民主主義って、本当に意味があるの?
ニュースを見ていて、「選挙があっても生活は変わらないのでは」と感じたことはありませんか。
物価は上がるし、格差もなくならない。
そんな日常の疑問から、このテーマは始まります。
従来は「民主主義なら社会は良くなる」と考えられてきました。
しかし、本当にすべてが良くなるのでしょうか。
実は、分野によって効果は大きく違う可能性があるのです。
この問いを大規模に検証したのが、
「Does Democracy Matter?」という論文です。
テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)とオスロ大学(University of Oslo)の研究者が執筆し、
『Annual Review of Political Science』に2022年に掲載されました。
600本以上、1100を超える分析をまとめた研究です。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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民主主義は本当に意味がないのかと疑われる今
民主主義は「自由」だけの制度なのか
最も重要なのは、民主主義は自由だけの仕組みではないという点です。
まず民主主義とは、選挙で指導者を選ぶ制度です。
さらに市民が意見を言える体制でもあります。
しかしそれだけで十分でしょうか。
もしあなたが生徒会長を選ぶ学校にいるならどうでしょう。
投票だけあっても学校は良くなりますか。
たとえば校則や予算も関係します。
この研究はそこを調べました。
2000年以降の600本以上を分析しました。
そして30種類の政策分野を比べました。
結果は単純ではありませんでした。
人権や透明性では効果が見られました。
一方で不平等では弱い傾向でした。
つまり自由だけでは語れません。
民主主義は仕組み全体で考える必要があります。
まとめると、民主主義は自由以上の制度です。
政策や結果との関係まで見ないと評価できません。
なぜ今あらためて民主主義が問われるのか
重要なのは、民主主義が後退している国が増えている点です。
近年、選挙はあっても自由が弱まる例があります。
そのため民主主義は意味があるのかと疑われます。
また一部では強い指導者モデルが評価されます。
もしあなたが景気の悪い国に住んでいたらどうでしょう。
速い決断をする指導者を望みますか。
しかし決断が速いことと良い結果は同じでしょうか。
そこで研究者たちは問い直しました。
民主主義は本当に社会を良くするのかです。
600本以上の研究をまとめた大規模分析
この研究の核心は、600本超の論文を横断的に整理した点です。
対象は60か国以上を扱う研究です。
合計で1181の分析が集められました。
分野は政治だけではありません。
経済や社会政策も含みます。
もしあなたが図書館で600冊を読むとしたらどうですか。
とても一人では無理でしょう。
そこで著者たちは共通の基準で整理しました。
民主主義と結果の関係を数値で比べました。
効果の強さは統計値で確認しました。
その分布を見ると22%は負の結果でした。
残りは正か効果なしでした。
つまり悪い影響は少数派でした。
とはいえ万能とも言えません。
まとめると、大量の研究を束ねた点が強みです。
単一研究より信頼性は高い可能性があります。
30種類の政策分野を横断して検証
重要なのは、30の政策分野を同時に見たことです。
分野は大きく5つに分かれます。
・社会政策
・経済政策
・人権
・軍事と刑事
・統治全体
例えば人権では中央値3.5でした。
透明性は2.5でした。
一方で不平等は0.6でした。
もしあなたが部活の成績を比べるならどうでしょう。
全部が同じ結果にはなりません。
民主主義も同じです。
分野ごとに効果は異なります。
そのため一言で評価できません。
まとめると、分野差が最大の発見です。
良い面と弱い面の両方が確認されました。
これまでの研究はなぜ結論が分かれてきたのか
最も大事なのは、研究方法の違いが結論を左右する点です。
研究ごとに国数や年数が違います。
単年だけの分析もありました。
しかし近年は固定効果という手法が増えました。
固定効果とは国の特徴を一定とみなす方法です。
また誤差修正の工夫も増えました。
その結果、昔より厳しい検証になりました。
さらに有意水準1.96の壁もあります。
有意とは偶然でない可能性が高いという意味です。
もしあなたが試験で60点を超えたいならどうですか。
基準直前の点が増えるかもしれません。
研究でも似た現象が見られました。
だから結論が揺れてきたのです。
まとめると、方法の違いが評価を変えてきました。
慎重に読む姿勢が必要です。
民主主義はどこで力を発揮しどこで苦戦するのか
人権は民主主義で大きく改善する
最も強い効果が確認されたのは人権分野です。
