今回は、非認知能力の限界について考えてみましょう。
最近、学力だけでなく、意欲や忍耐力といった非認知能力の重要性が注目されています。
しかし、非認知能力にはどんな効果があるのでしょうか?また、その限界とは何でしょうか?
今回は、375件の研究をまとめた論文「Do early life “non-cognitive skills” matter?(もう一つ関連の論文、こちらでは約500件が対象)」の内容を中心に、非認知能力の効果と限界について解説します。
この論文では、非認知能力が学業成績、精神健康、言語・認知発達などに与える影響について、系統的なレビューとメタ分析を行っています。
その結果、非認知能力はこれらの分野に一定の効果があるものの、その大きさは限定的であることが分かりました。
非認知能力は万能ではありませんが、子供の健やかな成長を支える重要な要素の一つと言えるでしょう。では、非認知能力の効果と限界について、もっと詳しく見ていきましょう。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
非認知能力とは?
非認知能力の定義
この定義は、知識や学力とは異なる能力のことを指します。
これは、性格、社会性、感情コントロールなど、幅広い概念を含んでいます。
一方で、非認知能力の定義は研究者によって異なることがあります。
そのため、非認知能力という言葉の使い方は、分野や文脈によって変わってくるのです。
ただし、共通しているのは、非認知能力が学力以外の能力を表しているという点です。
つまり、非認知能力は、従来の知識偏重の教育では見落とされがちな能力と言えるでしょう。
非認知能力は、学力だけでなく、人生全般に影響を与える重要な能力なのです。
非認知能力に含まれるスキル
非認知能力には、様々なスキルが含まれています。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 自己制御:衝動を抑えて、計画的に行動する力
- 忍耐力:困難に直面しても、粘り強く取り組む力
- 社会性:他者と良好な関係を築き、協力する力
- 感情コントロール:自分の感情を上手に管理する力
これらのスキルは、学力とは直接関係がないように見えるかもしれません。
しかし、実際には、学習面でも重要な役割を果たしているのです。
例えば、自己制御が高い子供は、勉強に集中しやすいと考えられます。このように、非認知能力は、学力の土台となる能力と言えるでしょう。
非認知能力は、人生のあらゆる場面で活躍する、重要なスキルの集合体なのです。
非認知能力が注目される理由
近年、非認知能力が注目されるようになってきました。
その理由は、非認知能力の重要性が明らかになってきたからです。
従来の学力重視の教育では、知識の習得に偏りがちでした。
しかし、現代社会では、知識だけでは通用しません。変化の激しい社会を生き抜くには、柔軟性や適応力が必要不可欠です。
そこで注目されるようになったのが、非認知能力だったのです。
非認知能力の重要性は、以下の点からも伺えます。
- 学力との関連:非認知能力が高い子供は、学力も高い傾向がある
- 将来の成功との関連:非認知能力が高い人は、社会で成功しやすい
- 人生満足度との関連:非認知能力が高い人は、人生満足度も高い
このように、非認知能力は、人生のあらゆる側面に影響を与えています。そのため、非認知能力を育むことが、これからの教育に求められているのです。
非認知能力は、子供たちが将来、社会で活躍するための土台となる大切な能力なのです。
非認知能力は学力にどう影響する?
