性格と「脳科学」は密接に関係しています。
私たちの性格は、生まれつきの気質や環境の影響を受けて形作られると考えられてきました。
しかし近年の研究で、性格の背景には脳の働きが深く関わっていることが明らかになってきたのです。
つまり、性格というのは単なる心理的な特徴ではなく、脳の生物学的な基盤を持っているということです。
性格と脳科学の関係を知ることで、自分自身や他者の行動やものの見方をより深く理解することができるでしょう。
本記事では、性格と脳科学の知見を融合し、性格と脳の関係について最新の研究を分かりやすく解説します。
性格の不思議に迫る知的冒険の旅に、ぜひご一緒しましょう。
※この記事は書籍「Big Fiveパーソナリティ・ハンドブック」に掲載された論文を参考に執筆しています。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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性格と脳科学の関係を探る
性格と脳科学には密接な関係がある
脳の働きと性格には密接な関係があります。
脳内の神経伝達物質や脳の特定の部位の働きが、性格特性に影響を与えているのです。
例えば、以下のような関係が明らかになっています。
- 外向性とドーパミンの関連
- 神経症傾向とセロトニン、ノルアドレナリンの関連
- 開放性・知性とドーパミン、デフォルトモードネットワークの関連
このように、脳の働きが性格特性を形作っているのです。
つまり、性格特性は単なる心理的な特徴ではなく、脳の生物学的な働きに根ざしているのです。
性格と脳科学の関係を理解することで、自分自身の性格特性の根源を知ることができるでしょう。
性格特性を理解することで自分自身を知ることができる
自分自身を知るための重要な手がかりとして性格特性はとても重要です。
自分の性格特性を知ることで、以下のようなメリットがあります。
- 自分の長所や短所を客観的に理解できる
- ストレスへの対処方法や適職が分かる
- 他者との関わり方のヒントが得られる
しかしながら、性格特性はあくまで傾向であり、絶対的なものではありません。
状況によって行動が変化することもあるでしょう。
また、性格特性は変化しうるものでもあります。
性格特性を理解することは自己理解の第一歩ですが、それだけで自分自身のすべてが分かるわけではありません。
つまり、性格特性を手がかりとしながら、多面的に自分自身と向き合うことが大切です。
性格と脳科学:外向性
外向性の高い人は報酬に敏感
外向性の高い人は、報酬に対して敏感に反応する傾向があります。
この特性の中核的な機能は、接近すべき目標である具体的な報酬に対する感受性だと考えられています。
つまり、外向性の高い人は、以下のような特徴を持っているのです。
- 報酬を積極的に求める
- ポジティブな感情を感じやすい
- 社交的で活発な行動をとる
一方で、外向性の低い人は、報酬に対する感受性が低く、消極的で内向的な傾向があります。
このように、外向性の高低によって、報酬に対する反応性や行動パターンに違いが見られるのです。
外向性と報酬感受性の関連は、脳内のドーパミン神経系の働きと密接に関わっていると考えられています。
ドーパミンが外向性と関連している
外向性とドーパミンの関連は、最もよく研究されている知見の一つです。
ドーパミンは、脳内の神経伝達物質の一種で、以下のような機能を持っています。
- 報酬に対する反応を調節する
- 意欲や動機づけを高める
- 快感情を生み出す
外向性の高い人は、ドーパミン神経系の働きが活発であると考えられています。
実際、ドーパミン神経系に作用する薬物の効果は、外向性の高さによって調節されることが示されています。
また、外向性には2つの側面があり、それぞれドーパミンと関連する神経系が異なると言われています。
自己主張性はドーパミン神経系と、社交性や肯定的な感情は内因性オピオイド系と関連するのです。
このように、外向性とドーパミンの関連は、多面的な広がりを持っていると言えるでしょう。
性格と脳科学:外向性に関連する脳の特定の部位
外向性は、脳の特定の部位の働きと関連していることが明らかになっています。
外向性と関連が深い脳部位は、以下のような領域です。
- 内側眼窩前頭皮質
- 側坐核
- 扁桃体
- 線条体
これらの脳部位は、報酬処理や感情制御に関わる領域として知られています。
特に内側眼窩前頭皮質は、外向性と正の相関があることが示されています。
つまり、外向性の高い人ほど、内側眼窩前頭皮質の体積が大きいのです。
外向性と脳の特定部位の関連は、性格特性が脳の構造や機能と密接に結びついていることを示しています。
外向性の背景には、脳の特定の領域の働きがあるのです。
性格と脳科学:神経症傾向
