自己制御が弱いかもしれない、と感じたことはありませんか。
テスト前なのに動画を見てしまう。ダイエット中でも甘い物に手が伸びる。
そんな「あるある」は、誰にでも起こります。
従来は、自己制御は生まれつきの性格で決まると考えられてきました。
意志が弱い人はずっと弱い、という見方です。
しかし、近年の研究はその考えを大きくくつがえしています。
自己制御はトレーニングで変わる可能性があると示されているのです。
たとえば、Smithらによる「Cognitive and Behavioral Training Interventions to Promote Self-Control」(米国のUniversity at Buffaloなど、Behavioural Processes、2019年)は、待つ練習や反応を止める訓練などで行動が変わる可能性をまとめています。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
※HEXACO-JP性格診断を開発しました!MBTIより科学的根拠があります。詳細は以下タップしてください。

自己制御とは何かをサクッと理解する
自己制御が必要になる日常の場面
自己制御は日常の小さな選択で試されます。
たとえば夜にお菓子を食べるか迷う場面です。
すぐ食べるか、明日にするかの選択です。
ここで働く力が自己制御です。
自己制御とは欲求を調整する力です。
具体的には次のような場面です。
- 勉強前に動画を見るか迷う
- もらったお金をすぐ使うか迷う
- 返信をすぐ送るか待つか迷う
もしあなたが試験前の夜ならどうしますか。
甘い物をすぐ食べますか。
それとも明日に回しますか。
この迷いが研究のテーマです。
まずは身近な場面で働く力だと知ることが大切です。
日常の選択の積み重ねが将来に影響する可能性があると考えられています。
まとめとして、自己制御は特別な能力ではなく、毎日の小さな選択で使われる身近な力だといえます。
衝動的な「選び方」と衝動的な「行動」
衝動には2つのタイプがあります。
1つ目は衝動的な選び方です。
これは小さく早い得を選ぶ傾向です。
2つ目は衝動的な行動です。
これは止めたいのに動いてしまう状態です。
研究ではこの2つを区別します。
選び方の問題と、行動の問題です。
もしあなたが500円を今もらえるとします。
しかし1週間待てば1000円です。
どちらを選びますか。
これが選び方の衝動です。
一方で、スマホを触らないと決めたのに触る。
これは行動の衝動です。
この違いを知ることが重要です。
なぜなら、対策が少し違うからです。
まとめると、衝動には選択と行動の2種類があり、分けて考えることが理解の第一歩です。
目先の小さな得と後の大きな得
人は待つと価値を小さく感じやすいです。
研究では、時間が延びるほど価値が下がると示されています。
これを遅れによる価値の低下といいます。
つまり待つほど得が小さく感じます。
もしあなたが今すぐ1枚のお菓子をもらえるとします。
しかし30分待てば2枚です。
どちらが得でしょうか。
頭では2枚と分かります。
それでも待つのは簡単ではありません。
研究では17.5秒の待ち練習でも変化が見られました。
短い時間でも影響する可能性があります。
重要なのは、時間が気持ちに影響することです。
その仕組みを知るだけでも行動は変わり得ます。
まとめると、時間が延びると得が小さく感じる性質があり、それが自己制御を難しくしていると考えられます。
待つことがつらく感じる仕組み
待つこと自体がストレスになる場合があります。
待つ時間は何も起きません。
その空白が不安を生みます。
そのため早い選択を選びやすくなります。
研究では待つ経験を増やす訓練が行われました。
たとえば一定時間反応を我慢します。
これを時間間隔訓練と呼びます。
もしあなたが30秒間ボタンを押さずに待てば得点がもらえるとします。
途中で押せば0点です。
続けるとどうなるでしょうか。
待つことに慣れる可能性があります。
実際に30秒や60秒の訓練で変化が報告されています。
効果が9か月続いた例もあります。
まとめると、待つことに慣れる練習は自己制御を支える可能性があり、長期的な影響も示されています。
自己制御はトレーニングで変わりうる
自己制御は固定された力ではありません。
研究では複数の訓練が紹介されています。
