コンテンツへスキップ
ホーム » 性格診断ラボ » 男女の違いの原因は文化ではなく進化の結果!論文紹介

男女の違いの原因は文化ではなく進化の結果!論文紹介

    男女の違いの原因、進化

    男女の違いの原因は何でしょうか。性格の違いは、生まれつきのものなのでしょうか。

    それとも、社会や文化の影響なのでしょうか。実は、この問題について、ある興味深い研究が行われています。

    Why Can’t a Man Be More Like a Woman? Sex Differences in Big Five Personality Traits Across 55 Cultures」という論文では、世界55カ国、1万7千人以上を対象に、性格の男女差を調査しました。

    その男女差の大きさは国によって異なっていました。豊かで平等な社会ほど、性格の男女差が大きくなる傾向があったのです

    この結果は、一見すると逆説的に感じられます。なぜ、平等な社会ほど男女の性格の違いが際立つのでしょうか。

    この記事では、この研究で明らかになった性格の男女差の文化差について詳しく解説します。

    また、その原因について、社会的役割説や進化心理学の視点から考察します。男女の違いの原因に迫りましょう。

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
    HEXACO-JP性格診断を開発しました!MBTIより科学的根拠があります。詳細は以下タップしてください。

    目次

    男女の違いの原因:どの程度普遍的なのか

    多くの国で女性の方が神経症傾向、外向性、協調性、誠実性が高い

    世界55カ国、1万7千人以上を対象とした大規模な研究によると、多くの国で女性は男性よりも神経症傾向、外向性、協調性、誠実性が高いことが分かりました。

    これらの性格特性における男女差は、文化や国を越えて一定の傾向があるようです。

    ただし、性格の男女差の大きさは国によって異なります。

    つまり、性格の男女差には普遍的な側面もありますが、文化の影響も受けているのです。

    性格の男女差が最も顕著だったのは神経症傾向でした。

    調査した55カ国のうち49カ国で、女性の方が男性よりも有意に神経症傾向が高かったのです。

    このように性格の男女差は一定の普遍性がありますが、その差の大きさは文化によって異なるのです。

    普遍性と文化特殊性の両面があると言えるでしょう。

    性格の男女差は文化によって大きく異なる

    性格の男女差の大きさは、国や文化によって大きく異なることが分かりました。

    特に、豊かで健康的で平等主義的な社会ほど、性格の男女差が大きくなる傾向があったのです。
    例えば、人間開発指数が高い国ほど性格の男女差が大きくなっていました。
    人間開発指数とは、平均寿命、教育水準、経済水準を総合した指標です。
    逆に、貧しく健康状態が悪く、男女不平等な社会では、性格の男女差は小さくなる傾向がありました。
    このように、性格の男女差は普遍的に存在しますが、その差の大きさは文化によって大きく異なるのです。
    文化のあり方が、性格の男女差に影響を与えていると考えられます。

    男女の性格差が最も大きいのは神経症傾向

    性格の男女差が最も顕著だったのは、神経症傾向でした。
    神経症傾向とは、不安になりやすく、情緒が不安定になりやすい傾向のことです。
    調査した55カ国のうち49カ国で、女性の方が男性よりも有意に神経症傾向が高かったのです。
    特にモロッコとイスラエルでは、神経症傾向の男女差が非常に大きく、効果量dが0.80以上でした。
    効果量dは差の大きさを表す指標で、0.80以上だと「大きい」と判断されます。
    このように、神経症傾向における性格の男女差は、非常に大きいと言えるでしょう。
    一方で、バングラデシュ、タンザニア、エチオピアなど発展途上国では、神経症傾向の男女差はほとんどありませんでした。
    神経症傾向の男女差は、豊かで平等な社会ほど大きくなる傾向があるのです。

    開放性には一貫した男女差がない

    この特性は、知的好奇心や想像力、美的感受性などに関わる性格特性です。
    開放性については、一貫した男女差は見られませんでした。
    55カ国中37カ国では男性の方が高い開放性を示しましたが、18カ国では女性の方が高い開放性を示したのです。
    男女差が有意だったのは、男性の方が高かった国が8カ国、女性の方が高かった国が4カ国でした。
    このように、開放性には一定の男女差がないと言えます。
    これは、開放性の側面によって男女差の方向が異なるからだと考えられます。
    例えば、心情や感情への開放性は女性の方が高いですが、アイデアへの開放性は男性の方が高い傾向があります。
    開放性全体では、このような側面ごとの違いが相殺され、一貫した男女差が現れなかったのかもしれません。
    開放性は、他の4つの性格特性とは異なり、男女差が文化によって異なる傾向が見られました。

