職場いじめとは、言葉そのままで会社でのいじめのことです。
職場での仲間外れや無視、暴言などの行為は、被害者の心身に大きなダメージを与えます。
特に、「ある性格」の人は、仲間外れの影響を受けやすく、強いストレスを感じやすいと言われています。
そのストレスから、非生産的な行動を取ってしまう危険性もあるのです。
実際に、パキスタンの公的機関で働く従業員を対象とした研究「Workplace Ostracism and Instigated Workplace Incivility: A Moderated Mediation Model of Narcissism and Negative Emotions」でも、そのような結果が示されました。
この記事では、職場いじめの実態と、「ある性格」との関係について詳しく解説します。
そして、職場いじめを防ぐための職場環境づくりについても提案していきます。
会社というと、大人が真剣に働く場所というイメージがあるかもしれません。
しかし、そこでも職場いじめは起こっているのです。
いじめ問題は年齢に関係なく、私たち全員が考えるべき課題なのだと認識することが大切ですね。
それでは、職場いじめの実態を見ていきましょう。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
職場いじめとは?職場での仲間外れが及ぼす影響
職場いじめ:職場での人間関係が働きやすさを左右する
職場の人間関係は、私たちの働きやすさに大きな影響を与えます。
快適で和やかな雰囲気の中で、自由に意見を交換できる環境は理想的ですね。
一方で、人間関係が悪化すると、仕事へのモチベーションが下がるでしょう。
また、ストレスが増大し、心身の健康にも悪影響を及ぼします。
職場の人間関係は、業務の効率性や生産性にも関わってきます。
円滑なコミュニケーションがあれば、スムーズに仕事が進むはずです。
反対に、人間関係が悪いと、連携が取れず、ミスも増えるかもしれません。
さらに、職場の雰囲気は、従業員の定着率にも影響します。
居心地の良い職場では、長く働き続けられるでしょう。
しかし、人間関係が原因で離職する人も少なくありません。
このように、職場の人間関係は、私たちの働く環境を大きく左右するのです。
職場いじめ:職場の悪い環境とは?
職場の悪い環境とは、人間関係が良好でない状態を指します。
具体的には、以下のような特徴があります。
- コミュニケーションが不足している
- 相手を尊重しない態度が見られる
- 協力や助け合いの精神が欠如している
- 陰口や悪口が多い
- 派閥やグループ間の対立がある
このような環境では、従業員は孤立感を感じやすくなります。
また、ストレスが蓄積し、心身の健康を損なう恐れもあるでしょう。
仕事への意欲も低下し、パフォーマンスが下がることが予想されます。
さらに、職場の雰囲気が悪化し、離職率が高くなる可能性もあります。
職場の悪い環境は、個人だけでなく、組織全体にとってもマイナスなのです。
従業員のウェルビーイングと組織の生産性を維持するためにも、健全な職場環境の構築が求められます。
職場いじめ:周囲から無視されていると感じる状況
周囲から無視されていると感じる状況とは、以下のようなケースが考えられます。
- 挨拶をしても返事がない
- 会話に加えてもらえない
- 意見を聞いてもらえない
- 一緒に昼食や休憩を取ってもらえない
- 重要な情報から外される
このような状況が続くと、自分が周囲から受け入れられていないと感じるでしょう。
また、孤立感や疎外感を抱くことになります。
無視されることで、自尊心が傷つき、ストレスが増大するかもしれません。
さらに、仕事へのモチベーションが低下し、パフォーマンスが下がる恐れもあります。
周囲から無視されていると感じる状況は、個人のウェルビーイングを脅かす深刻な問題です。
職場における無視やシカトは、立派ないじめの一種と言えるでしょう。
放置すれば、被害者の心身の健康を損なうだけでなく、組織全体の生産性にも悪影響を及ぼします。
周囲から無視されていると感じる状況は、早期の対応が求められる重大な問題なのです。
職場いじめ:排除されていると認識する状況
職場で排除されていると認識する状況には、以下のようなものがあります。
- 重要な会議や打ち合わせに呼ばれない
