行動活性化は、毎日の生活習慣や行動パターンを意識的に変えることで、性格や健康に良い影響を与える方法です。
難しい理論や専門的な知識がなくても取り組めるのが魅力で、短期間でも成果が出やすいとされています。
今回紹介する「Personality Promotion: The Impact of Coaching and Behavioral Activation on Facet Level Personality Change and Health Outcomes」では、この方法を使って誠実性や外向性などの性格特性が向上し、心と体の健康感もアップしたという結果が示されています。
自分を変えたい、もっと元気で充実した毎日を送りたいと思っているなら、この方法はきっと役立つはずです。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
※以下のHEXACO-JP診断は個人向けになります。サンブレイズテストは法人向けになります。


行動活性化とは何か
行動活性化の基本的な考え方
行動活性化は、日常の行動を計画的に変える方法です。
もともとは気分の落ち込みを改善する心理療法の一つです。
ですが、この方法は性格特性にも影響します。
特に、誠実性や外向性といった性格が変わることがあります。
行動活性化では、自分の行動を見直し、より健康的な行動を増やします。
具体的には、行動を記録して目標を立てます。
また、友人や家族に報告し、達成を確認してもらいます。
このように、意識的な行動の積み重ねが性格や健康を改善します。
たとえば、研究では5週間の実践で論理的思考や準備性が向上しました。
さらに、エネルギーが増し、感情的な問題の影響が減りました。
- 行動の記録
- 目標設定
- 周囲からのサポート
- 進捗の確認
これらが行動活性化の柱です。
短期間でも効果が出るのが魅力です。
性格特性との関わり
性格特性は人の行動や考え方の傾向です。
ビッグファイブ理論では、性格は5つに分けられます。
誠実性は約束を守る力や計画性のことです。
外向性は人との交流を楽しむ傾向です。
協調性は思いやりや優しさです。
情動性は不安や落ち込みやすさの度合いです。
開放性は新しいことに挑戦する姿勢です。
行動活性化は、こうした特性の中でも誠実性に強く作用します。
論文では、5週間で誠実性の論理性と準備性が向上しました。
行動の整理と計画が、性格に変化をもたらします。
- 誠実性向上
- 外向性促進
- 情動性低下
性格の一部を変えることで、生活全体が変わります。
短期間での変化の可能性
行動活性化は短期間で成果を出せます。
研究では5週間や12週間で性格特性が変わりました。
特に、論理的な判断や計画性の向上が見られました。
外向性や協調性の改善も報告されています。
これは、日常の小さな行動の積み重ねが大きな変化を生むためです。
例えば、1日1つの新しい行動を続けることです。
- 新しい活動への挑戦
- 目標達成の記録
- 周囲との協力
こうした積極的な取り組みが短期間の変化を促します。
わずかな期間でも性格が変わる可能性があります。
健康への影響
行動活性化は心と体の健康にも良い影響を与えます。
研究ではエネルギーの増加が確認されました。
また、感情的な問題による生活の制限が減りました。
一般的な健康感も向上しています。
性格の変化と健康の改善は密接に関連します。
- 活力の向上
- 感情的負担の軽減
- 健康的行動の増加
こうした効果は、生活の質全体を高めます。
日々の行動改善が健康にもつながります。
誠実性に効果がある理由
誠実性は計画性や責任感に関わる特性です。
行動活性化は、計画を立てて行動する練習になります。
行動を記録し、目標を立て、進捗を確認します。
これが誠実性の向上に直結します。
研究では、準備性が平均7.37から8.04に向上しました。
論理性も4.47から5.70に改善しました。
- 計画の習慣化
- 実行の積み重ね
- 振り返りの実施
こうしたプロセスが誠実性を高めます。
計画的な生活は性格の成長を促します。
行動活性化の進め方
自分の行動を記録する方法
まずは毎日の行動を記録することが重要です。
何をしたか、いつしたか、どんな気分だったかを書きます。
紙のノートやスマホのメモでもかまいません。
記録は自分の生活のパターンを知るための材料です。
行動活性化では、健康的な行動と不健康な行動を分けます。
研究でも参加者は毎日チェックリストに○×をつけました。
この習慣が行動の見直しにつながります。
- 行動の内容
- 実施した時間
- そのときの気分
これらを簡潔に書くことが大切です。
続けることで改善点が見えてきます。
