男女の性格の違いって、気になりませんか?
私たちの周りを見渡すと、人それぞれ個性豊かな性格を持っていますが、どことなく男女で傾向が異なるようにも感じられます。
例えば、女性の方が共感力が高く、男性の方が冒険心が強いといったイメージがあるかもしれません。
でも、こうした男女の性格差は、本当に存在するのでしょうか?
また、性格は生まれつき決まっているのでしょうか、それとも年齢とともに変化していくのでしょうか?
こうした疑問に答えるために、アメリカの研究チームが大規模な調査を行いました。
論文のタイトルは「Age Differences in Personality Traits From 10 to 65」で、126万人以上のデータを分析し、性格の男女差と年齢変化を明らかにしています。
この記事では、その研究結果をもとに、男女の性格の共通点と相違点を探っていきます。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
男女の性格の違いと発達
ビッグファイブとは?
性格心理学で広く使われている性格特性の分類法です。人間の性格を、以下の5つの次元に分けて捉えます。
- 外向性(Extraversion):社交的で活発な傾向
- 協調性(Agreeableness):思いやりがあり、協力的な傾向
- 誠実性(Conscientiousness):責任感が強く、目標達成に向けて頑張る傾向
- 神経症傾向(Neuroticism):不安やストレスを感じやすい傾向
- 開放性(Openness):新しい経験や知識に対して好奇心が強い傾向
ビッグファイブは、性格を総合的に評価するための枠組みとして、幅広い研究で用いられています。
この5つの性格特性は、遺伝と環境の両方の影響を受けると考えられており、比較的安定していると言われています。
ビッグファイブの枠組みを使って、男女の性格の違いについて見ていきましょう。
男女の性格:社交的なのはどっち?
外向性は、社交性や活発さ、積極性など、対人関係に関わる性格の特徴を表します。
一般的に、女性の方が男性よりも外向的だと考えられています。
例えば、以下のような点で男女差が見られるでしょう。
- 女性は人との交流を好み、社交的な活動を楽しむ傾向がある
- 男性は独立心が強く、一人の時間を大切にする傾向がある
- 女性は感情表現が豊かで、積極的にコミュニケーションを取る
- 男性は自己主張が強い反面、内面の感情を表に出しにくい
また、外向性は年齢とともに変化することが知られています。
児童期から青年期にかけては外向性が低下し、成人期以降は比較的安定します。
男女ともに、社会経験を積むことで、徐々に外向性のバランスを取れるようになるのかもしれません。
外向性の男女差は、生物学的な要因だけでなく、社会的な期待や役割とも関連していると考えられます。
男女の性格:他人を思いやるのは?
協調性は、思いやりや優しさ、協力的な態度など、対人関係の調和に関わる性格の特徴を指します。
多くの研究で、女性の方が男性よりも協調的だと報告されています。
具体的には、以下のような点で男女差が見られます。
- 女性は他者の感情に敏感で、共感性が高い
- 男性は競争心が強く、自己主張する傾向がある
- 女性は人間関係の調和を重視し、協力的な行動を取りやすい
- 男性は独立心が強く、自分の意見を押し通すことがある
また、協調性は年齢とともに発達していきます。
児童期から青年期にかけては一時的に低下しますが、成人期以降は徐々に高まっていきます。
これは、社会生活の中で他者との協調の大切さを学ぶためと考えられています。
協調性の男女差は、生物学的な要因に加え、社会的な期待や役割分担とも関連していると言えるでしょう。
男女の性格:がんばり屋は男性?女性?
