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性犯罪者になりやすい性格とは?心理学の論文をもとに解説

    ダークテトラッド、性犯罪者

    性犯罪者や一般の犯罪者にはどのような性格の特徴があると思いますか?

    また、子供の頃に虐待を受けた経験は、大人になってからの性格にどのような影響を与えるのでしょうか?

    スペインの研究チームが行った「A controlled study of the Big Five personality dimensions in sex offenders, non-sex offenders and non-offenders: relationship with offending behaviour and childhood abuse」という研究では、これらの疑問に答えるための調査が行われました。

    性犯罪者、性犯罪以外の犯罪者、そして一般の男性を対象に、性格検査を行って比較したところ、興味深い結果が明らかになりました。

    また、子供時代の虐待経験が、その後の性格形成にどのように影響するのかについても分析されています。

    この記事では、犯罪者の性格の特徴や、子供時代の虐待が性格に与える影響について、わかりやすく解説していきたいと思います。

    犯罪の背景にある心理的要因を知ることは、犯罪の予防や、犯罪者の更生支援を考える上で、とても重要なことなのです。

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。

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    目次

    性犯罪者、非性犯罪者、一般男性の性格特性を比較

    スペインの刑務所の性犯罪者と一般男性を対象に調査

    この研究は、スペインの刑務所に収監されている犯罪者と一般男性を対象にしています。
    調査に参加したのは以下の4つのグループでした。

    • 小児性愛者32人
    • 成人に対する性犯罪者26人
    • 非性犯罪者31人
    • 一般男性の対照群42人

    合計131人の男性が研究に協力しました。
    参加者の年齢は21歳から66歳までで、平均年齢は40.56歳でした。
    学歴については、一般男性の対照群の方が犯罪者グループよりも平均して高い傾向にありました。
    それ以外の社会人口統計学的変数には、グループ間で有意な差は見られませんでした。
    この研究は、異なるタイプの犯罪者と一般男性の性格特性を比較することを目的としています。

    性犯罪者の性格を評価する「NEO-FFI人格目録」

    性格特性の評価には、NEO-FFI人格目録が用いられました。
    NEO-FFIは、コスタとマクレーによって開発された、パーソナリティ5因子モデルに基づく尺度です。
    60項目からなる自記式の質問紙で、以下の5つの性格特性を測定します。

    • 神経症傾向:情緒不安定さと否定的感情の経験しやすさ
    • 外向性:他者との積極的な交流や刺激の追求
    • 開放性:美的感受性や想像力、新奇性の追求
    • 協調性:他者への共感性と敵意性のバランス
    • 誠実性:目標志向的行動の統制と持続性

    今回の研究ではスペイン語版のNEO-FFIが使用され、十分な信頼性と妥当性が確認されています。
    NEO-FFIによって、参加者の性格特性が多面的に評価されました。

    児童期の虐待歴は簡単な面接で確認

    参加者の児童期における虐待の経験は、簡単な面接によって確認されました。
    まず、参加者に「子供の頃に虐待を受けた経験があるか」を尋ねました。
    「ある」と答えた場合、具体的にどのような虐待だったかを以下の選択肢から選んでもらいました。

    • 性的虐待
    • 身体的虐待
    • 心理的虐待とネグレクト

    面接官が選択肢を提示し、参加者がそれに該当する体験をしたか否かを口頭で報告する形式でした。
    虐待の経験が1つでもあると報告した参加者は「虐待あり群」、1つも報告しなかった参加者は「虐待なし群」に分類されました。
    ただし、この面接法については、詳細な虐待歴の聴取という点で限界があると考えられます。
    虐待の有無の評価を、参加者の自己報告に頼らざるを得なかったのも、研究の限界点の1つといえるでしょう。