人権とは、命や自由が守られる権利です。
この分野の中央値は3.5でした。
統計値が2を超えると効果が強いとされます。
つまり比較的はっきりした関係です。
もしあなたが自由に意見を言えない国にいたらどうでしょう。
選挙で政権を変えられる制度は大切です。
さらに権力を監視する仕組みも重要です。
民主主義では批判が公にできます。
そのため弾圧が起こりにくい可能性があります。
ただしすべての国で同じとは言えません。
しかし全体では良い方向でした。
まとめると、人権は民主主義で守られやすい傾向です。
特に自由と身体の安全で効果が目立ちました。
腐敗は民主主義で減る傾向がある
次に腐敗の低下も比較的強い結果でした。
腐敗とは、権力を私的に使う行為です。
中央値は2.5でした。
多くの研究で正の関係が出ました。
もしあなたが市役所で賄賂を求められたらどうですか。
選挙で不満を示せる制度は抑止力になります。
さらに報道の自由も関係します。
ただし腐敗指標は主観評価が多いです。
主観とは人の判断に基づく測定です。
そのため効果が強く見える可能性もあります。
それでも全体傾向は改善でした。
まとめると、腐敗抑制には一定の効果があります。
ただし測定方法には注意が必要です。
透明性や情報公開は民主主義で進む
透明性の向上も明確な結果でした。
透明性とは、政府の情報が公開されることです。
中央値は2.5でした。
情報公開法の整備が進む傾向があります。
もしあなたが学校の会計を知りたいならどうでしょう。
帳簿が公開されていれば安心できます。
民主主義では説明責任が求められます。
説明責任とは理由を示す義務です。
そのため情報公開が進みやすいです。
ただし制度だけで完璧ではありません。
実行力も必要です。
まとめると、透明性は民主主義で高まりやすいです。
監視と公開が仕組みに組み込まれています。
政府の質は民主主義で高まりやすい
また政府の質でも前向きな結果でした。
政府の質とは、政策を実行する力です。
中央値は2.4でした。
法の支配も含まれます。
法の支配とは、法律が平等に適用されることです。
もしあなたが規則が守られない部活にいたらどうですか。
混乱が起きやすいでしょう。
民主主義では監視と競争があります。
それが質の向上に寄与する可能性があります。
ただし国の歴史や文化も影響します。
万能ではありません。
まとめると、政府の質でも一定の改善が確認されました。
制度的な監視が作用していると考えられます。
健康や人間開発も民主主義で改善しやすい
健康分野でも比較的良い結果でした。
中央値は2.5でした。
乳児死亡率の低下などが含まれます。
もしあなたが医療が届かない地域にいたらどうですか。
選挙で政策を求める声を上げられます。
民主主義では社会的要望が政策に反映されやすいです。
しかし経済状況も大きな要因です。
そのため効果は限定的な場合もあります。
それでも全体では改善傾向でした。
まとめると、健康や人間開発にも一定の効果があります。
ただし経済条件との組み合わせが重要です。
民主主義はなぜ万能ではないのか
不平等は民主主義だけでは解決しにくい
重要なのは、不平等では強い効果が見られなかった点です。
不平等とは、収入の差が大きい状態です。
中央値は0.6でした。
2を超える強い値ではありません。
もしあなたが同じ学校で成績差をなくしたいならどうですか。
制度だけで完全には縮まりません。
家庭環境や地域差も関係します。
民主主義でも経済構造は急に変わりません。
そのため効果は限定的でした。
一方で悪化する証拠も多くありません。
つまり大きく良くも悪くもない傾向です。
まとめると、不平等には体制だけでは不十分です。
経済政策や社会条件が同時に必要です。
インフレは民主主義でも大きく変わらない
次にインフレでは明確な改善は確認されませんでした。
インフレとは物価が上がり続ける現象です。
中央値は0.7でした。
強い関連とは言えません。
もしあなたが急に物価が倍になった国にいたらどうですか。
選挙があってもすぐ解決できません。
金融政策や国際環境も影響します。
民主主義でも外部要因は変えにくいです。
そのため効果は弱い結果でした。
まとめると、インフレ対策は制度以上に経済要因が重要です。
民主主義だけでは決まりません。
公共支出は体制より別の要因が重要
また公共支出でも明確な優位は出ませんでした。
公共支出とは政府が使うお金です。
中央値は0.5でした。
強い関係とは言えません。
もしあなたが学校の予算を増やしたいならどうしますか。
投票だけでは資金は増えません。
税収や景気も影響します。
民主主義でも財源は制約されます。
そのため結果はばらつきました。
まとめると、支出額は制度だけで決まりません。
経済条件との組み合わせが鍵です。
経済成長は民主主義だけでは決まらない
それから経済成長でも効果は限定的でした。
中央値は2.0でしたが、ばらつきが大きいです。
研究数は83と多い分野です。