    男女の違いの原因は何か

    社会的役割説では性格の男女差の文化差を説明できない

    社会的役割理論は、男女の違いの原因を説明できないことが分かりました。

    これは、男女の性格の違いは、社会的な役割の違いによって生じるという考え方です。
    しかし、今回の研究では逆の結果が得られました。
    つまり、男女の社会的役割の差が小さい国ほど、性格の男女差が大きかったのです。
    伝統的な社会では男女の役割分担が明確ですが、そのような社会では性格の男女差は小さくなっていました。
    一方、男女平等が進んだ社会では、性格の男女差が大きくなる傾向があったのです。
    このように、社会的役割理論では性格の男女差の文化差を説明できないことが明らかになりました。
    性格の男女差を生み出す原因は、他にあると考えられます。

    ジェンダー平等が高い国ほど性格の男女差は大きい

    ジェンダー平等の程度が高い国ほど、性格の男女差が大きくなることが分かりました。

    今回の研究では、8つのジェンダー平等指標を用いて分析を行いました。

    • ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)
    • ジェンダー開発指数(GDI)
    • 男女の所得比
    • 専門職・技術職に就く女性の割合
    • 男女の喫煙率の差
    • 男女の就学率の差

    など、様々な側面からジェンダー平等の程度を測定しました。
    その結果、これらの指標が高い国ほど、つまりジェンダー平等が進んでいる国ほど、性格の男女差が大きくなっていたのです。
    この結果は、社会的役割理論とは反対の結果です。
    ジェンダー平等が進むと、性格の男女差は小さくなるのではなく、逆に大きくなるのです。
    ジェンダー平等の程度が、性格の男女差に影響を与えていることが明らかになりました。

    性格の測定方法の問題でもない

    性格の男女差の文化差は、性格の測定方法の問題では説明できないことが分かりました。

    例えば、文化によって質問項目への反応の仕方が異なり、それが見かけ上の男女差を生み出している可能性があります。
    しかし、今回の研究ではこの可能性を検討し、否定しました。
    具体的には、以下のような指標を用いて分析を行いました。

    • 質問項目への一貫した回答の程度(内的整合性)
    • 肯定的な項目と否定的な項目への反応の違い
    • 項目内容に関係なく「はい」と答える傾向(同意バイアス)

    その結果、これらの指標は性格の男女差とある程度関連していましたが、人間開発指数の影響を統制すると、ほとんど関連がなくなったのです。
    つまり、性格の測定方法の問題は、性格の男女差の文化差の原因ではないと考えられます。
    性格の男女差の文化差は、測定方法の問題では説明できないのです。

    人間開発指数が高い国ほど性格の男女差は大きい

    人間開発指数が高い国ほど、性格の男女差が大きくなることが分かりました。

    これは、平均寿命、教育水準、経済水準を総合した指標です。
    言い換えれば、長寿で健康的な生活が保障され、教育を受ける機会が平等に与えられ、経済的に豊かな国ほど、性格の男女差が大きくなるのです。
    実際、今回の研究では、以下のような指標と性格の男女差の関連を検討しました。

    • 一人当たりのGDP
    • 平均寿命
    • 教育を受けている人の割合
    • ジニ係数(所得格差の指標)

    その結果、これらの指標は性格の男女差と有意な正の相関を示しました。
    つまり、社会の発展と性格の男女差の拡大は密接に関連しているのです。
    社会の発展に伴って、性格の男女差が大きくなる傾向があると言えるでしょう。

    男女の違いの原因:違いの拡大は主に男性の性格の変化

    男女の性格差の拡大は、主に男性の性格が変化することによって生じていることが分かりました。

    今回の研究では、神経症傾向、外向性、協調性、誠実性の4つの性格特性の平均値と、人間開発指数との関連を、男女別に検討しました。

    その結果、人間開発指数と有意な相関があったのは、男性の性格特性の平均値だったのです。

    つまり、社会が発展するにつれて、男性の性格特性が大きく変化しているのです。

    一方、女性の性格特性の平均値は、人間開発指数とあまり関連がありませんでした。

    言い換えれば、社会の発展に伴う性格の変化は、主に男性に生じているのです。

    このことから、男女の性格差の拡大は、主に男性の性格が女性から離れていくことによって生じていると考えられます。

    伝統的社会では男性も女性的な性格特性を持っていますが、社会が発展するにつれて、男性は女性とは異なる性格特性を持つようになるのかもしれません。

    進化心理学は男女の違いの原因をどう説明するか

    男女の違いの原因:「性選択圧」

    進化心理学は、性選択圧が男女の性格の違いを生み出したと考えています。

    性選択圧とは、異性からより好まれる形質が次世代に受け継がれやすくなる進化の圧力のことです。
    進化心理学では、男女で性選択圧が異なるため、男女で異なる性格が進化したと考えるのです。
    具体的には、以下のようなことが考えられています。

