CEOの適性って、生まれつき決まるのだろうかと考えたことはありませんか。
クラスにいつもリーダーになる人がいると、「あの人は特別なんだ」と思ってしまいますよね。
社長や大企業のトップも、子どものころから天才だったのではと想像してしまう人も多いはずです。
従来は「CEOの適性は生まれつきの才能で決まる」と考えられてきました。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
もし才能だけで決まるなら、優秀な人はみんなトップになっているはずです。
そこで注目されたのが、若いころの能力データを使った大規模研究です。
紹介するのは、「Are CEOs Born Leaders? Lessons from Traits of a Million Individuals」という研究です。
この論文は、ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)、アールト大学(Aalto University)、ハーバード・ビジネス・スクール(Harvard Business School)などの研究者によって発表され、2015年に公表されました。
約130万人のデータをもとに、18歳時点の能力と将来のCEO就任を比較しています。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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CEOの適性は生まれつき決まるのか
CEOは特別な天才なのか
結論から言えば、CEOは平均より高い力を持ちますが、超人ではありません。
研究では約130万人の男性を調べました。
そのうち約2万6千人がCEOになりました。
まず18歳時点の力を比べました。
その結果、CEOは人口平均より高得点でした。
しかし大企業CEOでも上位17%でした。
つまり上位1%ではありません。
さらに3つの力を合わせると上位5%です。
とはいえ上位5%の人は約6万人います。
もしあなたが上位5%でもCEOとは限りません。
まるで足の速い人が全員代表にならないのと似ています。
- 認知能力は上位17%
- 3つの力の合計は上位5%
- 約6万人が同等以上の力
CEOは優秀ですが、特別すぎる存在ではないと分かります。
若くして成功した経営者の共通点
若い成功者の物語は印象的ですが、全体を見ることが大切です。
たとえば若くして会社を作る人がいます。
しかし研究は物語ではなく全体を見ます。
18歳時点の検査結果を使いました。
もしあなたが18歳で能力を測られたらどうでしょう。
その点数が将来に関係します。
大企業CEOは小企業CEOより高得点でした。
認知能力は6.0から7.2へ上がります。
非認知能力も6.1から7.4へ伸びます。
身長も約3センチ高くなります。
ただし差は大きすぎません。
- 認知能力は約0.7標準偏差差
- 非認知能力も上昇
- 身長も増加
若い成功は特性と関係しますが、それだけでは決まりません。
リーダーは生まれつきという考え方
生まれつき説は一部正しいが、すべてではありません。
昔から偉人は特別だと考えられました。
しかし研究は冷静に比べました。
もしあなたが才能を持っていてもどうでしょう。
競争相手も同じく優秀かもしれません。
実際、優秀な人は多くいます。
大企業CEOより能力が高い人もいます。
それでもCEOにならない人が多数です。
研究では100倍以上多いと示されました。
つまり才能は必要条件かもしれません。
ですが十分条件ではありません。
- 上位5%でも多数存在
- 管理職にとどまる人が多い
- CEOはごく少数
生まれつきだけで決まるとは言い切れません。
スウェーデンの大規模研究とは
この研究の強みは130万人という規模です。
調査対象は1951年から1978年生まれです。
18歳で軍の検査を受けました。
当時は徴兵が義務でした。
ほぼ全員が検査を受けました。
ですから偏りが少ないです。
その後2004年から2010年を追いました。
約9百万の年データがあります。
26,000人がCEOでした。
もしあなたが統計を信じるならどうでしょう。
母集団が大きいほど信頼性は高まります。
- 対象は約130万人
- CEOは約2万6千人
- 観察期間は7年
物語ではなく数字で検証した研究です。
18歳時点のデータを使う理由
