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エコーチェンバー:偏った情報に触れているのはごく一部だけ

    SNS、SNSと政治、エコーチェンバー

    エコーチェンバーって聞いたことありますか?

    これは、自分と同じ考えの情報ばかりが目に入ってくる状態のことです。
    たとえば、SNSで「わかる!」「その通り!」と思う投稿ばかり見ていませんか?

    それ、実はエコーチェンバーに入っているサインかもしれません。
    いま、ネットの中では同じ意見がぐるぐる広がりやすくなっています。

    そうなると、ちがう意見を見なくなったり、反対の立場をすぐに否定したりしてしまうことがあります。
    でも、エコーチェンバーって本当に悪いことなのでしょうか?

    実はアメリカの研究で、「Like-minded sources on Facebook are prevalent but not polarizing」というおもしろいタイトルの論文が発表されました。

    この研究では、SNSのしくみとエコーチェンバーの関係がくわしく調べられています。

    この記事では、その研究をもとにしながら、エコーチェンバーって何?どうして起きるの?どうすれば防げるの?といった疑問にやさしく答えていきます。

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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    エコーチェンバーとは何か?身近な例から知ろう

    SNSで同じ意見ばかり見るのはなぜ?

    SNSでは自分と似た意見の投稿が多く表示されます。

    その理由は、見たい内容が優先されて表示されるからです。

    たとえば、よく「いいね」した投稿の内容が次も出てきます。

    この仕組みは、私たちの行動に合わせて変わります。

    つまり、同じような意見を何度も目にするのです。

    こうした環境が「エコーチェンバー」と呼ばれます。

    エコーチェンバーとは、自分と同じ意見ばかりが集まる場所のことです。

    反対意見が入りにくくなるため、考えがかたよります。

    たとえば次のような特徴があります。

    • 友達が似た意見の人ばかりになる
    • 意見が同じ投稿が優先されて表示される
    • 違う意見に出会うことが減る

    このように、気づかないうちに偏った情報だけ見てしまいます。

    知らず知らずのうちに、世界が狭くなってしまうのです。

    友達の投稿が似ている理由

    多くの人は、自分と考え方の近い友達とつながっています。

    これは「ホモフィリー」という性質によるものです。

    ホモフィリーとは、似た人とつながりやすい性質のことです。

    この性質は、現実の友人関係でも見られます。

    そしてSNSでも同じように働いています。

    友達が似た考えを持っていれば、投稿も似てきます。

    そのため、タイムラインが似た意見でうまります。

    さらに、共通の友達を通じて似た投稿が広がります。

    たとえば以下のような投稿が増えます。

    • 政治や社会のニュースの意見が一致
    • 同じ趣味や好きなものの投稿
    • 同じ考えのページのシェア

    結果として、見える世界が一方向にかたよるのです。

    つまり、SNSの友達が似ていると情報も偏りやすくなります。

    知らない意見に出会うことが少ない理由

    SNSでは知らない意見を見る機会が少なくなりがちです。

    なぜなら、私たちは「見たい情報」だけを選びがちだからです。

    また、SNSのしくみもそれを助けています。

    たとえば、自分がよく見る投稿が上に出てきます。

    その結果、違う意見は下の方に流れてしまいます。

    こうしたしくみは「アルゴリズム」と呼ばれます。

    アルゴリズムとは、情報の順番を決めるルールのことです。

    このしくみが働くと、反対意見は目に入りません。

    さらに、見たくない意見は自分から避けることもあります。

    このような行動は「選択的接触」といいます。

    つまり、知らない意見が見えにくくなる理由は次のとおりです。

    • よく見る投稿が優先される
    • 見たくない情報を自分で避ける
    • アルゴリズムが似た内容を優先する

    そのため、意見の違いを知る機会がとても少なくなっています。

    フィルターバブルとの違い

