16personalitiesをご存知ですか?
世界中で大人気の性格診断ツールで、無料で気軽に利用できるんです。
でも、性格診断ってホントに当たるの?信頼できるの?っていろいろ気になりますよね。
実は、16personalitiesについては、まだ十分な研究がされていないんです。論文も他の性格診断と比べるとあまり発表されていないから、性格タイプと実際の行動の関係とかもハッキリ分かっていないんですよ。
だから、診断結果を鵜呑みにしすぎないように気をつけないといけません。
でも、自分のことや他人のことを知るきっかけにはなるし、コミュニケーションを改善するヒントにもなります。
良いところと課題について、一緒に考えてみましょう!
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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※本記事は16personalitiesの英語版公式サイトの「Our Theory」を基に書いています。
目次
16personalitiesとは?
16personalitiesの概要:無料で利用できる性格診断サービス
心理学者カール・ユングの理論を起点としつつ、現代の心理学理論も取り入れた独自の枠組みを採用しています。
具体的には以下の特徴があります。
- 5つの性格特性に基づいて性格を診断
- 16の性格タイプに分類
- 4つのグループに大別
ユングの理論を現代風にアレンジした分かりやすい解説が特徴で、多くのユーザーから支持されています。
性格の理解を深め、自己認識や人間関係の改善につなげることを目的としたサービスと言えるでしょう。
ユング心理学とMBTIからの発展
16personalitiesの理論的背景には、心理学者カール・グスタフ・ユングの理論があります。
ユングは、外向性と内向性、思考と感情などの概念を提唱し、性格類型論の基礎を築きました。
その後、ユングの理論は、アメリカの心理学者マイヤーズ・ブリッグズ母娘によって発展させられ、MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)として知られる性格診断ツールが生まれました。
MBTIは、以下の4つの指標に基づいて性格を16のタイプに分類します。
- 外向性(Extraversion)- 内向性(Introversion)
- 感覚(Sensing)- 直感(iNtuition)
- 思考(Thinking)- 感情(Feeling)
- 判断(Judging)- 知覚(Perceiving)
16personalitiesは、ユング心理学とMBTIを基盤としつつ、独自の理論へと発展させました。
ユングの洞察を現代的に再解釈し、MBTIの枠組みを拡張することで、よりわかりやすく、実用的な性格診断ツールを目指しているのです。
つまり16personalitiesは「MBTI診断」と呼ばれることもありますが、「MBTI」ではないのです。
ビッグファイブモデルを取り入れた独自の枠組み
16personalitiesは、ビッグファイブモデル(Big Five personality traits)を取り入れた独自の枠組みを採用しています。
ビッグファイブモデルとは、現代心理学で広く支持されている性格特性論で、以下の5つの特性から性格を捉えます。
- 外向性(Extraversion)
- 協調性(Agreeableness)
- 誠実性(Conscientiousness)
- 神経症傾向(Neuroticism)
- 開放性(Openness to Experience)
16personalitiesは、このビッグファイブモデルを再構成し、独自の5つの特性を定義しました。
具体的には、MBTIの4つの指標に加えて、自己確信性(Assertive-Turbulent)の指標を追加しています。
これにより、性格をより多面的に捉えることが可能になりました。
ビッグファイブモデルを取り入れることで、16personalitiesは、学術的な裏付けのある性格診断を目指しているのです。
性格心理学の最新の知見を反映させつつ、実用性も追求した独自の枠組みと言えるでしょう。