成長とは国全体の所得が増えることです。
もしあなたが会社の売上を伸ばしたいならどうですか。
仕組みだけで成功は保証されません。
技術や人口も関係します。
民主主義は安定性を高める可能性があります。
しかし必ず高成長になるとは言えません。
まとめると、成長は複数の要因が重なります。
民主主義は一要素にすぎません。
社会保障の広がりは必ずしも民主主義次第ではない
社会保障でも強い優位は出ませんでした。
中央値は1.1でした。
社会保障とは年金や福祉です。
もしあなたが支援を必要とする立場ならどうでしょう。
制度があっても財源が必要です。
さらに人口構成も影響します。
民主主義でも高齢化には直面します。
そのため結果は中程度でした。
悪化する証拠も少ないです。
まとめると、社会保障は制度だけで拡大しません。
経済力や人口動態が大きく関わります。
民主主義研究の落とし穴とそれでも残る可能性
有意な結果だけが目立つ可能性
重要なのは、研究には「有意水準」の壁があることです。
有意とは偶然でない可能性が高いという意味です。
多くの研究で1.96という基準が使われます。
実際に11%がその直後に集中しました。
もしあなたが合格点60点を目指すならどうでしょう。
59点より61点を取りたくなります。
研究でも似た傾向が見られました。
これを閾値偏りと呼びます。
つまり基準を少し超える結果が増えます。
しかし全体の29%は有意でありませんでした。
また32%は3以上の高い値でした。
したがって完全に誇張とは言えません。
まとめると、有意偏りは存在します。
ただし全体像を覆すほどではない可能性があります。
民主主義に好意的な研究者の影響
研究者の価値観も無関係ではありません。
民主主義は多くの人に支持されます。
そのため良い結果を期待しやすいです。
これを民主主義偏りと呼びます。
もしあなたが好きな部活を応援していたらどうですか。
良い点に目が向きやすいでしょう。
しかし経済学誌では有意結果がやや少なめでした。
また近年ほど有意結果は減少傾向でした。
つまり時間とともに慎重になっています。
まとめると、好意的な期待はあり得ます。
それでも最近は検証が厳しくなっています。
主観的な指標ほど効果が大きく出やすい
また主観指標では効果が強く出る傾向がありました。
主観指標とは人の評価に基づく数値です。
例えば腐敗の印象などです。
これらは民主主義と強く関連しました。
もしあなたが友人を評価するならどうでしょう。
人気者は高く評価されやすいです。
同じように民主主義国も高評価される可能性があります。
そのため数値が高く出るかもしれません。
一方で客観指標では差が小さい場合もありました。
まとめると、測定方法が結果に影響します。
評価の仕方に注意が必要です。
達成しやすい政策ほど民主主義の効果が出る
それから達成可能性は重要な視点です。
達成可能性とは政府が直接変えやすいかです。
死刑廃止のような制度変更は比較的容易です。
一方で経済成長は多要因です。
分析では達成しやすい政策ほど効果が強めでした。
もしあなたが校則を変えるならどうですか。
投票で比較的すぐ変えられます。
しかし学校全体の成績向上は難しいです。
同様に民主主義も制度変更には効きやすいです。
まとめると、効果は分野の性質で異なります。
到達可能な目標ほど結果が出やすいです。
それでも民主主義は全体としてプラスか
全体ではプラス傾向が確認されました。
負の結果は22%でした。
多くは正か効果なしでした。
つまり悪影響は少数派です。
ただし万能とは言えません。
もしあなたが新しい制度を選ぶならどうでしょう。
完璧でなくても悪化しない選択は重要です。
民主主義は人権や透明性で効果が目立ちます。
一方で不平等や物価では限定的です。
総合的には前向きな結果でした。
まとめると、民主主義は万能ではありません。
それでも多くの分野で前向きな可能性があります。
最後に
ここまで見てきたように、民主主義は「すべてを解決する魔法の制度」ではありません。
不平等や物価の問題は、体制だけで一気に変わるわけではないことも分かりました。
しかし一方で、人権や透明性、腐敗の抑制といった分野では、はっきりと前向きな傾向が確認されています。
つまり、民主主義は万能ではないけれど、決して無力でもないということです。
完璧でなくても、権力を監視し、声を届けられる仕組みがあることには意味があります。
もし将来、社会をより良くしたいと思うなら、「民主主義は役に立たない」と切り捨てるのではなく、どの分野でどう活かせるのかを考えることが大切です。
制度の強みと限界を知ることが、次の一歩につながります。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、論文4本執筆(うち2本ジャーナル掲載)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。








