性格検査は、自分自身を深く知るための有効なツールの一つです。
みなさんは、自分がどのような性格なのか、考えたことがありますか?
自分の長所や短所、好きなことや苦手なこと、人付き合いの特徴など、自分自身について理解を深めることは、とても大切なことです。
なぜなら、自分をよく知ることで、自分に合った進路選択ができたり、人間関係をより良くしたり、ストレスにも上手に対処できるようになるからです。
でも、自分のことは意外と分からないものですよね。
自分では気づきにくい特徴もたくさんあります。
そんな時に役立つのが、性格検査です。
性格検査は、心理学の知見に基づいて作られた質問に答えることで、自分の性格の特徴を明らかにしてくれます。
質問紙に答えるだけの簡単な検査もあれば、絵を見て感想を述べる投映法の検査など、様々な種類があります。
どの検査も、自分では気づきにくい無意識の側面まで探ることができるのが特徴です。
自分の長所を伸ばす方法や、短所を補う工夫を考えるきっかけになるでしょう。
さあ、性格検査を通して、自分自身を深く知る旅に出かけてみませんか。
自分らしさを大切にしながら、充実した生活を送るためのヒントが見つかるはずです。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
性格検査とは?性格を知るための心理学的アプローチ
検査の目的:自分自身を知ること
主な目的は、自分自身の性格特性を知ることです。
性格検査を受けることで、以下のような自分自身の特徴が明らかになります。
・外向的か内向的か
・感情的か理性的か
・協調性が高いか低いか
・几帳面か柔軟か
これらは性格の基本的な側面ですが、自分ではなかなか客観的に捉えることが難しい部分です。
性格検査の結果は、自分の性格傾向を知る手がかりとなります。
また、性格検査の中には、より具体的な性格特性を測定するものもあります。
たとえば、リーダーシップ能力、共感力、ストレス耐性など、より詳細な性格の側面を知ることができる検査もあります。
これらの結果は、自分の強みや弱みを知る助けとなるでしょう。
性格検査の目的は、単に自分の性格を知ることだけではありません。
自己理解を深めることで、以下のようなメリットがあります。
・自分に合った進路選択ができる
・ストレス対処法を見直せる
・対人関係の改善に役立てられる
・自分の強みを活かせる
性格検査は、自分自身と向き合う貴重な機会となります。
結果を通して自分の特徴を知り、それを受け入れることが大切です。
そして、自分の性格を理解した上で、どのように生かしていくかを考えることが重要となります。
ただし、性格検査はあくまでも自己理解のための一つの方法であり、絶対的なものではありません。
結果に振り回されることなく、自分の感覚を大切にしながら活用していくことが大切です。
性格検査で得られる自己理解
性格検査を受けることで、自分自身の特性を客観的に知ることができます。
これは自己理解を深めるために非常に重要です。
性格検査の結果から得られる情報には、以下のようなものがあります。
・自分の長所と短所
・ストレスへの反応傾向
・対人関係のパターン
・適職や適した環境
これらの情報を総合的に分析することで、自分自身のパーソナリティーの全体像が見えてきます。
また、性格検査の結果は、自分の行動や思考の傾向を知るきっかけにもなります。
普段の生活では気づきにくい自分の特徴を、性格検査を通して発見できるのです。
そして、自己理解が深まることで、自分自身をより受け入れられるようになります。
性格検査は、自分自身と向き合う大切な機会といえるでしょう。
自分の性格を知ることは、自己成長のための第一歩です。
性格検査の結果を活用する方法
性格検査の結果は、自己理解に役立つだけでなく、実生活でも活用できます。
ここでは、性格検査の結果を生かす方法をいくつか紹介しましょう。
・強みを活かした行動をする
・弱点を補うための工夫をする
・ストレス対処法を見直す
・適職や適した環境を選ぶ
まず、性格検査で明らかになった自分の強みを、日常生活で積極的に活用することが大切です。
得意なことに取り組むことで、自信やモチベーションが高まります。