- 必要な情報を共有してもらえない
- プロジェクトや担当業務から外される
- 社内イベントや懇親会に誘われない
- 配置転換や異動で不利な扱いを受ける
このような状況が続くと、自分が職場から排除されていると感じるでしょう。
また、自分の存在価値を否定されたように思うかもしれません。
排除されていると認識することで、モチベーションが低下し、仕事への意欲が失われる恐れがあります。
さらに、ストレスが蓄積し、心身の健康を損なう可能性もあるでしょう。
職場で排除されていると認識する状況は、個人のウェルビーイングを脅かす深刻な問題です。
また、組織の一体感や連帯感を損なう要因にもなりかねません。
排除を放置すれば、被害者の心身の健康だけでなく、組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすでしょう。
職場で排除されていると認識する状況は、早期の対応が求められる重大な問題なのです。
職場いじめ:職場での排斥(オストラシズム)とは
職場での排斥(オストラシズム)とは、特定の個人を集団から故意に除外したり、無視したりすることを指します。
具体的には、以下のような行為が該当します。
- 挨拶や会話を無視する
- 重要な情報から外す
- 会議や打ち合わせに呼ばない
- 社内イベントや懇親会に誘わない
- 配置転換や異動で不利な扱いをする
オストラシズムは、いじめの一種であり、被害者に深刻な影響を与えます。
排斥された個人は、孤立感や疎外感を感じ、自尊心が傷つくでしょう。
また、ストレスが増大し、心身の健康を損なう恐れもあります。
オストラシズムは、被害者の仕事へのモチベーションを低下させ、パフォーマンスを下げる可能性があります。
さらに、職場の一体感や連帯感を損ない、組織全体の生産性にも悪影響を及ぼすかもしれません。
職場での排斥は、個人と組織の両方にとって有害な行為なのです。
オストラシズムを防止し、健全な職場環境を維持するためには、早期の対応が不可欠です。
職場いじめ:排斥によって生じるネガティブな感情反応
職場での排斥は、被害者にネガティブな感情反応を引き起こします。
具体的には、以下のような感情が生じる可能性があります。
- 怒り
- 悲しみ
- 不安
- 絶望感
- 無力感
排斥された個人は、自分が集団から拒絶されたと感じ、強い怒りを覚えるかもしれません。
また、孤独感や喪失感から、深い悲しみに暮れることもあるでしょう。
将来への不安や絶望感に苛まれ、無力感を抱くこともあり得ます。
これらのネガティブな感情は、被害者の心身の健康を脅かす危険性があります。
ストレスが蓄積し、うつ病などのメンタルヘルス不調を引き起こす恐れもあるのです。
さらに、ネガティブな感情は、仕事へのモチベーションを低下させ、パフォーマンスを下げる要因にもなり得ます。
職場での排斥がもたらすネガティブな感情反応は、個人と組織の両方に悪影響を及ぼす深刻な問題です。
排斥を防止し、ネガティブな感情を適切にケアすることが、健全な職場環境の維持に不可欠なのです。
職場いじめ:排斥が引き起こす否定的な行動
職場での排斥は、被害者に否定的な行動を引き起こす可能性があります。
例えば、以下のような行動が見られるかもしれません。
- 反社会的行動
- 規則違反
- 攻撃的な態度
- 生産性の低下
- 欠勤や遅刻の増加
排斥された個人は、怒りや不満を抑えきれず、反社会的な行動に出ることがあります。
また、規則違反や攻撃的な態度を取るようになるかもしれません。
モチベーションの低下から、仕事の質が下がり、生産性が低下する恐れもあるでしょう。
さらに、ストレスや不安から、欠勤や遅刻が増加する可能性もあります。
これらの否定的な行動は、職場の秩序を乱し、組織全体のパフォーマンスを下げる要因になり得ます。
また、被害者の心身の健康を脅かし、職場での人間関係をさらに悪化させるかもしれません。
職場での排斥がもたらす否定的な行動は、個人と組織の両方に深刻な影響を与える問題なのです。
排斥を防止し、否定的な行動を未然に防ぐことが、健全な職場環境の維持に欠かせません。
性格によって職場いじめの影響は異なる
職場のストレス要因と性格の関係
職場のストレス要因は、個人の性格によって異なる影響を及ぼします。
例えば、以下のような関係が考えられます。
