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ダークエンパスとは?約2割いる共感×ダーク型の正体

    サイコパス、悪者のIQ、ダークエンパス

    ダークエンパスとは、ダーク特性と高い共感力を同時に持つ人のことです。
    2020年の研究では、991人中約19%がこのタイプに当てはまりました。
    つまり、クラスや職場に必ず数人はいる計算です。

    「優しいのに計算高い」と感じる人が周りにいませんか。
    相談には乗ってくれるのに、自分の得も忘れない。
    そんな人を見てモヤっとした経験はないでしょうか。

    従来は、ダークな性格を持つ人は共感が低く冷たいと考えられてきました。
    しかし最新の研究では、ダーク特性が高いのに共感も高い人が一定数いると示されました。
    つまり「悪いか、優しいか」の二択ではない可能性があります。

    このテーマを扱ったのが、論文「The Dark Empath: Characterising dark traits in the presence of empathy」です。
    ノッティンガム・トレント大学などの研究者による研究で、『Personality and Individual Differences』誌に2020年に掲載されました。

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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    ダークエンパスとは何か、その正体

    ダーク特性×高い共感の組み合わせ

    ダークエンパスとは、悪意と共感力を同時に持つタイプのことです。
    ダーク特性とは、人を利用しやすい性格傾向のことです。
    共感とは、相手の気持ちを感じ取る力のことです。
    一見すると真逆に思えますが、両方が高い人が実際にいました。
    調査では991人を分析した結果、約19%が当てはまりました。

    • ダーク特性が高い
    • 共感も高い

    たとえば、友達の気持ちを読み取りながら自分の得も考える人がイメージに近いです。
    頭が切れる相談役でありながら、計算高さも持ち合わせています。
    約5人に1人いるとされる点は、無視できない割合です。
    単純に「悪い人」とは言い切れない、複雑な性格タイプといえます。

    4つのタイプと比較した位置づけ

    ダークエンパスは、研究で見つかった4タイプのうちの1つです。
    回答パターンが似た人をまとめると、次の4つに分かれました。

    • 伝統的ダーク型:約13%(ダーク特性が高く、共感が低い)
    • ダークエンパス:約19%(ダーク特性も共感も高い)
    • 共感型:約33%(共感が高く、ダーク特性は低い)
    • 典型型:約34%(どちらも平均的)

    40人のクラスに置き換えると、ダークエンパスは約7人いる計算です。
    さらに、伝統的ダーク型も約5人います。
    したがって、どちらも決して珍しい存在ではありません。
    ダークエンパスは4タイプの中でも、独特の立ち位置を持っています。

    共感には「考える」と「感じる」の2種類ある

    共感には、2つの異なる形があります。
    1つ目は、相手の立場を頭で考える「認知的共感」です。
    2つ目は、相手の感情が自分にも伝わる「感情的共感」です。
    研究では31項目の質問で両方を測定しました。

    たとえば友達の失敗を見たとき、原因を分析するのが前者です。
    一方で胸が痛くなるのが後者にあたります。
    ダークエンパスは両方が高めでした。
    そのため人の心を読みやすい反面、その力を利用に使う可能性もあります。
    つまり、共感は「優しさ」だけを意味するわけではありません。

    ダーク特性は3つの要素で測る

    ダーク特性は、3つの要素から構成されます。
    それぞれ9項目ずつ、合計27問で測定します。

    • マキャベリアニズム:人を操作しやすい傾向
    • ナルシシズム:自分を特別と思う傾向
    • サイコパシー:冷淡で衝動的な傾向

    ダークエンパスはこれら3つが高めでした。
    それでいて共感も同時に高いのが最大の特徴です。
    まとめると、この3要素がダーク特性の基礎を作っています。

    割合は約2割、少数派ではない

    ダークエンパスは991人中175人、約19%でした。
    100人いれば約19人に当てはまる計算です。
    学校の学年でも、珍しい存在ではありません。
    また、男性がやや多い傾向が見られました。
    一方で年齢差は大きくなく、特定の世代だけの話ではありません。
    つまり、気づかないまま近くにいる可能性が十分あります。

    ダークエンパスはどう発見されたか

    参加者は991人、オンライン調査を統合

    この研究は、計991人の大規模なデータで行われました。
    複数のオンライン調査を統合したものです。
    年齢は20代から30代が中心でした。
    参加者は性格・共感・攻撃性などに関する質問に回答しました。
    人数が多いほど結果の安定性が高まるため、一定の信頼性があります。
    ただし国や文化は限定的なため、日本に完全に当てはまるとは限りません。

    回答パターンから4グループに分類

    研究者は、回答が似た人たちをまとめる統計手法を使いました。
    これを「潜在プロファイル分析」といいます。
    いわば、似た得点の人を班分けするイメージです。
    2分類から6分類まで試した結果、4分類が最適と判断されました。
    人数が極端に少ない型は除外し、最終的に4タイプに落ち着きました。

    男女比「ダーク系は男性がやや多い」

    男性は、ダーク系のタイプに多い傾向がありました。
    伝統的ダーク型でも、ダークエンパスでも差が見られました。
    ただし女性にも当然存在します。
    性別だけで決まるわけではないため、決めつけは禁物です。
    まとめると、性差はあるものの限定的な傾向です。

    年齢差は小さく、ダークエンパスはやや若め

    タイプ間の年齢差は、大きくありませんでした。
    一部でダークエンパスがやや若めという傾向が出ましたが、統計的に強い差ではありません。
    社会人でも学生でも、どちらにも存在する可能性があります。
    年齢だけで判断できないタイプといえます。