一方、苦手な部分については、それを補うための方法を考えましょう。
例えば、弱点を克服するための訓練をしたり、苦手な作業を得意な人に任せたりするのも一つの方法です。
また、性格検査の結果から、自分に合ったストレス対処法を見つけることもできます。
ストレス解消法は人それぞれ異なるため、自分に最適な方法を選ぶことが重要です。
さらに、性格検査の結果は、進路選択の参考にもなります。
自分の性格特性を踏まえて、適職や適した環境を選ぶことで、長く働き続けられる可能性が高まるでしょう。
性格検査の結果は、自分自身を多角的に理解するための重要な情報源です。
その情報を有効に活用することで、より充実した人生を送ることができるでしょう。
性格検査と似た言葉の違いを理解しよう
それぞれ簡単に図でまとめると以下になります。それぞれ簡単に説明します。
性格診断と性格検査の違い
性格診断は、16personalitiesなどのようにカジュアルで手軽に受けられるものを指します。
一方、性格検査はビッグファイブなど、学術的・科学的な信頼性があり、専門家によって実施されたり、専門家が開発した検査をもとに実施されるものを指します。
性格診断は自己理解を深めるための入り口として有用ですが、より正確な理解のためには性格検査を受けることがおすすめです。
性格診断と心理テストの違い
この2つは、ともにカジュアルなものとしてはほとんど同じ意味で使われます。
両者とも、手軽に受けられる診断ツールを指すことが多いです。
ただし、心理テストは性格以外の心理的特性も測定する場合があるため、より広い概念だと言えます。
心理テストと心理尺度の違い
カジュアルな診断ツールを指すのが心理テストであるに対し、心理尺度は学術的・科学的な信頼性のある測定ツールを指します。
心理尺度は、心理学の研究で使用されるもので、その信頼性と妥当性が統計的に検証されています。
気軽に受けられる心理テストの一方で、心理尺度はより専門的な知識が必要とされるため、一般の人が単独で使用するのは難しいでしょう。
心理検査と心理尺度の違い
心理検査は、臨床心理学や心理支援の領域において、心理的アセスメントの手法の一つとして用いられます。
一方、パーソナリティ心理学や社会心理学などの基礎心理学の領域では、心理的特性を測定する手法を広義で「心理(測定)尺度」と呼ぶことが多いです。
つまり、心理検査は臨床場面で用いられる実践的な測定ツールであり、心理尺度は研究場面で用いられる学術的・科学的な測定ツールと言えます。
性格検査と心理尺度の違い
性格検査は、心理尺度の中でも特に性格の測定に特化したものを指します。
心理尺度には、性格以外にも知能、適性、価値観など、様々な心理的特性を測定するものがあります。
性格検査は心理尺度の一種であり、性格という特定の心理的特性に焦点を当てた測定ツールだと言えます。
性格検査を受けるメリット:自分の特性を知る
自分の長所と短所を把握できる
性格検査を受けることで、自分の長所と短所を客観的に把握することができます。
自分では気づきにくい特徴も、検査結果を通して明らかになるでしょう。
長所と短所を知ることは、自己理解を深める第一歩です。
性格検査で明らかになる長所の例としては、以下のようなものがあります。
・リーダーシップ能力が高い
・誠実で責任感が強い
・創造性に富んでいる
・共感力が高い
一方、短所の例としては、次のようなものが挙げられます。
・完璧主義で柔軟性に欠ける
・衝動的で計画性が低い
・感情表現が苦手
・ストレスに弱い
これらの長所と短所は、性格検査の結果から読み取ることができます。
ただし、長所も短所も、一概に良い悪いと判断することはできません。
大切なのは、自分の特徴を理解し、受け入れることです。
長所は伸ばし、短所は改善していくことで、自分らしさを活かしながら成長していくことができるでしょう。
また、短所を補うために、他者の力を借りるのも一つの方法です。
自分の特徴を知ることで、より良い人間関係を築くヒントが得られます。
性格検査は、自分の長所と短所を知る貴重な機会です。
結果を前向きに受け止め、自己理解を深めていきましょう。