非認知能力と学力の関係
学力に非認知能力が影響を与えることが分かっています。
例えば、自己制御が高い子供は、勉強に集中しやすいと考えられます。
また、忍耐力が高い子供は、難しい問題にも粘り強く取り組むことができるでしょう。
このように、非認知能力は、学習面での様々な場面で役立つのです。
非認知能力と学力の関係は、以下のような研究からも示唆されています。
- 非認知能力が高い子供は、学力テストの成績が良い傾向がある
- 非認知能力を育む教育プログラムを受けた子供は、学力が向上した
- 非認知能力と学力の関係は、長期的に見ても維持される
これらの研究から、非認知能力が学力に与える影響の大きさが伺えます。
ただし、非認知能力と学力の関係は、一方向ではありません。学力が高い子供は、非認知能力も高い傾向があるのです。
つまり、非認知能力と学力は、互いに影響し合う関係にあると言えるでしょう。非認知能力を育むことは、学力向上にも役立つ可能性があるのです。
介入研究から見る非認知能力の効果
初めに紹介した論文によれば、非認知能力を育む教育プログラムの効果を調べた介入研究があります。
これらの研究では、非認知能力を育むプログラムを受けた子供の学力が向上したことが示されています。
例えば、ある研究では、自己制御を育むプログラムを受けた子供の算数の成績が上がりました。また、別の研究では、社会性を育むプログラムを受けた子供の読解力が向上しました。
介入研究から得られた知見は、以下の通りです。
- 非認知能力を育むプログラムは、学力向上に効果がある
- プログラムの内容は、対象とする非認知能力によって異なる
- プログラムの効果は、長期的に持続する可能性がある
これらの知見から、非認知能力を育む教育の重要性が分かります。ただし、介入研究の多くは小規模であり、効果の大きさにはばらつきがあります。
そのため、大規模な研究による検証が必要とされています。非認知能力を育む教育プログラムは、学力向上に役立つ可能性がありますが、その効果については、さらなる研究が求められています。
大規模な質の高い研究では効果は限定的
初めに紹介した論文によれば、非認知能力を育む教育プログラムの効果を調べた大規模な研究もあります。
しかし、これらの研究では、非認知能力の限界が示されています。
例えば、ある研究では、自己制御を育むプログラムを受けた子供の学力は、わずかに向上しただけでした。また、別の研究では、社会性を育むプログラムを受けた子供の学力に、有意な差は見られませんでした。
大規模な研究から得られた知見は、以下の通りです。
- 非認知能力を育むプログラムの効果は、小さい傾向がある
- プログラムの効果は、対象とする非認知能力によって異なる
- プログラムの効果は、子供の特性によっても異なる可能性がある
これらの知見から、非認知能力の限界が示されることが分かります。
非認知能力を育む教育プログラムは、学力向上に一定の効果がありますが、その効果は限定的である可能性が高いのです。
非認知能力以外の学力への影響要因
学力には、非認知能力以外にも、様々な要因が影響を与えています。
例えば、家庭環境は、子供の学力に大きな影響を与えると考えられています。
親の収入が高く、教育に熱心な家庭の子供は、学力が高い傾向があるのです。
また、学校の質も、学力に影響を与える要因の一つです。優れた教師や教育環境のある学校の子供は、学力が高くなりやすいでしょう。
学力に影響を与える主な要因は、以下の通りです。
- 家庭環境:親の収入、教育に対する姿勢など
- 学校の質:教師の質、教育環境など
- 子供の特性:知能、性格など
- 地域の特性:教育に対する意識、教育資源など
これらの要因は、互いに関連し合っています。例えば、教育熱心な地域には、優れた学校が多いと考えられます。
そのため、学力を考える際には、様々な要因を総合的に見る必要があるのです。非認知能力は、学力に影響を与える重要な要因の一つですが、それだけですべてを説明することはできません。
学力向上のためには、非認知能力だけでなく、様々な要因に目を向ける必要があるでしょう。
非認知能力の精神健康への影響
非認知能力と精神健康の関係
精神健康とも関連があることが分かっています。
例えば、自己制御が高い人は、ストレスに上手に対処できると考えられています。
また、社会性が高い人は、良好な人間関係を築きやすいでしょう。このように、非認知能力は、精神的な健康を維持するための重要な要因の一つなのです。
非認知能力と精神健康の関係は、以下のような研究からも示唆されています。
- 非認知能力が高い人は、うつ病になりにくい傾向がある