    エコーチェンバーとよく似た言葉に「フィルターバブル」があります。

    この2つは似ていますが、意味は少しちがいます。

    エコーチェンバーは、人とのつながりで意見がかたよる現象です。

    一方で、フィルターバブルは情報のしくみが原因です。

    つまり、どちらも情報がかたよる点は同じです。

    しかし、成り立ちの違いがあります。

    フィルターバブルの特徴は次のとおりです。

    • アルゴリズムによって情報がしぼられる
    • 自分の行動によって見える情報が変わる
    • 反対意見は自動的に外される

    このように、エコーチェンバーは人間関係から、フィルターバブルは技術から生まれます。

    両方が合わさると、情報の偏りはさらに強くなります。

    それぞれの特徴を理解することで、自分の情報環境を見直すきっかけになります。

    日常の中にあるエコーチェンバー

    エコーチェンバーはSNSだけでなく、私たちの生活の中にもあります。

    たとえば、家族や友人の会話でも見られます。

    同じ地域や学校、職場では考えが似た人が集まりやすいです。

    そのため、意見が一方にかたよることがあります。

    テレビや雑誌でも同じような現象が起こります。

    見たい番組や読みたい記事を選ぶからです。

    このように、日常生活の中にもエコーチェンバーがあります。

    具体的には次のような場面です。

    • 友達との会話がいつも同じ意見になる
    • よく見るニュースサイトがかたよっている
    • いつも同じ意見の人とだけつながっている

    こうした環境に気づかずにいると、世界の見方が狭くなります。

    だからこそ、意識してちがう考えに触れることが大切なのです。

    エコーチェンバーとSNSの関係

    Facebookの仕組みをかんたんに解説

    Facebookは、私たちの行動に合わせて情報を見せています。

    この仕組みを作っているのが「アルゴリズム」です。

    アルゴリズムは、投稿の表示順を決めるルールのことです。

    Facebookは、過去の「いいね」やコメントを参考にします。

    その人が興味を持ちそうな投稿が上に出てきます。

    つまり、Facebookは私たちの好みに合わせて動いています。

    そのため、似た意見ばかりが表示されやすくなります。

    しかも、反対意見は表示されにくくなるのです。

    このような流れで、エコーチェンバーが生まれます。

    たとえば、

    • 似た投稿を何度も見かける
    • 違う意見が流れてこない
    • 新しい視点に出会いにくい

    このように、Facebookの仕組みはエコーチェンバーを強めることがあります。

    どうやって投稿が選ばれているの?

    投稿がどう並ぶかは、見る人ごとにちがいます。

    その理由は、Facebookが人ごとに内容を選んでいるからです。

    どの投稿が表示されるかを決めるのが「ニュースフィード」です。

    ニュースフィードでは、興味がありそうな投稿が優先されます。

    たとえば、次のようなデータが使われます。

    • どの友達の投稿をよく見ているか
    • どんな記事に反応したか
    • どのページをフォローしているか

    この情報をもとに、表示される投稿が決まります。

    その結果、同じような意見ばかり目にすることになります。

    つまり、エコーチェンバーができやすくなるのです。

    投稿の並び方には理由があり、それが情報の偏りにつながることがあります。

    アルゴリズムが与える影響

    アルゴリズムは、私たちの情報の世界を形づくっています。

    たとえば、友達の投稿やフォローしたページの内容が選ばれます。

    それによって、私たちが何を見るかが大きく変わります。

    似たような意見が続くと、ほかの考えを信じにくくなります。

    また、自分とちがう人を理解するのがむずかしくなります。

    これが、考え方の分かれ目を広げることにつながるのです。

    ただし、すべての人が同じように影響を受けるわけではありません。

    研究では、以下のような特徴がある人が特に影響を受けやすいことが分かりました。

    • 情動性が高く、感情に左右されやすい人
    • 誠実性が低く、柔軟な思考をしにくい人
    • 政治や社会に強い関心を持っている人

    つまり、アルゴリズムの影響は人によってちがいますが、見えないかたちで私たちの考え方を変えることもあります。

    エコーチェンバーは本当に危険?