- 神経質な人は、ストレスに敏感で影響を受けやすい
- 外向的な人は、ストレスに対する耐性が高い傾向がある
- 協調性の高い人は、対人関係のストレスを感じやすい
- 誠実性の高い人は、仕事の質へのストレスを感じやすい
- 開放性の高い人は、変化へのストレスを感じにくい
性格によって、ストレス要因の影響の受け方は異なるのです。
また、ストレスへの反応や対処方法も、個人差が大きいでしょう。
ある人は、ストレスを感じても平静を保てるかもしれません。
一方、別の人は、ストレスに圧倒され、心身の不調を来すかもしれません。
職場のストレス要因と性格の関係を理解することは、メンタルヘルス対策に役立ちます。
個人の性格に合わせたストレス管理や、ストレス耐性の向上が求められるでしょう。
また、性格の多様性を踏まえた職場環境の整備も重要です。
職場のストレス要因と性格の関係を考慮した対策が、健全な職場づくりに不可欠なのです。
ナルシシズムと職場の問題行動の関連
ナルシシズム(自己愛)は、職場の問題行動と関連があることが知られています。
具体的には、以下のような傾向が報告されています。
- ナルシシズムの高い人は、非倫理的な行動をとりやすい
- ナルシシズムの高い人は、対人関係のトラブルを起こしやすい
- ナルシシズムの高い人は、自己中心的な行動を取りがちである
- ナルシシズムの高い人は、他者の感情を無視しがちである
- ナルシシズムの高い人は、権威や地位にこだわる傾向がある
ナルシシズムは、自己愛的で誇大的な性格傾向を指します。
自己中心的で、他者の感情を顧みない態度が特徴的です。
このような性格は、職場での問題行動につながる危険性があるのです。
例えば、ナルシシズムの高い人は、自己の利益のために非倫理的な行動を取ることがあります。
また、他者を尊重せず、対人関係のトラブルを引き起こすかもしれません。
ナルシシズムと職場の問題行動の関連を理解することは、組織マネジメントに役立ちます。
ナルシシズムの高い従業員に対しては、適切な指導やコントロールが必要でしょう。
また、ナルシシズムを助長しない組織文化の構築も重要です。
ナルシシズムと職場の問題行動の関連を考慮した対策が、健全な職場づくりに欠かせません。
ナルシシズムの特徴
この性格には以下のような特徴があります。
- 自己中心的で、他者の感情を顧みない
- 自分を特別で優れた存在だと考える
- 賞賛や称賛を求める傾向が強い
- 批判や否定的なフィードバックに敏感である
- 共感性に乏しく、他者を操作しがちである
ナルシシズムの高い人は、自分の利益や欲求を最優先します。
他者の感情や立場を考慮せず、自己中心的な行動を取ることが多いのです。
また、自分を特別で優れた存在だと考え、過度に自信を持っています。
賞賛や称賛を求める一方で、批判や否定的なフィードバックには敏感に反応します。
他者の気持ちを理解することが苦手で、共感性に乏しい傾向もあります。
時には、他者を操作し、自分の思い通りに動かそうとすることもあるでしょう。
このようなナルシシズムの特徴は、対人関係やコミュニケーションに影響を及ぼします。
自己中心的な態度は、周囲との摩擦や対立を生むかもしれません。
また、他者の感情を無視した発言や行動は、信頼関係を損ねる恐れもあります。
ナルシシズムの特徴を理解することは、職場の人間関係を円滑に保つために重要です。
ナルシシズムの高い人との接し方を工夫し、適切な距離感を保つことが求められるでしょう。
また、ナルシシズムの弊害を最小限に抑える組織風土の醸成も欠かせません。
ナルシシズムが高い人は職場いじめの影響を受けやすい
ナルシシズムの高い人は、職場での職場いじめの影響を受けやすいことが分かっています。
その理由は、以下のようなナルシシズムの特性にあると考えられます。
- 自己愛が傷つきやすい
- 承認欲求が強い
- 拒絶に敏感である
- 自尊心が不安定である
- 対人関係が希薄である
ナルシシズムの高い人は、自己愛が強く、承認欲求が高いため、周囲からの評価を気にします。
職場いじめを受けると、自尊心が傷つき、強い怒りや不安を感じるでしょう。
また、拒絶に敏感なため、小さな排斥でも深刻に受け止めてしまうかもしれません。
不安定な自尊心は、職場いじめによってさらに揺らぎ、情緒的な混乱を招く恐れもあります。
加えて、ナルシシズムの高い人は、対人関係が希薄になりがちです。