- 非認知能力を育む教育プログラムを受けた人は、精神的な健康度が高い
- 非認知能力と精神健康の関係は、長期的に見ても維持される
これらの研究から、非認知能力が精神健康に与える影響の大きさが伺えます。
ただし、非認知能力と精神健康の関係は、一方向ではありません。精神的に健康な人は、非認知能力も高い傾向があるのです。
つまり、非認知能力と精神健康は、互いに影響し合う関係にあると言えるでしょう。非認知能力を育むことは、精神的な健康の維持・向上にも役立つ可能性があるのです。
外在化問題行動への影響
初めに紹介した論文によれば、非認知能力は、外在化問題行動とも関連があります。
外在化問題行動とは、攻撃性や非行など、外に向かって現れる問題行動のことです。
非認知能力が低い子供は、外在化問題行動を起こしやすいと考えられています。例えば、自己制御が低い子供は、衝動的な行動をとりがちです。
また、社会性が低い子供は、他者とのトラブルを起こしやすいでしょう。
非認知能力と外在化問題行動の関係は、以下のような研究からも示唆されています。
- 非認知能力が低い子供は、外在化問題行動を起こしやすい傾向がある
- 非認知能力を育む教育プログラムを受けた子供は、外在化問題行動が減少した
- 非認知能力と外在化問題行動の関係は、長期的に見ても維持される
これらの研究から、非認知能力が外在化問題行動に与える影響の大きさが分かります。
ただし、外在化問題行動には、非認知能力以外の要因も影響を与えています。例えば、家庭環境や友人関係なども、外在化問題行動に関連があるのです。
非認知能力は、外在化問題行動を防ぐための重要な要因の一つですが、それだけですべてを説明することはできません。
内在化問題行動への影響
非認知能力は、内在化問題行動とも関連があります。
内在化問題行動とは、抑うつや不安など、内に向かって現れる問題行動のことです。
非認知能力が低い子供は、内在化問題行動を起こしやすいと考えられています。
例えば、自己制御が低い子供は、ストレスに上手く対処できません。また、社会性が低い子供は、孤立感を感じやすいでしょう。
非認知能力と内在化問題行動の関係は、以下のような研究からも示唆されています。
- 非認知能力が低い子供は、内在化問題行動を起こしやすい傾向がある
- 非認知能力を育む教育プログラムを受けた子供は、内在化問題行動が減少した
- 非認知能力と内在化問題行動の関係は、長期的に見ても維持される
これらの研究から、非認知能力が内在化問題行動に与える影響の大きさが分かります。ただし、内在化問題行動には、非認知能力以外の要因も影響を与えています。
例えば、家庭環境や学校生活なども、内在化問題行動に関連があるのです。
非認知能力は、内在化問題行動を防ぐための重要な要因の一つですが、それだけですべてを説明することはできません。
社会的スキルへの影響
初めに紹介した論文によれば、非認知能力は、社会的スキルとも関連があります。
社会的スキルとは、他者と上手くコミュニケーションをとったり、協力したりする能力のことです。非認知能力が高い子供は、社会的スキルも高い傾向があると考えられています。
例えば、自己制御が高い子供は、衝動的な行動を抑えられるため、他者とのトラブルを避けられます。
また、忍耐力が高い子供は、困難な状況でも諦めずに取り組むことができるでしょう。
非認知能力と社会的スキルの関係は、以下のような研究からも示唆されています。
- 非認知能力が高い子供は、社会的スキルも高い傾向がある
- 非認知能力を育む教育プログラムを受けた子供は、社会的スキルが向上した
- 非認知能力と社会的スキルの関係は、長期的に見ても維持される
これらの研究から、非認知能力が社会的スキルに与える影響の大きさが分かります。
ただし、社会的スキルには、非認知能力以外の要因も影響を与えています。
例えば、家庭環境や学校生活なども、社会的スキルに関連があるのです。非認知能力は、社会的スキルを高めるための重要な要因の一つですが、それだけですべてを説明することはできません。
非認知能力を育むことは、子供たちの社会的スキルの向上にも役立つ可能性があるでしょう。
非認知能力と言語・認知発達の関係
非認知能力が言語・認知発達に与える影響
言語・認知発達とも関連があることが分かっています。
例えば、自己制御が高い子供は、集中力も高いと考えられています。集中力が高ければ、言語や認知的な学習もはかどるでしょう。
また、忍耐力が高い子供は、難しい課題にも粘り強く取り組むことができます。このように、非認知能力は、言語・認知発達を支える重要な土台となっているのです。
非認知能力と言語・認知発達の関係は、以下のような研究からも示唆されています。
