コンテンツへスキップ
ホーム » 性格診断メディア » 偏見(バイアス)を持ちやすい性格とは?心理学の研究を解説

偏見(バイアス)を持ちやすい性格とは?心理学の研究を解説

    偏見

    偏見を持つのは悪いことだと言われますが、私たちは無意識のうちに偏見を持ってしまうことがあります。
    では、なぜ人は偏見を持つのでしょうか?

    実は、私たちの性格特性が偏見と深く関わっているのです。

    最近発表された大規模なメタ分析「Personality and Prejudice: A Meta-Analysis and Theoretical Review」では、性格特性と偏見の関係が明らかになりました。

    研究チームは、性格特性の5因子モデル(外向性、協調性、誠実性、神経症傾向、経験への開放性)に着目し、これらの性格特性が偏見とどのように関連しているのかを調べました。

    また、右翼権威主義(RWA)と社会的支配志向性(SDO)という2つの態度も、偏見との関連が検討されています。

    この記事では、メタ分析の結果をわかりやすく解説し、性格特性と偏見の関係について理解を深めていきます。

    自分の性格特性を知ることは、偏見のメカニズムを知る第一歩になるはずです。

    性格特性と偏見の関係 – 大規模メタ分析の結果

    性格特性の5因子モデルとは

    ビッグファイブとして有名な5因子モデルは、人の性格を5つの次元で捉える理論です。
    この5つの次元とは、以下の通りです。

    • 外向性:社交的か内向的か
    • 協調性:優しく思いやりがあるか
    • 誠実性:責任感が強く、計画的か
    • 神経症傾向:不安になりやすいか
    • 経験への開放性:新しいことに興味があるか

    これらの性格特性が、偏見とどのように関連しているのでしょうか。
    本メタ分析では、5因子モデルと偏見の関係を明らかにしています。
    性格特性と偏見の関連性を理解することは、偏見の解消に役立つでしょう。

    右翼権威主義(RWA)と社会的支配志向性(SDO)

    右翼権威主義(RWA)と社会的支配志向性(SDO)は、偏見と関連する重要な概念です。

    RWAは、伝統的な価値観や規範に従うことを重視する傾向を指します。

    一方、SDOは、社会的な不平等を受け入れ、優越的な立場を求める傾向を意味します。

    本メタ分析では、RWAとSDOが性格特性とどのように関わっているかも調べています。

    性格特性がRWAやSDOを介して、間接的に偏見に影響を与えている可能性があるのです。

    RWAとSDOの理解は、偏見の心理的メカニズムを探る上で欠かせません。

    メタ分析に含まれた研究と参加者数

    本メタ分析は、71の研究、22,068人のデータを統合した大規模なものです。
    メタ分析とは、複数の研究結果を統計的に統合し、全体的な傾向を明らかにする手法です。
    個々の研究では見えなかった関連性も、メタ分析によって浮き彫りになります。
    今回のメタ分析では、以下の点が考慮されました。

    • 出版バイアスの有無
    • 研究で使用された性格特性の尺度の種類
    • サンプルの年齢層(大学生か一般成人か)
    • 文化差(欧米など)

    これらの要因を考慮した上で、性格特性と偏見の関係が検討されています。
    多くの研究データを統合することで、結果の信頼性が高まるのです。

    経験への開放性の低さと右翼権威主義(RWA)の関連

    経験への開放性の低さは、RWAと関連していました。
    この性格特性が低い人は、新しいアイデアや価値観を受け入れにくい傾向があります。
    そのため、伝統的な規範を重視するRWAと結びつきやすいのです。
    具体的には、以下のような特徴があります。

    • 既存の社会秩序を維持することを重視する
    • 曖昧さを嫌い、明確なルールを求める
    • 自分とは異なる価値観を持つ人を脅威に感じる

    経験への開放性の低さは、このようにRWAを高める要因となっています。
    RWAが高まることで、外集団に対する偏見が強まるのです。

    誠実性の高さとRWAの関連

    誠実性の高さは、RWAと弱い正の関連がありました。
    この傾向が高い人は、規則を守り、責任感が強い傾向があります。
    そのため、伝統的な価値観を重視するRWAと結びつきやすいのです。
    ただし、その関連性は経験への開放性ほど強くありませんでした。
    誠実性の高さは、以下のような特徴につながります。

