性格の約50%は遺伝で決まるという研究結果があります。
これは世界中の双子研究から明らかになった事実です。
ただし、残りの50%は環境や経験が左右します。
「自分の性格は生まれつき?」と気になる方に向けて、最新の研究をもとにわかりやすく解説します。
IQや感情の知性、幸福感や年収まで、遺伝が影響する範囲は想像以上に広いとされています。
一方で、「遺伝だから変えられない」という意味ではありません。
遺伝と環境の関係を正しく知ることが、自分を理解する第一歩です。
この記事では、性格の遺伝について基本から丁寧に説明します。
IQ・誠実性・協調性など10以上のテーマを、最新の論文にもとづいて解説します。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
遺伝を学ぶ前の基本知識
双子研究とは何か
双子研究とは、遺伝の影響を調べるための研究方法です。
一卵性双生児は遺伝子が100%同じです。
二卵性双生児は遺伝子が約50%同じで、兄弟姉妹と同じ割合です。
2つのグループを比べることで、遺伝と環境の影響を分けて調べられます。
具体的には、次のように判断します。
- 一卵性が二卵性より似ていれば、遺伝の影響が大きい
- どちらも同じくらい似ていれば、共有環境の影響が大きい
- 一卵性でも差があれば、個人の経験が関係している
双子研究は世界中で長年にわたって行われてきました。
性格や能力における遺伝の影響を明らかにする、欠かせない研究方法です。
行動遺伝学とは何か
行動遺伝学とは、性格や能力に遺伝と環境がどう影響するかを研究する学問です。
優しさや努力する力なども、研究の対象になります。
遺伝だけでなく、育った環境との関係も合わせて調べます。
この学問では、影響を3つに分けて考えます。
- 「遺伝要因」:生まれつき持っている気質や特性
- 「共有環境」:家族が一緒に受ける育ち方の影響
- 「非共有環境」:兄弟姉妹でも異なる個人の体験
それぞれの割合を数字で表して比べることができます。
多くの研究では、性格の約半分が遺伝で説明できるとされています。
行動遺伝学は、私たちの個性がどのように作られるかを解明する手がかりです。
遺伝率とは何か
遺伝率とは、ある性質の個人差が遺伝でどれだけ説明できるかを示す割合です。
性格や知能は人によって異なります。
その「違い」全体のうち、どの程度が生まれつきの影響によるものかを数字で示したものです。
代表的な遺伝率の例を見てみましょう。
- IQの遺伝率:約80%
- 外向性の遺伝率:約45%
- 感情の知性(EQ)の遺伝率:約40%
ただし、「IQの80%が遺伝で決まっている」という意味ではありません。
遺伝率は「個人の中の割合」ではなく、「集団の中の差を遺伝で説明できる割合」です。
また、教育環境が整っている国では遺伝率が高く出やすい傾向があります。
遺伝率は、生まれつきの影響を理解する大切な指標ですが、「運命が決まっている割合」とは異なる点に注意が必要です。
共有環境とは何か
共有環境とは、兄弟姉妹が一緒に経験する育ちの要素のことです。
同じ家に住み、同じ親に育てられることで生まれる影響です。
たとえば、家庭の経済状況や親のしつけ方がこれにあたります。
共有環境に含まれる主な要素は以下のとおりです。
- 家庭のルールや親のしつけ
- 家族の経済的な状況
- 同じ学校や先生との関わり
ただし、研究では性格やIQへの共有環境の影響は小さいとされています。
年収や一部の社会的な行動では、若い時期に影響が見られる場合があります。
共有環境は兄弟姉妹が似る理由のひとつですが、性格への影響は限定的です。
非共有環境とは何か
非共有環境とは、同じ家族の中でも個人だけが経験する出来事のことです。
友人関係や、特定の先生との出会いなどが代表的な例です。
一卵性双生児でも、別々のクラスに入ればそれは非共有環境になります。
非共有環境に含まれるものの例は以下のとおりです。
- 仲のよい友だちとの経験
- クラブ活動や習いごとでの体験
- 偶然出会った本や映画
- けがや病気などの個人的な出来事
研究では、共有環境よりも非共有環境のほうが性格に強く影響する傾向があります。
たとえば、自己効力感や幸福感は非共有環境が6割以上を占めるとされています。
自分だけの体験が、個性を形成する大きな要因となります。
性格と遺伝の関係をやさしく解説
外向性はどれだけ遺伝で決まるか
外向性は約45%が遺伝の影響とされています。
外向性とは、人と関わることを好む積極的な性格のことです。
双子研究では、一卵性双生児の外向性が特によく似ていることがわかっています。
つまり、外向的かどうかには生まれつきの要素が関係しています。
一方で、次のような環境も外向性に影響を与えます。
- クラスの雰囲気や先生の対応
- 自信をつけた成功体験
共有環境(家庭のしつけなど)の影響はほとんど見られません。
残りの部分は、その人だけの個人的な体験が関係しています。
外向性は約半分が遺伝で、残りは個人の経験によって形成される傾向があります。
誠実性と遺伝の関係はどうか
誠実性の遺伝率は約52%とされています。
誠実性とは、まじめに取り組む力や責任感の強さのことです。
双子研究では、誠実性にも生まれつきの影響が大きいことがわかっています。
つまり、コツコツ努力できる気質には、遺伝が関係している傾向があります。
さらに、次のような経験も誠実性を育てると考えられています。
- 小さいころからの学習習慣
- 忍耐強さを育てる体験
- 目標を立ててやりきる経験
一方で、家族のしつけなど共有環境の影響は小さいとされています。
遺伝とその人固有の環境、両方が組み合わさって形成される性格です。
誠実性は、生まれつきの気質と個人の経験がバランスよく関わる性格特性です。
開放性は生まれつきで決まるか
開放性は約52%が遺伝で決まると報告されています。
開放性とは、新しいことへの好奇心や、想像力の豊かさのことです。
新しい考え方を柔軟に受け入れる力も、この性格特性に含まれます。
双子研究では、開放性が一卵性双生児の間でよく似ていることが多く確認されています。
これは、遺伝の影響がかなり大きいことを示しています。
加えて、次のような経験も開放性に影響します。
- 本や音楽との出会い
- 多様な文化や人との交流
- 自分で工夫したり考えたりする場面
こうした非共有環境が、残りの約半分を形作ります。
開放性は生まれつきの力と、個人の出会いや体験の両方で決まる傾向があります。
協調性は遺伝より育ちで決まるか
協調性は約35%が遺伝の影響とされています。
協調性とは、まわりの人とうまくやっていこうとする気持ちのことです。
優しさや思いやりの強さにも関係しています。
他の性格特性と比べると、協調性への遺伝の影響は小さめです。
これは、人との関わり方が性格に強く影響するためと考えられています。
とくに関係が深い環境は以下のとおりです。
- 家庭内でのやりとりや会話
- 友だちとの関係やけんかの経験
- 相手を思いやる言葉をかけられた体験
双子研究でも、協調性は非共有環境の影響が大きいとされています。
協調性は生まれつきよりも、人との関わりの中で育まれる性格といえます。