偏った自己像から脱却し、バランスの取れた自己認識を持つことが、自己成長の鍵となるでしょう。
適職や適した環境が分かる
性格検査の結果は、自分に合った職業や環境を選ぶ際の指針となります。
自分の性格特性を理解することで、どのような職種や職場が適しているかが見えてきます。
適職や適した環境で働くことは、仕事のパフォーマンスや満足度を高めるために重要です。
性格検査の結果から、自分に合った職種や職場環境を探るヒントが得られます。
例えば、以下のような特徴が明らかになったとします。
・細かい作業が得意
・ルーティンワークを好む
・人との接触は少なめが良い
・静かな環境で集中できる
これらの特徴を持つ人は、事務職や研究職など、一人で黙々と作業に取り組む仕事に向いているかもしれません。
オフィスよりも在宅勤務の方が、集中して仕事ができるでしょう。
一方、以下のような特徴が明らかになった場合は、異なる職種や環境が適しているといえます。
・変化を好み、柔軟に対応できる
・人と交流することが好き
・アイデアを出すことが得意
・刺激的な環境を好む
これらの特徴を持つ人は、営業職やサービス業など、人と接する機会が多い仕事が向いているかもしれません。
刺激的でダイナミックな職場環境で、能力を発揮できるでしょう。
対人関係の改善に役立つ
性格検査の結果は、対人関係の改善にも役立ちます。
自分の性格特性を理解することで、人付き合いのスタイルや課題が見えてきます。
対人関係は、私たちの日常生活や仕事において欠かせない要素です。
性格検査を通して、自分の対人関係のパターンを知ることができます。
例えば、以下のような特徴が明らかになったとします。
・人との距離が近すぎる
・自己主張が強い
・相手の意見を聞かない
・感情的になりやすい
これらの特徴を持つ人は、対人関係でトラブルを抱えやすいかもしれません。
相手の気持ちを考えずに行動したり、自分の意見を押し通そうとしたりすることで、関係が悪化する可能性があります。
一方、以下のような特徴が明らかになった場合は、対人関係を築くのが苦手な傾向があるといえます。
・人との距離が遠い
・自己主張が弱い
・相手に合わせすぎる
・感情表現が苦手
これらの特徴を持つ人は、自分の意見を言えなかったり、相手に気を遣いすぎたりすることで、ストレスを溜め込みやすいでしょう。
対人関係を改善するためには、自分の特徴を理解し、バランスを取ることが大切です。
自分の特徴を活かしながら、相手との良好な関係を築くことができれば、仕事や私生活がより充実したものになるはずです。
ストレス対処法が見つかる
性格検査の結果は、ストレス対処法を見つける手がかりにもなります。
自分の性格特性を理解することで、ストレスの原因や緩和方法が明らかになるでしょう。
ストレスは、現代社会で生きる私たちにとって避けられない問題です。
性格検査を通して、自分のストレス反応のパターンを知ることができます。
例えば、以下のような特徴が明らかになったとします。
・完璧主義でプレッシャーを感じやすい
・些細なことを気にする
・ネガティブな思考に陥りやすい
・一人で抱え込む傾向がある
これらの特徴を持つ人は、ストレスを感じやすく、そのストレスから立ち直るのが難しいかもしれません。
高すぎる目標を設定したり、失敗を恐れたりすることで、常にプレッシャーを感じている状態になりがちです。
一方、以下のような特徴が明らかになった場合は、ストレスに強い傾向があるといえます。
・柔軟性があり、変化に適応できる
・楽観的で前向きな思考ができる
・人に頼ることができる
・趣味や息抜きの時間を大切にする
これらの特徴を持つ人は、ストレスフルな状況でも冷静に対処することができるでしょう。
自分の特徴を理解し、ストレスと上手に付き合う方法を身につけることで、心身の健康を維持しやすくなるはずです。
ストレスと上手に付き合えるようになることが、充実した人生につながるでしょう。
代表的な性格検査の種類と特徴
質問紙法の性格検査
質問紙法は、性格検査の中で最も一般的な方法です。
質問紙に回答することで、自分の性格特性を評価します。
質問紙法の性格検査は、手軽に実施できる上、結果も比較的分かりやすいのが特徴です。例えば以下のようなものがあります。