タイプ(Type)と特性(Traits)の違い
16personalitiesとビッグファイブモデルの大きな違いは、タイプ(Type)と特性(Traits)の扱い方にあります。
16personalitiesは、性格を16のタイプに分類するアプローチを取っています。
各タイプは、5つの特性軸の組み合わせによって定義されており、個人はいずれかのタイプに分類されます。
一方、ビッグファイブモデルは、性格を5つの特性の組み合わせで捉えるアプローチを取っています。
各特性は、連続的な次元で測定され、個人は各特性の度合いを持つと考えられています。
このように、16personalitiesはタイプを重視するのに対し、ビッグファイブモデルは特性を重視しているのです。
タイプと特性の違いを理解することで、両者の性格観の違いを比較検討することができるでしょう。
世界30言語に翻訳され、1億回以上テストされた人気の性格診断
16personalitiesは、世界中で大きな人気を集めている性格診断サービスです。
現在、30以上の言語に翻訳され、グローバルに利用されています。
そして、これまでに全世界で1億回以上テストされたと報告されています。
この数字は、16personalitiesの人気の高さを物語っていると言えるでしょう。
人気の理由としては、以下の点が挙げられます。
- 無料で利用できる手軽さ
- ユング心理学とビッグファイブモデルを組み合わせた独自の理論
- わかりやすい解説と実用的なアドバイス
多言語対応により、世界中のユーザーがアクセスしやすい点も魅力の一つです。
16personalitiesは、性格診断を通じて自己理解や他者理解を深めたいと考える多くの人々に支持され、グローバルなサービスへと成長を遂げたのです。
今後も、さらなる言語対応と理論の改良により、より多くのユーザーに貢献していくことが期待されます。
16personalitiesの理論
5つの性格特性と2つの対極
16personalitiesは、性格を5つの特性で捉えます。
これらの5つの特性は、さらにそれぞれ2つの対極で表現されます。
- Mind:内向的(Introverted)- 外向的(Extraverted)
- Energy:現実的(Observant)- 直感的(Intuitive)
- Nature:論理的(Thinking)- 感情的(Feeling)
- Tactics:計画的(Judging)- 探求的(Prospecting)
- Identity:自己確信的(Assertive)- 自己不確実的(Turbulent)
これらの特性は、性格の異なる側面を表しています。
例えば、Mindは社会的な志向性、Energyは情報収集の仕方、Natureは意思決定の基準などを表します。
各特性において、個人がどちらの傾向を持つかを診断することで、性格の全体像が明らかになるのです。
このように、16personalitiesは、性格を多面的に捉える枠組みを提供しています。
性格の各側面を連続体として捉えることで、より繊細で現実的な性格理解が可能になるでしょう。
Mindについて:内向性と外向性
Mindは、社会的なエネルギーの向きを表す特性です。
内向的(Introverted)な人は、自分の内面に向けてエネルギーを注ぎ、一人の時間を好む傾向があります。
一方、外向的(Extraverted)な人は、外部の世界に向けてエネルギーを発し、社交的な活動を好む傾向があります。
Mindの特性は、以下のような行動や傾向に影響します。
- 社交性:内向的な人は静かで控えめ、外向的な人は活発で外交的
- エネルギーの源:内向的な人は一人の時間でエネルギーを回復、外向的な人は社交でエネルギーを得る
- 思考スタイル:内向的な人は内省的で慎重、外向的な人は発散的で即興的
ただし、内向性と外向性は対極・両端であり、多くの人はその中間のどこかに位置しています。
完全な内向型や外向型の人は少数派で、多くの人は状況に応じて内向的にも外向的にも振る舞うのです。
※MBTIの場合、EとIの違いはこちらで紹介しています。
Energyについて:現実的と直感的
Energyは、情報収集の仕方や世界の見方を表す特性です。