    • 社会規範を守ることを重視する
    • 計画的で、衝動的な行動を控える
    • 責任感が強く、義務を果たすことを大切にする

    誠実性の高さは、RWAを高める要因の一つと言えるでしょう。
    ただし、経験への開放性の低さほど、偏見に直結しない可能性があります。

    協調性の低さと社会的支配志向性(SDO)の関連

    協調性の低さは、SDOと中程度の関連がありました。
    この傾向が低い人は、他者への思いやりが少なく、自己中心的な傾向があります。
    そのため、社会的な不平等を受け入れやすいSDOと結びつくのです。
    具体的には、以下のような特徴があります。

    • 他者の感情や利益よりも、自分の利益を優先する
    • 競争的で、他者を出し抜くことを重視する
    • 弱者への同情心が乏しい

    協調性の低さは、このようにSDOを高める要因となっています。
    SDOが高まることで、社会的な優劣への信念が強まり、偏見が生じやすくなるのです。

    経験への開放性の低さとSDOの弱い関連

    経験への開放性の低さは、SDOとも弱い関連がありました。
    ただし、その関連性は協調性ほど強くありませんでした。
    経験への開放性が低い人は、新しい価値観を受け入れにくい傾向があります。
    そのため、社会的な不平等を当然視するSDOと結びつきやすいのです。
    具体的には、以下のような特徴があります。

    • 既存の社会秩序を疑問視しない
    • 多様性を脅威ととらえる
    • 変化を好まず、現状維持を求める

    経験への開放性の低さは、SDOを高める要因の一つと言えるでしょう。
    ただし、協調性の低さほど、偏見に直結しない可能性があります。

    協調性の効果はSDOを媒介して偏見に影響

    協調性の低さが偏見に与える影響は、主にSDOを介したものでした。
    つまり、協調性が低いことでSDOが高まり、その結果として偏見が強まるのです。
    SDOを統制すると、協調性と偏見の関連性は大幅に減少しました。
    一方、RWAを統制しても、協調性と偏見の関連性はあまり変わりませんでした。
    このことから、以下のことが示唆されます。

    • 協調性の低さは、SDOを介して間接的に偏見を強める
    • 協調性の低さは、RWAを介さずに偏見に影響する
    • SDOは、協調性と偏見を結びつける重要な心理的要因である

    協調性の効果は、社会的な不平等を正当化するSDOを媒介して、偏見に影響を与えているのです。

    経験への開放性の効果はRWAを媒介して偏見に影響

    経験への開放性の低さが偏見に与える影響は、主にRWAを介したものでした。
    つまり、経験への開放性が低いことでRWAが高まり、その結果として偏見が強まるのです。
    RWAを統制すると、経験への開放性と偏見の関連性は大幅に減少しました。
    一方、SDOを統制しても、経験への開放性と偏見の関連性はあまり変わりませんでした。
    このことから、以下のことが示唆されます。

    • 経験への開放性の低さは、RWAを介して間接的に偏見を強める
    • 経験への開放性の低さは、SDOを介さずに偏見に影響する
    • RWAは、経験への開放性と偏見を結びつける重要な心理的要因である

    経験への開放性の効果は、伝統的な価値観を重視するRWAを媒介して、偏見に影響を与えているのです。

    外向性、神経症傾向、誠実性と偏見の関連は弱い

    外向性、神経症傾向、誠実性と偏見の関連性は弱いものでした。
    これらの性格特性は、偏見とあまり関係がないようです。
    外向性は、社交性の高さを表す性格特性です。
    神経症傾向は、不安になりやすい傾向を指します。
    誠実性は、規則を守り、責任感が強い特性です。
    これらの性格特性と偏見の関連性が弱かった理由として、以下のことが考えられます。

    • 外向性や神経症傾向は、社会的態度とは関係が薄い
    • 誠実性は、RWAを介して偏見に間接的に影響するが、直接的な影響は小さい
    • 偏見には、協調性や経験への開放性といった他の性格特性の方が重要である

    ただし、状況によっては、これらの性格特性も偏見に影響を与える可能性があります。

    協調性と経験への開放性の効果は一貫して頑健

    協調性の低さとSDOの関連性、経験への開放性の低さとRWAの関連性は、様々な状況で一貫して見られました。
    サンプルの年齢層や文化差などの要因を考慮しても、これらの関連性は頑健でした。
    具体的には、以下のような点が確認されました。