・MMPI(ミネソタ多面人格目録)
・MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)
・YG性格検査
・ビッグファイブ
MMPIは、精神医学の分野で開発された性格検査です。精神的な問題の有無や程度を評価するために用いられます。
MBTIは、ユングの心理学的タイプ論に基づいた性格検査です。外向性-内向性、感覚-直感、思考-感情、判断-知覚の4つの指標から、16のタイプに分類します。
YG性格検査は、日本で開発された性格検査です。12の性格因子から、性格特性を評価します。
ビッグファイブは、性格心理学の分野で広く用いられている検査です。外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性の5つの因子から、性格特性を評価します。
質問紙法の性格検査は、自己報告式であるため、回答の歪みが生じる可能性があります。
社会的に望ましい回答をしたり、自分の特徴を的確に捉えられていなかったりすることがあるのです。
MMPI(ミネソタ多面人格目録)
MMPI(ミネソタ多面人格目録)は、精神医学の分野で開発された代表的な性格検査です。
精神的な問題の有無や程度を評価するために用いられます。
MMPIは、566項目からなる質問紙で、「はい」「いいえ」で回答します。
MMPIは、以下の10の臨床尺度から構成されています。
- 心気症尺度
- 抑うつ尺度
- ヒステリー尺度
- 精神病質的偏倚尺度
- 男子性・女子性尺度
- パラノイア尺度
- 精神衰弱性尺度
- 統合失調症尺度
- 軽躁尺度
- 社会的内向性尺度
これらの尺度から、被検者の精神的な問題の傾向を評価します。
例えば、抑うつ尺度の得点が高い場合は、抑うつ状態にある可能性が示唆されます。
パラノイア尺度の得点が高い場合は、被害妄想的な傾向があるかもしれません。
MMPIは、臨床場面だけでなく、犯罪捜査や人事選考など、幅広い分野で活用されています。
ただし、MMPIの結果は、あくまで精神的な問題の可能性を示唆するものであり、確定診断ではありません。結果の解釈には、専門的な知識と経験が必要とされます。
また、MMPIは、質問項目が多く、実施に時間がかかるのが難点です。短縮版のMMPI-2や、日本版のMMPI新日本版なども開発されています。
MMPIは、精神的な問題の評価に特化した性格検査です。
臨床場面や専門家による利用が中心となりますが、自己理解を深める一助としても活用できるでしょう。
MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)
MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)は、ユングの心理学的タイプ論に基づいた性格検査です。
外向性-内向性、感覚-直感、思考-感情、判断-知覚の4つの指標から、16のタイプに分類します。
MBTIは、93項目からなる質問紙で、2つの選択肢から自分に当てはまるものを選びます。
MBTIの4つの指標は、以下の特徴を表しています。
- 外向性(E)-内向性(I):エネルギーの向かう方向
- 感覚(S)-直感(N):情報の収集方法
- 思考(T)-感情(F):意思決定の基準
- 判断(J)-知覚(P):生活のスタイル
これらの指標の組み合わせから、ESTJ、INFPなど、16のタイプが導き出されます。
職場や学校、恋愛など、様々な場面で自分や他者の特徴を理解するのに役立ちます。
ただし、MBTIは、性格を16のタイプに分類するため、個人の多様性を捉えきれないという批判もあります。
MBTIは、性格理解のための有益なツールですが、万能ではないことを忘れずに活用しましょう。
YG性格検査
YG性格検査は、日本で開発された代表的な性格検査の一つです。
120項目からなる質問紙で、「はい」「いいえ」で回答し、12の性格因子から、性格特性を評価します。
12の性格因子は、以下の通りです。
- 抑うつ性
- 回帰性傾向
- 劣等感
- 神経質
- 主観性
- 非協調性
- 攻撃性
- 活動性
- のんきさ
- 思考的外向