    性犯罪者群と一般男性の性格の違い

    神経症傾向は全ての犯罪者群で一般男性より高かった

    分散分析の結果、神経症傾向は全ての犯罪者群で一般男性よりも有意に高いことが示されました。

    神経症傾向とは、情動が不安定で、しばしば否定的な感情を経験しやすい特徴のことです。

    つまり、犯罪者は一般男性よりも、ストレスへの耐性が低く、不安感が強い傾向にあるといえます。

    この結果は、先行研究で指摘されている「犯罪者の特徴としての神経症傾向の高さ」を支持するものでした。

    また、神経症傾向のスコアは、小児性愛者、成人への性犯罪者、非性犯罪者の間で有意な差は見られませんでした。

    つまり、神経症傾向の高さは、性犯罪か否かに関わらず、犯罪行動全般に関連する性格特性と考えられます。

    犯罪者の更生プログラムでは、神経症傾向への配慮が欠かせないでしょう。

    性犯罪者群は一般男性よりも外向性が低かった

    外向性は、性犯罪者群で一般男性よりも有意に低い傾向が見られました。

    これは、小児性愛者と成人に対する性犯罪者の両方に共通する特徴でした。

    外向性とは、他者と積極的にかかわり、刺激や興奮を求める傾向のことです。

    外向性が低いということは、内向的で他者との交流を避ける傾向が強いということです。

    先行研究でも、性犯罪者の対人スキルの乏しさが指摘されています。

    今回の結果は、そうした特徴が外向性の低さという性格面に表れていることを示唆しています。

    一方、非性犯罪者の外向性は、性犯罪者群よりは高く、一般男性との有意差は見られませんでした。

    つまり、外向性の低さは性犯罪に特有の性格特性である可能性が高いといえるでしょう。

    非性犯罪者群は一般男性よりも協調性が低かった

    協調性については、非性犯罪者群が一般男性よりも有意に低いことが明らかになりました。

    この特性は、他者への共感性と思いやりを示す特性です。

    協調性が低いと、他者を思いやることが苦手で、対立的になりやすい傾向があります。

    非性犯罪者の中には、暴力犯罪者や薬物犯罪者など、反社会的行動をとる人が多く含まれています。

    彼らに協調性の低さが見られたのは、そうした反社会的な特徴を反映しているのかもしれません。

    興味深いのは、性犯罪者群の協調性は、非性犯罪者ほど低くなく、一般男性との差も有意ではなかったことです。

    非性犯罪と性犯罪では、加害者の対人態度やその障害に違いがある可能性が示唆されました。

    犯罪者の処遇を考える上で、犯罪類型による性格特性の違いを考慮する必要がありそうです。

    小児性愛者と成人への性犯罪者の性格特性に差はなかった

    小児性愛者と成人に対する性犯罪者の間では、5つの性格特性のいずれにおいても有意な差は見られませんでした。

    このことから、被害者の年齢の違いは、性犯罪者の性格特性には大きな影響を与えないことが分かります。

    両者に共通して、神経症傾向の高さと外向性の低さが認められました。

    この結果は、性犯罪者の処遇を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

    つまり、被害者の年齢に関わらず、性犯罪者に対しては同様のアプローチが有効である可能性が高いのです。

    ただし、サンプルサイズが小さいことから、今後さらなる検証が必要でしょう。

    また、被害者の性別など、他の要因による性格特性の違いについても検討の余地があります。

    性犯罪者の特性理解と処遇に向けて、より詳細な研究が求められます。

    児童期の虐待経験が性格特性に影響していた

    児童期に虐待を受けた人は神経症傾向が高かった

    虐待経験(児童期)と性格特性の関連を分析したところ、虐待を受けた人は神経症傾向が有意に高いことが示されました。

    虐待を受けた群と受けていない群で神経症傾向のスコアを比べると、虐待群の方が有意に高かったのです。

    神経症傾向は情緒の不安定さを表す特性ですから、この結果は納得できるものです。

    虐待という心的外傷体験が、情緒面の脆弱性を高めるのでしょう。

    この傾向は、性犯罪者、非性犯罪者、一般男性のいずれにおいても同様に見られました。

    つまり、虐待の影響は、犯罪行動の有無に関わらず、普遍的なものだといえます。