    エコーチェンバーがすぐに危険というわけではありません。

    でも、そのままにしておくと問題になることがあります。

    たとえば、次のようなリスクがあります。

    • 自分と違う意見に怒りや不安を感じやすくなる
    • 間違った情報を信じやすくなる
    • 他の人の立場を理解しにくくなる

    実際の研究でも、SNS上の偏った情報が対立を深める例がありました。

    ただし、すべての人が影響を受けるわけではありません。

    情報にふれる量や内容、使い方によって変わります。

    また、SNSの外にも情報の出どころはあります。

    そのため、一つのメディアだけで判断するのは危険です。

    エコーチェンバーの存在を知っておくことが、偏った考えを防ぐ第一歩です。

    SNSで意見がかたよる理由

    SNSでは、自分にとって心地よい意見が集まりやすいです。

    これは、人間の「確認バイアス」という心の働きが関係しています。

    確認バイアスとは、自分の考えを強める情報ばかり集めてしまうことです。

    SNSはこの傾向を強める仕組みになっています。

    たとえば、

    • 気に入った投稿にだけ「いいね」をする
    • 同じ意見の人とだけやり取りをする
    • 嫌な意見はスルーしてしまう

    こうした行動が重なると、タイムラインもかたよっていきます。

    さらに、アルゴリズムも同じ意見を見せ続けるようになります。

    その結果、違う意見がますます見えなくなってしまいます。

    だからこそ、意識的に多様な情報を見る努力が必要です。

    エコーチェンバーが私たちの考えに与える影響

    感情が強くなる「情動性」との関係

    エコーチェンバーは、感情が強くなるきっかけになります。

    特に、情動性が高い人は影響を受けやすいです。

    情動性とは、感情のゆれやすさや反応の強さを表します。

    同じ意見ばかり見ていると、気持ちがどんどん強くなります。

    「それ、わかる!」と感じる投稿は心に残りやすいです。

    反対に、違う意見に出会うと不快になりやすくなります。

    これは、SNSで自分の気持ちに合った情報だけを受け取るからです。

    たとえば以下のような傾向が見られます。

    • 怒りやすくなる
    • 不安が強くなる
    • 他人の意見に反発しやすくなる

    つまり、感情の起伏が激しくなると、人と冷静に話すことがむずかしくなります。

    感情の影響を受けやすい人ほど、エコーチェンバーの影響に注意が必要です。

    自分と違う人を嫌いになりやすくなる?

    エコーチェンバーは、人との分断を生む原因になることがあります。

    同じ考えの人とばかり話すと、他の意見に対して理解が減っていきます。

    その結果、違う意見を持つ人を敵のように思ってしまうこともあります。

    このような状態を「感情的な分断」といいます。

    たとえば、政治の話で意見がちがうだけで、その人全体を嫌いになることがあります。

    また、反対意見を持つ人を見下すような気持ちになることもあります。

    研究でも、こうした傾向がSNS上で見られました。

    具体的には、

    • 相手の立場を考えなくなる
    • 言葉づかいがきつくなる
    • 対立が深まる投稿が増える

    このような変化は、SNSの中だけでなく現実にも影響を与えます。

    意見のちがいを受け入れる心を忘れないことが大切です。

    誠実性が高い人はどうなる?

    誠実性が高い人は、エコーチェンバーの影響を受けにくい傾向があります。

    まず誠実性とは、まじめで責任感があり、考えを深く持つ性格のことです。

    このような人は、自分とちがう意見にも耳をかたむける力があります。

    SNSでも、冷静に情報を見て考えようとします。

    そのため、一方的な意見に流されにくいのです。

    たとえば以下のような行動が見られます。

    • 反対意見も読んでみる
    • 情報の出どころを確かめる
    • 自分の考えを持ちつつ他人も尊重する

    研究でも、誠実性が高い人は分極化しにくいという結果が出ています。

    エコーチェンバーに強いわけではありませんが、影響が少ないのです。

    つまり、誠実性の高さは情報のかたよりを防ぐ力になるのです。

    いろんな意見を見ると心が疲れる?

    情報が多すぎると、逆にストレスを感じることがあります。

    とくに、ちがう意見がぶつかり合う投稿を見ると疲れることがあります。

    この状態を「情報過多のストレス」といいます。

    たとえば、

    • 政治的な争いを何度も目にする
    • 友達同士のケンカを見る
    • はっきりしない情報に混乱する

    こうした体験が積み重なると、SNSを見るのがつらくなることもあります。

    そのため、自然と自分と合う意見だけを見るようになります。

    つまり、エコーチェンバーを避けようとしても、無意識に戻ってしまうのです。

    このようなサイクルが続くと、情報のバランスがとれなくなります。

    だからこそ、心が疲れたときはSNSから少し離れることも大切です。

    ネットの中と現実の違い

    SNSと現実の社会は、見える情報が大きくちがいます。

    SNSでは、目にする内容が自分の好みに合わせて変わります。

    一方で、現実の生活ではさまざまな考えの人と出会います。

    しかし、SNSばかり見ていると「これがみんなの意見だ」と思い込んでしまうことがあります。

    実際には、ネットの中の声は一部にすぎません。

    また、SNSでは強い言葉が目立ちやすくなります。

    そのため、普通の意見やおだやかな声が見えにくくなります。

    このようなちがいに気づかないと、現実とネットの区別がつかなくなります。

    たとえば、

    • 多数派だと思っていた意見が実は少数派だった
    • ネットで話題でも現実ではあまり知られていない
    • 違う意見を持つ人に驚くことがある

    ネットの情報は一部であり、現実の多様さを忘れないことが大切です。

    エコーチェンバーを減らすにはどうしたらいい?