効果の大きさは方法によって異なります。
代表的な方法は次の通りです。
- 少し難しい課題に取り組む
- 待つ練習をする
- 反応を止める訓練をする
- 得をまとめて考える
たとえば難しい課題を続ける訓練です。
努力に慣れることで選択が変わる例があります。
また、4か月後も効果が残った研究もあります。
すべてが永久とは言えません。
しかし変化の可能性は示されています。
大切なのは、1つの力ではないという点です。
自己制御はいくつかの要素の合計です。
まとめると、自己制御は練習によって高まる可能性があり、複数の方法が研究で示されています。
自己制御を伸ばす行動トレーニング
ちょい難しい課題に慣れる「努力の練習」
努力そのものに慣れることが重要です。
研究では、あえて難しい課題を経験させました。
その後の選択が変わりました。
高い努力を選びやすくなりました。
努力とは少し大変な作業です。
すぐ終わらない課題です。
具体的な例は次の通りです。
- 難しい迷路を解く
- 手間のかかる課題を続ける
- すぐ報酬が出ない作業をする
もしあなたが2つの道を選ぶとします。
1つは楽ですが報酬は小さいです。
もう1つは大変ですが報酬は大きいです。
どちらを選びますか。
難しい道に慣れていると選択が変わる可能性があります。
研究では動物や子どもで変化が見られました。
つまり、努力を避ける心を弱めることが鍵です。
努力に価値を感じるようになる可能性があります。
まとめると、少し難しい課題に慣れる経験が、後の選択を前向きに変える可能性が示されています。
ごほうびの差に気づけるようにする練習
報酬の違いに敏感になることが大切です。
報酬とは得られるごほうびのことです。
量の差をはっきり感じる力が必要です。
研究では、報酬の違いを学ぶ訓練が行われました。
大きな報酬をより選びやすくなりました。
もしあなたが10点と20点のどちらかを選べるとします。
しかしすぐにもらえるのは10点です。
20点は少し待ちます。
どちらを選びますか。
差を強く意識すると選択が変わるかもしれません。
重要なのは、違いをはっきり理解することです。
- 小さな差でも意識する
- 合計でどれだけ違うか考える
- 1回ではなく複数回で比べる
こうした工夫が研究で紹介されています。
まとめると、報酬の差をしっかり感じ取る力が、自己制御を支える一因と考えられています。
得を「まとめて考える」報酬の束ね方
1回ではなく全体で考えることが重要です。
研究では選択をまとめて提示しました。
これを報酬の束ねといいます。
たとえば1回の選択では差は小さいです。
しかし5回分まとめると差は大きくなります。
もしあなたが毎日100円を使うか迷うとします。
1日では小さな額です。
しかし30日では3000円です。
どう感じますか。
研究ではこのまとめ方で選択が変わりました。
動物実験でも効果が報告されています。
つまり、将来を合計で見ることが鍵です。
- 今日だけでなく1週間で考える
- 1回でなく10回分で計算する
- 積み重ねを意識する
まとめると、得をまとめて考える視点が、目先の誘惑を弱める可能性が示されています。
わざと少し待つ「待つ練習」
短時間でも待つ練習は意味があります。
研究では17.5秒の待ち訓練が行われました。
短い時間でも変化が見られました。
もしあなたがボタンを押せばすぐ得点がもらえるとします。
しかし押さずに17.5秒待てば2倍です。
続けるとどうなるでしょうか。
待つことに慣れる可能性があります。
重要なのは待つ経験を繰り返すことです。
- 30秒待つ
- 1分待つ
- 少しずつ延ばす
研究では4か月後も効果が残った例があります。
すべてに当てはまるとは限りません。
しかし可能性は示されています。
まとめると、短い待ち時間の練習でも、自己制御に影響する可能性が研究で示されています。
一定時間ガマンしてから行動する練習
反応を抑える時間を作ることが鍵です。
研究では30秒や60秒の間隔訓練が行われました。
一定時間待ってから行動します。
もしあなたが30秒以内に動くと失点です。
しかし30秒後なら得点です。
どう感じますか。
この仕組みによって行動が変わりました。
さらに、9か月後も効果が続いた例があります。
長期的な影響の可能性があります。
ただし、時間感覚だけが理由ではありません。
待つこと自体への慣れも関係します。
