MBTIが変わることがあるって本当?
性格診断としておなじみのMBTIですが、「一度MBTIを受けたら、その結果は一生変わらない」と思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、最新の心理学研究では、MBTIを含む性格特性は、人生の様々な段階で変化することが明らかになっています。
アメリカの心理学者ロバーツとデルヴェッキオが行った「The Rank-Order Consistency of Personality Traits From Childhood to Old Age」というメタ分析研究では、152の縦断研究から集めた3,217もの データを分析し、乳幼児期から老年期に至るまでの性格特性の変化を追跡しました。
その結果、私たちの性格は、子ども時代から青年期、成人期、中年期、高齢期と、生涯にわたって徐々に変化し続けることが分かったのです。
この記事では、MBTIを含む性格特性が年齢とともにどのように変化するのか、そのメカニズムや影響する要因は何かについて、最新の研究結果をもとにわかりやすく解説していきます。
自分の性格は一生変わらないと思い込んでいた人も、この記事を読めば、性格の変化に対する新たな視点が得られるはずです。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
MBTIと性格特性の関係とは?
MBTIの4つの指標と16の性格タイプ
心理学者のマイヤーズとブリッグスが開発した性格診断ツールです。
4つの指標(外向性-内向性、感覚-直観、思考-感情、判断-知覚)の組み合わせで、16の性格タイプに分類します。
各指標は、以下のような特徴を表しています。
- 外向性(E):外界との交流を好む
- 内向性(I):内面の世界を重視する
- 感覚(S):現実的、実用的
- 直観(N):抽象的、理論的
- 思考(T):論理的、客観的
- 感情(F):感情的、主観的
- 判断(J):計画的、決断力がある
- 知覚(P):柔軟性がある、適応力が高い
これらの指標の組み合わせにより、ESTJ、INFP、ENTPなど、16通りの性格タイプが導き出されます。
MBTIは、自己理解や他者理解、コミュニケーションの改善などに役立てられています。
性格特性とは何か
性格特性とは、個人の行動や思考、感情の一貫したパターンを表す心理的特徴です。
具体的には、以下のような特徴が性格特性に含まれます。
- 外向性:社交的、積極的、活発
- 協調性:思いやりがある、協力的、優しい
- 勤勉性:責任感がある、計画的、忍耐強い
- 神経症傾向:不安になりやすい、感情的、ストレスに弱い
- 開放性:好奇心が強い、創造的、柔軟
こうした性格特性は、遺伝と環境の相互作用により形成され、比較的安定していると考えられています。
ただし、年齢や経験、状況などによって変化することもあります。
性格特性は、パーソナリティ心理学における重要な研究対象であり、ビッグファイブモデルなどの理論的枠組みが提唱されています。
MBTIと性格特性の違い
MBTIと性格特性は、ともに個人の心理的特徴を表す概念ですが、いくつかの違いがあります。
まず、MBTIは性格を16のタイプに分類するのに対し、性格特性は特性の組み合わせで個人差を捉えます。
また、MBTIは二者択一式の質問で判定するのに対し、性格特性は程度の差を連続体で測定します。
さらに、MBTIは生得的で不変だと考えられがちですが、性格特性は変化すると捉えられています。
つまり、MBTIはタイプ論的アプローチ、性格特性は特性論的アプローチと言えます。
ただし、両者はともに性格の理解に役立つツールであり、相互に補完的な関係にあると言えるでしょう。
MBTIは年齢とともにどう変わる?