    ただし、非性犯罪者では、虐待と神経症傾向の関連がとくに強く認められるという結果も得られています。

    虐待体験が人格形成に与える影響のメカニズムについては、より詳しい検討が必要でしょう。

    児童期に虐待を受けた人は開放性も高かった

    神経症傾向と並んで、開放性も児童期虐待の影響を受けやすい特性であることが分かりました。

    虐待群は非虐待群よりも、開放性のスコアが有意に高かったのです。

    開放性とは、新奇なものへの関心の高さや進取的態度を表す特性です。

    一見、虐待体験とは関連が薄そうに思えるかもしれません。

    しかし、虐待を受けた人の中には、独特の価値観を持つ人が少なくないことが知られています。

    常識にとらわれない想像力や、既成の価値への懐疑心は、開放性の高さとつながっているのかもしれません。

    あるいは、虐待体験から生じるPTSD症状が、開放性の一部と重なっている可能性もあります。

    いずれにしても、虐待が人格に及ぼす影響の複雑さがうかがえる結果だといえるでしょう。

    虐待の性格への影響を考える際には、さまざまな角度からの検討が欠かせません。

    外向性、協調性、誠実性は児童期虐待の影響を受けなかった

    児童期の虐待経験は、外向性、協調性、誠実性という3つの性格特性には有意な影響を与えていませんでした。

    虐待群と非虐待群の間で、これらの特性のスコアに有意差は見られなかったのです。

    外向性は他者との交流の積極性、協調性は対人関係の円滑さ、誠実性は物事への誠実で勤勉な態度を表します。

    これらは、どちらかというと社会適応に関わる性格の側面だといえます。

    一方、神経症傾向と開放性は、どちらかというと個人の内的な感情や思考の特徴に関わる特性です。

    つまり、虐待経験は、外界とのかかわり方よりも、内的な心理的問題に強く影響するのかもしれません。

    ただし、これらの特性に虐待の影響が見られなかったのは、本研究の対象者の特性による可能性もあります。

    一般サンプルを対象に、より大規模な調査を行うことで、また違った結果が得られるかもしれません。

    非性犯罪者で児童期虐待と神経症傾向の関連が特に強かった

    児童期の虐待経験と神経症傾向の関連は、非性犯罪者群で特に顕著でした。

    非性犯罪者の中では、虐待を受けた人と受けていない人の神経症傾向の差が、他の群よりも大きかったのです。

    性犯罪者や一般男性でも、虐待群の神経症傾向は非虐待群よりも高い傾向にありましたが、統計的に有意ではありませんでした。

    非性犯罪者に特徴的なのは、その多くが反復的に粗暴犯罪に及んでいる点です。

    虐待によって高められた神経症傾向が、反社会的行動のリスクをさらに高めている可能性があります。

    ただし、本研究のサンプルサイズが小さいことから、この結果の一般化には注意が必要です。

    非性犯罪者の特性をより詳細に検討するためには、暴力犯罪者と非暴力犯罪者を分けた分析も必要でしょう。

    虐待が非性犯罪のリスクを高めるメカニズムの解明が求められます。

    性犯罪者の研究意義と限界

    5因子モデルを使い対照群を設けた点で先行研究を改善

    本研究は、性格特性の評価にパーソナリティ5因子モデルを用いた点で先行研究の限界を克服しています。
    犯罪者の性格を多面的に評価することができたのは、この尺度を使用した成果だといえます。
    また、一般男性を対照群として設定したことで、犯罪者に特有の性格特性を浮き彫りにすることに成功しました。
    これまでの多くの研究では、性犯罪者と非性犯罪者の比較にとどまっていましたが、本研究によって一般男性との違いが明らかになりました。

    研究デザインの工夫によって、犯罪と性格の関連について、より確かな知見が得られたのです。 一方で、本研究にはいくつかの方法上の限界も存在します。 以下の点を踏まえつつ、結果の解釈には慎重を期する必要があります。

    • サンプルサイズが比較的小さい
    • 児童期虐待歴の評価方法が簡易的
    • 暴力性の程度による犯罪者の分類がない

    本研究は、これらの課題を克服し、知見をさらに発展させる契機となることが期待されます。 犯罪と性格、虐待体験の関連の全容解明に向けて、より精緻な研究の積み重ねが求められているのです。