- 支配性
- 社会的外向
これらの因子から、被検者の性格特性を多面的に評価します。
例えば、抑うつ性因子の得点が高い場合は、抑うつ的な傾向が強いことを示唆します。
非協調性因子の得点が高い場合は、協調性に乏しい傾向があるかもしれません。
YG性格検査は、日本人の性格特性を反映した検査として、日本国内で広く活用されています。
学校や企業の人事選考、カウンセリングなど、様々な場面で用いられます。
ただし、他の文化圏の人には当てはまらない可能性があります。
ビッグファイブ性格検査
ビッグファイブ性格検査は、性格心理学の分野で広く用いられている代表的な性格検査です。
外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性の5つの因子から、性格特性を評価します。
質問項目数や回答方式が検査によって異なりますが、主に以下の5因子を測定します。
- 外向性:社交的、積極的、活発な傾向
- 協調性:思いやりがある、協力的、良心的な傾向
- 勤勉性:責任感が強い、目標志向的、自制的な傾向
- 神経症傾向:不安になりやすい、情緒不安定な傾向
- 開放性:知的好奇心が高い、創造的、柔軟な傾向
これらの因子の得点から、被検者の性格特性を包括的に評価します。
ビッグファイブは、性格の基本的な構造を捉えるのに適した検査として、世界中で活用されています。
自己理解や他者理解、職業選択、人事選考など、様々な場面で用いられます。
投影法の性格検査
投映法は、性格検査の中でも独特な方法論を持つ検査です。
曖昧な刺激を提示し、それに対する反応から無意識の心理を探ります。
投映法の性格検査では、絵や写真などの曖昧な刺激を被検者に提示し、自由に反応してもらいます。
その反応から、被検者の無意識の欲求や葛藤、性格特性を解釈します。
投映法の性格検査には、以下のようなものがあります。
・ロールシャッハ・テスト
・TAT(主題統覚検査)
・文章完成法テスト(SCT)
ロールシャッハ・テストは、インクのしみ絵を見て、そこに何が見えるかを答える検査です。
TATは、曖昧な絵を見て、そこから物語を作ってもらう検査です。
SCTは、未完成の文章を提示し、それを完成してもらう検査です。
投映法の性格検査は、被検者の防衛機制を回避し、無意識の心理を引き出すことができるのが特徴です。
質問紙法では測定しにくい、深層の心理を探ることができます。
ただし、投映法の性格検査は、実施や解釈に高度な専門性が要求されます。
また、検査の妥当性や信頼性に関する議論もあり、慎重な扱いが必要とされています。
投映法の性格検査は、無意識の心理を探るための独特な方法です。
質問紙法では捉えにくい、深層の心理を理解するための有益な情報源となります。
ロールシャッハ・テスト
ロールシャッハ・テストは、投映法の性格検査の中でも代表的な検査の一つです。
インクのしみ絵を見て、そこに何が見えるかを答えることで、無意識の心理を探ります。
ロールシャッハ・テストは、10枚のインクのしみ絵を被検者に提示し、そこに何が見えるかを自由に答えてもらいます。
被検者の反応から、知覚の仕方や感情、欲求、対人関係などの特徴を解釈します。
ロールシャッハ・テストでは、以下のような指標が用いられます。
・反応の数や内容、質(形態、色彩、動きなど)
・反応の独自性や、順序
これらの指標から、被検者の性格特性を多面的に評価します。
例えば、反応数が少ない場合は、内向的で慎重な傾向を示唆するかもしれません。
色彩反応が多い場合は、情動的で衝動的な傾向があるかもしれません。
ロールシャッハ・テストは、被検者の防衛機制を回避し、無意識の心理を引き出すことができるのが特徴です。
質問紙法では測定しにくい、深層の心理を探ることができます。
ただし、ロールシャッハ・テストの実施や解釈には、高度な訓練と経験が要求されます。
ロールシャッハ・テストを用いる際は、検査の限界を理解し、適切な利用を心がけることが大切です。
TAT(主題統覚検査)
TAT(主題統覚検査)は、投映法の性格検査の一つで、曖昧な絵を見て物語を作ることで、無意識の心理を探ります。
1930年代に開発され、当初は情報機関によるスパイ選抜に用いられていました。