152の研究から明らかになった性格の一貫性
152の縦断研究のメタ分析により、性格特性の経時的な一貫性が明らかになりました。
研究では、3,217の再検査相関係数を集計し、年齢段階ごとの性格の一貫性を推定しました。
その結果、以下のような知見が得られています。
- 乳幼児期から児童期にかけて、一貫性は低い
- 青年期から成人期にかけて、一貫性は上昇する
- 中年期以降は、一貫性が高い水準で安定する
ただし、一貫性の上昇は直線的ではなく、段階的に進むことが示唆されました。
また、一貫性の推定値には個人差があり、追跡期間の長さなどの影響を受けることも分かりました。
このように、性格特性は年齢とともに安定性を増すものの、変化の余地も残されていると言えます。
乳幼児期から大学生までの性格の一貫性の変化
乳幼児期から大学生に至るまでの性格の一貫性は、比較的低い水準で推移します。
メタ分析の結果、以下のような推定値が得られています。
年齢段階 | 相関 |
0-2.9歳 | 0.35 |
3-5.9歳 | 0.52 |
6-11.9歳 | 0.45 |
12-17.9歳 | 0.47 |
18-21.9歳 | 0.51 |
22-29歳 | 0.57 |
30-39歳 | 0.62 |
40-49歳 | 0.59 |
50-59歳 | 0.75 |
60-73歳 | 0.72 |
乳幼児期の一貫性が最も低いのは、気質から性格特性への移行期にあるためと考えられます。
その後、就学前から児童期にかけては一貫性がやや上昇し、青年期にかけて緩やかに高まっていきます。
ただし、大学生の段階でも一貫性は0.51と、成人期ほど高くはありません。
この時期は、アイデンティティの模索や環境の変化によって、性格の揺らぎが大きいのかもしれません。
20代から70代までの性格の一貫性の推移
20代から70代までの性格の一貫性は、加齢とともに上昇し、中年期以降で高い水準に達します。
メタ分析による年代別の推定値は、以下の通りです。
- 22歳から29歳:0.57
- 30歳から39歳:0.62
- 40歳から49歳:0.59
- 50歳から59歳:0.75
- 60歳から73歳:0.72
20代では一貫性が0.57と、大学生よりもやや高くなります。
30代から40代にかけては0.6前後で推移し、50代で0.75と最も高い値を示しました。
60代以降も0.72と高い水準を維持しています。
これらの結果から、性格特性は成人期を通じて安定性を増し、特に中年期以降で顕著になると言えます。
ただし、70代以降のデータは少なく、高齢期の性格の一貫性については更なる検討が必要でしょう。
人生の節目で段階的に高まる性格の一貫性
性格特性の一貫性は、人生の節目を経るごとに段階的に高まっていくことが示唆されています。
メタ分析の結果からは、以下のような変化のパターンが浮かび上がりました。
- 乳幼児期から児童期にかけて、一貫性が上昇
- 青年期から成人期にかけて、一貫性が上昇
- 成人期から中年期にかけて、一貫性が上昇
これらの時期は、発達的な移行や社会的な役割の変化が起こる節目と重なります。
例えば、児童期は気質から性格特性への移行期、青年期はアイデンティティの確立期、成人期は社会的役割の確立期と言えます。
こうした節目を経て、性格特性が徐々に安定していくのかもしれません。
ただし、一貫性の上昇は直線的ではなく、段階的に進むことから、各時期の経験や環境の影響も無視できません。
性格特性の一貫性は、生得的な要因と環境的な要因の複雑な相互作用の産物と考えられます。
MBTIは変わる?一生変わらない?
MBTIタイプと性格特性の安定性の違い
MBTIタイプと性格特性は、ともに個人の心理的特徴を表す概念ですが、安定性の捉え方が異なります。
MBTIは、生得的で不変の「タイプ」という考え方が一般的です。
一方、性格特性は、遺伝と環境の相互作用により形成され、変化しうるものと捉えられています。
実際、性格特性の経時的な一貫性は、年齢とともに高まる傾向があることが示されました。
しかし、MBTIタイプについては、経時的な安定性を検討した研究が少なく、結論は出ていません。
MBTIタイプが生得的で不変だとする考え方は、実証的な裏付けが乏しいと言えるでしょう。
MBTIタイプの変化に関する研究と議論
MBTIタイプの経時的な安定性や変化については、研究者の間で議論が分かれています。
MBTIタイプが生得的で不変だとする考え方に対し、以下のような反論があります。
- 縦断研究により、MBTIタイプが変化することが示されている
- MBTIの二者択一式の質問では、微妙な個人差が捉えられない
- MBTIタイプの安定性は、性格特性ほど高くない
一方で、MBTIタイプの支持者は、以下のように反論しています。
- MBTIタイプの変化は、真の変化ではなく、測定誤差による見かけ上のもの
- MBTIの質問は、タイプの中核的な特徴を捉えるために設計されている
- MBTIタイプの安定性は、性格特性とは異なる側面を反映している
このように、MBTIタイプの安定性や変化をめぐっては、様々な意見があります。
今後は、縦断研究のデータを蓄積し、多角的な検討を行うことが求められるでしょう。
MBTIで「変わった」と感じる理由
MBTIで「変わった」と感じる理由には、以下のようなものが考えられます。
まず、MBTIの16タイプは、あくまで理念型であり、現実の個人差を単純化したものです。
そのため、微妙な変化が捉えられず、「タイプが変わった」と感じることがあります。
また、MBTIの判定は、その時々の状態や環境の影響を受けやすいことが指摘されています。
例えば、ストレスや疲労により、普段と異なる回答をする可能性があります。
さらに、自己認識の変化により、同じ質問でも異なる回答をすることがあります。
成長や経験を通じて、自分の性格をより深く理解するようになると、MBTIの判定が変わることがあるのです。
つまり、MBTIで「変わった」と感じる場合、必ずしも性格そのものが変化したわけではないと考えられます。
性格の一貫性に影響する要因は?
