自己制御トレーニングって、本当に意味あるの?
テスト前なのにスマホを触ってしまったり、ダイエット中に甘い物を食べてしまったり。そんな「あるある」に悩んだことはありませんか。意志が弱いのは性格の問題だ、と落ち込んだ経験がある人も多いはずです。
従来は「自己制御は生まれつきの性格で決まる」と考えられてきました。しかし、最近の研究では、短期間の練習でも自己制御はある程度伸ばせる可能性が示されています。
ただし、その効果は思ったより大きくない、という冷静な結果も同時に報告されています。
たとえば、オーストラリアのクイーンズランド大学(The University of Queensland)などの研究チームによる論文「Does Self-Control Training Improve Self-Control? A Meta-Analysis」(掲載誌:Perspectives on Psychological Science、2016年)では、2,600人以上のデータを分析し、自己制御トレーニングの効果を検証しました。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
自己制御トレーニングは意味ないのか、それとも小さな希望なのか
自己制御が人生に与える大きな影響
自己制御は人生の土台になる力です。
自己制御とは衝動をおさえる力です。
つまり今やりたいことを我慢する力です。
たとえば勉強中に動画を見ない力です。
研究では自己制御が高い人ほど、
成績や健康が安定しやすいとされます。
一方で低いと攻撃や依存と関連します。
さらに子ども時代の力が、
大人の生活とも関係する報告もあります。
もしあなたが毎日少し我慢できたら、
未来はどう変わるでしょうか。
たとえるならブレーキの強さです。
この力が強いほど暴走しにくいです。
- 学業
- 人間関係
- 健康
- お金
こうした分野に関係します。
つまり自己制御は静かな基礎体力です。
見えにくいですが人生に影響します。
ただし万能とは言えません。
それでも無視できない力です。
まとめると自己制御は地味でも重要で、将来の安定とつながる可能性が示されています。
自己制御トレーニングとは何をするのか
自己制御トレーニングは我慢の練習です。
研究では33の実験がまとめられました。
合計2616人が参加しました。
平均年齢は約21歳でした。
方法は日常の小さな挑戦です。
- 歯みがきを反対の手で行う
- 姿勢を正し続ける
- 握力を限界まで使う
もしあなたが右利きなら、
左手で歯みがきします。
最初は不便でいらいらします。
しかしそれが練習になります。
また別の実験では、
一定期間2週間ほど続けます。
その後に別の課題を行います。
たとえば集中力のテストです。
このとき成績が上がるかを見ます。
つまり違う場面でも効くかを調べます。
これは遠くまで広がる効果の確認です。
まとめると自己制御トレーニングは日常の小さな不便を利用した我慢の練習です。
筋トレのように鍛えられるという考え方
自己制御は筋肉のように強くなるという考えです。
この考えでは力は使うと疲れます。
これを一時的な消耗と呼びます。
しかし繰り返せば強くなるとします。
たとえば腕立て伏せと同じです。
最初は10回でもつらいです。
けれど続ければ回数が増えます。
同じように我慢も伸びると考えます。
もしあなたが毎日姿勢を意識したら、
疲れにくくなるでしょうか。
研究はこの問いを確かめました。
結果は小から中程度でした。
効果の大きさは0.30でした。
0.2が小さい目安です。
0.5が中くらいの目安です。
つまり少しは伸びた可能性です。
ただし大きな変化ではありません。
さらに研究ごとに差もありました。
まとめると筋肉のように伸びる可能性はありますが、劇的ではないという結果でした。
33研究をまとめたメタ分析とは
33研究を一つにまとめたのが今回の分析です。
この方法を総合分析と呼びます。
つまり多くの結果を平均します。
158の効果が集められました。
参加者は2000人以上でした。
もしあなたが複数のテストを受け、