神経症傾向の高い人は脅威や不安に敏感
神経症傾向の高い人は、脅威や不安に敏感に反応する傾向があります。
この特性は、以下のような特徴を持っています。
- 不確実性や脅威、罰に対する防衛反応
- 不安、抑うつ、怒り、苛立ちなどのネガティブな感情
- 脅威や罰の経験に伴う認知の歪み
神経症傾向の高い人は、ストレスに脆弱で、ネガティブな感情を感じやすいと言えるでしょう。
一方で、神経症傾向の低い人は、情緒的に安定しており、ストレス耐性が高い傾向があります。
神経症傾向の背景には、脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの働きがあると考えられています。
神経症傾向の高低は、これらの神経伝達物質の働きの個人差を反映していると言えるでしょう。
セロトニンとノルアドレナリンが神経症傾向と関連している
神経症傾向は、セロトニンとノルアドレナリンの働きと関連していることが示されています。
セロトニンとノルアドレナリンは、以下のような機能を持つ神経伝達物質です。
- 不安や恐怖、ストレスへの反応を調節する
- 気分や感情をコントロールする
- 睡眠や食欲などの生理機能を制御する
神経症傾向の高い人は、セロトニンの働きが低下している可能性が指摘されています。
実際、セロトニンの働きを高める薬物は、神経症傾向の高い人の不安や抑うつ症状を改善することが知られています。
また、ノルアドレナリンの働きが高いことも、神経症傾向と関連していると考えられています。
ノルアドレナリンは、ストレス反応を引き起こす神経伝達物質の一つです。
このように、神経症傾向の背景には、セロトニンとノルアドレナリンの働きの個人差があると言えるでしょう。
性格と脳科学:神経症傾向に関連する脳の特定の部位
神経症傾向は、脳の感情に関わる部位の働きと関連していることが明らかになっています。
神経症傾向と関連が深い脳部位は、以下のような領域です。
- 扁桃体
- 島皮質
- 前帯状皮質
これらの脳部位は、ネガティブな感情の処理に関わる領域として知られています。
特に扁桃体は、神経症傾向と正の相関があることが示されています。
つまり、神経症傾向の高い人ほど、扁桃体の体積が大きいのです。
神経症傾向と脳の感情に関わる部位の関連は、性格特性が脳の構造や機能と密接に結びついていることを示しています。
神経症傾向の背景には、脳の感情処理に関わる領域の働きの個人差があるのです。
性格と脳科学:開放性・知性
開放性・知性の高い人は好奇心が強く、創造性に富む
開放性・知性の高い人は、好奇心が強く、創造性に富む傾向があります。
この特性は、以下のような特徴を持っています。
- 認知的探索と情報への関与
- 知的好奇心や想像力の豊かさ
- 新しいアイデアや経験に対する開放性
開放性・知性の高い人は、未知のものに積極的に関与し、新しい発想を生み出しやすいと言えるでしょう。
一方で、開放性・知性の低い人は、慣れ親しんだものを好み、変化を避ける傾向があります。
開放性・知性の背景には、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの働きがあると考えられています。
開放性・知性の高低は、ドーパミン神経系の働きの個人差を反映していると言えるでしょう。
ドーパミンが開放性・知性と関連している
開放性・知性は、ドーパミンの働きと関連していることが示唆されています。
ドーパミンは、以下のような機能を持つ神経伝達物質です。
- 報酬に対する反応を調節する
- 意欲や動機づけを高める
- 認知機能を向上させる
開放性・知性の高い人は、ドーパミン作動性ニューロンの働きが活発であると考えられています。
このニューロンは、ポジティブな情報とネガティブな情報の両方に反応するという特徴があります。
つまり、開放性・知性の高い人は、多様な情報に対して敏感に反応するのです。
また、開放性・知性は、ドーパミン神経系の起点となる中脳領域と、注意制御に関わる前頭前野との機能的結合と関連することが示されています。
このように、開放性・知性とドーパミンの関連は、脳の複数の領域の働きにまたがっていると言えるでしょう。
開放性・知性は脳のデフォルトモードネットワークと関連がある
開放性・知性は、脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)の働きと関連していることが明らかになっています。
DMNは、以下のような機能を持つ脳内ネットワークです。
- 自己に関する思考や内省
- 他者の心の状態の推測
- 過去や未来に関する想像
DMNは、私たちが特に課題に取り組んでいないときに活動する脳内ネットワークとして知られています。
開放性・知性の高い人は、DMNの働きが活発であると考えられています。
