性と負の関連があることが報告されています。
    外向性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 社交性と積極性の高さ
    • ポジティブな感情体験の多さ
    • 自己表現力の高さ

    完璧性懸念が高い人は、失敗への恐れや他者評価への過敏さから、社交的な場面を避ける傾向があるのかもしれません。
    また、完璧性懸念に伴うネガティブな感情体験は、外向的な行動を抑制する可能性があります。
    完璧性懸念と外向性の負の関連は、完璧主義のネガティブな側面が社会的な適応に影響を与えることを示唆しています。

    協調性と完璧性懸念の負の関連

    完璧性懸念は、ビッグファイブ性格特性の協調性とも負の関連があることが示されています。
    協調性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 他者への思いやりと共感性
    • 協力的で調和的な対人関係
    • 寛容さと柔軟性

    完璧性懸念が高い人は、他者からの評価や期待に過剰に敏感であるため、対人関係において緊張や葛藤を経験しやすいのかもしれません。
    また、自己評価の低さや失敗への恐れは、他者との協調的な関係の構築を難しくする可能性があります。
    完璧性懸念と協調性の負の関連は、完璧主義の不適応的な側面が対人関係に悪影響を及ぼす可能性を示唆しています。

    誠実性と完璧性懸念の負の関連

    完璧性懸念は、ビッグファイブ性格特性の誠実性とも負の関連があることが報告されています。
    誠実性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 勤勉さと自己規律性
    • 責任感の強さ
    • 計画性と持続性

    完璧性懸念が高い人は、失敗への恐れや自信のなさから、物事を先延ばしにしたり、計画通りに実行できなかったりする傾向があるのかもしれません。
    また、完璧性懸念に伴うストレスや不安は、効率的な課題遂行を妨げる可能性があります。
    完璧性懸念と誠実性の負の関連は、完璧主義のネガティブな側面が目標達成や自己管理に影響を与えることを示唆しています。

    開放性と完璧性懸念の弱い負の関連

    完璧性懸念は、ビッグファイブ性格特性の開放性とも弱い負の関連があることが示唆されています。
    開放性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 知的好奇心の高さ
    • 新しいアイデアや経験への積極性
    • 創造性と想像力の豊かさ

    完璧性懸念が高い人は、失敗への恐れから新しいことに挑戦することを避ける傾向があるのかもしれません。
    また、完璧性懸念に伴う柔軟性の低さは、新しいアイデアの受け入れを難しくする可能性があります。
    ただし、この関連性は比較的弱く、完璧性懸念と開放性の関係性については更なる研究が必要とされています。

    完璧主義の2側面の共通点と相違点

    完璧主義の2側面に共通する自己評価の否定的側面

    2つの側面、完璧性追求と完璧性懸念には、自己評価の否定的な側面が共通して見られます。
    完璧性追求が高い人は、以下のような特徴を示すことがあります。

    • 自分の成果に満足できない
    • 失敗に対する過度の自己批判
    • 自己価値が達成度に依存する

    一方、完璧性懸念が高い人は、以下のような特徴を示します。

    • 自分の能力への疑念と不安
    • 失敗への極度の恐れ
    • 他者からの評価への過敏さ

    両側面に共通するのは、完璧でない自分を受け入れることの難しさです。
    この自己評価の否定的な側面は、完璧主義者の心理的な苦痛や不適応の原因となる可能性があります。

    完璧性追求は主に誠実性の高さと関連

    完璧性追求は、ビッグファイブ性格特性の中でも特に誠実性と強く関連していることが明らかになっています。

    誠実性の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 勤勉さと自己規律性
    • 目標達成に向けた強い動機づけ
    • 計画性と持続性

    自分自身に高い基準を設定し、その達成に向けて真摯に取り組む傾向があります。 この特徴は、誠実性の側面と重なる部分が多いと考えられます。

    完璧性追求と誠実性の強い関連は、完璧主義のポジティブな側面が目標達成や自己成長に寄与する可能性を示唆しています。

    完璧性懸念は主に神経症傾向の高さと関連

    ビッグファイブ性格特性の中でも特に神経症傾向と強く関連していることが示されています。 神経症傾向の高さは以下のような特徴と関連しています。

    • 情緒的な不安定性
    • ストレスや不安への脆弱性
    • ネガティブな感情体験の多さ

    完璧性懸念が高い人は、失敗への極度の恐れや自己評価の低さを示し、情緒的に不安定である傾向があります。

    この特徴は、神経症傾向の側面と重なる部分が多いと考えられます。 完璧性懸念と神経症傾向の強い関連は、完璧主義のネガティブな側面がメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性を示唆しています。