それを平均したらどうでしょうか。
一つの結果より安定します。
この分析でも同じ考え方です。
さらにばらつきも調べました。
ばらつきの割合は約59%でした。
これは研究間で差がある意味です。
そのため万能とは言えません。
それでも平均では効果がありました。
一方で小さい研究ほど、
効果が大きく出やすい傾向もありました。
この点は注意が必要です。
つまり期待しすぎない姿勢も大切です。
まとめると多くの研究を合わせても効果は確認されましたが、大きさは控えめでした。
全体の効果は小さくても確かに存在した
全体として効果はゼロではありませんでした。
効果の平均は0.30でした。
補正後は0.13から0.24でした。
つまり少し小さくなりました。
これは公表されやすい研究が、
効果を大きく見せる可能性です。
もしあなたが成功例だけ聞けば、
過大評価するかもしれません。
研究も同じ問題があります。
それでも完全に無意味とは言えません。
とくに疲れた後の踏ん張りは、
効果が0.60と高めでした。
これは通常の約3倍です。
つまり持久力には効きやすいです。
しかし日常の衝動には、
そこまで強くありませんでした。
そのため過信は禁物です。
それでも小さな改善は見られました。
まとめると自己制御トレーニングは劇的ではないものの、一定の改善は期待できる可能性があります。
自己制御トレーニングで効果が出やすい方法とは何か
非利き手を使うトレーニングが意外にも強い
反対の手を使う方法は比較的効果が高めでした。
効果の大きさは0.42でした。
これは全体平均0.30より大きいです。
もしあなたが右利きなら、
左手で歯みがきをします。
最初は不器用で疲れます。
しかし毎日2週間続けます。
すると別の課題でも踏ん張りやすくなります。
これは小さな我慢の積み重ねです。
- 歯みがき
- 食事
- かばんを持つ
日常の動作で練習できます。
特別な道具もいりません。
つまり負担が軽いのが特徴です。
また頻度が高いことも大切です。
毎日続けることで習慣化します。
一方で大きな変化ではありません。
それでも比較的安定した結果でした。
まとめると反対の手を使う練習は手軽で続けやすく、効果がやや高めに出た方法でした。
ハンドグリップの我慢トレーニングの効果
強く握り続ける練習も効果がありました。
効果は0.37でした。
全体より少し高い値です。
もしあなたが握力器を持ち、
限界まで握るとします。
腕が震えてきます。
しかし数週間くり返します。
その後に別の課題をします。
たとえば集中の持続です。
すると少し持ちこたえやすくなります。
これは身体的な努力型です。
- 明確な負荷
- 限界までの挑戦
- 継続期間は約2週間
この方法は努力感が強いです。
そのため達成感もあります。
ただし日常では実施しにくい面もあります。
したがって手軽さは低めです。
それでも一定の効果は確認されました。
まとめると握力型は努力が必要ですが、やや高めの効果が報告された方法です。
コンピュータ課題による抑制練習の結果
画面上の課題は効果がやや小さめでした。
効果は0.21でした。
全体平均より少し低いです。
もしあなたが画面に出る文字を、
すばやく選ぶ課題をするとします。
間違えずに反応する必要があります。
これを何回もくり返します。
すると抑える力が試されます。
しかし日常とは少し離れています。
そのため広がりが弱い可能性があります。
- 反応を止める練習
- 実験室で実施
- 数回の訓練
また負荷は短時間です。
頻度も限られます。
つまり現実場面との距離があるかもしれません。
それでも完全に無効ではありません。
一定の改善は見られました。
まとめると画面課題は効果が小さめですが、一定の変化は確認された方法です。
姿勢を正すだけでも変化はあるのか
姿勢の意識も効果はありました。
効果は0.23でした。
平均より少し低いです。
もしあなたが背筋を伸ばし、
1日中意識するとします。
疲れても続けます。
それが抑える練習になります。
特別な装置は不要です。
- 背筋を伸ばす
- 歩き方を整える
- 机での姿勢を保つ
こうした行動を続けます。