追跡期間が長いほど一貫性が下がる理由
性格特性の一貫性は、追跡期間が長いほど下がる傾向があります。
メタ分析の結果、以下のような関係が示されました。
- 1年間の一貫性:0.55
- 5年間の一貫性:0.52
- 10年間の一貫性:0.49
- 20年間の一貫性:0.41
- 40年間の一貫性:0.25
追跡期間が長いほど一貫性が下がるのは、以下のような理由が考えられます。
- 測定誤差の累積により、見かけ上の変化が大きくなる
- 年齢や経験に伴う真の変化が、長期的に蓄積する
- 環境の変化により、性格特性の表れ方が変わる
つまり、追跡期間が長いほど、測定誤差や真の変化、環境の影響が複合的に作用し、一貫性が低下すると考えられます。
ただし、一貫性の低下は直線的ではなく、ある程度の期間を超えると緩やかになる傾向もあります。
性格特性の安定性と可塑性のバランスは、時間軸によって異なるのかもしれません。
脱落率の高さは一貫性の推定値に影響しない
縦断研究では、追跡期間が長くなるほど、脱落率が高くなる傾向があります。
しかし、メタ分析の結果、脱落率の高さは性格特性の一貫性の推定値に影響しないことが分かりました。
研究ごとの脱落率と一貫性の相関は、以下の通りです。
- 相関係数(重み付けなし):0.06
- 相関係数(年齢と追跡期間を統制):-0.04
これらの結果は、脱落率の高さが一貫性の推定値を歪めている可能性は低いことを示唆しています。
ただし、脱落率の影響は研究デザインや対象者の特性によって異なる可能性があります。
例えば、特権的で教育水準の高い集団を対象とした場合、もともと一貫性が高いために、脱落率の影響が見えにくくなるかもしれません。
脱落率の影響については、さらなる検討が必要であると言えます。
自己報告と他者評価で性格の一貫性に差はない
性格特性の測定方法には、自己報告と他者評価の2つの主なアプローチがあります。
メタ分析の結果、自己報告と他者評価で性格の一貫性に大きな差はないことが分かりました。 測定方法ごとの一貫性の推定値は、以下の通りです。
- 自己報告:0.52
- 他者評価:0.48
- 投影法:0.43
年齢と追跡期間を統制した場合でも、自己報告と他者評価の一貫性はほぼ同じでした。
- 自己報告:0.50
- 他者評価:0.51
- 投影法:0.45
これらの結果は、自己報告と他者評価がともに性格特性の一貫性を捉える上で有用であることを示唆しています。
ただし、投影法については、一貫性がやや低い傾向があります。 また、測定方法ごとに利用可能なデータの年齢範囲が異なるため、単純な比較は難しいと言えます。
性格特性の測定方法としては、自己報告と他者評価をバランスよく用いることが重要でしょう。
ビッグファイブの5因子それぞれの一貫性の違い
ビッグファイブの5因子(外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性)は、それぞれ異なる一貫性を示すことが分かりました。
メタ分析による因子ごとの一貫性の推定値は、以下の通りです。
- 外向性:0.54
- 協調性:0.54
- 勤勉性:0.51
- 神経症傾向:0.50
- 開放性:0.51
外向性と協調性の一貫性が最も高く、神経症傾向と開放性の一貫性がやや低い傾向があります。
ただし、因子間の差は小さく、0.03から0.04程度です。
また、従来の研究では、外向性の一貫性が最も高いとされてきましたが、本研究では協調性も同程度の一貫性を示しました。
これは、協調性を含む5因子すべてを検討対象としたためと考えられます。 ビッグファイブの5因子は、それぞれ異なる側面を捉えているため、一貫性にも多様性があると言えるでしょう。
年齢による性格特性の変化のメカニズム
一貫した環境が性格の安定性を高める
性格特性の安定性には、一貫した環境が重要な役割を果たしていると考えられます。 児童期から青年期にかけては、以下のような環境の一貫性が観察されています。
- 養育態度や子育てスタイルの一貫性
- 家庭環境や社会経済的地位の安定性