現実的な人は、五感から得られる具体的な情報を重視し、実践的で現実志向の傾向があります。
一方、直感的(Intuitive)な人は、パターンや可能性に着目し、抽象的で理論志向の傾向があります。
Energyの特性は、以下のような行動や傾向に影響します。
- 情報収集:現実的な人は詳細で具体的な情報を好む、直感的な人は概略的で抽象的な情報を好む
- 問題解決:現実的な人は実践的で段階的なアプローチ、直感的な人は革新的で全体的なアプローチ
- 興味関心:現実的な人は現在と実用性に関心、直感的な人は未来と可能性に関心
ただし、現実的と直感的も対極・両端であり、多くの人はその中間に位置しています。
状況に応じて現実的にも直感的にも情報を処理することができるのです。
※MBTIの場合、SとNの違いはこちらで紹介しています。
Natureについて:論理的と感情的
Natureは、意思決定の基準や価値観を表す特性です。
論理的(Thinking)な人は、客観的な事実や合理性に基づいて判断する傾向があります。
一方、感情的(Feeling)な人は、主観的な価値観や対人関係に基づいて判断する傾向があります。
Natureの特性は、以下のような行動や傾向に影響します。
- 意思決定:論理的な人は冷静で客観的な分析を重視、感情的な人は共感や調和を重視
- コミュニケーション:論理的な人は率直で議論を好む、感情的な人は婉曲的で共感を好む
- 価値観:論理的な人は公正さと合理性を重視、感情的な人は思いやりと人間関係を重視
ただし、論理的と感情的も対極・両端であり、多くの人はその中間に位置しています。
状況に応じて論理的にも感情的にも判断することができるのです。
※MBTIの場合、TとFの違いはこちらで紹介しています。
Tacticsについて:計画的と探求的
Tacticsは、行動スタイルや物事へのアプローチを表す特性です。
計画的(Judging)な人は、物事を組織化し、計画通りに進めることを好む傾向があります。
一方、探求的(Prospecting)な人は、柔軟に対応し、可能性を探ることを好む傾向があります。
Tacticsの特性は、以下のような行動や傾向に影響します。
- 行動スタイル:計画的な人は組織的で着実、探求的な人は柔軟で適応的
- 目標設定:計画的な人は明確な目標を立てて実行、探求的な人は大まかな方向性を持って探索
- 日常生活:計画的な人は規則正しい生活を好む、探求的な人は自由で変化のある生活を好む
ただし、計画的と探求的も対極・両端であり、多くの人はその中間に位置しています。
状況に応じて計画的にも探求的にも行動することができるのです。
※MBTIの場合、JとPの違いはこちらで紹介しています。
Identityについて:自己確信的と自己不確実的
Identityは、自己認識や感情面での安定性を表す特性です。
自己確信的(Assertive)な人は、自信を持ち、感情的に安定している傾向があります。
一方、自己不確実的(Turbulent)な人は、自己批判的で、感情的に不安定な傾向があります。
Identityの特性は、以下のような行動や傾向に影響します。
- 自己評価:自己確信的な人は自分に満足している、自己不確実的な人は自分に不満を持ちがち
- ストレス対処:自己確信的な人はストレスに強い、自己不確実的な人はストレスに弱い
- 感情表出:自己確信的な人は感情を抑制しがち、自己不確実的な人は感情を表出しがち
ただし、自己確信的と自己不確実的も対極・両端であり、多くの人はその中間に位置しています。
状況に応じて自信を持ったり、不安を感じたりすることがあるのです。
Identityの特性を理解することで、自分や他者の感情面での特徴や行動を把握することができるでしょう。
感情面での違いを踏まえることで、より良い自己理解や対人関係の構築につなげることができます。
16personalitiesの性格タイプ
16の性格タイプ(16personalities)とその概要
5つの性格特性の組み合わせに基づいて、16の性格タイプを定義しています。
各タイプは、4つの特性の頭文字と自己確信性を表すA(Assertive)またはT(Turbulent)で表記されます。
例えば、内向的(I)、直感的(N)、感情的(F)、計画的(J)、
自己確信的(A)の組み合わせは、INFJ-Aと表記されます。