- 非認知能力が高い子供は、言語・認知能力も高い傾向がある
- 非認知能力を育む教育プログラムを受けた子供は、言語・認知能力が向上した
- 非認知能力と言語・認知発達の関係は、長期的に見ても維持される
これらの研究から、非認知能力が言語・認知発達に与える影響の大きさが伺えます。
ただし、言語・認知発達には、非認知能力以外の要因も影響を与えています。例えば、家庭環境や遺伝的な要因なども、言語・認知発達に関連があるのです。
非認知能力は、言語・認知発達を促すための重要な要因の一つですが、それだけですべてを説明することはできません。
介入研究の結果
初めに紹介した論文によれば、非認知能力を育む教育プログラムが、言語・認知発達に与える影響を調べた介入研究があります。
これらの研究では、非認知能力を育むプログラムを受けた子供の言語・認知能力が向上したことが示されています。
例えば、ある研究では、自己制御を育むプログラムを受けた子供の語彙力が高まりました。また、別の研究では、忍耐力を育むプログラムを受けた子供の問題解決能力が向上しました。
介入研究から得られた知見は、以下の通りです。
- 非認知能力を育むプログラムは、言語・認知発達を促進する効果がある
- プログラムの内容は、対象とする非認知能力や年齢によって異なる
- プログラムの効果は、長期的に持続する可能性がある
これらの知見から、非認知能力を育む教育の重要性が分かります。
ただし、介入研究の多くは小規模であり、効果の大きさにはばらつきがあります。そのため、大規模な研究による検証が必要とされています。
非認知能力を育む教育プログラムは、言語・認知発達を促す可能性がありますが、その効果については、さらなる研究が求められています。
縦断研究の結果
非認知能力と言語・認知発達の関係を調べた縦断研究もあります。
縦断研究とは、同じ対象者を長期間にわたって追跡調査する研究のことです。
これらの研究では、非認知能力が高い子供ほど、言語・認知能力も高くなる傾向があることが示されています。
例えば、ある研究では、3歳時の自己制御の高さが、5歳時の語彙力の高さを予測していました。また、別の研究では、5歳時の忍耐力の高さが、10歳時の問題解決能力の高さにつながっていました。
縦断研究から得られた知見は、以下の通りです。
- 非認知能力の高さは、その後の言語・認知能力の高さを予測する
- 非認知能力と言語・認知能力の関係は、長期的に見ても維持される
- 非認知能力のどの側面が言語・認知能力に影響するかは、年齢によって異なる
これらの知見から、非認知能力が言語・認知発達に与える影響の大きさと持続性が分かります。ただし、縦断研究では、非認知能力以外の要因の影響を完全に取り除くことは難しいです。
そのため、因果関係を明らかにするためには、介入研究などによる検証が必要とされています。
非認知能力は健康にどう影響する?
非認知能力と健康の関係
健康の関係については、まだ十分な研究が行われていません。
初めに紹介した論文によれば、非認知能力と身体的健康の関連について、信頼性のある結論を出すことができませんでした。
これは、健康に関する研究の数が少なく、研究の質にばらつきがあったためです。
ただし、非認知能力と健康の関連を示唆する研究もいくつか存在します。例えば、以下のような研究結果が報告されています。
- 自己制御が高い人は、健康的な生活習慣を維持しやすい
- 忍耐力が高い人は、病気の治療に粘り強く取り組むことができる
- 非認知能力を育む教育プログラムを受けた人は、健康行動が改善した
これらの研究から、非認知能力が健康に何らかの影響を与えている可能性は考えられます。
非認知能力と健康の関連を検討するための課題
非認知能力と健康の関連を検討するためには、いくつかの課題に取り組む必要があります。
例えば、以下のような点が挙げられます。
- 健康の定義と測定方法の明確化
- 非認知能力と健康の関連を検討するための適切な研究デザインの選択
- 交絡要因の影響を考慮した分析の実施
- 長期的な影響の検討
これらの課題に取り組むことで、非認知能力と健康の関連をより適切に評価することができるでしょう。
今後の研究の方向性
非認知能力と健康の関連については、今後さらなる研究が求められています。 特に、以下のような点に注目した研究が期待されます。
- 大規模な縦断研究による長期的な影響の検討
- 介入研究による因果関係の検証
- 非認知能力と健康の関連を媒介するメカニズムの解明
- 健康の様々な側面(身体的健康、精神的健康など)との関連の検討
このような研究を通じて、非認知能力と健康の関連についての理解が深まることが期待されます。ただし、これらの研究には多くの時間と労力が必要です。
