クリエイティブ社員を目指すなら、「学習目標志向性」を高めることが大切です。
学習目標志向性とは、自分の能力を向上させることを目的に、物事に取り組む姿勢のことを指します。
この姿勢を持つ人は、失敗を恐れずに新しいことにチャレンジし、困難な状況でも粘り強く努力を重ねます。
その結果、高いパフォーマンスを発揮し、周囲に良い影響を与えることができるのです。
しかし、学習目標志向性を高めるには、自分の考え方を変える必要があります。
「能力は向上するものだ」と信じること、ゆっくりと着実に学ぶことを大切にすること、ネガティブな評価を恐れないことなどが重要だと言われています。
そのためには、自分自身の意識を変えるだけでなく、周囲の環境づくりも欠かせません。
この記事では、学習目標志向性について詳しく解説し、クリエイティブ社員を目指すためのヒントをお伝えします。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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クリエイティブ社員になるために必要な学習目標志向性
学習目標志向性とは?
学習目標志向性とは、自分の能力向上を目指して物事に取り組む姿勢のことです。
これは、仕事や学習に対する意欲や態度に大きく影響します。
クリエイティブ社員は学習目標志向性が高く、こういう人は、以下のような特徴があります。
- 新しい知識を得ることに喜びを感じる
- 自分の成長を実感できた時に満足する
- 楽しみながら新しいことを学ぼうとする
つまり、学習目標志向性は、自己成長に対する積極的な姿勢と言えるでしょう。
この姿勢を持つことで、仕事のパフォーマンスや自発的な行動が促進されます。
クリエイティブ社員の特徴
学習目標志向性が高い人は、努力を惜しまず、失敗を恐れずに挑戦します。
また、以下のような特徴も見られます。
- 新しい知識や スキルの獲得に積極的
- 自分の能力を試す機会を積極的に探す
- 失敗から学ぶことを重視する
加えて、学習目標志向性が高い人は、フィードバックを前向きに捉える傾向にあります。
たとえネガティブなフィードバックであっても、長期的には自分の成長につながると考えるのです。
このような特徴を持つ人は、常に自己成長の機会を探り、能力向上に努めています。
※さらにクリエイティブ社員の性格については以下で紹介しています。
クリエイティブ社員のメリット
学習目標志向性が高い人は、仕事のパフォーマンスが高く、自発的に役割外の行動を取ります。
これは、以下のような効果によるものです。
- 与えられた役割を効果的に遂行できる
- 役割の範囲外でも積極的に貢献しようとする
- 研修で学んだことを職場で活かせる(研修転移)
さらに、学習目標志向性の高さは、個人の成長だけでなく、組織全体の発展にも寄与します。
新しいアイデアや革新的な取り組みを推進する原動力となるからです。
つまり、学習目標志向性の高い社員を育てることは、組織の成長戦略としても重要なのです。
クリエイティブ社員の考え方
学習目標志向性を高めるには、能力観を変えることが大切です。
具体的には、以下のような考え方を身につけましょう。
- 能力は向上させられるものだと信じる
- 学習はゆっくりと着実に進むものだと捉える
- ネガティブな評価を恐れない
加えて、自己効力感を高めることも重要です。
自己効力感とは、特定の行動を上手く行える自信のことです。
自己効力感が高いと、困難な状況でも粘り強く取り組むことができます。
学習目標志向性を高め、自己成長を促進するには、これらの考え方を意識的に取り入れていきましょう。
能力観を変える
学習目標志向性を高める第一歩としては能力観を変えることが重要です。
能力観には、以下の2種類があります。
- 能力は生まれつき決まっているという考え方(固定的能力観)
- 能力は努力次第で向上するという考え方(変動的能力観)
固定的能力観を持つ人は、学習目標志向性が低い傾向にあります。
一方、変動的能力観を持つ人は、学習目標志向性が高くなります。
自分の能力は向上させられるという信念を持つことで、成長意欲が高まるのです。
能力観を変えるには、自分の考え方を意識的に変えていくことが大切です。
知識獲得スピードの捉え方を変える
知識獲得スピードの捉え方も、学習目標志向性に影響します。
以下のような考え方を持つ人は、学習目標志向性が低くなりがちです。
- 学習はすぐに起こるか、起こらないかのどちらかだと考える
- その場で理解できなければ、学習できないと考える
逆に、学習はゆっくりと確実に進むものだと捉える人は、学習目標志向性が高くなります。
知識獲得には時間がかかることを理解し、焦らずに着実に学んでいく姿勢が大切なのです。
一朝一夕には身につかないことも、コツコツと積み重ねることで習得できると信じましょう。