誠実性は、勤勉さや着実さ、自制心など、目標に向かって努力する性格の特徴を表します。
男女差については研究によって結果が異なりますが、総じて女性の方が誠実性が高いと言われています。
例えば、以下のような点で違いが見られるかもしれません。
- 女性は計画性があり、着実に物事を進める傾向がある
- 男性は衝動的になりやすく、誘惑に負けることがある
- 女性は規則正しい生活を心がけ、自己管理が得意
- 男性はのんびりした性格で、怠惰になりがち
また、誠実性は年齢とともに大きく変化します。
児童期から青年期にかけては一時的に低下しますが、成人期以降は着実に高まっていきます。
これは、社会的な責任や義務を果たすことの重要性を理解するようになるためと考えられています。
誠実性の男女差は、生物学的な要因よりも、社会的な期待や教育の影響を受けている可能性が高いでしょう。
男女の性格:ストレスへの反応の差
神経症傾向は、不安やストレスに対する感受性の高さを表す性格特性です。
多くの研究で、女性の方が男性よりも神経症傾向が高いことが示されています。
具体的には、以下のような点で男女差が見られます。
- 女性は不安を感じやすく、ストレスに弱い傾向がある
- 男性は感情的に安定しており、ストレスに強い印象がある
- 女性は物事を悪い方向に考えがちで、悩みを抱えこみやすい
- 男性は楽観的な性格で、あまり先のことを心配しない
また、神経症傾向は年齢とともに変化することが知られています。
特に思春期の女性で神経症傾向が高まる一方、男性では低下する傾向があります。
成人期以降は、男女ともに神経症傾向が徐々に低下していきます。
これは、ストレス対処能力が向上し、感情のコントロールが上手になるためと考えられています。
神経症傾向の男女差には、ホルモンバランスなどの生物学的な要因が関与している可能性があります。
男女の性格:新しいことへの好奇心は男女で異なる?
開放性は、新しい経験や知識に対する好奇心や感受性の高さを表す性格特性です。
男女差については一貫した結果が得られていませんが、総じて男性の方が開放性が高い傾向があります。
例えば、以下のような点で違いが見られるかもしれません。
- 男性は新しいことにチャレンジするのが好き
- 女性は慣れ親しんだことを大切にする傾向がある
- 男性は抽象的な思考を好み、哲学的な問いに興味を持つ
- 女性は具体的で現実的な考え方を好む傾向がある
また、開放性は年齢とともに変化します。
児童期から青年期にかけては低下傾向にありますが、成人期以降は徐々に高まっていきます。
これは、人生経験を積むことで、新しい価値観や考え方を受け入れられるようになるためと考えられています。
開放性の男女差は、生物学的な要因よりも、社会的な期待や文化的な影響を受けている可能性が高いでしょう。
男女の性格は年齢とともにどう変化する?
児童期(10-12歳)の男女の性格
児童期は、性格の基礎が形作られる重要な時期です。
この時期の男女の性格には、以下のような特徴が見られます。
- 男女ともに外向的で活発な傾向がある
- 女児の方が協調性が高く、他者への思いやりを示しやすい
- 男児は競争心が強く、自己主張する傾向がある
- 誠実性や勤勉さに明確な男女差は見られない
ただし、これらの特徴は環境からの影響を大きく受けます。
家庭や学校での教育方針、周囲の大人の態度などが、子どもの性格形成に関わっています。
また、この時期は自己概念が発達する時期でもあります。
自分らしさを模索しながら、同性の友だちと積極的に関わることで、社会性を身につけていきます。
児童期の性格は、後の人格発達の土台となる重要な時期と言えるでしょう。
個々の特性を伸ばしながら、バランスの取れた成長を促すことが大切です。
思春期(13-17歳)に見られる男女の性格の変化
思春期は、心身ともに大きな変化を迎える時期であり、性格も大きく揺れ動きます。
この時期の男女に見られる性格の特徴は、以下の通りです。
- 自己中心的な傾向が強まり、外向性が一時的に低下する
- 女子は神経症傾向が高まり、情緒的に不安定になりやすい
- 男子は非行や問題行動を示すことがある
- 誠実性や協調性は一時的に低下し、反抗的な態度を取ることがある
これらの変化は、ホルモンバランスの変化や脳の発達段階と関連していると考えられています。