    • 学生サンプルでも成人サンプルでも、関連性は同程度に見られた
    • 欧米の文化圏でも、関連性は同程度に見られた
    • 性格特性の測定尺度が異なっても、関連性は同程度に見られた

    これらの結果は、協調性と経験への開放性が偏見に与える影響の頑健性を示しています。
    様々な状況で一貫した関連性が見られるということは、その関連性が普遍的なものである可能性が高いのです。

    パーソナリティ尺度による効果の違い

    パーソナリティ尺度によって、性格特性と偏見の関連性に違いが見られました。
    NEO-PI-RやNEO-FFIを用いた研究では、BFIを用いた研究よりも、関連性が強く出る傾向がありました。
    これは、以下のような理由が考えられます。

    • NEO-PI-RやNEO-FFIには、態度に関する項目が含まれている
    • BFIは、行動に関する項目のみで構成されている
    • 態度に関する項目は、偏見と内容的に重複している可能性がある

    ただし、パーソナリティ尺度による違いは、関連性の強さに影響するものの、関連性の有無には影響しませんでした。
    つまり、どの尺度を用いても、協調性や経験への開放性と偏見の関連性は一貫して見られたのです。

    偏見の領域による効果の違い

    偏見の領域によって、性格特性と偏見の関連性に違いが見られました。
    一般的な偏見(様々な集団に対する偏見を統合したもの)では、人種差別や性差別よりも、関連性が強く出る傾向がありました。
    これは、以下のような理由が考えられます。

    • 一般的な偏見は、特定の集団に対する態度の影響を受けにくい
    • 人種差別や性差別は、特定の集団に対する態度の影響を受けやすい
    • 性格特性は、特定の集団よりも、全般的な偏見傾向と結びつきやすい

    ただし、偏見の領域による違いは、関連性の強さに影響するものの、関連性の有無には影響しませんでした。
    つまり、どの領域の偏見でも、協調性や経験への開放性との関連性は一貫して見られたのです。

    文化差による効果の違い

    文化差によって、誠実性と神経症傾向の効果に違いが見られました。
    欧米の文化圏では、誠実性と偏見の関連性が強く、神経症傾向と偏見の関連性が弱い傾向がありました。
    一方、北米の文化圏では、逆の傾向が見られました。
    これらの文化差は、以下のような要因によって生じている可能性があります。

    • 欧米では、伝統的な価値観が重視されており、誠実性が偏見と結びつきやすい
    • 北米では、個人主義的な価値観が重視されており、神経症傾向が偏見と結びつきやすい
    • 文化的な価値観が、性格特性と偏見の関連性を調整している

    ただし、協調性と経験への開放性の効果は、文化差の影響を受けませんでした。
    これらの性格特性と偏見の関連性は、文化を超えて普遍的に見られるのです。

    協調性の低さとSDOの関連性が最も頑健

    本メタ分析では、協調性の低さとSDOの関連性が最も頑健でした。
    この関連性は、様々な要因を統制しても、一貫して見られました。
    以下のような点が、その頑健性を裏付けています。

    • サンプルの年齢層や文化差による影響を受けない
    • 性格特性の測定尺度による影響を受けない
    • 偏見の領域による影響を受けない

    つまり、協調性の低さは、SDOを介して偏見に影響を与える最も重要な性格特性だと言えるでしょう。

    他者への思いやりが欠如し、自己中心的な傾向が強いことが、社会的な不平等を受け入れる態度につながるのです。

    協調性の低さがSDOを高め、SDOが偏見を強めるというメカニズムは、非常に頑健なものだと考えられます。

    経験への開放性の低さとRWAの関連性も一貫

    経験への開放性の低さとRWAの関連性も、かなり一貫して見られました。

    この関連性は、協調性とSDOほどではないものの、様々な要因を統制しても頑健でした。

    以下のような点が、その一貫性を裏付けています。

    • サンプルの年齢層や文化差による影響をほとんど受けない
    • 性格特性の測定尺度による影響を受ける可能性はあるが、関連性自体は一貫している
    • 偏見の領域による影響をほとんど受けない