記録は自分を客観的に見る手段です。
健康的な行動の見つけ方
健康的な行動を見つけるには観察が必要です。
普段の生活で気分が良くなる行動に注目します。
例えば運動、読書、友人との会話などです。
逆に疲れや不安を増やす行動も把握します。
研究では、参加者に良い行動例のリストが渡されました。
そこから自分に合うものを選びます。
- 体を動かす活動
- 学びや創造的な活動
- 人との交流
これらは健康と幸福感を高めます。
自分に合った行動を知ることが第一歩です。
行動目標の作り方
行動目標は具体的で測れる形にしましょう。
「運動する」ではなく「週3回30分歩く」と設定します。
達成の有無がはっきり分かることが大事です。
研究では週ごとに目標を決め、達成したら自分に報酬を与えました。
小さな成功がやる気を高めます。
- 具体的な内容
- 達成の基準
- 実行の期限
この3つを明確にすると行動が続きます。
目標は達成感を感じられるレベルが理想です。
難易度の順に行動を並べる
行動は難易度の順に並べて取り組みます。
簡単なものから始めると続けやすくなります。
研究では1から15までの難易度順に行動をリスト化しました。
難しい行動は後半に挑戦します。
こうすることで途中で挫折しにくくなります。
- 簡単な行動で勢いをつける
- 中程度の行動で習慣化
- 難しい行動で自信を強化
段階的に進めることで成果が安定します。
進み具合をグラフで見る
進捗を目に見える形にすると効果的です。
行動の実行回数をグラフにして確認します。
研究では達成回数を表にして可視化しました。
増えていく記録が自信につながります。
また、停滞しているときは改善のヒントになります。
- 実行回数の推移
- 成功率の変化
- モチベーションとの関係
これらを見える化することで継続しやすくなります。
数字とグラフは努力の証になります。
行動活性化がもたらす変化
論理的な考え方が増える
行動活性化は論理的な思考力を高めます。
研究では、誠実性の一部である論理性が向上しました。
平均スコアは4.47から5.70に上がっています。
論理的な考え方とは、感情より事実に基づいて判断する力です。
日々の行動を計画し、実行する過程でこの力が鍛えられます。
- 事実に基づく判断
- 感情に流されない思考
- 計画的な行動選択
これらが積み重なり、意思決定の質が向上します。
計画を立てる習慣は、論理的な視点を育てます。
準備がしっかりできるようになる
行動活性化は準備性も向上させます。
準備性とは、事前に必要な準備を整える力です。
研究では平均スコアが7.37から8.04に改善しました。
行動前に必要な手順や道具を整える習慣が身につきます。
- 行動の計画
- 必要物の確認
- 時間配分の工夫
これにより、物事をスムーズに進められます。
準備が整うと失敗の可能性が減ります。
日常生活全般で安心感が増すのも特徴です。
エネルギーが増える
行動活性化は活力を高めます。
研究ではエネルギーの平均値が50.56から56.48に上がりました。
エネルギーが増えると、疲れにくく行動的になります。
行動を積極的に起こすことで体力と気力が刺激されます。
- 疲労感の減少
- 活動量の増加
- 集中力の向上
これらが相互に作用して元気が続きます。
日々の積極的な活動が活力を支えます。
感情的な問題の影響が減る
行動活性化は感情的問題による制限を減らします。
研究では、この制限の平均値が60.49から75.31に向上しました。
感情的な不安や落ち込みが生活に与える影響が少なくなります。
行動を続けることで自信がつき、精神的な安定が増します。
- 不安の軽減
- 自己肯定感の向上
- 行動範囲の拡大
こうした変化が日常の自由度を高めます。
精神的な壁が低くなり、行動しやすくなります。
生活の満足度が上がる
行動活性化は生活全体の満足感を高めます。
論文では性格特性の変化と健康感の向上が同時に見られました。
特に誠実性や外向性の向上が幸福感に直結しました。
計画性や社交性の改善は、日々の充実感を高めます。
- 健康感の向上
- 人間関係の改善
- 目標達成の喜び
こうした要素が生活満足度を押し上げます。
自分の成長を感じられることが喜びにつながります。
行動活性化とコーチングの組み合わせ
コーチングの基本的な流れ
コーチングは目標達成を支える方法です。
行動活性化と組み合わせると効果が高まります。
研究では、自己理解と計画、そして進捗確認を行いました。
流れは以下のようになります。
- 改善したい性格特性を決める
- その特性を伸ばす行動案を知る
- 目標を設定し実行する
- 進捗を自分と他者で確認する
この手順を12週間続けることで性格が変化しました。