重要なのはCEOになる前の力を測ったことです。
18歳は職業経験が少ない時期です。
教育も途中段階です。
ですから生まれ持った力に近いです。
もしあなたが社会経験前ならどうでしょう。
ほぼ素の力が出ます。
研究では次の3つを測りました。
- 認知能力
- 性格に近い非認知能力
- 身長
非認知能力とは意欲や粘り強さです。
感情の安定も含まれます。
この段階の差が将来に関係しました。
しかし完全ではありませんでした。
18歳時点の特性は影響しますが、未来を決めきるものではありません。
CEOの適性と認知能力の関係
認知能力とはどんな力か
認知能力とは、考える力や理解する力のことです。
研究では4つの検査が行われました。
内容は次の通りです。
- 論理的に考える力
- 言葉の意味を理解する力
- 図形を頭の中で動かす力
- 技術的な仕組みを理解する力
これらを9段階で評価しました。
平均は5前後でした。
もしあなたがこの検査を受けたらどうでしょう。
数学や国語の総合力に近いです。
その合計が将来に影響しました。
ただし1つだけでは決まりません。
認知能力は思考力の総合点であり、CEOとの関係はあるが決定的ではありません。
大企業CEOは上位何%か
大企業CEOの認知能力は上位17%でした。
これは上位1%ではありません。
つまり飛び抜けた天才とは言えません。
しかし平均よりはかなり高いです。
もし100人の教室があるとします。
上から17番目くらいです。
さらに3つの特性を合わせると上位5%です。
上位5%でも人口では多いです。
約6万人が同等以上でした。
したがって珍しい存在ではあります。
ですが唯一無二ではありません。
大企業CEOは高い位置にいますが、極端な少数ではありません。
医師や弁護士との比較
大企業CEOの能力は医師や弁護士と同程度かやや上でした。
医師の認知能力は約7.5でした。
大企業CEOは7.2でした。
小企業CEOは6.0でした。
つまり規模で差が出ます。
もしあなたが進学を目指すならどうでしょう。
難関学部の学生と近い水準です。
非認知能力でも高得点でした。
ただし差は極端ではありません。
- 医師は約1標準偏差高い
- 大企業CEOも高水準
- 小企業では差が小さい
CEOは専門職と近い水準ですが、圧倒的ではありません。
会社の規模で差は出るのか
会社が大きいほどCEOの能力は高い傾向がありました。
資産100億以上の企業が大企業です。
小企業は1億未満です。
認知能力は6.0から7.2へ上昇しました。
非認知能力は6.1から7.4へ上昇しました。
身長も約3センチ差がありました。
もし会社を学校に例えるならどうでしょう。
大きな学校ほど校長の経験が必要です。
同じように能力も求められます。
しかし差は限界があります。
規模が大きいほど特性は高いが、極端な差ではありません。
超エリート層とは言えない理由
CEOは優秀ですが、上位1%の層ではありません。
上位1%とは100人中1人です。
大企業CEOは上位17%でした。
これは上位6人目くらいです。
さらに能力が高い人は多くいます。
研究では約6万人が同等以上でした。
もし才能だけで決まるならどうでしょう。
その6万人がCEOになるはずです。
しかし実際は違います。
つまり他の要因も関わります。
CEOは優秀だが、特別な超少数ではないと分かります。
CEOの適性と性格の影響
性格はどのように測定されたか
性格に近い非認知能力が重要でした。
これは面接で評価されました。
評価された内容は次の通りです。
- 責任感
- 粘り強さ
- 情動性の安定
- 主体性
- 社会性
非認知能力とは学力以外の力です。
やり抜く力に近いです。
もしあなたが困難に直面したらどうでしょう。
続けられるかが問われます。
この力がCEOと強く関係しました。
学力だけでなく性格面が大きく影響すると示されました。
非認知能力が最も重要だった
CEOになる確率を最も予測したのは非認知能力でした。
回帰分析という方法で調べました。
影響の大きさは次の順でした。
- 非認知能力
- 認知能力
- 身長
もしあなたが努力を続けられるならどうでしょう。
知識以上に評価される可能性があります。
非認知能力の係数は0.59でした。
認知能力は0.31でした。
つまり約2倍の影響です。
学力よりも粘り強さなどが強く関係していました。
認知能力より影響が大きい理由
CEOは人を動かす仕事だからです。
計算だけでは成り立ちません。