    • 男性は複数のパートナーを持つことで子孫を増やせるため、リスクを取る性格が有利だった
    • 女性は子育てに時間がかかるため、慎重で協調的な性格が有利だった
    • 男性は狩猟や闘争に関わることが多かったため、身体能力や支配性が重視された
    • 女性は育児や交流会に関わることが多かったため、共感性や言語能力が重視された

    このように、男女で異なる性選択圧が働いた結果、男女で異なる性格が進化したと考えられています。
    性選択圧は文化を超えて働くため、男女の性格差には一定の普遍性があると考えられます。

    男性はリスクを取り、女性は養育的になるよう進化した

    子孫を残すためにリスクを取る性格へと男性は進化し、女性は子育てに有利な養育的な性格へと進化したと考えられています。

    男性は複数のパートナーを持つことで子孫を増やせるため、リスクを取ってでも交尾相手を増やそうとする性格が進化したのです。
    一方、女性は妊娠・出産・育児に時間がかかるため、じっくりと子育てに向いた養育的な性格が進化したと考えられています。
    このように性選択圧の性差により、男女で異なる性格が進化したのです。
    男女の性格差は、このような進化の産物だと考えることができます。
    ただし、これはあくまで進化心理学の仮説であり、実証が必要です。
    また、現代社会では必ずしも当てはまらない場合もあるでしょう。
    進化心理学は男女の性格差を説明する一つの視点ですが、だからと言って性差を正当化するものではありません。

    男女の違いの原因:狩猟採集社会では性格の男女差が大きかった

    狩猟採集社会では、男女の役割分担が明確で、性格の男女差が大きかったと考えられています。

    男性は狩猟を担当し、女性は採集を担当することが多かったようです。
    このような役割分担は、それぞれに有利な性格の進化を促したと考えられます。
    例えば、以下のようなことが考えられます。

    • 狩猟には身体能力やリスクテイキング、空間認知力が重要であり、男性的な性格が有利だった
    • 採集には体力よりも忍耐力や協調性、言語能力が重要であり、女性的な性格が有利だった
    • 男性は集団間の闘争に関わることが多く、攻撃性や支配性が必要とされた
    • 女性は育児や集団内の調整に関わることが多く、共感性や調停能力が必要とされた

    このように、狩猟採集社会での役割分担が、性格の男女差を進化させたと考えられます。

    当時の環境では、性格の男女差が適応的だったのかもしれません。 現代社会とは異なる適応環境だったことを考慮する必要があります。

    ただし、これはあくまで仮説であり、狩猟採集社会の実態は多様だったと考えられています。 一概に性格の男女差が大きかったとは言えないでしょう。

    また、現代の狩猟採集民の性格を調べる必要もあります。

    男女の違いの原因:農耕社会になると性格の男女差は抑制された

    農耕社会になると、狩猟採集社会ほどの性格の男女差は見られなくなったと考えられています。

    男女の役割分担が狩猟採集社会ほど明確ではなくなります。

    例えば、農作業は男女共同で行われることが多かったようです。 このため、農耕社会では男女の性格が似てくる傾向があったと考えられます。

    また、農耕社会では社会構造が複雑になり、狩猟採集社会とは異なる適応が必要になります。 例えば、以下のような変化が生じたと考えられます。

    • 財産の継承が重要になり、男女の経済力の差が小さくなった
    • 家父長制が広まり、男性の支配性が抑制された
    • 宗教の影響で性の二重基準が生まれ、女性の性的抑圧が強まった

    このような社会の変化により、男女の性格差は抑制された可能性があります。

    ただし、農耕社会にも多様性があり、一概には言えません。 時代や地域によって、状況は異なっていたでしょう。

    よくある質問(FAQ)

    平等な社会ほど男女差が大きくなるのはなぜですか?

    進化心理学では、豊かで平等な社会では社会的圧力が弱くなり、生まれつきの性差が表に現れやすくなるためと説明しています。

    神経症傾向で女性が高いのは進化の結果ですか?

    女性の神経症傾向の高さは、子育てで危険を敏感に察知する必要があったため、進化的に有利だった可能性があります。

    開放性に一貫した男女差がないのはなぜですか?

    開放性は多面的な特性で、アイデアへの開放性は男性が高く、感情への開放性は女性が高いため、全体では差が相殺されます。

    社会的役割説が否定されたということは、性差は生まれつき決まっているのですか?

    完全に生まれつきではなく、進化の過程で形成された傾向が、現代の環境で表現されていると考えられています。

    男性の性格変化が性差拡大の主因というのはどういう意味ですか?

    豊かな社会になると、女性の性格はあまり変わらず、男性がより男性的な特性を発達させることで性差が拡大するということです。

    この研究結果は性別による職業差別を正当化するものですか?

    いいえ、性格の平均的差異があっても個人差は大きく、この研究は差別を正当化するものではありません。