16の性格タイプは以下の通りです。
- INTJ(建築家)、INTP(論理学者)、ENTJ(指揮官)、ENTP(討論者)
- INFJ(提唱者)、INFP(仲介者)、ENFJ(主人公)、ENFP(運動家)
- ISTJ(管理者)、ISFJ(擁護者)、ESTJ(幹部)、ESFJ(領事)
- ISTP(巨匠)、ISFP(冒険家)、ESTP(起業家)、ESFP(エンターテイナー)
各タイプには、わかりやすい名称(括弧内)が付けられており、その特徴を表しています。
例えば、INTJは「建築家」と呼ばれ、戦略的思考力と独創性を備えた人物像を表します。
16personalitiesでは、これらの性格タイプごとに、強み、弱み、人間関係、職業適性などの詳細な解説を提供しています。
自分のタイプを知ることで、自己理解を深め、個人的な成長につなげることができるでしょう。
また、他者のタイプを理解することで、コミュニケーションや協働をより円滑に進めることができます。
16personalitiesの4つのグループへの分類
16personalitiesでは、16の性格タイプを4つのグループに大別しています。
このグループ分けは、タイプ間の共通点に着目したものです。
4つのグループは以下の通りです。
- 分析家(Analysts):INTJ、INTP、ENTJ、ENTP
- 外交官(Diplomats):INFJ、INFP、ENFJ、ENFP
- 番人(Sentinels):ISTJ、ISFJ、ESTJ、ESFJ
- 探検家(Explorers):ISTP、ISFP、ESTP、ESFP
各グループには、以下のような特徴があります。
- 分析家:知的好奇心が強く、論理的・戦略的に物事を捉える
- 外交官:洞察力があり、理想主義的・協調的に行動する
- 番人:責任感が強く、現実的・組織的に物事を進める
- 探検家:適応力が高く、実践的・行動的に問題に取り組む
グループ内のタイプは、基本的な性向や価値観を共有していますが、個別の特徴も持ち合わせています。
グループの特徴を理解することで、自分や他者の行動パターンや動機をより大局的に捉えることができるでしょう。
また、グループの多様性を活かすことで、チームワークや組織運営の効果を高めることができます。
分析家(Analysts)グループの特徴
分析家グループは、知的好奇心が旺盛で、論理的・戦略的思考を得意とする人々です。
このグループには、INTJ(建築家)、INTP(論理学者)、ENTJ(指揮官)、ENTP(討論者)の4つのタイプが含まれます。
分析家グループの主な特徴は以下の通りです。
- 合理性:客観的な事実や論理に基づいて判断する
- 戦略性:長期的な視点から最適な解決策を探る
- 独立性:自分の考えを重視し、自律的に行動する
- 革新性:既存の枠組みにとらわれず、新しいアイデアを生み出す
分析家グループは、科学、技術、経営など、専門性と論理的思考力が求められる分野で活躍することが多いです。
一方で、感情面での表現や対人関係のスキルに課題を感じることもあります。
分析家グループの強みを活かしつつ、弱点を補うことで、より高い成果を達成することができるでしょう。
また、他のグループの視点を取り入れることで、より豊かな発想や問題解決につなげることができます。
外交官(Diplomats)グループの特徴
外交官グループは、洞察力に優れ、理想主義的・協調的に行動する人々です。
このグループには、INFJ(提唱者)、INFP(仲介者)、ENFJ(主人公)、ENFP(運動家)の4つのタイプが含まれます。
外交官グループの主な特徴は以下の通りです。
- 共感性:他者の感情や需要を深く理解する
- 理想主義:高い理想を掲げ、意義ある目標に向かって行動する
- 創造性:独自の視点から斬新なアイデアを生み出す
- 調和性:対立を避け、協調的な関係を築こうとする
外交官グループは、教育、カウンセリング、芸術など、人間性や創造性が求められる分野で活躍することが多いです。
一方で、現実的な制約や論理的な思考に課題を感じることもあります。
外交官グループの強みを活かしつつ、弱点を補うことで、より大きな影響力を発揮することができるでしょう。