    つまり、経験への開放性の低さは、RWAを介して偏見に影響を与える重要な性格特性だと言えるでしょう。

    新しい経験や価値観を拒絶する傾向が、伝統的な規範への固執につながるのです。

    経験への開放性の低さがRWAを高め、RWAが偏見を強めるというメカニズムは、かなり頑健なものだと考えられます。

    パーソナリティが偏見に与える影響の多くはRWAとSDOを媒介

    本メタ分析の結果は、パーソナリティが偏見に与える影響の多くが、RWAとSDOを媒介したものであることを示しています。

    協調性の効果はSDOを媒介し、経験への開放性の効果はRWAを媒介していました。 以下のような点が、この媒介効果の存在を裏付けています。

    • SDOを統制すると、協調性と偏見の関連性が大幅に減少した
    • RWAを統制すると、経験への開放性と偏見の関連性が大幅に減少した
    • SDOとRWAは、性格特性と偏見を結びつける重要な心理的要因である

    つまり、性格特性が直接偏見に影響を与えるのではなく、RWAやSDOといった社会的態度を介して間接的に影響を与えているのです。

    パーソナリティが偏見に与える影響を理解するには、RWAとSDOの媒介効果を考慮することが不可欠だと言えるでしょう。

    イデオロギーと偏見の二重過程モデル(DPMモデル)とは

    イデオロギーと偏見の二重過程モデル(DPMモデル)は、性格特性と偏見の関係を説明する理論的枠組みです。

    このモデルは、以下のような主張をしています。

    • RWAとSDOは、性格特性と偏見を媒介する2つの独立した社会的態度である
    • RWAは、伝統的な価値観や規範への順応を重視する態度である
    • SDOは、社会的な不平等を受け入れ、優越的な立場を求める態度である
    • 協調性の低さはSDOを介して偏見に影響を与える
    • 経験への開放性の低さはRWAを介して偏見に影響を与える

    DPMモデルは、性格特性と偏見の関係を、RWAとSDOという2つの社会的態度の観点から説明しようとするものです。

    このモデルによって、性格特性が偏見に与える影響のメカニズムを、より詳細に理解することができるのです。

    本メタ分析の結果はDPMモデルを支持

    本メタ分析の結果は、DPMモデルの主張を強く支持するものでした。

    協調性の低さがSDOを介して偏見に影響を与え、経験への開放性の低さがRWAを介して偏見に影響を与るという関係性が確認されました。

    以下のような点が、DPMモデルを支持する証拠となっています。

    • 協調性とSDO、経験への開放性とRWAの関連性が示された
    • SDOとRWAは、性格特性と偏見の関係を媒介していた
    • 性格特性から偏見への直接効果は限定的であった

    つまり、性格特性と偏見の関係を理解する上で、DPMモデルが提唱するRWAとSDOの媒介効果を考慮することが重要だと言えるでしょう。

    本メタ分析は、DPMモデルの妥当性を実証的に裏付ける結果となったのです。

    まとめ:性格特性と偏見の関係

    本メタ分析は、性格特性と偏見の関係について、以下のような知見をもたらしました。

    • 協調性の低さはSDOを介して偏見に影響を与える
    • 経験への開放性の低さはRWAを介して偏見に影響を与える
    • これらの関連性は、様々な状況で頑健に見られる
    • RWAとSDOは、性格特性と偏見を結びつける重要な心理的要因である
    • DPMモデルが提唱する媒介効果は、実証的に支持された

    性格特性が偏見に与える影響を理解するには、RWAとSDOの媒介効果を考慮することが不可欠です。

    協調性や経験への開放性といった性格特性は、社会的態度を形作ることで、間接的に偏見に影響を及ぼしているのです。

    性格特性と偏見の関係を探ることは、偏見の心理的メカニズムの解明につながるでしょう。

    最後に

    私たちの性格特性は、偏見と深く関わっています。

    特に、協調性が低い人は社会的支配志向性(SDO)が高くなりやすく、経験への開放性が低い人は右翼権威主義(RWA)が高くなりやすいことが分かりました。

    そして、SDOやRWAが高いと、偏見が強くなる傾向があるのです。

    つまり、協調性や経験への開放性といった性格特性が、SDOやRWAを通して、間接的に偏見に影響を与えているのですね。

    この性格特性と偏見の関係は、年齢層や文化、偏見の対象が変わっても、一貫して見られることも明らかになりました。

    ただし、偏見の種類によって、性格特性との関連の強さは少し変わるようです。

    例えば、特定の集団への偏見よりも、全般的な偏見の方が、性格特性との結びつきが強いことが示唆されています。

    性格特性が偏見に与える影響を理解することは、偏見のメカニズムを解明する手がかりになります。

    ※この記事は以下の本に掲載された論文を参考に執筆しています。

    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。