モチベーションが私たちの学習や仕事にどれほど影響を与えるかは驚くべきことです。
特に若者にとって、モチベーションの源を理解することは、将来の成功への鍵となります。
「From basic personality to motivation: Relating the HEXACO personality traits to motivational goal-setting in students」という論文では、人格特性がどのように私たちの動機付けに関連しているかが詳しく解説されています。
この記事では、その論文の内容をもとに、性格特性が学習目標や日常生活の動機づけにどのように影響するのかをわかりやすく説明します。
性格によって私たちのモチベーションがどのように形成され、どのように自分自身を向上させることができるのかを探ります。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
※以下のHEXACO-JP診断は個人向けになります。サンブレイズテストは法人向けになります。


モチベーションと性格特性の基本的な関係
モチベーションとは何か?
目標に向かって努力する気持ちのことです。
人はさまざまな理由で、学習や作業に取り組みます。
その動機付けがモチベーションに影響を与えます。
具体的には以下のように分類されます。
- 内発的モチベーション: 自分自身の興味や楽しみから行動すること
- 外発的モチベーション: 報酬や評価を目指して行動すること
また、モチベーションを高めるには、達成感や自己効力感が重要です。
自己効力感とは、「自分にはできる」という信念のことです。
高い自己効力感を持つと、困難に直面しても積極的に挑戦します。
性格特性とはどのようなものか?
性格特性とは、個人の行動や思考、感情の傾向を示す一貫した特徴です。
人によって異なる性格特性は、以下のように多様です。
- 外向性: 社交的か内向的か
- 開放性: 新しい経験に対する受け入れやすさ
- 誠実性: 継続性や責任感の強さ
これらの性格特性は、日常生活や対人関係に影響を及ぼします。
例えば、外向性が高い人は人との交流を好み、開放性が高い人は新しいことに挑戦することが多いです。
逆に、誠実性が低いと、約束を守るのが苦手な場合があります。
性格が与える影響の概要
性格特性は、モチベーションの源泉となり得ます。
特に、学習や仕事の動機に強い影響を与えることが知られています。
主要な性格特性とモチベーションとの関連性は以下の通りです。
- 正直さ・謙虚さ: 高い値は内発的モチベーションを強化
- 外向性: 社交的活動へのモチベーションを向上
- 誠実性: 目標達成に向けた持続的な努力を促す
これらの特性は、個人が目標に対してどのように取り組むかを大きく左右します。
また、性格特性によっては、特定の環境や課題に対する適応が促されることもあります。
性格特性が異なると学習目標はどう変わる?
性格特性によって、個々人の学習目標も大きく変わります。
学習に対するアプローチは、性格によって異なるため、以下のような傾向が見られます。
- 正直さ・謙虚さが高い人: 知識の理解を深めることに重点を置く
- 外向性が高い人: グループ学習やディスカッションを好む
- 開放性が高い人: 新しい学問や技術に挑戦することに興味を持つ
これらの傾向を理解することで、教育者はより効果的な教育方法を提供できます。
また、学習者自身も自分の性格を理解することで、適切な学習戦略を選べるようになります。
この文章では、異なる性格特性が学習目標にどのように影響を与えるかを説明しました。個々の性格に合った学習目標を設定することが、効果的な学習への鍵となります。
性格特性との相互作用
性格特性とモチベーションは密接に関連しています。
この相互作用を理解することで、自己のモチベーションを自在にコントロールできるようになります。
具体的には、以下のような相互作用があります。
- 正直さ・謙虚さが高い人は、自己成長にモチベーションを感じやすい
- 外向性が高い人は、他人との競争からモチベーションを得ることが多い
- 誠実性が高い人は、計画的に学習することでモチベーションを保つ
これらの性格特性を理解し、活用することで、学習や仕事におけるモチベーションを高めることができます。
この文章のまとめとして、性格特性とモチベーションの相互作用を理解することは、自己管理能力を高める上で非常に重要です。
モチベーションを高める性格特性:正直さ・謙虚さ
正直さ・謙虚さとは具体的に何か?