非認知能力と健康の関連を明らかにするためには、長期的な視点に立った研究の継続が求められるでしょう。
非認知能力と健康の関連については、まだ明らかになっていない部分が多く残されています。しかし、非認知能力が健康に何らかの影響を与えている可能性は十分に考えられます。
今後の研究の進展により、非認知能力と健康の関連がより明確になることが期待されます。
非認知能力の限界:研究上の課題
非認知能力の測定方法の多様性
測定方法は、研究によって様々です。
質問紙や行動観察、課題テストなど、多岐にわたる方法が用いられています。そのため、研究結果を比較することが難しくなっているのです。
また、測定方法によって、非認知能力の捉え方も異なります。例えば、質問紙では子供の日常的な行動を捉えられますが、課題テストでは特定の場面での能力を測定することになります。
非認知能力の測定方法の例は、以下の通りです。
- 質問紙:保護者や教師が子供の行動を評価する
- 行動観察:研究者が子供の行動を直接観察する
- 課題テスト:子供に特定の課題を与え、その成績を評価する
このように、非認知能力の測定方法は多様であり、統一されていません。そのため、研究結果の解釈には注意が必要です。
また、測定方法の違いが、研究結果に影響を与えている可能性もあります。非認知能力研究の発展のためには、測定方法の標準化が求められています。
測定方法の多様性は、非認知能力研究の大きな課題の一つと言えるでしょう。
研究の質の問題
非認知能力研究の中には、研究の質に問題があるものも見受けられます。
例えば、サンプルサイズが小さかったり、対照群が適切に設定されていなかったりする研究があります。
また、交絡要因の影響を十分に考慮していない研究も多いのです。このような研究では、結果の信頼性が低くなってしまいます。
研究の質を高めるためには、以下のような点に注意が必要です。
- サンプルサイズを十分に確保する
- 適切な対照群を設定する
- 交絡要因の影響を考慮する
- 測定方法の信頼性・妥当性を確保する
これらの点に注意することで、研究の質を高めることができるでしょう。
ただし、現状では、質の高い研究は多くありません。そのため、研究結果の解釈には慎重さが求められます。
また、質の高い研究を増やしていくことが、非認知能力研究の発展につながると考えられます。
研究の質の問題は、非認知能力研究の重要な課題の一つです。研究の質を高めるための取り組みが求められています。
長期的な影響の検討不足
非認知能力研究の多くは、短期的な影響しか検討していません。
例えば、教育プログラムの効果を調べる研究では、プログラム終了直後の変化しか見ていないことが多いのです。
しかし、非認知能力の真の意義は、長期的な影響にあると考えられます。非認知能力が高ければ、将来的に良好な発達や適応につながるはずです。
長期的な影響を検討するためには、以下のような研究が求められます。
- 縦断研究:同じ対象者を長期間にわたって追跡する
- フォローアップ研究:介入研究の対象者を長期間にわたって追跡する
- ライフコース研究:人生の様々な段階での非認知能力の影響を検討する
このような研究によって、非認知能力の長期的な影響を明らかにすることができるでしょう。ただし、現状では、長期的な影響を検討した研究は多くありません。
そのため、非認知能力の真の意義については、まだ分かっていないことが多いのです。
非認知能力研究の発展のためには、長期的な影響を検討する研究が求められています。長期的な影響の検討不足は、非認知能力研究の限界の一つと言えるでしょう。
小規模研究バイアスの可能性
非認知能力研究の中には、小規模な研究が多く含まれています。
小規模な研究では、効果量が過大に推定されやすいことが知られています。
これを小規模研究バイアスと呼びます。小規模研究バイアスが生じる原因としては、以下のようなものが考えられます。
- 出版バイアス:効果量が大きい研究ほど出版されやすい
- 研究者のバイアス:効果量が大きくなるような分析を行いやすい
- 測定の問題:サンプルサイズが小さいと、測定誤差の影響が大きくなる
このような問題から、小規模な研究では、効果量が過大に推定されやすくなるのです。
実際に、非認知能力研究のメタ分析では、小規模研究バイアスの可能性が指摘されています。
そのため、非認知能力研究の結果は、過大評価されている可能性があります。
小規模研究バイアスを避けるためには、以下のような点に注意が必要です。
- 大規模な研究を行う
- 事前に分析方法を登録する
- 効果量の信頼区間を報告する