    犯罪者の性格の特徴を理解するのに役立つ知見

    本研究の結果は、犯罪者の性格特性について、重要な示唆を与えてくれます。

    まず、神経症傾向の高さが犯罪者に共通する特徴であることが浮き彫りになりました。 情緒の不安定さと否定的感情への傾きやすさが、犯罪リスクを高めている可能性があるのです。

    また、性犯罪者には外向性の低さ、非性犯罪者には協調性の低さという特徴が見られました。 犯罪の種類によって、関連する性格特性が異なることが示唆されたといえます。

    これらの知見は、犯罪者の理解とアセスメント、処遇計画の立案に役立つはずです。 犯罪者の更生と再発防止を考える上で、性格特性への配慮は欠かせません。

    その意味で、本研究の成果は、実践的にも大きな意義を持つといえるでしょう。 ただし、本研究はあくまで相関関係を示したにすぎないことにも留意が必要です。

    性格と犯罪の因果関係を明らかにするためには、さらなる研究の蓄積が求められます。

    児童期虐待が性格に与える影響の理解が深まった

    本研究は、児童期の虐待体験が成人の性格特性に及ぼす影響について、重要な知見をもたらしました。

    虐待を受けた人は、神経症傾向と開放性が高くなる傾向があることが示されたのです。

    この結果は、虐待の心理的影響の深刻さを物語っています。 虐待によるトラウマが、情緒の不安定さや不適応な認知・行動パターンを生み出すのでしょう。

    また、虐待体験者に見られる開放性の高さは、独特の価値観の形成を示唆しているのかもしれません。 虐待は、性格形成に複雑な影響を及ぼすことが浮き彫りになったといえます。

    この知見は、虐待の臨床的理解を深める上で重要な意味を持ちます。

    虐待の影響を考慮に入れたアセスメントと介入が求められるでしょう。

    ただし、本研究の虐待評価は、簡易的な面接によるものでした。

    より詳細な虐待歴の聴取と、客観的な裏付けが必要だと思われます。

    虐待の性格への影響をさらに解明するには、研究方法の改善が欠かせません。

    サンプルサイズが小さいのが研究の限界点

    本研究の最大の限界は、サンプルサイズの小ささにあります。

    各群の人数は26人から42人程度にとどまっており、統計的検出力の不足が懸念されます。

    サンプルサイズが小さいと、偶然に有意な差が出にくくなるのです。

    つまり、本研究で有意差が認められなかった性格特性についても、サンプル数を増やせば差が出る可能性は十分にあります。 また、今回の知見の一般化可能性にも限界があるでしょう。

    対象者の属性や地域性など、さまざまなバイアスが結果に影響している恐れがあるのです。

    本研究の結果を確かなものにするには、より大規模な追試研究が不可欠だといえます。

    多様な地域や年齢層、民族性を含む大標本を対象とした調査が求められます。

    サンプルサイズの制約は、本研究の価値を大きく損ねるものではありませんが、知見の頑健性を高める努力は欠かせません。 今後の研究の発展が期待されます。

    児童期虐待歴の評価方法ももっと詳細であるべき

    本研究の児童期虐待歴の評価は、簡易的な面接によるものでした。

    この方法では、虐待の詳細な内容や頻度、期間などを十分に把握できていない可能性があります。

    また、回顧的な自己報告であるために、記憶の歪みや防衛機制の影響を受けやすいという問題もあります。

    虐待体験が性格に及ぼす影響を正確に理解するには、より詳細で客観的な虐待歴の評価が求められるでしょう。 今後の研究では、虐待の種類や重症度を考慮に入れた評価法の採用が望まれます。