正直さ・謙虚さは、人の性格特性の一つで、他人に対する誠実さや素直さを表します。
この性格は、以下のような特徴を持つ人に見られます。
- 自己中心的でない
- 他人の意見や権利を尊重する
- 物事に対して公平である
正直さ・謙虚さは、人間関係や社会生活において信頼や協力の基盤となります。
自分よりも他者や集団の利益を優先できる傾向があります。
この性格特性は、個人の行動だけでなく、周囲との関係にも好影響を与えるため、非常に価値のある資質です。
正直さ・謙虚さがマスタリーゴールに与える影響
正直さ・謙虚さは、学習におけるマスタリーゴール、つまり技能や知識の習得に積極的に取り組む動機を強化します。
この性格特性がマスタリーゴールに与える影響には、以下のような点があります。
- 学習内容に対する深い理解と興味を持つ
- 成績や比較よりも自己成長を重視する
- 失敗を学習の機会として受け入れる
正直さ・謙虚さを持つ学生は、競争よりも自己の能力向上に焦点を当てるため、学習において長期的な成功を達成しやすいです。
この性格特性が学習目標に与える影響を理解することで、より充実した教育が実現可能になります。
正直さ・謙虚さがパフォーマンス目標に与える影響
正直さ・謙虚さは、パフォーマンス目標、すなわち他人との比較に基づいて自己の能力を示そうとする動機に影響を与えます。
具体的には、以下のような影響があります。
- 他者との競争を避け、個人の成長に集中する
- 成果を外部の評価ではなく、自己評価で判断することを好む
- 他人を出し抜くことよりも、協調や支援を重視する
正直さ・謙虚さが高い人は、他者との競争を重視するパフォーマンス目標よりも、自己の内面からくる達成感を求める傾向があります。
このため、集団内での協力的な関係が促され、より健全な学習環境が形成されることが期待されます。
学習環境での正直さ・謙虚さの重要性
学習環境における正直さ・謙虚さの重要性は、その共感性や公平性が良好な人間関係を築く基盤となるからです。
正直さ・謙虚さが学習環境に与える具体的な利点は以下の通りです。
- 生徒間の信頼関係を深める
- 教師と生徒の間においても、開かれたコミュニケーションを促進する
- 全員が安心して学び、成長できる環境を提供する
教室内でこのような性格特性を育て、尊重することで、全員が協力し合いながら学ぶことが可能となります。
これにより、より効果的で生産的な学習が促進されるでしょう。
正直さ・謙虚さを育む方法
正直さ・謙虚さを育むためには、日常生活の中で意識的に行動を選び取ることが重要です。
以下に、この性格特性を育むための方法を挙げます。
- 自己反省を定期的に行い、自分の行動を客観的に評価する
- 他人の意見を尊重し、異なる視点を受け入れる機会を持つ
- 小さな成功を他人と共有し、自慢ではなく感謝の気持ちを表現する
これらの習慣を身につけることで、自然と正直さ・謙虚さが強化され、人間関係や学習の質が向上します。
この文章では、正直さ・謙虚さを育むための具体的な方法を説明しました。日々の小さな選択が、大きな人格的成長につながるのです。
情動性との関係
情動性が高い人の特徴
感情の起伏が激しいかどうかを示す性格特性です。
情動性が高い人は以下のような特徴を持ちます。
- 感情に影響されやすい
- 同情心が強い
- ストレスや圧力に敏感
この性格特性は、個人が日々の出来事にどれだけ感情的に反応するかを示します。
高い情動性を持つ人は、周囲の小さな変化にも強く反応するため、時には環境によって心の平衡を保つことが難しくなることもあります。
しかし、同時に、人と深く共感し、寄り添う能力も持っています。
情動性がマスタリーゴールに与えるプラスの影響
情動性が高いと、学習や目標達成において感情を動力として利用することができます。
この性格特性がマスタリーゴールに与えるプラスの影響は次の通りです。
- 学習に対する情熱が増す
- 成功への喜びや失敗からの学びが深まる
- 感情を通じて学習内容に深く没入する
情動性が高い学生は、感情を強く感じることで、学習に対する内発的なモチベーションを高めることがあります。
そのため、目標に対して持続的な関心を持ち続けることが可能です。
情動性がパフォーマンス目標に与える影響
情動性が高い人は、パフォーマンス目標に対しても感情が大きく作用することがあります。
具体的な影響は以下のように現れます。
- 競争や評価に対する感情的な反応が強い
- 他者からの承認を強く求めることがある
- 失敗に対して感情的になりやすい