現在では、臨床心理学や性格心理学の分野で広く活用されています。
TATでは、日常場面や対人場面を描いた絵を被検者に提示し、それぞれの絵について自由に物語を作ってもらいます。
被検者が作った物語から、欲求や葛藤、防衛機制などの無意識の心理を解釈します。
TATの解釈では、以下のような点に着目します。
・物語の筋書きや内容
・登場人物の特徴や行動
・物語の結末
・物語に表れる感情や欲求
これらの要素を分析することで、被検者の性格特性や心理的な課題を理解します。
例えば、物語の中で繰り返し表れるテーマは、被検者の無意識の欲求を反映しているかもしれません。
登場人物の行動や結末は、被検者の対人関係のパターンを示唆するかもしれません。
TATは、被検者の創造性や想像力を活用して、無意識の心理を引き出すことができるのが特徴です。
質問紙法では測定しにくい、深層の心理を探ることができます。
ただし、TATの実施や解釈には、高度な訓練と経験が要求されます。
検査の限界を理解し、適切な利用を心がけることが大切です。
文章完成法テスト(SCT)
文章完成法テスト(SCT)は、投映法の性格検査の一つで、未完成の文章を完成させることで、無意識の心理を探ります。
SCTは、質問紙法と投映法の特徴を併せ持つユニークな検査です。
SCTでは、「私は〇〇です」「人生とは〇〇である」など、未完成の文章を被検者に提示します。
被検者は、それぞれの文章を自由に完成させます。
完成された文章から、被検者の態度や価値観、欲求などの無意識の心理を解釈します。
SCTの解釈では、以下のような点に着目します。
・文章の内容や表現
・肯定的な内容と否定的な内容の比率
・特定のテーマの繰り返し
・文章の長さや詳細さ
これらの要素を分析することで、被検者の性格特性や心理的な課題を理解します。
例えば、否定的な内容の文章が多い場合は、自己評価が低い傾向を示唆するかもしれません。
特定のテーマが繰り返し表れる場合は、そのテーマに関する無意識の葛藤があるかもしれません。
SCTは、被検者の自由な表現を引き出すことで、無意識の心理を探ることができるのが特徴です。
質問紙法のように答えの選択肢が用意されていないため、被検者の真の姿を捉えやすいとされています。
ただし、SCTの実施や解釈には、一定の訓練と経験が要求されます。
検査の限界を理解し、適切な利用を心がけることが大切です。
作業検査法の性格検査
内田クレペリン精神検査
内田クレペリン精神検査は、作業検査法の性格検査の一つで、単純な計算作業の遂行状況から性格特性を評価します。
日本で開発された代表的な性格検査です。この精神検査では、1桁の数字の加算を一定時間、複数回行ってもらいます。
計算作業の正確性や速度、変化の様子から、被検者の性格特性を解釈します。以下のような指標が用いられます。
・作業量(計算問題の処理数)
・正確度(正答率)
・作業曲線(作業量の時間的変化)
・特徴数(曲線の形の特徴)
これらの指標から、被検者の性格特性を多面的に評価します。
例えば、作業量が多く正確度が高い場合は、几帳面で真面目な性格を示唆するかもしれません。
作業曲線が不安定な場合は、情緒的に不安定な傾向があるかもしれません。
この検査は、被検者の意識的なコントロールが及びにくい作業遂行の様子から、無意識の性格特性を探ることができるのが特徴です。
質問紙法では測定しにくい、行動面での性格特性を捉えることができます。
ただし、検査の実施や解釈には、一定の訓練と経験が要求されます。
検査の妥当性や信頼性に関する議論もあり、慎重な扱いが必要とされています。
自分に合った性格検査の選び方
検査の目的を明確にする
性格検査を受ける際は、まず検査の目的を明確にすることが大切です。
自分に合った性格検査を選ぶためには、以下のような点を考慮しましょう。
・自己理解を深めたい
・適職や進路を探したい
・人間関係の改善に役立てたい
・ストレス対処法を見直したい
自己理解を深めたい場合は、質問紙法の性格検査が適しているでしょう。
ビッグファイブ性格検査やYG性格検査など、比較的短時間で性格の全体像を把握できる検査がおすすめです。
