季節によって気分が変わりやすい人には、特定の性格の傾向があります。
304人を対象にした2年間の研究では、Seasonality and personality: a prospective investigation of Five Factor Model correlates of mood seasonalityで、「開放性」と「情動性」が高い人ほど、季節による気分の変化が大きい傾向があることがわかりました。
この記事では、研究結果をもとに、季節と気分の関係を性格の観点からわかりやすく解説します。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
季節で気分が変わるのはなぜか
「季節性の気分変化」とは、季節によって気分の浮き沈みが繰り返される現象です。
冬に気分が落ち込みやすくなったり、春になると急に元気になったりする経験は、多くの人に心当たりがあるのではないでしょうか。
実は、この変化の大きさは、人によってかなり差があります。
研究では、その差を生み出す要因のひとつとして、「性格」が注目されています。
季節による気分の変化として、よく見られるパターンは次の4つです。
- 冬に気分が落ち込みやすくなる
- 春になると気力が戻る
- 夏に活動的・社交的になる
- 秋から気分が重くなり始める
こうした変化がどの程度起きるかは、人によって異なります。
性格を知ることで、自分がどのくらい季節の影響を受けやすいかを把握できます。
それが、気分の波に備えるための第一歩になります。
研究の概要:2年・304人の縦断調査
この研究は、オーストラリアのメルボルンで304人を対象に実施された2年間の縦断調査です。
縦断調査とは、同じ人を長期間にわたって繰り返し調べる方法のことです。
参加者は一般の人々から無作為に選ばれており、特定の集団に偏らない点が特徴です。
調査の主な方法は以下のとおりです。
- 冬と夏の年2回、2年間で計4回測定を実施
- 毎回、気分と性格の両方を記録
- 性格測定には「ビッグファイブ」を使用
- 季節性スコア=夏の気分点数-冬の気分点数で算出
「季節性スコア」とは、夏と冬の気分の差を数値化したものです。
たとえば夏が80点・冬が60点なら、スコアは20点になります。
スコアが大きいほど、季節による気分の波が大きいことを意味します。
2年間という長期間の調査により、一時的な変動ではなく、継続的な傾向を捉えることができました。
ビッグファイブとは:5つの性格要素
「ビッグファイブ」とは、性格を5つの要素で測る、心理学で広く使われている方法です。
この研究でも、ビッグファイブをもとにした「NEO五因子性格検査」が使われました。
5つの要素それぞれが高いとどのような傾向があるか、以下の表で確認できます。
| 性格要素 | 高い人の主な傾向 |
|---|---|
| 開放性 | 好奇心が強く、新しい経験を好む |
| 誠実性 | 計画的で責任感が強い |
| 外向性 | 社交的で活動的 |
| 協調性 | 思いやりがあり、他者に合わせやすい |
| 情動性 | 不安やストレスを感じやすい |
これら5つの要素はそれぞれ独立していて、どれが高い・低いかの組み合わせが、その人の性格を形づくります。
研究では、この5要素と季節性スコアの関係を分析しました。
その結果、季節による気分変化と特に関連が強い要素が2つ見つかりました。
季節の影響を受けやすい2つの性格
研究の結果、季節による気分変化と特に関連が強いのは「開放性」と「情動性」の2つでした。
一方、外向性・協調性・誠実性の3つは、季節性スコアとの関連があまり強くないことがわかりました。
以下では、それぞれの特性がどのように季節の気分変化と結びついているかを解説します。
開放性が高い人は冬に気分が落ちやすい
「開放性」が高い人ほど、冬に気分が落ち込みやすい傾向があることが示されました。
開放性とは、新しい経験・考え方・刺激に対して積極的に向き合おうとする性格のことです。
この特性が高い人は、環境の変化を強く感じ取りやすいと考えられています。
冬に気分が落ちやすい理由として、以下の点が考えられます。
- 日照時間の短縮など、環境の変化を敏感に感じ取りやすい
- 外出機会が減り、新しい経験が制限されやすくなる
- 寒さや暗さを、より強く「刺激の不足」として感じる可能性がある
開放性が高い人は、好奇心旺盛で多様な経験を好む傾向があります。
そのため、活動が制限されやすい冬は、気分の低下につながりやすいと研究では示唆されています。
自分に開放性の高さを感じる人は、冬場の気分管理を意識することが特に大切かもしれません。
情動性が高い人は気分の波が大きくなりやすい