また、他のグループの視点を取り入れることで、より現実的で説得力のある提案につなげることができます。
番人(Sentinels)グループの特徴
番人グループは、責任感が強く、現実的・組織的に物事を進める人々です。
このグループには、ISTJ(管理者)、ISFJ(擁護者)、ESTJ(幹部)、ESFJ(領事)の4つのタイプが含まれます。
番人グループの主な特徴は以下の通りです。
- 誠実性:義務や約束を忠実に果たそうとする
- 現実志向:具体的な事実や経験に基づいて判断する
- 組織性:体系的に物事を整理し、着実に遂行する
- 奉仕性:他者のために尽力し、支援的な役割を担う
番人グループは、行政、法律、医療など、堅実性と献身性が求められる分野で活躍することが多いです。
一方で、変化への対応や抽象的な概念の理解に課題を感じることもあります。
番人グループの強みを活かしつつ、弱点を補うことで、より安定的で確実な成果を達成することができるでしょう。
また、他のグループの視点を取り入れることで、より柔軟で革新的な取り組みにつなげることができます。
探検家(Explorers)グループの特徴
探検家グループは、適応力が高く、実践的・行動的に問題に取り組む人々です。
このグループには、ISTP(巨匠)、ISFP(冒険家)、ESTP(起業家)、ESFP(エンターテイナー)の4つのタイプが含まれます。
探検家グループの主な特徴は以下の通りです。
- 柔軟性:状況に応じて臨機応変に対応する
- 現実主義:実際の経験や結果を重視する
- 行動力:素早く実行に移し、試行錯誤を繰り返す
- 独創性:型にはまらない自由な発想で問題に取り組む
探検家グループは、スポーツ、アート、ビジネスなど、機動力と独創性が求められる分野で活躍することが多いです。
一方で、長期的な計画や理論的な思考に課題を感じることもあります。
探検家グループの強みを活かしつつ、弱点を補うことで、より大きな成果を達成することができるでしょう。
また、他のグループの視点を取り入れることで、より戦略的で持続的な活動につなげることができます。
16personalitiesの信頼性と妥当性
信頼性と妥当性の重要性
性格診断ツールの評価において、信頼性と妥当性は非常に重要な指標です。
信頼性とは、テストの結果が一貫しており、再現性が高いことを意味します。
つまり、同じ人が複数回テストを受けても、同じような結果が得られるかどうかが問われるのです。
一方、妥当性とは、テストが測定するべき概念を適切に測定できているかどうかを示します。
例えば、性格診断ツールが本当に性格を測定できているかどうかが妥当性の問題となります。
信頼性と妥当性が高いテストは、以下のような特徴があります。
- 一貫した結果が得られる
- 測定するべき概念を適切に測定できている
- 他の指標との関連性が理論的に裏付けられている
- 予測力が高い
性格診断ツールの信頼性と妥当性を検証するためには、様々な統計的手法が用いられます。
例えば、再テスト法や内的整合性の分析によって信頼性が評価され、因子分析や基準関連妥当性の検討によって妥当性が評価されます。
16personalitiesの信頼性と妥当性を検討することは、その理論的基盤を評価する上で欠かせません。
現時点では十分なエビデンスが蓄積されているとは言えません。その理由を説明していきます。
公開されている関連論文の不足
16personalitiesは人気の高い性格診断ツールですが、学術的な観点からの検証は十分とは言えません。
現時点では、16personalitiesに関する査読付き論文の公開は限定的です。
査読付き論文とは、専門家による厳しい審査を経て学術雑誌に掲載された研究論文のことを指します。
学術的な信頼性を評価する上で、査読付き論文の蓄積は重要な指標となります。
16personalitiesについては、運営団体による研究報告は存在するものの、独立した研究者による検証が不足しているのが現状です。
特に、以下のような点について、学術的な裏付けが求められます。
- 5つの特性軸の妥当性
- 16のタイプ分類の信頼性
- 診断結果と実際の行動との関連性
これらの点が明らかになることで、16personalitiesの理論的基盤がより強固なものになるでしょう。