- メタ分析では、小規模研究バイアスの影響を検討する
これらの点に注意することで、小規模研究バイアスの影響を最小限に抑えることができるでしょう。
ただし、現状では、非認知能力研究の多くが小規模であり、バイアスの影響を受けている可能性があります。そのため、研究結果の解釈には慎重さが求められます。
小規模研究バイアスは、非認知能力研究の限界の一つです。大規模な研究を増やしていくことが、非認知能力研究の発展につながると考えられます。
まとめ:非認知能力の限界と効果
非認知能力の効果のまとめ
これまで見てきたように、非認知能力は、学力、精神健康、言語・認知発達、健康など、様々な側面に影響を与えています。
非認知能力が高い子供は、それぞれの側面で良好な発達を遂げやすいと言えるでしょう。また、非認知能力を育む教育プログラムにも、一定の効果があることが示されています。
非認知能力の主な効果は、以下の通りです。
- 学力:非認知能力が高い子供は、学力も高い傾向がある
- 精神健康:非認知能力が高い子供は、精神的に健康である傾向がある
- 言語・認知発達:非認知能力が高い子供は、言語・認知能力も高い傾向がある
- 健康:非認知能力が高い子供は、健康状態が良好な傾向がある
このように、非認知能力は、子供の発達に広範な影響を与えていると考えられます。
ただし、これらの効果は、あくまで傾向であり、個人差も大きいです。また、効果量は研究によってばらつきがあり、必ずしも大きいとは言えません。
非認知能力の限界
非認知能力研究からは、非認知能力の限界も明らかになっています。 例えば、非認知能力の効果量は、全体として小さめであると考えられます。
また、非認知能力以外の要因の影響も大きいことが示唆されています。非認知能力は、子供の発達に重要な役割を果たしていますが、それだけですべてを説明することはできないのです。
非認知能力の主な限界は、以下の通りです。
- 効果量の小ささ:非認知能力の効果は、全体として小さめである
- 他の要因の影響:非認知能力以外の要因も、子供の発達に影響する
- 測定の難しさ:非認知能力の測定方法は、まだ確立されていない
- 長期的な影響の不明確さ:非認知能力の長期的な影響は、まだ十分に検討されていない
このように、非認知能力研究には、まだ多くの課題があります。非認知能力の重要性は認識されつつありますが、その効果や意義については、まだ分かっていないことが多いのです。
研究の発展のためには、これらの限界を踏まえた上で、より質の高い研究を積み重ねていく必要があります。
非認知能力の限界を理解することは、非認知能力研究の健全な発展につながるでしょう。
今後の研究の方向性
非認知能力研究の限界と課題を踏まえると、今後の研究の方向性としては、以下のような点が考えられます。
- 大規模な研究の実施:小規模研究バイアスを避けるために、大規模な研究を行う
- 長期的な影響の検討:非認知能力の真の意義を明らかにするために、長期的な影響を検討する
- 測定方法の標準化:非認知能力の測定方法を標準化し、研究結果の比較可能性を高める
- 他の要因との関連の検討:非認知能力以外の要因の影響を考慮し、より包括的な理解を目指す
このような方向性で研究を進めることで、非認知能力の限界と効果をより明確にすることができるでしょう。
ただし、これらの研究には、多くの時間と労力が必要です。非認知能力研究の発展のためには、長期的な視点に立った取り組みが求められます。
非認知能力研究は、まだ発展途上の分野です。しかし、その重要性は広く認識されつつあります。
健全な発展のためには、現状の非認知能力の限界と課題を踏まえつつ、着実に研究を積み重ねていくことが必要不可欠です。非認知能力研究の今後の展開に期待が持たれます。
最後に
以上、非認知能力の限界について見てきました。
非認知能力は、学力、精神健康、言語・認知発達、健康など、様々な分野に影響を与えていることが分かりました。非認知能力が高い子供は、それぞれの分野で良好な発達を遂げやすいと言えるでしょう。
ただし、非認知能力の効果は万能ではありません。効果の大きさは全体として限定的であり、非認知能力以外の要因の影響も無視できません。
また、非認知能力の測定方法や長期的な影響については、まだ十分に解明されていない部分もあります。
非認知能力は、子供の健やかな成長を支える重要な要素の一つですが、それだけですべてを説明できるわけではないのです。
非認知能力を育むことは大切ですが、同時に、子供の発達に関わる他の要因にも目を向ける必要があります。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。