これらの特性は、パフォーマンス目標を追求する際に、プレッシャーとして作用することがあります。
しかし、正しいサポートとガイダンスがあれば、これらの感情を動力として変換し、目標達成に向けて前進することができます。
情動性を理解することの利点
情動性を理解することは、自己管理と他者への対応方法を改善する上で非常に重要です。
この理解から得られる利点は多岐にわたります。
- 自己の感情を理解し、適切にコントロールする方法を学ぶ
- 他人の感情に対する理解が深まる
- 対人関係においてより共感的なアプローチを取れるようになる
情動性の高さを理解することで、それを強みとして活かす方法を見つけることができます。
自己の感情や他者の感情に敏感であることは、コミュニケーションの質を高め、人間関係を豊かにするために役立ちます。
情動性をコントロールして向上させる方法
情動性が高い人は、感情のコントロールを学ぶことで、モチベーションを効果的に向上させることができます。
感情を管理するための具体的な方法は以下の通りです。
- ストレス管理技術を学ぶ
- マインドフルネスや瞑想を実践する
- 感情日記をつけて、感情の原因と結果を追跡する
これらの技術を身につけることで、感情の起伏が激しい人でも、その感情を有効に活用し、モチベーションの維持や向上に役立てることが可能です。
感情を理解し管理することは、学習や仕事、日常生活においてもポジティブな効果をもたらします。
外向性がモチベーションに及ぼす効果
外向性が高い人の特徴
社交性の高さを示す性格特性です。
外向性が高い人は以下のような特徴を持っています。
- 人と交流することを好む
- 積極的に社会的活動に参加する
- 新しい人と出会うことに興奮を感じる
この性格特性を持つ人は、グループの中でリーダーシップを取ることが多く、社交的な場では活発に活動します。
また、他人とのつながりからエネルギーを得るため、一人でいることよりも多くの人と一緒にいる方が快適です。
外向性が高い人は、通常、友人が多く、社会的なサポートネットワークも広がりがあります。
外向性がマスタリーゴールに与えるプラスの影響
外向性が高い人は、マスタリーゴール達成においても社交的なスキルを活用します。
この性格特性が学習目標に与えるプラスの影響は次の通りです。
- グループ学習やディスカッションを通じて知識を深める
- チームプロジェクトでリーダーシップを発揮する
- ソーシャルネットワーキングを利用して学習資源を広げる
外向性が高い学生は、他人との対話を通じて新しいアイデアや知識を吸収するため、協調学習の環境で特に力を発揮します。
このような性格特性は、チームワークが求められる場面や社交的なスキルが重要となる職業で有利に働くことがあります。
外向性がパフォーマンス目標との関連性
外向性が高い人は、パフォーマンス目標に対しても積極的に取り組みます。
具体的な影響は以下の通りです。
- 社交的な場での成功を重視する
- 他者からの評価や承認を強く求める
- 競争を楽しみ、その中で目標を達成しようとする
外向性が高い人は、他人との競争を刺激と捉え、それが自己のパフォーマンス向上につながることがあります。
このように、社交的な評価がモチベーションの一部となり、より良い成果を目指して努力します。
外向性を活かした学習方法
これが高い人に適した学習方法は、対人関係を活用することが鍵です。
外向性を学習に活かす方法は以下の通りです。
- ディスカッションやグループ活動を積極的に行う
- 学習においてもネットワーキングイベントやセミナーに参加する
- 同じ目標を持つ学習仲間と協力する
これらのアプローチは、外向的な学生が学習過程で活発に参加し、積極的に知識を共有し、他者とのコラボレーションを楽しむことを可能にします。
社交的な活動を通じて、学びの効率と楽しさを両立させることができます。
外向性が低い学生のモチベーション向上策
外向性が低い、つまり内向的な学生のモチベーションを向上させるには、特定の支援が必要です。
内向性の学生に適したモチベーション向上策は次の通りです。
- 一人で集中できる静かな学習環境を提供する
- 小規模なグループやペア活動を積極的に導入する
- 個人のペースで進められるオンラインコースを利用する
これらの方法は、内向的な学生が他人との直接的な対話を避けつつも、自分のペースで学習を進めることを支援します。
内向性を持つ学生でも、自分に合った方法で学習に取り組むことができれば、モチベーションの向上が期待できます。
誠実性とモチベーションの強化
誠実性とは具体的に何か?