今後、多様な研究者による実証的な検討が進むことが期待されます。
学術的な裏付けが乏しい現状においては、16personalitiesの結果を絶対視するのではなく、参考情報の1つとして活用することが賢明です。
クロンバックのα係数などによる妥当性の検証の必要性
16personalitiesの学術的な信頼性を評価する上で、妥当性の検証は欠かせません。
妥当性とは、測定したい概念を適切に測定できているかどうかを示す指標です。
性格診断ツールの妥当性を検証する方法の1つに、クロンバックのα係数があります。
クロンバックのα係数は、質問項目の内的整合性を評価するための指標です。
同じ特性を測定していると想定される質問項目に対する回答が一貫しているほど、α係数は高くなります。
一般的に、α係数が0.7以上であれば、内的整合性が高いと判断されます。
16personalitiesについては、クロンバックのα係数による妥当性の検証結果が十分に公開されているとは言えません。
今後、以下のような検証が求められます。
- 5つの特性軸それぞれのα係数の算出
- 16のタイプ分類の妥当性の検討
- 他の性格診断ツールとの併存的妥当性の確認
これらの検証を通じて、16personalitiesの妥当性が実証的に裏付けられることが期待されます。
妥当性が十分に検証されていない現状においては、16personalitiesの結果を過度に一般化するのは避けるべきでしょう。
診断結果はあくまで仮説として扱い、他の情報と照らし合わせながら活用することが大切です。
性格診断結果と実際の行動との相関関係の確認の重要性
性格診断ツールの有用性を評価する上で、診断結果と実際の行動との関連性を確認することは重要です。
16personalitiesについては、性格タイプと行動特性の関連性を示唆する記述が見られます。
例えば、INTJタイプは戦略的思考力に優れ、ENFPタイプは創造性が高いとされています。
しかし、これらの関連性が実証的に裏付けられているかどうかは明らかではありません。
性格診断結果と行動との相関関係を検証するためには、以下のような研究が求められます。
- 特定の性格タイプに分類された人々の行動観察
- 性格タイプと職業、学業、人間関係などの成果指標との関連性の分析
- 異なる文化圏における性格タイプと行動の関連性の比較
これらの検証を通じて、16personalitiesの予測的妥当性が明らかになることが期待されます。
予測的妥当性とは、診断結果に基づいて将来の行動を予測できる程度を示す指標です。
性格診断ツールの社会的な有用性は、予測的妥当性の高さに依存すると言えるでしょう。
現時点では、16personalitiesの予測的妥当性は十分に検証されているとは言えません。
診断結果と実際の行動との乖離が大きい場合、性格診断の意義は限定的なものになってしまいます。
今後、多様な場面における行動データの収集と分析が進むことで、16personalitiesの予測的妥当性が明らかになることが望まれます。
遺伝や脳機能との関連性研究の必要性
性格の形成には、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
近年、性格と遺伝や脳機能との関連性を探る研究が進んでいます。
例えば、特定の性格特性と遺伝子多型との関連性や、性格特性と脳の構造・機能との関連性が報告されています。
しかし、16personalitiesと遺伝や脳機能との関連性については、十分なエビデンスが得られていません。
16personalitiesの生物学的基盤を明らかにするためには、以下のような研究が求められます。
- 16personalitiesの各特性と遺伝子多型との関連性の検討
- 16personalitiesの各特性と脳の構造・機能との関連性の検討
- 16personalitiesの各特性の発達的変化と遺伝・脳機能の関係性の検討
これらの研究を通じて、16personalitiesの生物学的妥当性が明らかになることが期待されます。
ただし、性格の形成には環境的要因も大きく関与するため、生物学的要因のみで性格を説明することはできません。
遺伝と環境の相互作用を考慮した総合的な研究アプローチが求められるでしょう。