評価への恐れを克服する
ネガティブな評価への恐れは、学習目標志向性を低下させる要因です。
例えば、以下のような状況では、学習意欲が損なわれてしまいます。
- 失敗したら叱責されるかもしれないと不安に感じる
- 自分の成績が公開されることに抵抗がある
一方で、ストレスや心配、不快感を感じやすい性格だからといって、必ずしも学習目標志向性が低いわけではありません。
大切なのは、評価に対する不安をコントロールすることです。
ネガティブなフィードバックも、成長のチャンスだと前向きに捉えられるようになりましょう。
自己効力感を高める
自己効力感とは、特定の行動を上手くできるという自信のことです。
これが低い人は、以下のような傾向があります。
- 失敗を恐れて、新しいことに挑戦しない
- 困難な状況で、すぐに諦めてしまう
一方、自己効力感が高い人は、学習目標志向性も高くなります。
自分の能力を信じ、粘り強く努力することで、着実に成長することができるのです。
小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感が高まることに繋がります。
フィードバックを活用する
フィードバックは、学習目標志向性を高めるための重要な要素です。
ネガティブなフィードバックは、聞くのが辛いと感じるかもしれません。
しかし、学習目標志向性が高い人は、以下のように捉えます。
- フィードバックは、自分の成長につながる
- フィードバックを活かして、より良い結果を出そう
確かに、フィードバックを受けた直後は、ショックを感じるかもしれません。
それでも、時間が経つにつれ、フィードバックの価値に気づくことができるはずです。
建設的なフィードバックを積極的に求め、自己成長につなげていきましょう。
クリエイティブ社員を育てる職場環境づくり
クリエイティブ社員が増える職場環境とは
学習目標志向性を高める職場環境づくりは、組織の重要な課題です。
そのような環境には、以下のような特徴があります。
- 能力向上を奨励し、支援する風土がある
- 失敗を許容し、チャレンジを促す雰囲気がある
- 建設的なフィードバックを提供する仕組みがある
このような環境では、社員は自己成長に積極的に取り組むようになります。
その結果、組織全体の生産性とイノベーション力が向上するのです。
管理職は、社員の学習目標志向性を高める環境づくりに注力すべきでしょう。
能力は向上すると信じる文化を作る
能力は向上するものだという考え方を、組織文化として根付かせることが大切です。
そのためには、以下のような取り組みが効果的です。
- 社員の成長を称賛し、努力を認める
- 能力向上のための研修や支援制度を充実させる
- 管理職自身が、成長意欲を示すロールモデルとなる
固定的な能力観を持つ社員がいても、組織全体で変動的な能力観を推奨していけば、徐々に意識が変わっていくでしょう。
能力向上を信じる文化を作ることで、社員のモチベーションと自己成長意欲を高められます。
ゆっくりと着実な学習を奨励する
ゆっくりと着実に学ぶことを奨励する職場環境づくりが重要です。
そのためには、以下のような取り組みが有効でしょう。
- 短期的な結果だけでなく、長期的な成長を評価する
- 時間をかけて学ぶことの大切さを伝える
- 焦らずに、着実に学んでいく姿勢を称賛する
一朝一夕では身につかないスキルも、コツコツと積み重ねることで習得できます。
そのような考え方を職場全体で共有し、ゆっくりと着実な学習を奨励していきましょう。
社員が安心して学べる環境を作ることが、組織の成長につながるのです。
ネガティブな評価を恐れない雰囲気を作る
ネガティブな評価を恐れない雰囲気づくりは、学習目標志向性を高めるために欠かせません。
以下のような取り組みを通じて、安心して挑戦できる環境を整えましょう。
- 失敗を責めるのではなく、学びを促す
- プロセスを重視し、結果だけで評価しない
- 社員同士が協力し合える関係性を築く
ネガティブなフィードバックを恐れずに、積極的に学ぼうとする姿勢が大切です。
そのような姿勢を職場全体で支えることで、社員の学習目標志向性が高まっていくでしょう。
安心して挑戦できる雰囲気づくりに取り組むことが、組織の成長の鍵となります。
自己効力感を高める支援をする
自己効力感を高める支援は、学習目標志向性の向上に欠かせません。
以下のような取り組みを通じて、社員の自己効力感を高めていきましょう。
- 社員の強みを見つけ、活かす機会を提供する
- 小さな成功体験を積み重ねられるよう、サポートする
- 自信を持って行動できるよう、励ましの言葉をかける
自己効力感が高まれば、新しいことにも積極的に挑戦できるようになります。
そして、挑戦を通じて得られる学びが、さらなる成長につながっていくのです。
組織として、社員の自己効力感を高める支援に取り組むことが重要です。