周囲との信頼関係が築けていないため、職場いじめの影響を緩和してくれる支援者が少ないのです。
このように、ナルシシズムの特性が、職場いじめの影響を受けやすくしているのです。
ナルシシズムが高い人は公正ではない行動をとりやすい
ナルシシズムの高い人は、職場で公正ではない行動を取りやすいことが知られています。
その理由は、以下のようなナルシシズムの特性にあると考えられます。
- 自己中心的である
- 他者の感情を無視しがちである
- ルールや規範を軽視する傾向がある
- 権力や地位にこだわる
- 自分の利益を最優先する
ナルシシズムの高い人は、自己中心的で、他者の感情を顧みない傾向があります。
自分の利益や欲求を最優先し、時にはルールや規範を無視することもあるでしょう。
また、権力や地位にこだわり、自分の立場を利用して不公正な行動に出ることもあり得ます。
例えば、自分に有利になるように部下を評価したり、不正な手段で利益を得ようとしたりするかもしれません。
このような公正ではない行動は、職場の秩序を乱し、他の従業員の士気を低下させます。
また、組織の信頼を損ない、企業イメージを悪化させる恐れもあるでしょう。
ナルシシズムの高い人による不公正な行動は、職場全体に悪影響を及ぼす深刻な問題なのです。
ナルシシズムの特性を理解し、適切なコントロールや指導を行うことが求められます。
また、公正な職場環境を維持するための組織風土づくりも欠かせません。
ストレスと職場の非生産的な行動の関係
非生産的職務行動(CWB)とは
非生産的職務行動(Counterproductive Work Behavior; CWB)とは、組織や職場に悪影響を及ぼす行動のことを指します。
具体的には、以下のような行動が含まれます。
- 遅刻や欠勤
- サボタージュ
- 物品の破損や盗難
- 情報の隠蔽や改ざん
- 同僚や上司への暴言や暴力
CWBは、職場の生産性を低下させ、組織に損害を与える行動です。
業務の遂行を妨げるだけでなく、職場の人間関係を悪化させる要因にもなります。
また、企業イメージを損ない、社会的信用を失う恐れもあるでしょう。
CWBの背景には、様々な要因が考えられます。
例えば、ストレスや不満、不公平感、低いモチベーションなどが挙げられます。
また、個人の性格特性や価値観、態度なども関連しているかもしれません。
CWBを防止するためには、その原因を特定し、適切な対策を講じる必要があります。
ストレス管理や職場環境の改善、公正な評価制度の導入などが求められるでしょう。
また、従業員の意識改革や教育研修も重要です。
CWBは組織にとって深刻な脅威ですが、適切な対応によって防ぐことができるのです。
ストレスから非生産的職務行動につながる仮説
ストレスが非生産的職務行動(CWB)を引き起こすという仮説があります。
この仮説は、以下のようなプロセスを想定しています。
- 職場でストレス要因にさらされる
- ストレスを知覚し、ネガティブな感情が生じる
- ストレスへの対処として、CWBを行う
まず、職場には様々なストレス要因が存在します。
例えば、過重な業務量、役割の曖昧さ、対人関係の問題などが挙げられます。
これらのストレス要因にさらされると、従業員はストレスを感じ、怒りや不安、欲求不満などのネガティブな感情を経験します。
そして、ストレスに対処するための手段として、CWBに訴える可能性があるのです。
CWBは、ストレスを発散させたり、不満を表明したりする役割を果たすと考えられています。
例えば、サボタージュや物品の破損は、怒りや欲求不満の表れかもしれません。
また、情報の隠蔽や改ざんは、ストレスから逃れるための行動と解釈できるでしょう。
ただし、CWBはストレスへの適切な対処法とは言えません。
むしろ、状況をさらに悪化させ、新たなストレス要因を生み出す恐れがあります。
ストレスから非生産的職務行動につながる仮説は、CWB防止の手がかりを与えてくれます。
ストレス要因を取り除き、従業員のストレス耐性を高める取り組みが求められるでしょう。
ナルシシズムの役割に関する仮説
ナルシシズムが高い人は、ストレスから非生産的職務行動(CWB)につながりやすいという仮説があります。
この仮説は、以下のようなナルシシズムの特性に基づいています。
- ストレスに敏感である
- ネガティブな感情を抱きやすい