適職や進路を探したい場合は、興味や価値観を測定する検査も併せて受けると良いでしょう。
VPIやKuder職業興味検査など、職業適性を評価する検査が参考になります。
人間関係の改善に役立てたい場合は、対人関係の特徴を測定する検査が有用です。
TEG(東大式エゴグラム)やSCT(文章完成法テスト)など、自己や他者との関わり方を探る検査が参考になります。
ストレス対処法を見直したい場合は、ストレス耐性や気質を測定する検査が適しているでしょう。
STAI(状態・特性不安検査)やTAI(絶望度尺度)など、ストレス反応や気分の状態を評価する検査が参考になります。
このように、性格検査の目的を明確にすることで、自分に合った検査を選ぶことができます。
目的に合った検査を受けることで、より有益な結果が得られるでしょう。
検査の信頼性と妥当性を確認する
性格検査を選ぶ際は、検査の信頼性と妥当性を確認することが大切です。
信頼性と妥当性が高い検査を選ぶことで、より正確で有益な結果が得られます。
信頼性とは、検査の結果が安定していて再現性が高いことを意味します。
同じ人が同じ検査を繰り返し受けたときに、同じような結果が得られるかどうかが信頼性の指標となります。
妥当性とは、検査が測定しようとしている対象を正確に測定できているかどうかを示します。
性格検査の信頼性と妥当性を確認するためには、以下のような点に着目しましょう。
・検査の開発過程や理論的背景
・信頼性係数(再テスト法、内的整合性など)
・妥当性の検証方法(基準関連妥当性、構成概念妥当性など)
・標準化データの有無やサンプルの特徴
検査マニュアルや関連する研究論文を参照することで、検査の信頼性と妥当性を確認することができます。
また、心理学の専門家に相談することも有効です。
信頼性と妥当性が高い検査の例としては、以下のようなものが挙げられます。
・ビッグファイブ(NEO-PI-Rなど)
・MMPI(ミネソタ多面人格目録)
・YG性格検査
・内田クレペリン精神検査
これらの検査は、長年の研究と実績に基づいて開発されており、信頼性と妥当性が確認されています。
検査結果の解釈と活用方法を考える
性格検査の結果を受け取ったら、その解釈と活用方法をよく考えることが大切です。
性格検査の結果を解釈する際は、以下のような点に留意しましょう。
・傾向を示すものであり、絶対的なものではない
・結果は検査時点のものであり、変化する可能性がある
・自己報告に基づくものであり、無意識の側面は反映されにくい
・文化や状況の影響を受ける可能性がある
強みや弱み、行動のパターンなど、様々な側面から自分自身を振り返ってみましょう。
結果と自分の実感とのずれがある場合は、そのずれについても考えてみましょう。
性格検査の結果を活用する際は、以下のような方法が考えられます。
・自分の強みを活かす方法を考える
・弱みを補う方法を考える
・適職や進路選択の参考にする
・対人関係の改善に役立てる
・ストレス対処法を見直す
例えば、外向性が高いことが分かった場合は、対人関係を積極的に築く方法を考えてみましょう。
神経症傾向が高いことが分かった場合は、ストレス対処法を見直してみるのも良いでしょう。
まとめ:性格検査で自分自身を深く知ろう
性格検査は、自分自身を深く知るための有益なツールです。
質問紙法、投映法、作業検査法など、様々な方法で性格特性を評価することができます。
性格検査を受けることで、自分の長所や短所、行動のパターン、適職や対人関係の特徴など、様々な側面から自分自身を理解することができるでしょう。
性格検査を受ける際は、まず目的を明確にすることから始めましょう。
自己理解を深めたいのか、適職を探したいのか、目的に合った検査を選ぶことが重要です。
また、検査の信頼性と妥当性を確認することも忘れずに。
信頼性と妥当性が高い検査を選ぶことで、より正確で有益な結果が得られます。
性格検査の結果を受け取ったら、その解釈と活用方法をよく考えましょう。
結果から読み取れる自分の特徴を理解し、強みを活かす方法や弱みを補う方法を考えてみるのも良いでしょう。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。