    アルゴリズムを変える実験とは?

    SNSの情報の偏りは、アルゴリズムを変えることで調整できます。

    実際に行われた実験では、Facebookの表示ルールを一部変えました。

    同じ考えの投稿をあえて少なくし、ちがう意見や中立な投稿を増やしたのです。

    この実験には、約2万人以上が参加しました。

    その結果、同じ意見ばかり見ていた人が、ちがう情報にもふれるようになりました。

    しかし、意見や考え方が大きく変わることはありませんでした。

    つまり、情報の変化だけで人の考えはすぐには変わらないのです。

    このことからわかるのは以下の通りです。

    • 投稿の順番を変えると、見える情報も変わる
    • ちがう意見を目にする機会は増える
    • でも、それだけで考え方が変わるとは限らない

    アルゴリズムは一つの手段ですが、私たち自身の意識も大切です。

    情報のバランスをとる方法

    情報の偏りを減らすには、バランスをとる工夫が必要です。

    そのためには、自分からいろんな立場の意見を見にいくことが大切です。

    たとえば、ニュースを複数のメディアから読むようにします。

    また、あえて自分とちがう考えを知る努力も必要です。

    次のような方法があります。

    • 賛成と反対の両方の意見を読む
    • 外国のニュースサイトも参考にする
    • SNS以外の情報源を利用する

    さらに、家族や友達と話すときにも偏りに気をつけましょう。

    違う意見を聞くことで、自分の考えも深まります。

    自分で選ぶ情報の幅を広げることが、偏りを防ぐ一歩になります。

    「知らない意見」をわざと見るコツ

    知らない意見にふれるには、意識して行動を変えることが効果的です。

    ふだん見ない投稿をあえて読んでみましょう。

    それにより、自分の考えを見直すきっかけになります。

    たとえば、次のような行動が有効です。

    • フォローしていない新聞社の記事を読む
    • 反対の立場の人の話を聞く動画を見る
    • 中立的な情報サイトを使って調べる

    こうすることで、見える世界が広がっていきます。

    ただし、無理にすべての意見を受け入れる必要はありません。

    大切なのは、「ちがう意見もある」と知ることです。

    自分とちがう考え方にふれることは、新しい視点を持つチャンスになります。

    友達の多様性がカギ?

    友達の考え方がいろいろだと、SNSの情報も自然と広がります。

    似た意見の人ばかりとつながると、考えがかたよってしまいます。

    反対に、ちがう意見の人ともつながっていれば、多様な投稿が届きます。

    それが、エコーチェンバーをゆるめるきっかけになります。

    次のような人とつながるのがおすすめです。

    • 出身地や年齢がちがう人
    • 考え方や関心が自分とちがう人
    • まったく異なる職業や立場の人

    もちろん、仲良くなる必要はありません。

    ただ、話を聞くだけでも価値があります。

    多様な友達は、情報の広がりをつくる重要な存在です。

    SNSでのつながりを見直すだけでも、情報の見え方は大きく変わります。

    自分でできる小さな工夫

    エコーチェンバーを減らすために、自分でできることはたくさんあります。

    小さな行動でも積み重ねれば、大きな変化につながります。

    たとえば、以下のような工夫があります。

    • 毎日ちがうニュースサイトをチェックする
    • 投稿をシェアする前に内容を調べる
    • コメント欄でいろんな意見を読んでみる

    さらに、情報を見てすぐに反応せず、一度立ち止まって考えることも大切です。

    自分の考えに合うからといって、すぐに信じないようにしましょう。

    いろんな角度から見るくせをつけることで、偏った情報に流されにくくなります。

    少しの意識の変化が、情報との向き合い方を大きく変えてくれます。

    最後に

    この記事では、エコーチェンバーについてわかりやすく説明してきました。
    SNSはとても便利ですが、気づかないうちに自分と同じ考えの投稿ばかり見てしまうことがあります。
    そうなると、ちがう意見を聞く機会が減ってしまい、考え方がかたよりやすくなります。

    でも、すぐに分かれるとか争いが生まれるわけではありません。
    大切なのは、自分の情報の世界がどうなっているかを知ることです。
    ニュースをいろいろな角度から見たり、ちがう立場の人の声に耳をかたむけたりすることで、バランスのとれた考え方ができます。

    また、気になる投稿があれば、すぐに信じる前に少し調べてみるのも良い方法です。
    ネットの情報はとても広くて深いからこそ、自分で選ぶ力が大事になります。
    エコーチェンバーをなくすのはむずかしくても、うまくつき合っていくことはきっとできます。

    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。