また、親からの自立と自我の確立を目指す過程で、混乱や葛藤が生じやすくなります。
同時に、思春期は自己アイデンティティを模索する時期でもあります。
自分らしさを追求しながら、将来の目標や夢を抱くようになります。
思春期の性格の揺れ動きは、成長のための通過点と捉えることができるでしょう。
周囲の大人が温かく見守りながら、適切な助言とサポートを提供することが大切です。
青年期(18-25歳):自立への第一歩
青年期は、子ども時代から大人へと移行する過渡期であり、自立に向けて大きく成長する時期です。
この時期の男女の性格には、以下のような特徴が見られます。
- 自己認識が深まり、アイデンティティが確立されていく
- 社会性が高まり、対人関係のスキルを身につける
- 道徳性や倫理観が発達し、社会的責任を自覚するようになる
- 誠実性や勤勉性が徐々に高まっていく
青年期は、進学や就職、恋愛など、人生の岐路に立つ時期でもあります。
自分の価値観や目標に基づいて、将来の方向性を決定していく過程で、性格も大きく成長します。
また、この時期は親からの心理的な自立が求められる時期でもあります。
親子関係の在り方を模索しながら、自分らしい生き方を追求していきます。
青年期の性格の発達は、生涯にわたる人格形成の重要な基礎となります。
試行錯誤を繰り返しながら、自分らしさを確立していくことが大切です。
成人前期(26-35歳)の男女の性格の特徴
成人前期は、社会人としての基礎を固める時期であり、性格も安定してくる時期と言えます。
この時期の男女の性格には、以下のような特徴が見られます。
- 外向性や協調性が高まり、対人関係が円滑になる
- 誠実性や勤勉性が高まり、仕事への意欲や責任感が強くなる
- 神経症傾向が徐々に低下し、情緒的に安定してくる
- 開放性は個人差が大きいが、新しいことへの関心は持ち続ける
成人前期は、仕事や家庭生活の基盤を築く時期でもあります。
社会人としての役割を果たしながら、パートナーとの関係や子育てにも力を注ぐようになります。
また、この時期は自己実現の欲求が高まる時期でもあります。
自分の能力を発揮し、キャリアアップを目指す人も多くなります。
成人前期の性格は、社会的な適応力を高めながら、個性を磨いていく時期と言えるでしょう。
柔軟性を持ちながら、自分らしさを大切にすることが求められます。
成人中期(36-50歳):円熟した性格へ
成人中期は、人生の中で最も充実した時期と言われ、性格も円熟味を帯びてきます。
この時期の男女の性格には、以下のような特徴が見られます。
- 外向性や協調性が高く、対人関係の調和を保つことができる
- 誠実性や勤勉性が高く、仕事や家庭での責任を果たす
- 神経症傾向が低く、ストレスへの耐性が高くなる
- 開放性は個人差が大きいが、人生経験に基づく洞察力を持つ
成人中期は、仕事や家庭生活が安定する一方で、様々な課題にも直面する時期です。
子育てや親の介護、自身の健康問題など、多くの役割を担うようになります。
また、この時期は人生の意味や目的を問い直す時期でもあります。
これまでの経験を振り返り、今後の人生設計を考えるようになります。
成人中期の性格は、バランス感覚を持ちながら、人生の意義を見出していく時期と言えるでしょう。
自分らしさを大切にしながら、周囲との調和を図ることが求められます。
成人後期(51-65歳)の男女の性格の違い
成人後期は、人生の集大成に向けて、自分らしさを深めていく時期と言えます。
この時期の男女の性格差は、以下のような点が挙げられます。
- 女性は協調性や外向性が高く、社交的な傾向が強い
- 男性は内向的になる傾向があり、自分の内面と向き合う
- 女性は神経症傾向が低下し、情緒的に安定している
- 男性は誠実性や勤勉性が高く、責任感が強い
成人後期は、仕事からの引退や子育ての一段落など、人生の転換点を迎える時期でもあります。
これまでの人生を振り返り、新たな生きがいを見出すことが求められます。
また、この時期は健康面での不安も大きくなる時期です。
身体的な変化を受け入れながら、前向きに生活することが大切になります。
成人後期の性格の男女差は、生物学的な要因よりも、社会的な役割の違いを反映していると考えられます。
一人一人が自分らしい人生を歩むことができるよう、周囲のサポートが求められる時期と言えるでしょう。
外向性の年齢変化:男女の社交性はどう変わる?