- すぐ動かない習慣
- 合図まで待つ練習
- 焦りを感じても止まる
まとめると、一定時間ガマンする練習は、長く続く変化を生む可能性が研究で示されています。
自己制御を支える認知トレーニング
反応を止める練習(ストップの訓練)
衝動的な動きを止める力は鍛えられる可能性があります。
研究では、合図が出たら止まる課題が使われました。
特定の印が出たら反応しません。
これを反応抑制の訓練といいます。
反応抑制とは動きを止める力です。
もしあなたが画面の印にすばやく反応するとします。
しかし赤い印が出たら止まります。
間違えると得点が減ります。
続けると何が起こるでしょうか。
研究では特定の誘惑への反応が減りました。
食べ物やお酒に関する場面です。
重要なのは、特定の刺激に効く点です。
- 合図で止まる練習
- すばやい判断を繰り返す
- 間違いから学ぶ
まとめると、止まる練習は特定の誘惑に対して自己制御を高める可能性があると報告されています。
食べ物など特定の誘惑に効くことがある
効果は対象によって異なる可能性があります。
研究では食べ物を対象にした訓練が行われました。
特定の食べ物画像に反応しない練習です。
その後の選択が変わる例がありました。
もしあなたが好きな甘い物の写真を見るとします。
しかしその写真には反応しません。
これを何十回も繰り返します。
行動は変わるでしょうか。
一部の研究で摂取量が減りました。
ただし、すべての場面に広がるとは限りません。
つまり、刺激に特化した効果が示唆されています。
- 食べ物に対する練習
- 飲み物に対する練習
- 別の場面では効果が弱い場合も
まとめると、特定の誘惑に合わせた訓練は効果を示すことがありますが、広い場面に自動的に広がるとは限りません。
反射的に動くクセを弱める考え方
自動的な反応をゆるめる視点が大切です。
人は考える前に動くことがあります。
これを自動反応といいます。
意識せずに動くクセです。
研究ではこの自動反応を弱める訓練が紹介されています。
止まる合図や待つ時間を入れます。
もしあなたが通知音を聞くとすぐスマホを見るとします。
しかし10秒数えてから見ると決めます。
繰り返すとどうなるでしょうか。
自動性が弱まる可能性があります。
- すぐ動かない
- 合図を決める
- 少し考える時間を入れる
研究では、こうした工夫が選択に影響しました。
ただし個人差はあります。
まとめると、反射的な行動に一時停止を入れることが、自己制御を支える1つの方法として示されています。
マインドフルネスが効く場合・効きにくい場合
効果は一貫しないことが報告されています。
マインドフルネスとは今の感覚に注意を向ける方法です。
呼吸や感覚に意識を向けます。
研究では一部で衝動が減りました。
特に食べ物に関する場面です。
もしあなたがゆっくり味を感じながら食べるとします。
急いで食べるのとは違います。
満足感が変わるかもしれません。
しかし、すべての場面で効果が出たわけではありません。
お金の選択などには広がらない例もあります。
つまり、対象によって違いがあると考えられます。
- 食行動で変化
- 他の場面では限定的
- 個人差がある
まとめると、マインドフルネスは特定の状況で効果を示すことがありますが、万能とは言えないと報告されています。
マインドフルネスは「広く万能」ではない
広い場面への一般化は限定的です。
研究では刺激特異性が指摘されました。
特定の対象にだけ効く傾向です。
たとえば食べ物で練習した場合です。
食の場面では変化が見られます。
しかし金銭選択では変わらない例があります。
もしあなたが食事中に意識を向ける練習をします。
その後、貯金の判断も変わるでしょうか。
必ずしもそうではありません。
したがって、期待しすぎない姿勢が必要です。
- 効果は場面ごと
- 他領域へ自動的には広がらない
- 方法を組み合わせる視点が重要
まとめると、マインドフルネスは特定の対象で役立つ可能性がありますが、広い自己制御全体を一度に変えるとは限らないと考えられています。
自己制御トレーニングのコツと注意点
効果が長く続くトレーニングがある
一部の訓練では長期的な変化が報告されています。
研究では待つ訓練の効果が続きました。
17.5秒の待ち経験を重ねました。
その後の選択が変わりました。
さらに4か月後も影響が見られました。