建設的なフィードバックを提供する
建設的なフィードバックの提供は、学習目標志向性を高める上で欠かせません。
効果的なフィードバックには、以下のような特徴があります。
- 具体的で、行動レベルのアドバイスを含む
- 良い点と改善点の両方に触れる
- 成長のための提案や支援策を示す
フィードバックを通じて、社員は自分の課題に気づき、成長の方向性を見出すことができます。
建設的なフィードバックを日常的に提供できる職場環境を整えることが大切です。
社員の成長を支える良質なフィードバックが、組織の発展につながるのです。
クリエイティブ社員育成の注意点
必要性や余裕がない状況での限界
学習目標志向性は、必要性や余裕がない状況では、十分に発揮されない可能性があります。
例えば、以下のような状況では、学習目標志向性の効果が限定的になります。
- 他者からのフィードバックが得られない
- タイムプレッシャーが強すぎる
このような状況では、学習目標志向性が高くても、パフォーマンスに結びつかないことがあるのです。
社員が学習目標志向性を発揮できる環境を整えることが、組織の責務だと言えるでしょう。
時間的・心理的な余裕を確保し、フィードバックの機会を設けることが大切です。
認知能力の個人差を考慮する
学習目標志向性の効果は、認知能力の個人差によって異なります。
以下のような傾向があることが分かっています。
- 認知能力が高い社員は、学習目標志向性とパフォーマンスの関連が強い
- 認知能力が低い社員は、学習目標志向性とパフォーマンスの関連が弱い
認知能力が低い社員の場合、学習目標志向性が高くても、適切な努力ができないことがあるのです。
個々の社員の特性を理解し、それぞれに合った支援を提供することが求められます。
画一的な施策ではなく、個別のニーズに寄り添った育成プランが必要でしょう。
創造的逸脱のリスクを管理する
学習目標志向性の高い社員は、創造的逸脱に走るリスクがあります。
創造的逸脱とは、以下のような行動を指します。
- 組織の方針に反する革新的な活動を行う
- 会社からの抵抗があっても、自分の信念を貫く
革新的な取り組みは組織の発展につながる一方で、時として組織の方向性と齟齬をきたすことがあります。
創造的逸脱が適切かどうかを見極め、必要に応じて軌道修正することが重要です。
社員の創造性を奨励しつつも、組織の目的に沿った形で発揮されるよう、管理することが求められるのです。
適切な努力の方向性を示す
学習目標志向性の高い社員が、適切な方向に努力を向けられるよう支援することが大切です。
以下のような取り組みを通じて、社員の成長を導いていきましょう。
- 組織の目標と個人の目標をすり合わせる
- 努力の方向性が適切かどうか、定期的に確認する
- 必要に応じて、軌道修正のためのアドバイスを提供する
学習目標志向性の高さは、時として組織の目的から逸れた努力につながることがあります。
適切な方向に向けて努力できるよう、社員の成長をサポートすることが重要です。
組織と個人の目標を一貫して保ちながら、社員の成長意欲を促進していくことが求められます。
革新的な活動の是非を判断する
学習目標志向性の高い社員による革新的な活動の是非を、適切に判断することが重要です。
以下のような視点から、革新的な活動を評価しましょう。
- 組織の目的や価値観に合致しているか
- 長期的な視点で見て、組織の発展につながるか
- 活動に伴うリスクやコストを上回るメリットがあるか
革新的な活動は、組織に新たな価値をもたらす可能性を秘めています。
一方で、組織の方向性から逸脱した活動は、時として混乱を招くことがあります。
活動の是非を多角的に検討し、組織の発展に資するものかどうかを見極めることが大切です。
最後にクリエイティブ社員のまとめ
以上のように、学習目標志向性を高めることは、クリエイティブ社員になるために重要な要素です。
自分の能力は向上するものだと信じ、ゆっくりと着実に学ぶ姿勢を持つこと、そしてネガティブな評価を恐れずに挑戦することが大切だと分かりました。
また、自己効力感を高め、建設的なフィードバックを積極的に受け止めることも、成長につながります。
一方で、学習目標志向性を発揮するには、組織の環境づくりも欠かせません。
上司や同僚が、能力向上を信じる文化を作り、失敗を許容する雰囲気を醸成することが重要です。
ただし、革新的な活動が組織の方向性と合致しているかどうかは、慎重に判断する必要があります。
学習目標志向性を高め、適切な方向に努力を向けることができれば、きっとあなたはクリエイティブ社員として活躍できるはずです。
自分自身の成長と、組織の発展の両方を目指して、今日から学習目標志向性を意識してみてください。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。