- 衝動的で自制心が低い
- 他者への共感性に乏しい
- 自己中心的で利己的である
ナルシシズムの高い人は、ストレスに敏感で、怒りや不安などのネガティブな感情を感じやすいと考えられています。
また、衝動的で自制心が低いため、感情をコントロールすることが苦手かもしれません。
他者への共感性に乏しく、自己中心的で利己的な傾向もあるでしょう。
これらのナルシシズムの特性は、ストレスへの脆弱性を高め、CWBにつながる危険性を増大させます。
ストレスに圧倒され、感情的になったナルシシズムの高い人は、衝動的にCWBを行うかもしれません。
例えば、怒りから同僚や上司に暴言を吐いたり、欲求不満からサボタージュに及んだりする可能性があります。
また、自己中心的で利己的な性格は、他者への配慮を欠いた非倫理的な行動を助長するでしょう。
ナルシシズムの役割に関する仮説は、CWB防止の新たな視点を提供します。
ナルシシズムの高い従業員に対しては、特別なストレス管理や感情コントロールの支援が必要かもしれません。
また、ナルシシズムの特性を考慮した組織マネジメントや職場環境の整備も求められるでしょう。
職場いじめとナルシシズムに関する研究結果
研究の概要と方法
職場の仲間外れなどの「職場いじめ」とナルシシズムに関する研究が行われました。
この研究の概要と方法は以下の通りです。
- パキスタンの公的機関で働く従業員300人を対象に調査を実施
- 4週間の間隔を空けて2回のデータ収集を行う
- 最初の調査では職場いじめとナルシシズムを測定
- 2回目の調査ではネガティブな感情と非生産的職務行動を測定
- 職場いじめは10項目、ネガティブな感情は10項目、ナルシシズムは4項目、非生産的職務行動は12項目で評価
この研究は、職場いじめとナルシシズムが非生産的職務行動に与える影響を明らかにすることを目的としています。
職場いじめがネガティブな感情を介して非生産的職務行動につながるプロセスを検証し、そこでのナルシシズムの役割を探ります。
データ収集は2回に分けて行われ、因果関係を明確にする工夫がなされています。
また、複数の公的機関から参加者を募ることで、結果の一般化可能性を高めています。
職場いじめ、ネガティブな感情、ナルシシズム、非生産的職務行動は、それぞれ複数の項目で測定され、信頼性と妥当性が確保されています。
この研究は、職場いじめ問題に新たな知見をもたらし、効果的な対策立案に役立つことが期待されます。
職場いじめとネガティブな感情の関連
職場いじめは、ネガティブな感情と関連があることが明らかになりました。
研究の結果、以下のような知見が得られています。
- 職場いじめを経験すると、ネガティブな感情が増加する
- 職場いじめの程度が強いほど、ネガティブな感情も強くなる
- 職場いじめによって引き起こされるネガティブな感情には、怒りや不安、悲しみなどがある
- ネガティブな感情は、職場いじめの影響を受けやすい人ほど強く現れる
仲間外れなど職場いじめを受けると、そのつらい経験から様々なネガティブな感情が生じます。
無視されたり排除されたりすることで、怒りや不安、悲しみを感じるのです。
そして、職場いじめの程度が強いほど、つまり無視や排除の度合いが大きいほど、ネガティブな感情も強くなる傾向があります。
職場いじめがもたらす感情的な苦痛は、被害者の心身の健康を脅かす可能性があります。
また、ネガティブな感情は、仕事へのモチベーションを低下させ、パフォーマンスを下げる要因にもなるでしょう。
職場いじめを防ぎ、ネガティブな感情を軽減するための取り組みが求められます。
被害者の心のケアや、職場環境の改善などが重要な課題となるでしょう。
ネガティブな感情と職場の非礼な態度の関連
ネガティブな感情は、職場の非礼な態度と関連があることが示されました。
研究の結果、以下のような知見が得られています。
- ネガティブな感情を抱くと、職場で非礼な態度を取る傾向が高まる
- 怒りや不安、悲しみなどの感情が強いほど、非礼な態度も顕著になる
- ネガティブな感情から非礼な態度につながるプロセスには、個人差がある
- 感情コントロールが苦手な人ほど、非礼な態度を取りやすい
ネガティブな感情を抱えた状態では、職場で非礼な態度を取ってしまう危険性が高まります。
怒りや不安、悲しみに圧倒された人は、それを適切に処理できず、攻撃的な言動に出るかもしれません。