ただし、現時点ではエビデンスが乏しいため、慎重な解釈が必要です。
※ビッグファイブやHEXACOモデルなどの場合は遺伝や脳との関連性が研究されています。
学術的に信頼された性格診断:ビッグファイブ
性格心理学の分野では、ビッグファイブやHEXACOなどの性格モデルが学術的に広く支持されています。
これらのモデルは、長年の研究の蓄積によって、上記のような信頼性と妥当性が確認されてきました。
ビッグファイブは、以下の5つの特性から性格を捉えるモデルです。
- 外向性(Extraversion)
- 協調性(Agreeableness)
- 誠実性(Conscientiousness)
- 神経症傾向(Neuroticism)
- 開放性(Openness to Experience)
これらの特性は、因子分析によって見出されたもので、様々な文化圏で再現性が確認されています。
また、ビッグファイブの特性は、行動や人生の様々な側面との関連性が実証されており、予測力の高さも示されています。
学術的に信頼された性格診断:HEXACOモデル
一方、HEXACOは、ビッグファイブをさらに発展させた6因子モデルです。
- 誠実-謙虚性(Honesty-Humility)
- 情動性(Emotionality)
- 外向性(Extraversion)
- 協調性(Agreeableness)
- 誠実性(Conscientiousness)
- 開放性(Openness to Experience)
HEXACOは、ビッグファイブでは捉えきれない性格の側面、特に誠実-謙虚性の次元を追加することで、性格をより包括的に捉えることを目指しています。
これらのツールは、統計的な検証を経て作成されており、学術的な信頼性が高いと言えます。
16personalitiesのような比較的新しい性格診断ツールを評価する際には、ビッグファイブやHEXACOのような確立されたモデルとの比較検討が重要となります。
16personalitiesの利用方法と注意点
無料で受けられる性格診断テスト
16personalitiesの性格診断テストは、無料で受けることができます。
テストを受けるためには、公式サイトにアクセスし、質問項目に回答するだけです。
回答には10分程度の時間がかかります。
テストの質問項目は以下のような特徴があります。
- 2択形式:各質問に対して、当てはまる方を選ぶ
- 状況設定:特定の状況を想定した質問が含まれる
- 行動傾向:実際の行動を問う質問が含まれる
質問は、5つの特性軸(Mind、Energy、Nature、Tactics、Identity)に対応しています。
各軸につき数問の質問項目が用意されており、回答パターンに基づいてスコアが算出されます。
テスト終了後、結果レポートが表示されます。
レポートには以下のような情報が含まれます。
- 性格タイプ:16のタイプのいずれかに分類される
- 5つの特性のスコア:各軸のスコアが%で示される
- タイプの解説:性格タイプの特徴や傾向が詳しく説明される
無料で手軽に受けられる点は、16personalitiesの大きな魅力と言えるでしょう。
ただし、テスト結果の解釈には注意が必要です。
あくまで自己報告に基づく結果であり、状況によって変化する可能性があります。
絶対的な診断ではなく、自己理解のための参考情報として活用することが大切です。
テストの問題数と所要時間
16personalitiesの性格診断テストは、60問の質問項目から構成されています。
各質問項目は、2つの選択肢から当てはまる方を選ぶ形式になっています。
テストの所要時間は、約10分です。
ただし、個人差があるため、多少の時間のずれは生じる可能性があります。
質問項目は、以下の5つの特性軸に対応しています。
- Mind:内向性-外向性に関する質問
- Energy:現実的-直感的に関する質問
- Nature:論理的-感情的に関する質問
- Tactics:計画的-探求的に関する質問
- Identity:自己確信的-自己不確実的に関する質問
各軸につき10問程度の質問項目が用意されています。
質問項目は、日常的な場面を想定したものが多く、答えやすい内容になっています。
ただし、2択形式の質問では、どちらの選択肢も当てはまらないと感じる場合があるかもしれません。