児童期から青年期にかけての外向性の低下
外向性は、児童期から青年期にかけて低下する傾向があります。
この変化には、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 思春期特有の自意識の高まりが、一時的に内向性を強める
- 親からの自立に伴う不安や葛藤が、社交性を低下させる
- 学業や受験勉強などの課題が、外向的な活動を制限する
- 社会的な期待や規範に適応するために、自己主張を抑える
ただし、この時期の外向性の低下は一時的なものであり、成人期以降は再び上昇に転じます。
また、個人差も大きく、一概に外向性が低下するとは言えません。
むしろ、この時期は内面の成長や自己理解が深まる時期でもあります。
自分の内面と向き合うことで、より成熟した外向性を身につけることができるでしょう。
児童期から青年期にかけての外向性の変化は、発達の過程で必要な経験と捉えることができます。
周囲の理解とサポートを得ながら、自分らしい社交性を育んでいくことが大切です。
活動性と主張性:外向性の2つの側面
外向性は、活動性と主張性の2つの側面から捉えることができます。
この2つの側面は、以下のような特徴を持っています。
- 活動性は、エネルギーや熱意など、行動の量や質に関わる特性
- 主張性は、積極性や表現力など、自己表現に関わる特性
- 活動性は年齢とともに低下する傾向があるが、主張性は比較的安定している
- 活動性には男女差が小さいが、主張性は女性の方が高い傾向がある
外向性の2つの側面は、互いに関連しながらも、異なる発達的変化を示すことが知られています。
活動性の低下は、加齢に伴う身体的な変化や社会的な役割の変化と関連していると考えられます。
一方、主張性は社会的なスキルや自己表現の力を反映しており、経験を通じて向上することができます。
外向性の2つの側面のバランスは、個人差が大きいと言えます。
自分なりの外向性のスタイルを確立することが、社会適応や人間関係の質を高めることにつながるでしょう。
成人期以降の外向性の推移
成人期以降の外向性は、比較的安定した特性と考えられています。
この時期の外向性には、以下のような特徴が見られます。
- 20代から30代にかけては、外向性が徐々に高まる傾向がある
- 40代以降は、だいたい安定してくる
成人期以降の外向性は、社会的な役割や対人関係のスキルと密接に関連しています。
仕事や家庭生活での責任を果たすために、外向的な行動が求められることも多くなります。
また、豊かな人間関係を築くためには、自分の感情や意見を適切に表現する力が必要とされます。
一方で、加齢に伴う身体的な変化や社会的な役割の変化は、外向性に影響を与える可能性があります。
成人期以降の外向性は、自分なりのスタイルを確立しながら、柔軟に対応していくことが大切だと言えるでしょう。
協調性の発達:思いやりと優しさを身につける
協調性の2つの要素:利他性と調和性
利他性と調和性の2つの要素から協調性は成り立っています。
この2つの要素は、以下のような特徴を持っています。
- 利他性は、思いやりや寛大さ、他者への配慮など、向社会的な行動に関わる特性
- 調和性は、柔軟さなど、協力的な態度など、対人関係の円滑さに関わる特性
- 利他性は年齢とともに高まる傾向があるが、調和性は比較的安定している
- 利他性も調和性も、女性の方が高い傾向がある
協調性の2つの要素は、互いに関連しながらも、異なる発達的変化を示すことが知られています。
利他性の向上は、社会的な経験や役割の中で、他者への思いやりや助け合いの大切さを学ぶことと関連していると考えられます。
一方、調和性は対人関係のスキルや柔軟性を反映しており、個人差が大きい特性と言えます。
協調性の2つの要素のバランスは、社会適応や人間関係の質に大きな影響を与えます。
自分なりの協調性のスタイルを確立することが、豊かな人生を送るための鍵となるでしょう。
児童期から成人期にかけての協調性の変化
協調性は、児童期から成人期にかけて、徐々に高まっていく傾向があります。
この変化には、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 社会的な経験を積むことで、他者への思いやりや配慮が育まれる
- 学校や職場での集団生活を通じて、協力することの大切さを学ぶ
- 家庭や地域社会での役割を担うことで、社会的責任感が高まる
- 年齢とともに、対人関係のスキルや柔軟性が向上する
ただし、協調性の発達には個人差も大きく、必ずしも一直線に高まるわけではありません。