部下をまとめる必要があります。
判断を下す場面も多いです。
もしあなたが部活動の部長ならどうでしょう。
点数よりまとめ役の力が重要です。
非認知能力は情動性の安定も含みます。
感情が安定している力です。
これが評価された可能性があります。
知識だけでなく人間的な力が重視されると考えられます。
身長も関係しているのか
身長もわずかに関係していました。
平均身長は179センチでした。
大企業CEOは約183センチでした。
約3センチ高いです。
身長は自信や印象に影響するかもしれません。
ただし影響は小さいです。
1センチは約0.9IQ点相当と推計されました。
もしあなたが背が高いならどうでしょう。
多少有利かもしれません。
しかし決定的ではありません。
身長の影響はあるが、中心的要因ではありません。
性格とリーダーの共通点
リーダーに必要なのは総合的な力です。
研究では3つの特性を合わせました。
重みは次の通りでした。
- 非認知能力約58%
- 認知能力約31%
- 身長約12%
この合計で上位5%でした。
もし3教科の合計点ならどうでしょう。
バランスが大切です。
1つだけ高くても不十分です。
しかし合計でも上位5%止まりです。
総合力は重要だが、それだけでは頂点に立てません。
CEOの適性があってもなれない理由
上位5%でもCEOにならない人たち
上位5%の人が全員CEOではありません。
研究では約6万人が該当しました。
しかし大企業CEOは少数です。
もしスポーツ大会ならどうでしょう。
県大会上位でも全国代表は一部です。
同じことが起きています。
100倍以上の人数が管理職にいます。
つまり競争は非常に激しいです。
才能だけでは足りません。
上位層でもCEOはごく一部に限られます。
高い適性を持つ人はどれくらいいるか
中央値の大企業CEOより上の人は約6万人いました。
これは人口の約5%です。
かなり多い数字です。
もし100万人の町ならどうでしょう。
5万人が同等以上です。
それでもCEOは少数です。
つまり供給は十分にあります。
しかしポストは限られます。
高い適性を持つ人は想像以上に多いのです。
管理職にとどまる人の数
高特性の人の多くは管理職で止まります。
約3万3千人が管理職でした。
そのうち3,610人は小企業CEOでした。
しかし大企業CEOはわずかです。
もし会社がピラミッドならどうでしょう。
上に行くほど人数は減ります。
才能があっても席は少ないです。
偶然や経験も影響します。
高能力者でも頂点に立つのは極めて少数です。
家族経営では適性は下がるのか
家族経営では特性がやや低い傾向でした。
特に後継者CEOが低めでした。
認知能力で約0.27標準偏差低下しました。
これは小さくない差です。
もし家族内で選ぶならどうでしょう。
候補は限られます。
外部から広く選べません。
そのため平均が下がる可能性があります。
家族企業では選抜の幅が狭くなる傾向があります。
生まれ持った才能は十分条件ではない
研究の結論は明確です。
生まれ持った特性は関係します。
しかしそれだけでは不十分です。
報酬も能力だけでは説明できません。
大企業CEOの賃金は平均の約12倍でした。
特性で説明できたのは約10%でした。
もし能力がすべてならどうでしょう。
賃金差はもっと説明できるはずです。
CEOの適性は重要ですが、それだけで未来は決まりません。
最後に
ここまで見てきたように、CEOの適性はたしかに平均より高い力と関係していました。
認知能力や性格に近い力が高い人ほど、CEOになりやすい傾向がありました。
しかし、大企業のCEOでも認知能力は上位17%ほどで、上位1%の超天才というわけではありませんでした。
さらに、特性を合わせて上位5%に入る人は約6万人もいましたが、その多くはCEOになっていませんでした。
つまり、生まれ持った力は大切ですが、それだけで未来が決まるわけではありません。
経験や環境、チャンスの積み重ねも大きく影響します。
「自分は特別じゃないから無理だ」と決めつける必要はありません。
むしろ、努力や選択次第で道は変わる可能性があると、この研究は教えてくれています。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、論文4本執筆(うち2本ジャーナル掲載)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。