    性格・攻撃性・心の状態も追加で検証

    研究はタイプ分けだけでなく、多角的な検証も行いました。
    具体的には、性格5因子・間接的攻撃・抑うつや不安の度合いも測定しました。
    それぞれの質問紙に答えた結果を、4タイプ間で比較しました。
    この多面的な分析が、ダークエンパスの特徴をより明確にしています。

    ダークエンパスの性格はネガティブだけでない

    協調性は伝統的ダーク型より高いが平均以下

    ダークエンパスは、完全に冷たいわけではありません。
    協調性とは、人に優しく接しやすい傾向のことです。
    伝統的ダーク型は4タイプの中で最も低い水準でした。
    一方でダークエンパスはそれより高く、ある程度は人に合わせられます。
    ただし共感型よりは低く、自己中心的な面も残ります。
    中間的な立場にあるタイプといえます。

    外向性が高めで、人づきあいは得意寄り

    ダークエンパスは、外向性が高めである傾向がありました。
    外向性とは、社交性や人前での積極性のことです。
    伝統的ダーク型よりも高い傾向が見られました。
    たとえばグループの中心になりやすく、周囲をまとめる力もある一面があります。
    ただし、その社交性の裏に計算が働いている可能性もあります。
    社交的な面と計算高い面が共存するタイプです。

    誠実性は大きな差が出にくい

    誠実性では、タイプ間で大きな差は見られませんでした。
    誠実性とは、まじめさや課題をやり抜く力のことです。
    ダークエンパスは平均的な水準でした。
    そのため、だらしないとは一概には言えません。
    誠実さの高低だけでこのタイプを判断するのは難しいといえます。

    情動性(不安になりやすさ)はタイプで異なる

    情動性は、タイプによって異なる傾向がありました。
    情動性とは、不安や心配を感じやすい傾向のことです。
    共感型はやや高めで、ダークエンパスは中間的な水準でした。
    伝統的ダーク型との差は、明確でない面もあります。
    つまり、情動性だけで各タイプを区別するのは難しいといえます。

    知的好奇心は共感型が高め

    知的好奇心は、共感型が最も高い傾向がありました。
    新しいことへの興味や探求心を指します。
    ダークエンパスは平均的な水準にとどまりました。
    そのため、知的好奇心の高さだけではこのタイプを説明できません。
    性格は単一の指標では測れないことがわかります。

    ダークエンパスの攻撃性と心の状態

    間接的な攻撃(仲間外れ・意地悪な冗談・罪悪感)で差が出た

    攻撃は、身体的な暴力だけではありません。
    仲間外れ・意地悪な冗談・罪悪感で人を動かすことも攻撃に含まれます。
    ダークエンパスはこれらの間接的攻撃において、伝統的ダーク型より低めでした。
    しかし共感型よりは高めという結果が出ています。
    つまり攻撃性が完全に抑えられているわけではありません。

    伝統的ダーク型が最も攻撃的、ダークエンパスはそこまで高くない

    攻撃性が最も高かったのは、伝統的ダーク型でした。
    たとえば社会的排除の得点は、伝統的ダーク型が26点前後だったのに対し、ダークエンパスは16点前後でした。
    この差はかなり大きく、共感が攻撃性を一定程度抑えている可能性があります。
    したがって、ダークエンパスは伝統的ダーク型ほど危険ではないといえます。

    典型型・共感型よりは攻撃性がやや高い面もある

    ただし、ダークエンパスを完全に安全とは言い切れません。
    典型型よりも攻撃性が高い項目も見られました。
    つまり、完全に優しいわけでもありません。
    状況次第で攻撃的な面が出る可能性もあります。
    中間的な攻撃傾向を持つタイプといえます。

    ダーク特性の細部は「ダーク系同士で似ている」

    細かい特性では、ダークエンパスと伝統的ダーク型は似ている部分が多いです。
    誇大性や衝動性などの項目で、両タイプの差は小さい傾向がありました。
    つまり、根本にあるダーク特性の核は共通しています。
    共感の有無が、表面上の行動を変える大きな要因になっているようです。

    抑うつ・不安は伝統的ダーク型が重く、ダークエンパスは中間

    心の状態は、タイプ間で重要な違いが見られました。
    抑うつ得点は伝統的ダーク型が9点前後と最も高く、ダークエンパスは7点台、典型型は6点台でした。
    ダークエンパスは伝統的ダーク型よりも心の負担が軽い傾向があります。
    共感力が心理的なクッションになっている可能性があります。
    ただし典型型よりは高めのため、完全に安定しているわけでもありません。

    最後に

    ダークエンパスは、「悪い人」でも「優しい人」でも片づけられない存在です。
    ダークな特性と共感の両方を持つ人が、約19%いることが示されました。
    つまり、クラスやバイト先にいても不思議ではありません。

    たしかに、間接的な攻撃性は平均よりやや高い面もあります。
    しかし、伝統的なダーク型よりは攻撃性や落ち込みが低い傾向もありました。
    共感がブレーキの役割を果たしている可能性もあります。

    大切なのは、「白か黒か」で人を判断しないことです。
    性格はグラデーションでできています。
    もし自分や身近な人に当てはまる点があっても、すぐに決めつける必要はありません。

    ダークエンパスという考え方は、人の性格が思った以上に複雑だと教えてくれます。
    だからこそ、他人にも自分にも、少し広い視点で向き合うことが大事なのです。

    よくある質問