特に、思春期から青年期にかけては、自我の確立や独自性の追求が優先されるため、一時的に協調性が低下することもあります。
また、性差も見られ、女性の方が早い段階から協調性が高い傾向があります。
児童期から成人期にかけての協調性の変化は、社会性の発達と密接に関連しています。
他者との関わりの中で、自分らしい協調性のスタイルを見つけていくことが大切だと言えるでしょう。
高齢期の男女の協調性
高齢期になると、協調性の性差は小さくなる傾向があります。
この時期の男女の協調性には、以下のような特徴が見られます。
- 男性は、退職などを機に、家庭や地域社会での役割が増える
- 女性は、家事や育児の負担が減り、社会活動に参加する機会が増える
- 男女ともに、人生経験を通じて、他者への思いやりや配慮が深まる
- ただし、個人差が大きく、必ずしも性差が小さくなるわけではない
高齢期の協調性は、これまでの人生経験や社会的な役割の変化と密接に関連しています。
男性は、仕事中心の生活から、家庭や地域社会での活動に重点が移ることで、協調性が高まる傾向があります。
一方、女性は、家事や育児の負担が減ることで、社会活動に参加する機会が増え、協調性を発揮する場が広がります。
また、高齢期になると、人生経験を通じて培われた知恵や価値観が、他者への思いやりや配慮につながることもあります。
ただし、個人差が大きく、必ずしも全ての人が高い協調性を示すわけではありません。
高齢期の協調性は、これまでの人生を振り返りながら、自分なりの生き方を見つけていくことが大切だと言えるでしょう。
誠実性はどのように育まれるか
誠実性を支える自制心と勤勉さ
自制心と勤勉さの2つの要素から誠実性は成り立っています。
この2つの要素は、以下のような特徴を持っています。
- 自制心は、衝動をコントロールし、目標に向かって努力する力
- 勤勉さは、粘り強く物事に取り組み、着実に成果を上げる力
- 自制心は年齢とともに高まる傾向があるが、勤勉さは比較的安定している
- 自制心も勤勉さも、女性の方が高い傾向がある
誠実性の2つの要素は、互いに関連しながらも、異なる発達的変化を示すことが知られています。
自制心の向上は、社会的な責任や義務を果たすことの大切さを学ぶことと関連していると考えられます。
一方、勤勉さは個人の価値観や性格特性を反映しており、個人差が大きい特性と言えます。
誠実性の2つの要素のバランスは、目標達成や社会適応に大きな影響を与えます。
自分なりの誠実性のスタイルを確立することが、充実した人生を送るための鍵となるでしょう。
誠実性の発達:児童期から青年期の特徴
誠実性は、児童期から青年期にかけて、大きな変化を遂げます。
この時期の誠実性には、以下のような特徴が見られます。
- 児童期は、親や教師の指導に従うことで、規律正しさを身につける
- 思春期になると、反抗心が芽生え、一時的に誠実性が低下することもある
- 青年期には、自我の確立とともに、自律的な誠実性が育まれる
児童期から青年期にかけての誠実性の発達は、自律性の獲得と密接に関連しています。
児童期は、大人の指導に従うことで、社会的なルールや規範を学びます。
思春期になると、自我の目覚めとともに、既存の価値観に疑問を持ち、反発することもあります。
青年期には、自分なりの価値観を確立し、自律的に行動することが求められます。
この過程で、誠実性も内面化され、自分の意志で実践されるようになります。
周囲の理解とサポートを得ながら、自分なりの誠実性を育んでいくことが大切だと言えるでしょう。
成人期の誠実性:仕事と家庭の両立
成人期の誠実性は、仕事と家庭の両立に大きな影響を与えます。
この時期の誠実性には、以下のような特徴が見られます。
- 仕事では、責任感と勤勉さが求められる
- 家庭では、家族への愛情と思いやりが大切になる
- 仕事と家庭のバランスを取ることが、誠実性の発揮につながる
成人期の誠実性は、社会的な役割や責任と密接に関連しています。
仕事では、与えられた任務を着実にこなし、成果を上げることが求められます。
家庭では、家族の幸せを守り、子育てや家事に精を出すことが大切になります。
仕事と家庭の両立は、時間的にも精神的にも大きな負担を伴います。
しかし、それぞれの場で誠実に取り組むことが、人生の充実感につながります。
自分なりのバランスを見つけ、誠実に生きることが、成人期の課題だと言えるでしょう。
神経症傾向の男女差と年齢変化
神経症傾向を形作る不安と抑うつ
不安と抑うつの2つの要素から神経症傾向は成り立っています。
この2つの要素は、以下のような特徴を持っています。
- 不安は、将来への漠然とした恐れや心配など、情緒的な不安定さを表す