同僚や上司に対して、侮辱的なことを言ったり、威圧的な態度を取ったりするのです。
そして、ネガティブな感情が強いほど、非礼な態度も顕著に現れる傾向があります。
ただし、ネガティブな感情から非礼な態度につながるプロセスには、個人差が存在します。
感情コントロールが得意な人は、ネガティブな感情を上手に処理し、非礼な態度を抑えられるでしょう。
一方、感情コントロールが苦手な人は、ネガティブな感情に振り回され、非礼な態度を取りやすいと考えられます。
ネガティブな感情と職場の非礼な態度の関連は、感情管理の重要性を示唆しています。
ネガティブな感情を適切にコントロールする力を身につけることが、非礼な態度の防止につながるでしょう。
仲間外れなどの職場いじめとナルシシズムの交互作用
職場いじめとナルシシズムには、交互作用があることが明らかになりました。
研究の結果、以下のような知見が得られています。
- ナルシシズムの高い人は、職場いじめの影響を受けやすい
- ナルシシズムが高いほど、職場いじめによるネガティブな感情が強くなる
- 職場いじめとナルシシズムの交互作用は、ネガティブな感情を介して非生産的職務行動につながる
- ナルシシズムの低い人は、職場いじめの影響を受けにくい
ナルシシズムの高い人は、自己愛が強く、承認欲求が高いため、周囲からの評価を気にする傾向があります。
そのため、職場で仲間外れにされると、自尊心が傷つき、強いネガティブな感情を抱くのです。
ナルシシズムが高いほど、職場いじめによるダメージが大きく、怒りや不安、悲しみなどの感情が増幅されます。
そして、職場いじめとナルシシズムの交互作用によって生じたネガティブな感情は、非生産的職務行動につながる危険性があります。
ストレスに圧倒され、感情的になったナルシシズムの高い人は、衝動的に非生産的な行動を取るかもしれません。
一方、ナルシシズムの低い人は、職場いじめの影響を受けにくいと考えられます。
自己愛や承認欲求が低いため、周囲からの評価にこだわらず、職場いじめによるダメージも限定的なのでしょう。
ナルシシズムが高い人に見られる連鎖反応
ナルシシズムが高い人には、職場いじめから非生産的職務行動につながる連鎖反応が見られることが明らかになりました。
研究の結果、以下のようなプロセスが示されています。
- 職場いじめを経験する
- 自尊心が傷つき、強いネガティブな感情(怒り、不安、悲しみなど)が生じる
- ネガティブな感情に圧倒され、感情コントロールが効かなくなる
- 衝動的に非生産的職務行動(暴言、威圧的態度、サボタージュなど)を行う
ナルシシズムの高い人は、自己愛が強く、周囲からの評価を気にする傾向があります。
そのため、職場いじめを経験すると、自尊心が大きく傷つき、強いネガティブな感情が生じるのです。
怒りや不安、悲しみに圧倒され、感情コントロールが効かなくなった状態では、衝動的に非生産的な行動を取ってしまう危険性があります。
例えば、同僚や上司に暴言を吐いたり、威圧的な態度を取ったり、サボタージュを行ったりするかもしれません。
このような連鎖反応は、職場の秩序を乱し、生産性を低下させる要因となります。
職場いじめを防ぐための職場環境づくり
ストレスが生じないような配慮
職場いじめを防ぐためには、ストレスが生じないような職場環境づくりが重要です。
具体的には、以下のような配慮が求められます。
- 適切な業務量の設定
- 明確な役割分担と権限の付与
- 公正な評価制度の導入
- 柔軟な勤務形態の採用
- 快適な職場空間の整備
過重な業務量は、従業員のストレスを増大させ、いじめのリスクを高めます。
業務量を適切に管理し、従業員の能力や状況に合わせた配分を行うことが大切です。
また、役割分担や権限を明確にすることで、従業員の不安やストレスを軽減できるでしょう。
自分の役割や責任の範囲を理解することで、無用な混乱や軋轢を防げます。
公正な評価制度の導入も、ストレス軽減に役立ちます。
努力や成果が正当に評価されることで、従業員のモチベーションが高まり、ストレスが軽減されるのです。
さらに、柔軟な勤務形態の採用や快適な職場空間の整備なども、ストレス対策として有効でしょう。
ワーク・ライフ・バランスを支援し、心地よい環境を提供することで、従業員の心身の健康を守れます。