これは、信頼性や責任感、勤勉さを表す性格特性です。
誠実性が高い人は以下のような特徴を持っています。
- 約束を守る
- 仕事に対して一生懸命である
- 自己管理ができる
この性格特性は、個人がどれだけ自己規律を持ち、責任を全うするかを示します。
誠実性の高い人は、計画的に行動し、与えられたタスクを着実にこなします。
また、これらの特性は、学業や職場での信頼を築く上で極めて重要です。
誠実性がマスタリーゴールに与えるプラスの影響
誠実性は、学習や職業生活におけるマスタリーゴール達成の重要な鍵です。
マスタリーゴールに与える具体的な影響には、次のようなものがあります。
- 長期的な目標に向けてコミットする
- 障害を乗り越えても一貫して努力を続ける
- 自己管理のスキルを活かして、効率的に学習する
誠実性の高い学生や職員は、目標設定においても非常に真剣であり、一度決めたことに対して最後まで責任を持って取り組みます。
そのため、学習やプロジェクトにおいて高い成果を達成することが多く、周囲からの信頼も厚いです。
誠実性がパフォーマンスアプローチ目標に与えるプラスの影響
誠実性は、パフォーマンスアプローチ目標、つまり他者との比較による自己の能力の証明においても有利に働きます。
この性格特性がパフォーマンス目標に与える影響は次の通りです。
- 高い基準を設定し、それに到達するために努力する
- 成果を重視し、評価で上位に立つために継続して働く
- 達成した成果が評価されることでさらなるモチベーションの向上を図る
誠実性が高い人は、目標を設定し、それを達成するために必要な計画を立て、着実に実行に移します。
その過程で得られる成果はしばしば高評価につながり、自己のキャリアや学習においてさらなる前進をもたらします。
誠実性がパフォーマンス回避目標に与える影響
誠実性が高い人は、パフォーマンス回避目標、すなわち他者に対して劣っていることを隠すような行動を取ることが少ないです。
この性格特性による影響は以下のように表れます。
- 自己の能力に自信を持っており、失敗を恐れずに挑戦する
- 失敗を学習の機会と捉え、成長のためのフィードバックとして活用する
- 他者との比較を避け、自己の成長と達成に焦点を当てる
誠実性が高い人は、他人と自分を比較して落ち込むよりも、自己の弱点を認識し、それを改善することに努力を注ぎます。
その結果、長期的にはより安定した自己評価と持続可能な成果をもたらします。
誠実性を高めるための日常的な習慣
誠実性を高めるためには、日常生活の中で一貫した行動を心がけることが大切です。
これを育てるための日常的な習慣は次の通りです。
- 日々のタスクに対してリストを作成し、計画的に進める
- 約束は必ず守り、時間管理に注意を払う
- 自己反省を習慣にし、自身の行動や決断を定期的に評価する
これらの習慣を身につけることで、自然と誠実性が養われ、個人の信頼性や責任感が向上します。
誠実性の高い人は、個人的な成功はもちろん、周囲との関係においても良好な影響を与えることができます。
最後に
私たちの性格特性がモチベーションに与える影響は非常に大きいです。
正直さ・謙虚さや外向性、誠実性など、それぞれの性格が学習目標や日常の動機付けにどのように作用するかを理解することは、自己成長のために非常に重要です。
自分の性格を知り、それを活かすことで、学びや仕事、人間関係においても効果的に自己を向上させることができます。
また、性格特性に基づいた目標設定は、より充実した人生を送るための手助けとなるでしょう。この記事を通じて、自分自身の性格特性を見つめ直し、それを生かしたモチベーションの向上につなげてください。
自分だけの特性を理解し、活用することで、人生の多くの局面で自信と成果を手に入れることが可能です。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。