ただし強い負荷ではありません。
そのため大きな変化は出にくいです。
一方で生活に取り入れやすいです。
つまり続けやすさが利点です。
効果は小さいながら存在しました。
まとめると姿勢の練習は控えめな効果ですが、日常に組み込みやすい方法でした。
食事制限トレーニングはほぼ効果なしだった
食事を制限する方法は効果が見られませんでした。
効果はほぼ0でした。
正確には-0.01でした。
もしあなたが甘い物を我慢し、
食事を厳しく管理するとします。
強い感情が動きます。
失敗すると落ち込みます。
そのため別の課題への広がりは弱いです。
- 強いストレス
- 失敗体験
- 感情の影響
こうした要素が関係するかもしれません。
さらに直接的すぎる可能性もあります。
つまり我慢の質が違うのです。
結果として他の方法より低い値でした。
これは意外な結果かもしれません。
まとめると食事制限は自己制御の広い改善につながるとは言えない結果でした。
自己制御トレーニングで本当に伸びるのは何か
通常の自己制御よりも持久力が伸びやすい
一番大きな変化は持久力でした。
持久力とは疲れた後も続ける力です。
通常の自己制御は0.21でした。
一方で持久力は0.60でした。
約3倍の差があります。
もしあなたがテスト前に、
長時間勉強した後だとします。
そのあとでさらに集中できるか。
ここに差が出ました。
つまり疲労への強さが増えます。
これは一時的消耗への耐性です。
- 疲れた後の集中
- 我慢の持続
- 踏ん張る時間の長さ
こうした場面で効果が出ました。
ただし通常時の衝動には、
そこまで強くありません。
そのため万能とは言えません。
それでも持久面では有望です。
まとめると自己制御トレーニングは日常の抑制よりも、疲れた後の持久力に強く表れました。
疲れた後に踏ん張る力が大きく改善した
疲労後の耐性が特に向上しました。
実験ではまず難しい課題をします。
その後に別の課題を行います。
もしあなたが走った後に、
さらに階段を上る場面です。
そこで踏ん張れるかを見ます。
トレーニング群は持ちこたえました。
効果は0.48から0.60程度でした。
これは中程度よりやや高いです。
つまり連続負荷に強くなります。
- 先に疲労を与える
- その後に評価する
- 比較は訓練なし群
この流れで差が出ました。
一方で疲れていない場合は、
差が小さくなりました。
つまり使い方で違います。
したがって場面依存の効果です。
まとめると疲れた後の踏ん張りは伸びやすく、連続する我慢には一定の改善が見られました。
日常行動と実験室課題の差はあるのか
日常と実験室の差は大きくありませんでした。
実験室の効果は0.32でした。
日常行動は0.23でした。
数値差はあります。
しかし統計的に明確とは言えません。
もしあなたが研究室で課題を受け、
家では日記をつけるとします。
どちらでも差は小さめです。
つまり場面は決定的ではありません。
- 実験室での課題
- 自宅での行動報告
- 一定期間後の評価
このように比較されました。
大きな開きは見られません。
したがって応用は可能です。
ただし過度な期待は禁物です。
場面だけで効果は決まりません。
まとめると日常でも実験でも効果は似ており、環境の違いは決定的ではありませんでした。
トレーニング直後と後日の効果の違い
時間がたつと効果はやや弱まりました。
直後の効果は0.31でした。
後日の効果は0.18でした。
中央値は約9.5日後でした。
最長は184日後でした。
もしあなたが練習をやめたら、
少しずつ元に戻るかもしれません。
ただし完全に消えるとは限りません。
- 直後の測定
- 数日から数か月後
- 比較は同じ集団内
この方法で検討しました。
差はありますが大きくありません。
つまり持続は限定的です。
定期的な練習が必要かもしれません。
しかし長期効果はまだ不明です。
まとめると効果は時間とともにやや小さくなり、長期維持は今後の課題です。
本当に広い場面に転移するのかという問題
他の分野への広がりは限定的です。
この広がりを転移と呼びます。
つまり別の場面で効くかです。