「情動性」が高い人は、季節による気分の変化の幅が大きくなりやすい傾向が見られました。
情動性とは、不安・ストレス・感情の揺れを感じやすい性格のことです。
もともと感情の波が大きい傾向があるため、季節の変化がその波をさらに増幅させる可能性があります。
ただし、研究では重要な点も明らかになっています。
- 情動性は「気分変化の大きさ」と関連する
- 「特定の季節に気分が下がる」という方向性とは関係がなかった
- つまり、冬だけでなく夏にも気分が大きく動く可能性がある
情動性が高い人は、季節にかかわらず感情が動きやすい傾向があります。
そこに季節の変化が加わることで、気分の浮き沈みがより顕著になると考えられます。
自分の気分変化のパターンを把握しておくことが、対処の第一歩になります。
関連が弱かった3つの性格要素
外向性・協調性・誠実性の3つは、季節による気分変化との関連があまり強くないことがわかりました。
「外向性が高い人は冬に落ち込みやすいのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、この研究の結果では、外向性は季節性スコアと強い関係を示しませんでした。
3つの要素について、研究から言えることを整理します。
- 外向性:社交的かどうかと、季節の気分変化の大きさはあまり関係しない傾向
- 協調性:他者への思いやりの強さと、季節性スコアの関連は弱い傾向
- 誠実性:計画性・責任感と、季節による気分変化の関連は限定的な傾向
もちろん、これらの要素が気分にまったく影響しないわけではありません。
ただし、季節との組み合わせという観点では、開放性や情動性ほど強い関連は見られませんでした。
研究結果は傾向を示すものであり、個人差があることを念頭に置いておくことが大切です。
年齢でも季節の影響は変わる
研究では、年齢によっても季節の影響の受けやすさが異なることが確認されました。
具体的には、若い人ほど季節による気分の変化が大きく、年齢を重ねるにつれて変化が小さくなる傾向が見られました。
年齢と季節性の関係として、以下の点が示されています。
- 若年層ほど季節の気分変化が大きい傾向がある
- 年齢が上がると、季節による気分の波が穏やかになる傾向がある
- 性格特性と年齢の両方が、季節の影響に関わっている可能性がある
この結果は、感情の調整能力が年齢とともに発達することと関係しているかもしれません。
若い世代は特に、季節の変化に対する自己観察と対策が役立つ可能性があります。
年齢も性格も、季節との付き合い方に影響する要素のひとつです。
自分の性格を知って季節に備える方法
研究結果をもとに、季節による気分の変化に備えるための具体的な方法を紹介します。
まず大切なのは、自分がどの性格特性を持っているかを把握することです。
そのうえで、気分が変化しやすい季節に向けて、事前に対策を考えておくことが効果的です。
性格別に、特に意識したいポイントを以下にまとめます。
| 性格の傾向 | 注意したい季節 | おすすめの対策 |
|---|---|---|
| 開放性が高い | 冬(活動制限・日照減) | 室内でも新しい経験を取り入れる・光療法を活用する |
| 情動性が高い | 季節の変わり目全般 | 気分の記録をつける・変化のパターンを把握する |
| 両方高い | 冬と季節の変わり目 | 規則的な運動・社会的つながりの維持を優先する |
日常生活で取り入れやすい対策としては、次の3つが挙げられます。
- 光療法の活用:日照時間が短い冬に、明るい光を意識的に浴びる
- 規則的な運動:季節を問わず、体を動かす習慣を維持する
- 社会的なつながりの維持:冬でも友人や家族との交流を意識的に続ける
性格を知ることは、自分の気分の波を「予測」するための手がかりになります。
気分が落ちやすい季節に向けて、事前に準備しておくことで、より穏やかに過ごせる可能性があります。
この研究の知見は、季節性気分障害(SAD)の予防や対処法の個別化にも役立つと期待されています。
まとめ:季節と性格の関係を理解しよう
304人・2年間の研究から、季節による気分変化は性格によって異なることが示されました。
特に関連が強かったのは、次の2つの性格特性です。
- 開放性が高い人:冬に気分が落ちやすい傾向がある
- 情動性が高い人:季節を問わず、気分の波が大きくなりやすい傾向がある
- 若い人ほど:季節の影響を受けやすい傾向がある
一方、外向性・協調性・誠実性は、季節性スコアとの関連があまり強くないことも確認されました。
自分の性格タイプを理解することで、どの季節に気をつければよいかが見えてきます。
季節の変化を「知った上で備える」ことが、気分を安定させるための大きな一歩になります。