- 抑うつは、悲しみや絶望感など、ネガティブな感情の強さを表す
- 不安は年齢とともに低下する傾向があるが、抑うつは思春期に一時的に高まる
- 不安も抑うつも、女性の方が高い傾向がある
神経症傾向の2つの要素は、互いに関連しながらも、異なる発達的変化を示すことが知られています。
不安の低下は、ストレス対処能力の向上や社会的な適応力の向上と関連していると考えられます。
一方、抑うつは思春期特有の心理的な変化や社会的な要因の影響を受けやすく、一時的に高まることがあります。
神経症傾向の2つの要素のバランスは、精神的な健康や適応に大きな影響を与えます。
自分なりのストレス対処法を身につけることが、健康的な生活を送るための鍵となるでしょう。
思春期に高まる女性の神経症傾向
思春期になると、女性の神経症傾向が高まる傾向があります。
この時期の女性の神経症傾向には、以下のような特徴が見られます。
- 急激な身体的変化に伴う不安や戸惑いを感じやすい
- 対人関係の悩みや将来への不安が増大する
- 自己イメージの変化に伴う情緒的な不安定さが生じる
思春期の女性の神経症傾向の高まりは、身体的・心理的・社会的な変化が複雑に絡み合った結果と考えられています。
急激な身体的変化は、自己イメージの揺らぎや不安を引き起こします。
また、対人関係の悩みや将来への不安も、情緒的な不安定さにつながります。
さらに、社会的な性役割への適応も、ストレスの原因となることがあります。
思春期の女性の神経症傾向は、心身の変化への適応過程と捉えることができるでしょう。
自分らしさを大切にしながら、ストレスに上手に対処する力を身につけていくことが大切です。
加齢に伴う神経症傾向の低下
神経症傾向は、加齢とともに低下する傾向があります。
この変化には、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 人生経験を通じて、ストレス対処能力が向上する
- 情緒的な安定性が高まり、不安や抑うつに振り回されにくくなる
- 社会的な適応力が高まり、環境の変化にも柔軟に対応できるようになる
加齢に伴う神経症傾向の低下は、精神的な成熟や適応力の向上と密接に関連しています。
人生経験を積むことで、ストレスへの対処法を身につけ、冷静に判断できるようになります。
また、情緒的な安定性が高まることで、不安や抑うつに振り回されることが少なくなります。
さらに、社会的な適応力が向上することで、環境の変化にも柔軟に対応できるようになります。
加齢に伴う神経症傾向の低下は、精神的な健康と適応の指標の一つと言えるでしょう。
自分なりのペースで、ストレス対処能力を高めていくことが大切だと考えられます。
開放性の年齢差と男女差
経験への開放性:美的感受性とアイデアへの関心
開放性は、経験への開放性を表す性格特性であり、美的感受性とアイデアへの関心の2つの側面を持っています。
この2つの側面は、以下のような特徴を示します。
- 美的感受性は、芸術や美への感受性の高さを表す
- アイデアへの関心は、知的好奇心や新しい考え方への関心の高さを表す
- 美的感受性は女性の方が高い傾向があるが、アイデアへの関心は男女差が小さい
- 美的感受性とアイデアへの関心は、必ずしも同じように変化するわけではない
経験への開放性の2つの側面は、互いに関連しながらも、異なる発達的変化を示すことが知られています。
美的感受性は、感情の豊かさや芸術的な感性と関連しており、個人差が大きい特性です。
一方、アイデアへの関心は、知的好奇心や柔軟な思考力を反映しており、教育や経験の影響を受けやすい特性と言えます。
経験への開放性の2つの側面のバランスは、創造性や適応力に大きな影響を与えます。
自分なりの感性を大切にしながら、新しいアイデアにも柔軟に向き合うことが、豊かな人生につながるでしょう。
年齢とともに変化する開放性
開放性は、年齢とともに変化する性格特性の一つです。
この変化には、以下のような特徴が見られます。
- 児童期から青年期にかけては、開放性が一時的に低下する傾向がある
- 成人期以降は、徐々に高まる傾向にある
- 高齢期になると、美的感受性は維持される傾向があるが、アイデアへの関心は低下しやすい
開放性の年齢変化には、様々な要因が関係していると考えられています。
児童期から青年期にかけての開放性の低下は、社会的な規範への適応や現実的な思考の発達と関連しているのかもしれません。
成人期以降は、個人の経験や価値観によって、開放性の変化のパターンが異なってきます。
高齢期になると、身体的な変化や社会的な役割の変化が、開放性に影響を与える可能性があります。