そのような場合は、より当てはまる方を選ぶことが求められます。
60問という問題数は、性格の多面的な把握を可能にする一方で、回答者の集中力を維持するのは容易ではありません。
テストに取り組む際は、リラックスした状態で、自分の感覚に素直に回答することが大切です。
正解や理想像を意識するのではなく、ありのままの自分を見つめる姿勢が求められるでしょう。
診断結果の見方と活用方法
16personalitiesの診断結果は、自己理解と他者理解を深めるための手がかりとして活用できます。
診断結果レポートには、以下のような情報が含まれています。
- 性格タイプ:16のタイプのいずれかに分類される
- 5つの特性のスコア:Mind、Energy、Nature、Tactics、Identityの各軸のスコアが%で示される
- タイプの解説:性格タイプの特徴や傾向が詳しく説明される
これらの情報を手がかりに、自分の性格特性を多面的に理解することができます。
また、性格タイプの解説は、自分の強みや弱み、行動パターンを知る上で役立ちます。
ただし、診断結果はあくまで参考情報であり、絶対的な基準ではありません。
状況によって行動は変化しますし、個人差も大きいのです。
診断結果を過度に一般化したり、ステレオタイプ化したりすることは避けるべきでしょう。
結果を活用する際は、以下のようなポイントに留意することが大切です。
- 自己理解のための手がかりとして活用する
- 他者理解のための参考情報として活用する
- コミュニケーションや協働の改善に役立てる
- ストレスマネジメントや意思決定の参考にする
自己理解と他者理解を深めることで、より良い人間関係の構築やパフォーマンスの向上につなげることができるでしょう。
性格診断の限界と注意点
性格診断は、自己理解と他者理解を深めるための有用なツールですが、同時に限界と注意点があることを認識しておく必要があります。
16personalitiesを含む性格診断ツールには、以下のような限界があります。
- 自己報告に基づくデータ:回答者の主観に依存する
- 状況依存性:状況によって行動は変化する
- 個人差の大きさ:同じタイプでも個人差は大きい
- 発達的変化:ライフステージによって性格は変化する
これらの限界を踏まえると、性格診断の結果を過度に一般化したり、固定的に捉えたりすることは避けるべきでしょう。
性格診断は、あくまで自己理解と他者理解のための手がかりであり、人間の多様性を否定するものではありません。
診断結果を柔軟に活用しつつ、個人の尊厳を大切にする姿勢が求められます。
また、性格診断ツールの学術的な信頼性と妥当性については、十分な検証が必要です。
現時点では、16personalitiesの学術的な裏付けは限定的であり、今後のさらなる研究の蓄積が期待されます。
性格診断の限界と注意点を認識しつつ、適切に活用することで、自己理解と他者理解を深め、より良い人間関係の構築やパフォーマンスの向上につなげることができるでしょう。
一方で、性格診断に頼りすぎるのではなく、日常的なコミュニケーションを大切にすることも忘れてはなりません。
まとめ:16personalitiesの可能性と課題
16personalitiesは、ユング心理学とビッグファイブ理論を独自に発展させた性格診断ツールであり、世界中で大きな人気を集めています。
ただし、16personalitiesには、学術的な信頼性と妥当性の検証が十分ではないという課題があります。
現時点では、関連する査読付き論文が限定的であり、理論的基盤の強化が求められます。
診断結果を絶対視したり、ステレオタイプ化したりすることは避けるべきでしょう。
あくまで自己理解と他者理解のための参考情報として、柔軟に活用することが求められます。
16personalitiesは、性格理解を通じた自己啓発や人間関係の改善に貢献する可能性を秘めたツールですが、同時に学術的な課題も抱えています。
性格診断は万能ではありませんが、上手に活用することで、自己理解と他者理解を深め、より良い人生を歩むための一助となるはずです。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。