実際、開放性・知性は、DMNの中核をなす内側前頭前野や後帯状皮質、下頭頂小葉の働きと関連することが示されています。
開放性・知性とDMNの関連は、性格特性が脳の機能的ネットワークと密接に結びついていることを示しています。
開放性・知性の背景には、自己や他者、時間を超えた想像に関わる脳内ネットワークの働きがあるのです。
性格と脳科学:協調性
協調性の高い人は他者への思いやりと礼儀正しさを持つ
協調性の高い人は、他者への思いやりと礼儀正しさを持つ傾向があります。
この特性は、以下のような特徴を持っています。
- 他者の欲求や感情への関心
- 共感性や同情心の高さ
- 社会規範への適応力
協調性の高い人は、他者との良好な関係を維持するために努力し、社会的なルールに従いやすいと言えるでしょう。
一方で、協調性の低い人は、自己中心的で、他者への配慮に欠ける傾向があります。
協調性の背景には、脳内の神経ペプチドであるオキシトシンやバソプレシンの働きがあると考えられています。
協調性の高低は、これらの神経ペプチドの働きの個人差を反映していると言えるでしょう。
オキシトシンやバソプレシンが協調性と関連している
協調性は、オキシトシンやバソプレシンの働きと関連していることが示唆されています。
オキシトシンとバソプレシンは、以下のような機能を持つ神経ペプチドです。
- 社会的絆や愛着の形成を促進する
- 他者への共感や信頼感を高める
- 攻撃性や競争心を抑制する
協調性の高い人は、オキシトシンやバソプレシンの働きが活発であると考えられています。
特にオキシトシンは、他者への信頼感や共感性を高める作用があります。
実際、オキシトシンを投与すると、他者への協力的な行動が増加することが知られています。
一方、協調性の低い人は、これらの神経ペプチドの働きが低い可能性があります。
このように、協調性の背景には、社会的絆や共感に関わる神経ペプチドの個人差があるのです。
性格と脳科学:勤勉性
勤勉性の高い人は自己統制力と責任感が強い
勤勉性の高い人は、自己統制力と責任感が強い傾向があります。
この特性は、以下のような特徴を持っています。
- 目標達成への強い意志力
- 衝動的な行動の抑制
- 組織性と計画性の高さ
勤勉性の高い人は、長期的な目標に向けて継続的に努力し、誘惑に負けにくいと言えるでしょう。
一方で、勤勉性の低い人は、衝動的で計画性に欠け、責任感が弱い傾向があります。
勤勉性の背景には、脳の前頭前野の働きが深く関わっていると考えられています。
勤勉性の高低は、実行機能や意志力に関わる脳部位の働きの個人差を反映していると言えるでしょう。
前頭前野が勤勉性と密接に関連している
勤勉性は、前頭前野の働きと密接に関連していることが明らかになっています。
前頭前野は、以下のような機能を持つ脳部位です。
- 実行機能や計画立案
- 衝動の抑制と意志力
- 注意の制御と集中力
勤勉性の高い人は、前頭前野の働きが活発であると考えられています。
特に背外側前頭前野と前帯状皮質は、自己制御や目標達成に重要な役割を果たしています。
実際、これらの脳部位に損傷を受けると、計画性や自己制御に問題が生じることが知られています。
また、勤勉性は脳の白質の構造とも関連があり、効率的な神経伝達が自己制御能力を支えています。
このように、勤勉性の背景には、自己制御に関わる脳部位の働きの個人差があるのです。
性格と脳科学についてよくある質問
性格は脳の構造によって完全に決まってしまうのですか?
性格は脳の構造だけで決まるものではありません。遺伝的要因と環境的要因が相互に影響し合い、また脳の可塑性により経験や学習によって変化することも可能です。
神経伝達物質のバランスを整えると性格は変わりますか?
神経伝達物質のバランスを調整することで、行動や感情の傾向に変化をもたらすことは可能ですが、根本的な性格特性を完全に変えることは困難とされています。
脳科学的な性格分析は信頼できるのでしょうか?
脳科学的な性格研究は発展途上の分野であり、統計的な傾向は示されていますが、個人の性格を完全に予測することはできません。参考程度に留めることが重要です。
外向的な性格になるためにドーパミンを増やす方法はありますか?
運動や音楽鑑賞、達成感のある活動などでドーパミンの分泌を促進できますが、これらの方法だけで根本的に外向的になるわけではありません。
ストレス耐性が低い神経症傾向は改善できますか?
瞑想や認知行動療法、規則正しい生活などによりストレス耐性を高めることは可能です。セロトニンの働きを改善し、扁桃体の過剰な反応を抑制できる可能性があります。
年齢とともに脳と性格の関係は変化しますか?
加齢により脳の構造や神経伝達物質の分泌に変化が生じるため、性格特性にも変化が現れることがあります。一般的に情緒安定性や協調性が高まる傾向があります。