研究では違う課題で測りました。
しかし効果は小さめでした。
もしあなたが姿勢を直し、
勉強が急に得意になるでしょうか。
そこまで強い変化はありません。
効果は0.30前後でした。
これは小から中程度です。
- 違う種類の課題
- 別の行動分野
- 数週間後の確認
こうした条件でも差はあります。
ただし劇的ではありません。
そのため現実応用は慎重です。
期待値を下げる必要があります。
まとめると自己制御トレーニングは広がる可能性はあるものの、大きな変化とは言えない結果でした。
自己制御トレーニングは希望か、それとも限界か
効果は思ったより小さいという現実
効果はありますが大きくはありません。
平均は0.30でした。
補正後は0.13から0.24でした。
これは小さい範囲です。
もしあなたが劇的変化を期待すれば、
がっかりするかもしれません。
しかしゼロではありません。
小さな積み重ねの改善です。
- 全体効果0.30
- 補正後0.13から0.24
- 参加者2616人
この数字が示すのは控えめな効果です。
過信は禁物です。
それでも無意味ではありません。
つまり小さな希望です。
まとめると自己制御トレーニングは劇的ではないものの、一定の改善は見込める可能性があります。
出版バイアスで効果が大きく見える可能性
公表されやすい研究は効果が大きめでした。
公表研究は0.37でした。
未公表研究は0.13でした。
約3倍の差があります。
もし成功例だけ聞けば、
実力以上に感じます。
研究でも同様の問題があります。
これを出版バイアスと呼びます。
つまり良い結果が残りやすいです。
そのため補正が行われました。
補正後は値が下がりました。
それでもゼロではありません。
つまり慎重な解釈が必要です。
数字だけで判断はできません。
背景も見る必要があります。
まとめると効果はやや大きく見えている可能性があり、冷静な見方が求められます。
研究者グループによる差の存在
特定の研究者が関わると効果が高めでした。
その群は0.51でした。
他の群は0.22でした。
約2倍の差があります。
もし指導法が熟練していれば、
結果が良くなるかもしれません。
一方で期待の影響も考えられます。
つまり実施方法の違いです。
- 同じ理論の支持者
- 実験の細かな工夫
- 参加者への説明
こうした差が影響します。
原因は断定できません。
ただし無視できない差です。
そのため再検証が必要です。
まとめると研究者による差が見られ、方法や期待の影響も考慮すべき結果でした。
男性割合が多いほど効果がやや大きい傾向
男性が多いと効果が少し上がりました。
10%増えると0.08上昇しました。
範囲は0から64%でした。
もし男子が多いクラスなら、
少し効果が強まる可能性です。
ただし有意とは断定できません。
統計的にはぎりぎりでした。
つまり傾向レベルです。
- 男性割合の違い
- 効果のわずかな増加
- 明確な確証ではない
そのため慎重に扱います。
性差の理由は不明です。
断定はできません。
今後の研究が必要です。
まとめると男性割合が高いと効果がやや上がる傾向はありますが、確実とは言えません。
自己制御トレーニングは万能ではないという結論
自己制御トレーニングは魔法ではありません。
効果は小から中程度です。
持久力にはやや強いです。
しかし通常の衝動には限定的です。
もしあなたが生活を一変させたいなら、
これだけでは足りないでしょう。
それでも一歩にはなります。
- 小さな改善
- 継続が前提
- 場面に依存
この特徴が見えました。
過度な期待は避けます。
しかし無意味でもありません。
静かな補助のような存在です。
つまり土台を支える力です。
まとめると自己制御トレーニングは万能ではないものの、小さな支えとして活用できる可能性があります。
最後に

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、論文4本執筆(うち2本ジャーナル掲載)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。