年齢とともに変化する開放性は、人生経験の蓄積や価値観の変化を反映していると言えるでしょう。
自分なりの関心や感性を大切にしながら、新しい経験にも柔軟に向き合うことが、生涯にわたる成長につながります。
男女の開放性の違いとその背景
開放性には、一定の男女差が見られることが知られています。
具体的には、以下のような特徴が報告されています。
- 開放性の下位項目である美的感受性は、女性の方が高い傾向がある
- 開放性全体的には男性のほうが高い傾向がある
開放性の男女差には、生物学的な要因と社会的な要因の両方が関係していると考えられています。
美的感受性の女性の高さは、感情の処理や共感性に関わる脳の部位の違いを反映しているのかもしれません。
一方で、全体的に開放性が男性のほうが高い理由としては、知的好奇心や冒険心が「男らしさ」の象徴とされてきた社会的背景や、男性の方が新しいことへのチャレンジを奨励され、多様な経験を積む機会に恵まれていることが関係しているのかもしれません。
まとめ:男女の性格の多様性と可塑性
性格における男女の共通点と相違点
性格における男女の共通点と相違点を理解することは、個人差を尊重し、多様性を認め合うために重要です。
ビッグファイブの観点から見ると、以下のような点が指摘できます。
- 外向性、協調性、神経症傾向は、女性の方が高い傾向がある
- 開放性は、男性の方が高い傾向がある
- ただし、これらの差は平均的な傾向であり、個人差の方が大きい
性格における男女差は、生物学的な要因と社会的な要因の両方を反映していると考えられています。
ホルモンバランスや脳の構造の違いなどの生物学的要因は、情動性や共感性、ストレス反応性などに影響を与えるでしょう。
また、社会的な性役割や期待、教育の違いなどの社会的要因は、性格特性の発現や発達に関わっていると考えられます。
ただし、これらの差はあくまで平均的な傾向であり、個人差の方が大きな意味を持ちます。
性別に関わらず、一人一人の個性や強みを活かし、弱みを補い合うことが、豊かな社会の実現につながるでしょう。
性格における男女の共通点と相違点を理解することは、画一的な性別観を乗り越え、多様性を尊重するための第一歩だと言えます。
男女&年齢別のグラフにすると以下のようになります。(小塩真司著「性格とは何か」より)
生涯にわたる性格の発達可能性
性格は生涯にわたって発達し続ける可能性を秘めています。
ビッグファイブの観点から見ると、以下のような点が指摘できます。
- 開放性、協調性、誠実性は、年齢とともに高まる傾向がある
- 神経症傾向は、年齢とともに低下する傾向がある
- 外向性は、そこまで大きくは変化しない
これらの発達的変化は、社会的な経験の蓄積や価値観の変化、脳の発達や老化などの生物学的な要因を反映していると考えられています。
人生の各段階で求められる役割や課題に適応するために、性格も柔軟に変化していくのかもしれません。
また、自己理解や自己受容の深まり、ストレス対処能力の向上なども、性格の発達を促す要因と言えるでしょう。
ただし、性格の発達には個人差が大きく、必ずしも全ての人が同じような変化を経験するわけではありません。
むしろ、一人一人が自分なりのペースで、性格の様々な側面を伸ばしていくことが大切だと考えられます。
生涯にわたる性格の発達可能性を信じることは、自己成長への希望と意欲を持ち続けることにつながるでしょう。
年齢に関わらず、新しい経験に挑戦し、学び続ける姿勢が、豊かな人生の鍵を握っていると言えます。
個人差の重要性:画一的な見方を超えて
性格の男女差を考える際には、個人差の重要性を忘れてはいけません。
ビッグファイブの観点から見ても、以下のような点が指摘できます。
- 性別よりも、個人の経験や価値観、気質の方が、性格により大きな影響を与える
- 性別に基づく画一的な見方は、個人の可能性を狭めてしまう恐れがある
性格の男女差は、集団全体の平均的な傾向を表すものであり、個々人の性格を決定するものではありません。
また、性格は生得的な要因だけでなく、環境からの影響を大きく受けて形成されていきます。
家庭や学校、職場など、様々な場での経験や学びが、性格の個人差を生み出しているのです。
一人一人の個性や強み、興味関心に目を向け、多様な生き方を認め合うことが大切だと言えるでしょう。
私たちに求められているのは、性別に関わらず、一人一人の個性を尊重し、多様性を認め合う姿勢なのかもしれません。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。