自己意識を高めることが成功の鍵になります。
外向性を高める方法
外向性は人との交流や積極性を指します。
研究では、次のような行動が推奨されました。
- 社交の機会を増やす
- 主張をはっきり伝える
- 会話の回数を増やす
これらを計画的に実践すると外向性が上がります。
交流が増えると自己表現が自然にできるようになります。
結果として外向性のスコアが有意に上昇しました。
小さな会話から始めるのが効果的です。
協調性を高める方法
協調性は思いやりや柔らかい対応を表します。
研究では次の行動が推奨されました。
- 相手に共感する言葉をかける
- 温かいコメントを意識する
- 対立を避ける行動を選ぶ
- 困っている人を助ける
こうした行動を続けることで協調性が向上します。
対人関係が円滑になり、信頼が深まります。
結果として協調性のスコアも改善しました。
誠実性を高める方法
誠実性は計画性や責任感を表します。
研究で用いられた行動は以下の通りです。
- 日程や行動の計画を立てる
- 具体的な目標を作る
- 目標の進み具合を記録する
- 片付けや整理整頓を習慣にする
- 時間を守る行動を心がける
これらを続けることで誠実性が高まりました。
計画と実行の繰り返しが習慣になります。
情動性を下げる方法
情動性は不安や落ち込みやすさを表します。
研究では、情動性を下げる行動として以下が挙げられました。
- 効果的なストレス対処法を身につける
- リラックス方法を試す
- 瞑想を行う
- 安定した判断を心がける
これらの行動で情動性が低下しました。
感情に左右されにくくなり、精神的な安定が増します。
安定した気持ちは行動の質を高めます。
行動活性化の健康効果
一般的な健康感の向上
行動活性化は健康感を高める効果があります。
研究では、一般的な健康感の平均値が上昇しました。
これは日常の行動が整うことで体調管理がしやすくなるためです。
また、達成感が精神面にも良い影響を与えます。
- 規則正しい生活
- 健康的な行動の習慣化
- 達成による自信の向上
こうした要素が健康感を押し上げます。
心と体の両面から健康を感じられるようになります。
心の健康が良くなる
行動活性化は精神的な安定を促します。
研究では感情的な問題による生活の制限が減りました。
日常で計画的に行動することが不安や落ち込みを減らします。
また、成功体験が自己肯定感を強めます。
- 不安の軽減
- 気分の安定
- 自信の向上
これらが相互に作用し、心の健康を支えます。
精神的な余裕は生活全体の質を高めます。
社会的なつながりが増える
行動活性化は人間関係にも良い影響を与えます。
特に外向性や協調性が高まると交流が増えます。
研究では、他者との関わりが活発になった報告がありました。
- 会話や交流の機会が増える
- 信頼関係が深まる
- 社会的支援を受けやすくなる
こうした変化が孤立感を減らします。
つながりは心の支えにもなります。
健康的な行動が習慣化する
行動活性化は健康的な行動を続けやすくします。
計画と記録を繰り返すことで習慣が定着します。
例えば運動や栄養のある食事などが自然と生活に組み込まれます。
- 定期的な運動
- バランスの取れた食事
- 十分な休養
これらが生活習慣として根付きます。
継続は健康維持の基盤になります。
長期的な生活の質の向上
行動活性化は長期的にも生活の質を高めます。
性格の変化と健康行動の定着がその理由です。
研究では誠実性や外向性の向上が健康感の改善に結びつきました。
- 計画的な生活
- 健康的な人間関係
- 活力ある日常
これらが積み重なり、将来の生活満足度を高めます。
小さな変化が長期的な幸福へつながります。
最後に
行動活性化は、自分の生活を少しずつ良い方向に変えるためのシンプルで実践的な方法です。特別な道具や難しい知識はいらず、毎日の行動を記録し、目標を立てて計画的に行動するだけで始められます。
今回紹介した研究では、5週間から12週間の短期間で誠実性や外向性、協調性が向上し、情動性が下がるという変化が見られました。
さらに、エネルギーが増えたり、感情的な問題による生活の制限が減ったりと、心と体の健康にも良い影響があったのです。
小さな行動の積み重ねが、性格や健康、そして生活全体の満足度を高めてくれます。
もし今の自分を少しでも良くしたい、もっと充実した毎日を送りたいと感じているなら、行動活性化を試してみる価値は十分にあります。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、論文3本執筆(うち1本ジャーナル掲載)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。