    2側面の関連性のパターンの違いが区別の根拠に

    完璧主義の2つの側面、完璧性追求と完璧性懸念は、ビッグファイブ性格特性との関連性のパターンが異なることが明らかになっています。

    この違いが、2側面を区別する根拠の1つとなっています。 完璧性追求は主に以下の性格特性と正の関連を示します。

    • 誠実性(強い正の関連)
    • 開放性(弱い正の関連)
    • 外向性(弱い正の関連)

    一方、完璧性懸念は主に以下の性格特性と関連しています。

    • 神経症傾向(強い正の関連)
    • 外向性(負の関連)
    • 協調性(負の関連)
    • 誠実性(負の関連)

    このように、完璧主義の2側面は、パーソナリティの基本的な構造であるビッグファイブ性格特性との関連性が大きく異なっているのです。

    この知見は、完璧主義の適応的な側面と不適応的な側面を理解する上で重要な手がかりとなります。

    完璧主義の適応的な側面と不適応的な側面

    完璧性追求のプラスの側面

    適応的な側面を持っており、目標達成や自己成長に寄与する可能性があります。 完璧性追求のプラスの側面には、以下のようなものがあります。

    • 高い目標設定と達成動機
    • 粘り強さと自己規律性
    • ポジティブな感情体験

    完璧性追求が高い人は、自分自身に高い基準を設定し、その達成に向けて真摯に取り組む傾向があります。 この特徴は、目標達成や自己成長を促進する可能性があります。

    また、完璧性追求に伴うポジティブな感情体験は、well-beingの向上に寄与するかもしれません。

    完璧性追求のマイナスの側面

    適応的な側面を持つ一方で、マイナスの側面も存在します。 完璧性追求のマイナスの側面には、以下のようなものがあります。

    • 過度の自己批判
    • 達成度に依存した自己価値
    • 柔軟性の低さ

    完璧性追求が極端に高い場合、自分の成果に満足できず、過度の自己批判に陥る可能性があります。

    また、自己価値が達成度に依存することで、失敗に脆弱になるかもしれません。

    加えて、完璧性追求に伴う柔軟性の低さは、変化への適応を難しくする可能性があります。

    完璧性懸念の主に不適応的な性質

    主に不適応的な性質を持っており、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。 完璧性懸念の不適応的な性質には、以下のようなものがあります。

    • 失敗への極度の恐れ
    • 自己評価の低さと自信のなさ
    • ネガティブな感情体験

    完璧性懸念が高い人は、失敗することへの強い恐れや不安を抱え、自分の能力に疑念を持つ傾向があります。

    また、他者からの評価に過剰に敏感であり、ネガティブな感情体験が多くなります。

    これらの特徴は、不安や抑うつなどのメンタルヘルス問題につながる可能性があります。

    完璧主義の2側面のバランスが重要

    適応的な側面と不適応的な側面のバランスを保つことが、心理的な健康と適応にとって重要です。

    完璧性追求と完璧性懸念のバランスを保つためには、以下のような点に留意することが大切です。

    • 現実的な目標設定
    • 失敗を学びの機会ととらえる
    • 自分自身への思いやりと寛容さ
    • ストレスマネジメント

    完璧性追求が高い場合でも、完璧性懸念が低ければ、適応的な側面が優勢になる可能性があります。

    一方、完璧性懸念が高い場合は、完璧性追求の適応的な影響が打ち消されてしまうかもしれません。

    完璧主義の2側面のバランスを意識し、適応的な側面を伸ばしながら、不適応的な側面をコントロールすることが重要なのです。

    まとめ:完璧主義の理解を深めるために

    完璧主義の2側面と性格特性の関連を知ることの意義

    2つの側面、完璧性追求と完璧性懸念が、ビッグファイブ性格特性とどのように関連しているかを理解することは、完璧主義の適応的な側面と不適応的な側面を知る上で重要な意味を持ちます。

    完璧性追求は主に誠実性と関連しており、目標達成や自己成長に寄与する可能性があります。

    一方、完璧性懸念は神経症傾向と強く関連しており、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。

    完璧主義の2側面と性格特性の関連を知ることで、以下のような示唆が得られます。

    • 完璧主義の適応的な側面を伸ばすためのアプローチ
    • 完璧主義の不適応的な側面へのケアの必要性
    • 完璧主義者の個人差の理解

    完璧主義の2側面と性格特性の関連を踏まえることで、完璧主義者の心理的健康と適応を促進するための方策を考えることができるのです。

    ※この記事は以下の本に掲載された論文を参考に執筆しています。

    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。