こうした環境の一貫性は、性格特性の安定性を促進すると考えられます。
一方、成人期以降については、環境の一貫性を直接検討した研究が少ないのが現状です。
ただし、職業的地位や社会的役割の安定性は、性格特性の安定性と関連することが示唆されています。
また、パートナーとの類似性が高いほど、性格特性の安定性が高まることも報告されています。
つまり、成人期以降も、環境の一貫性が性格特性の安定性に寄与している可能性が高いと言えます。
今後は、様々な年齢段階で環境の一貫性と性格特性の安定性の関係を検討することが求められるでしょう。
アイデンティティの確立と性格の安定化の関係
アイデンティティの確立は、性格特性の安定化と密接に関連していると考えられます。
アイデンティティとは、自分らしさや生き方に対する確信のことを指します。
青年期は、アイデンティティの模索と確立の時期であり、性格特性の安定性も高まる時期と重なります。
アイデンティティの確立は、以下のような性格特性の安定化につながると考えられます。
- 自己概念の明確化により、一貫した行動や態度が取りやすくなる
- 自分らしい環境の選択と創造により、性格特性が強化される
- 他者からのフィードバックにより、性格特性が確認され定着する
実際、アイデンティティの確立度が高いほど、性格特性の安定性が高いことが示されています。
また、アイデンティティの確立は、ビッグファイブの5因子のうち、特に勤勉性や情緒安定性と関連が深いことも報告されています。
アイデンティティの確立は、性格特性の安定化を促進する重要な要因の1つと言えるでしょう。
社会的役割の変化がもたらす性格の変化
社会的役割の変化は、性格特性の変化をもたらす要因の1つと考えられます。
社会的役割とは、家族内の地位や職業上の地位など、社会的に期待される行動様式のことを指します。
人生の節目では、社会的役割の変化が起こりやすく、性格特性も変化しやすくなります。
例えば、以下のような社会的役割の変化が、性格特性の変化につながる可能性があります。
- 結婚や出産による家族内の地位の変化
- 就職や昇進による職業上の地位の変化
- 退職やリタイアによる社会的活動の変化
こうした社会的役割の変化は、新たな行動様式や価値観の獲得を求められる機会であり、性格特性の変化を促すと考えられます。
実際、結婚や就職、昇進などのライフイベントを経験した人は、そうでない人に比べて性格特性の変化が大きいことが報告されています。
ただし、社会的役割の変化が性格特性に与える影響は、個人差が大きく、一様ではありません。
社会的役割の変化は、性格特性の変化を促す要因の1つですが、その影響は状況や個人によって異なると言えるでしょう。
成熟に伴う気質から性格特性への移行
乳幼児期の気質は、成長に伴って、徐々に成人期の性格特性へと移行していきます。
気質とは、生得的で神経生理学的な基盤を持つ行動傾向のことを指します。
一方、性格特性とは、環境との相互作用を通じて形成される、より複雑で高次の特性を指します。 気質から性格特性への移行には、以下のような変化が含まれます。
- 行動傾向の分化と統合により、より複雑な特性が形成される
- 環境からの影響を受けて、特性の表れ方が変化する
- 自己認識の発達により、特性の意味づけが変わる
こうした変化は、発達的な節目を経るごとに段階的に進むと考えられています。
例えば、幼児期から児童期にかけては、自己概念の発達により、特性の統合が進みます。 また、青年期には、自己の内面化により、特性の意味づけが深まっていきます。
気質と性格特性の関連については、実証的な研究が蓄積されつつあります。
今後は、気質から性格特性への移行のメカニズムをより詳細に検討することが求められるでしょう。
まとめ:MBTIと性格特性の一生涯の変化
子ども時代から青年期にかけての性格の変化
子ども時代から青年期にかけては、性格特性の一貫性が徐々に高まっていきます。
乳幼児期は気質の時期であり、環境からの影響を受けやすく、一貫性は低い傾向にあります。 児童期になると、自己概念の発達により、特性の統合が進み、一貫性が高まっていきます。