このように、ストレスが生じないような職場環境を整えることが、職場いじめの防止につながります。
従業員のストレスに目を配り、きめ細やかな配慮を行うことが、管理職に求められる重要な役割です。
ストレスが生じないような環境づくりを通じて、従業員のウェルビーイングを高め、いじめのない健全な職場を実現しましょう。
感情をうまく管理する方法の提供
職場いじめを防ぐためには、従業員が感情をうまく管理する方法を身につけることが重要です。
組織としては、以下のような支援を提供することが求められます。
- ストレスマネジメント研修の実施
- 感情コントロールのスキル訓練
- メンタルヘルス相談窓口の設置
- 社内カウンセリングサービスの提供
- 上司によるメンタルサポート
ストレスマネジメント研修や感情コントロールのスキル訓練を通じて、従業員は感情の扱い方を学ぶことができます。
怒りや不安、悲しみといったネガティブな感情に適切に対処する力を身につけることで、衝動的な行動を防げるでしょう。
また、メンタルヘルス相談窓口や社内カウンセリングサービスを設置することも大切です。
専門家による支援を受けることで、従業員は感情の問題にうまく対処できるようになります。
加えて、上司によるメンタルサポートも重要な役割を果たします。
部下の感情状態に気を配り、適切なアドバイスやサポートを提供することで、感情のコントロールを助けることができるのです。
感情をうまく管理する方法を従業員に提供することは、職場いじめの防止に直結します。
感情コントロールの力を身につけた従業員は、仲間外れなどのストレス状況に直面しても、適切に対処できるでしょう。
不正行為を抑制する環境整備
職場いじめを防ぐためには、不正行為を抑制する環境整備が欠かせません。
組織として、以下のような取り組みを進めることが重要です。
- 倫理規定の整備と周知徹底
- コンプライアンス研修の実施
- 内部通報制度の整備と運用
- 適切な懲戒処分の実施
- 公正な組織風土の醸成
倫理規定を整備し、従業員に周知徹底することで、不正行為に対する意識を高めることができます。
何が許容される行為で、何が許容されない行為なのかを明確にし、全従業員が理解するようにします。
また、コンプライアンス研修を通じて、不正行為の危険性や防止策について学ぶ機会を提供することも大切です。
内部通報制度の整備と運用も、不正行為の抑制に役立ちます。
不正を発見した従業員が安心して通報できる仕組みを作ることで、早期の問題発見と対処が可能になるのです。
不正行為が発生した場合には、適切な懲戒処分を実施することが求められます。
厳正な対応を取ることで、不正を容認しない組織の姿勢を明確に示すことができるでしょう。
さらに、日頃から公正な組織風土を醸成することも重要です。
不正を許さない企業文化を根付かせることで、従業員の意識を高め、不正行為を未然に防ぐことにつながります。
このように、不正行為を抑制する環境を整備することは、職場いじめの防止に直結します。
最後に職場いじめのまとめ
以上、職場いじめの実態と、ナルシシズムとの関係、そして職場環境づくりについて解説してきました。
いじめは学校だけでなく、会社でも起こる深刻な問題です。
特に、ナルシシズムの高い人は、仲間外れなどの職場いじめの影響を受けやすく、強いストレスを感じやすいことが分かりました。
そのストレスから、非生産的な行動を取ってしまう危険性もあります。
経営者は、職場いじめを防ぐために、ストレスが生じにくい環境を整え、従業員が感情をうまく管理する方法を提供し、不正行為を抑制する取り組みを進めることが求められます。
一人ひとりが、いじめの問題に関心を持ち、自分にできることを考えることも大切ですね。
例えば、同僚を思いやる心を持つこと、相手の気持ちを想像することなどです。
いじめは、被害者だけでなく、加害者や傍観者も含めた全員の問題です。
みんなが協力し合って、いじめのない健全な職場環境を作っていくことが重要なのです。
最後に、組織のCXOや管理職、後継者などのハイクラス人材の採用におけるハラスメント傾向のある人を検知するためのサービス「ハラスメント検査」の事前登録も開始しました!興味のある方はこちらよりご登録ください。
ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。