    公的記録の参照や、複数の情報源からのデータ収集も有用だと考えられます。

    さらに、虐待の時期や加害者との関係性など、虐待体験の質的な側面にも目を向ける必要があります。

    虐待の影響は、単にその有無だけでなく、状況の違いによっても異なるはずだからです。

    虐待評価の精度を高めることは、性格との関連の理解を深める上で不可欠な課題だといえるでしょう。

    本研究の限界を踏まえつつ、評価法の改善に向けた取り組みが期待されます。

    暴力犯罪者と非暴力犯罪者は区別して検討する必要がある

    本研究では、非性犯罪者を一括りにして扱っていましたが、より細分化した検討が求められます。

    特に、暴力犯罪者と非暴力犯罪者は区別して分析する必要があるでしょう。

    暴力性の有無は、犯罪者の性格特性に大きな影響を与えると考えられるからです。

    先行研究によれば、暴力犯罪者は非暴力犯罪者よりも、協調性と誠実性が低く、敵意性が高い傾向があります。

    本研究の非性犯罪者群には、暴力犯罪者も非暴力犯罪者も含まれていたため、このような違いが見えにくくなった可能性があります。

    暴力性の程度による下位分類を行えば、非性犯罪者の性格特性がより明確になるかもしれません。

    また、暴力と関連の深い性格特性、例えば衝動性や共感性の欠如なども、評価に加える必要があるでしょう。 犯罪と性格の関連を探る上で、暴力性の要因は無視できません。

    非性犯罪者の特性をより詳細に理解するには、研究デザインの工夫が欠かせないのです。

    まとめ:性犯罪者と非性犯罪者の性格特性の違い

    犯罪者全般の特徴は神経症傾向の高さ

    本研究の結果から、犯罪者に共通する性格特性として、神経症傾向の高さが浮き彫りになりました。

    神経症傾向は、情緒の不安定さと否定的感情の経験しやすさを表す特性です。 ストレス耐性の低さや不安感の強さが、犯罪リスクにつながっている可能性が示唆されたのです。

    この傾向は、性犯罪者でも非性犯罪者でも変わりませんでした。 犯罪者の更生を支援する上で、神経症傾向への配慮が欠かせないことが分かります。

    情緒面の安定を図るための心理的アプローチが求められるでしょう。

    本研究は、犯罪者の理解とアセスメント、処遇計画の立案に役立つ重要な知見を提供しています。

    犯罪と性格の関連について、より確かな理解が得られたといえるのです。

    性犯罪者は外向性が低く、非性犯罪者は協調性が低い

    性犯罪者と非性犯罪者の性格特性の違いも明らかになりました。

    一般男性よりも性犯罪者は外向性が低い傾向にありました。

    外向性の低さは、内向的で他者との交流を避ける傾向の表れです。 性犯罪者の対人スキルの乏しさを反映した結果だと考えられます。

    一方、非性犯罪者は、一般男性よりも協調性が低いことが示されました。

    協調性の低さは、他者への共感性の乏しさと敵意性の高さを意味します。

    非性犯罪者の中に、反社会的な傾向を示す者が多いことが背景にあるのかもしれません。

    本研究は、性犯罪と非性犯罪では、関連する性格特性が異なる可能性を示唆しています。

    犯罪類型に応じた処遇の必要性が浮き彫りになったといえるでしょう。

    児童期虐待は神経症傾向と開放性を高める影響あり

    本研究のもう1つの重要な知見は、児童期の虐待体験が成人の性格に及ぼす影響です。

    虐待を受けた群は、そうでない群よりも、神経症傾向と開放性が高いことが示されました。

    虐待によるトラウマが、情緒の不安定さや不適応な認知・行動パターンを生み出すのでしょう。

    また、虐待体験者の開放性の高さは、一般的価値観からの逸脱を示唆しているのかもしれません。 虐待が性格形成に複雑な影響を及ぼすことが浮き彫りになったのです。

    この知見は、虐待の臨床的理解を深める上で重要な意味を持ちます。 虐待の影響を考慮に入れたアセスメントと介入が求められることが分かります。

    本研究は、虐待と性格の関連について、重要な示唆を与えてくれました。 ただし、虐待体験の評価法など、研究方法の改善の余地は残されています。

    虐待の性格への影響の全容解明に向けて、さらなる研究の発展が期待されます。

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    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。