青年期は、アイデンティティの模索と確立の時期であり、性格特性の一貫性も高まる時期と言えます。 ただし、青年期は環境の変化も大きく、性格特性の揺らぎも大きい時期と言えます。
子ども時代から青年期にかけての性格の変化は、発達的な節目と環境の影響を受けながら、徐々に安定性を高めていくプロセスと捉えられます。
成人期~中年期の性格の安定化
成人期から中年期にかけては、性格特性の一貫性が高い水準で推移します。
20代では、大学生に比べて一貫性がやや高まり、30代から40代にかけては0.6前後の水準で安定します。 特に、50代では一貫性が0.75と最も高い値を示し、性格特性の安定性がピークに達します。
成人期から中年期にかけての性格の安定化には、以下のような要因が関与していると考えられます。
- 社会的役割の安定化により、行動様式が固定化する
- 自己概念の明確化により、一貫した態度や行動が取りやすくなる
- 環境の選択と創造により、性格特性が強化される
ただし、人生の節目では社会的役割の変化が起こりやすく、性格特性も変化しやすくなります。
成人期から中年期は、性格特性の安定性が高い時期ですが、変化の可能性も残されていると言えるでしょう。
高齢期に至っても続く性格の可塑性
高齢期に至っても、性格特性には一定の可塑性が残されていると考えられます。
60代以降の一貫性は、0.72と中年期に近い水準を維持しています。 ただし、70代以降のデータは限られており、高齢期の性格特性については十分な検討ができていません。
高齢期の性格特性には、以下のような変化が生じる可能性があります。
- 身体機能の低下により、行動様式が変化する
- 社会的役割の変化により、新たな適応が求められる
- 人生の振り返りにより、自己概念が再構成される
こうした変化は、必ずしも性格特性の不安定化を意味するわけではありません。
むしろ、高齢期の適応的な変化は、より柔軟で成熟した性格特性の表れと捉えることもできます。 高齢期の性格特性については、今後さらなる研究の蓄積が求められると言えるでしょう。
MBTIを通じて自分の性格特性を理解する意義
MBTIは、性格特性を理解するための有用なツールの1つと言えます。
ただし、MBTIは性格特性の一側面を捉えるにすぎず、過度に単純化された理解は避けるべきでしょう。 特に、MBTIタイプが生得的で不変だとする考え方は、実証的な裏付けに乏しいと言えます。
むしろ、MBTIを通じて得られた自己理解を、より複雑で多面的な性格特性の理解につなげていくことが重要です。
例えば、以下のような視点から、MBTIと性格特性の関係を捉えることができるでしょう。
- MBTIタイプと性格特性の関連性を探る
- MBTIタイプの変化と性格特性の変化の関係を考える
- MBTIタイプにとらわれず、性格特性の多様性を認める
MBTIは、自分の性格特性を理解するための出発点であり、終着点ではありません。 MBTIを通じて得られた気づきを、より深い自己理解や他者理解につなげていくことが重要だと言えるでしょう。
最後に
以上、MBTIを含む性格特性の生涯にわたる変化について、最新の心理学研究をもとに解説してきました。
子ども時代から青年期、成人期、中年期、高齢期と、私たちの性格は絶え間なく変化し続けています。
特に、乳幼児期から青年期にかけては、気質から性格特性への移行が進み、アイデンティティの確立とともに性格の安定性が高まっていきます。
成人期から中年期にかけては、社会的役割の安定化により性格特性も安定しますが、人生の節目では変化の可能性も残されています。
高齢期に至っても、性格特性には一定の可塑性があり、適応的な変化が生じる可能性があります。
性格は変化し続けるものだからこそ、自分らしさを大切にしながら、柔軟に生きていくことができるのだと思います。
みなさんも、自分の性格の変化を感じたら、ぜひ前向きに受け止めてみてくださいね。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。