また、30秒や60秒の間隔訓練です。
9か月後にも効果が残った例があります。
もしあなたが毎日短い待ち練習をするとします。
数週間続けた後です。
半年後の選択はどうなるでしょうか。
すべての人に同じとは言えません。
しかし長期の可能性が示されています。
- 17.5秒の待ち訓練
- 30秒や60秒の間隔訓練
- 4か月や9か月後の変化
まとめると、特定の時間訓練では数か月単位の持続効果が報告されており、短期だけで終わらない可能性が示されています。
「時間感覚が良くなる」だけが理由ではない
変化の理由は1つではありません。
はじめは時間感覚の改善と考えられました。
時間感覚とは何秒かを正確に感じる力です。
しかし研究では別の結果も出ました。
時間の正確さが変わらなくてもです。
選択は改善する例がありました。
もしあなたが30秒を正確に測れなくてもです。
それでも待てるようになる場合があります。
なぜでしょうか。
待つことへの嫌悪が減る可能性があります。
つまり感情面の変化も関係します。
- 時間感覚の改善
- 待つことへの慣れ
- 不安の低下
まとめると、自己制御の向上は時間感覚だけで説明できず、待つ経験そのものが影響している可能性が示されています。
人によって合うトレーニングが違う
自己制御は1つの力ではありません。
研究では複数の仕組みが関係すると示されています。
努力に関する側面です。
待つ力の側面です。
反応を止める側面です。
もしあなたが努力は得意でもです。
待つのが苦手ならどうでしょうか。
合う訓練は違うはずです。
つまり弱い部分に合わせることが大切です。
- 努力を避けやすい人
- 待つことが苦手な人
- すぐ動いてしまう人
それぞれに違う方法が考えられます。
一律の方法ではありません。
まとめると、自己制御は複数の要素から成り立ち、人によって効果的な訓練が異なる可能性があると示されています。
複数の方法を組み合わせる発想
単独より組み合わせが有効な可能性があります。
研究では各訓練は特定の側面に効きました。
努力訓練は努力の選択に影響しました。
待ち訓練は遅延選択に影響しました。
反応訓練は特定刺激に効きました。
もしあなたが待つのも苦手でです。
さらに努力も避けがちならどうでしょうか。
2つの訓練を試す方法も考えられます。
ただし研究はまだ十分ではありません。
組み合わせ効果は今後の課題です。
- 努力訓練
- 待ち訓練
- 反応停止訓練
まとめると、異なる訓練を組み合わせることで広い自己制御に影響する可能性が示唆されていますが、さらなる研究が必要です。
研究で分かっていることと未確定なこと
効果は示されていますが限界もあります。
多くの研究は動物実験です。
一部は人を対象にしています。
すべての場面に当てはまるとは言えません。
また、効果の大きさには個人差があります。
持続期間も方法で異なります。
もしあなたが試すならです。
過度な期待は避けた方がよいでしょう。
しかし可能性は示されています。
- 4か月や9か月の持続例
- 刺激特異的な効果
- 一貫しない結果も存在
まとめると、自己制御は訓練で変わる可能性が示されていますが、万能ではなく、条件や個人差を考慮する必要があると研究は示しています。
最後に
ここまで見てきたように、自己制御は「気合い」だけの問題ではありません。
研究では、待つ練習や努力に慣れる経験、反応を止める訓練などによって、行動が変わる可能性が示されています。
しかも、17.5秒の待ち訓練や30秒・60秒の間隔訓練で変化が見られ、4か月や9か月後にも効果が続いた例もありました。
もちろん、すべての人に同じ結果が出るとは限りません。
マインドフルネスのように、特定の場面でしか効果が出ない方法もあります。
しかし大切なのは、自己制御は固定された才能ではないという点です。
もし今「自分は意志が弱い」と感じていても、それで終わりではありません。
少し待つ、少し難しいことに挑戦する、すぐ反応しない。
そんな小さな練習の積み重ねが、未来の選択を変えるかもしれません。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、論文4本執筆(うち2本ジャーナル掲載)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。








