ADHDと性格の関係について、大規模なメタ分析の研究結果が発表されました。
ADHDは、不注意や多動・衝動性を特徴とする発達障害です。
学業や日常生活に様々な困難を引き起こすことが知られています。
一方、性格は、私たちの行動や考え方に大きな影響を与える要因の一つです。
この研究では、ADHDと性格がどのように関連しているのかを明らかにするため、これまでに行われた40以上の研究を統合的に分析しました。
論文のタイトルは「ADHD and personality: a meta-analytic review」です。
この研究は、ADHDの理解を深める上で重要な知見を提供するものです。
では、この研究の詳細を見ていきましょう。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
ADHDと性格の関連を調べた大規模メタ分析
40の研究、1万2千人以上のデータを統合
ADHDと性格の関連を調べたメタ分析では、40もの研究から1万2千人以上のデータが集められました。
メタ分析とは、複数の研究結果を統合して、全体的な傾向を明らかにする手法です。
個々の研究では対象者の数が限られていますが、メタ分析ではそれらを合わせることで、より信頼性の高い結果が得られるのです。
今回の研究では、これまでに行われた40の研究から、のべ1万2千人以上のデータが集められました。
ADHDと性格の関連について、より確かな知見が得られることが期待されます。
この大規模なデータを用いて、ADHDと性格の関係が詳細に分析されました。
メタ分析によって、これまでの研究結果が統合され、ADHDと性格の関連についての全体像が明らかになりました。個々の研究では得られなかった、より確かな知見が得られたのです。
不注意と多動・衝動性の症状に分けて分析
ADHDの中核症状である不注意と多動・衝動性について、それぞれ性格との関連が調べられました。
ADHDは、不注意(集中が続かない、物事を忘れやすいなど)と、多動・衝動性(じっとしていられない、考えなしに行動してしまうなど)の症状を特徴とする発達障害です。
これら2つの症状は、それぞれ異なる特徴を持っています。
そこで今回の研究では、不注意と多動・衝動性を区別して、性格との関連を調べました。
このように症状を分けて分析することで、より詳細な関係性が明らかになると考えられました。
その結果、不注意と多動・衝動性では、性格との関連の仕方に違いがあることが分かったのです。
ADHDの症状を区別して分析したことで、性格との関連についてのより深い理解が得られました。不注意と多動・衝動性では、性格特性との結びつきに違いがあることが示されたのです。
性格は5因子モデルと統合的5因子モデルで整理
性格特性を整理するために、5因子モデル(FFM)と統合的5因子モデル(IFFM)が用いられました。
測定方法には様々なものがありますが、それらを整理する代表的な枠組みが、5因子モデル(FFM)です。
FFMでは、性格特性を次の5つの因子で説明します。
- 開放性(O):知的好奇心、想像力、創造性など
- 誠実性(C):責任感、計画性、自己規律など
- 外向性(E):社交性、活発さ、積極性など
- 協調性(A):思いやり、協力的、寛容さなど
- 神経症傾向(N):情緒不安定、不安になりやすいなど
また、今回の研究では統合的5因子モデル(IFFM)も用いられました。
IFFMは、FFMに加え、他の性格モデルの因子も統合したモデルです。
これらのモデルを用いることで、性格特性を包括的に捉えることができます。
5因子モデルと統合的5因子モデルによって、性格特性が整理され、ADHDとの関連が体系的に調べられました。複数のモデルを用いることで、性格をより幅広く捉えることができたのです。
ADHDと関連が強かった性格特性Top3
第1位は「誠実性の低さ」
ADHDと最も関連が強かった性格特性は、「誠実性の低さ」でした。MBTIだとPになります。
誠実性は、責任感、計画性、自己規律などに関わる性格特性です。
ADHDの人は、物事を計画通りに進めたり、自分の行動をコントロールしたりすることが苦手なことが知られています。
今回の結果から、こうした特徴が誠実性の低さと関連していることが分かりました。
特に不注意症状との関連が強く、多動・衝動性症状とも関連が見られました。
つまり、ADHDの中核症状と誠実性の低さが密接に結びついているのです。
注目すべきは、この関連の強さです。
他の性格特性と比べても、誠実性の低さは突出してADHDと関連していました。
誠実性の低さは、ADHDの特徴を最も強く反映する性格特性だと言えるでしょう。
ADHDの中核的な問題である、計画性や自己コントロールの難しさが、誠実性の低さに表れていると考えられます。
第2位は「神経症傾向の高さ」
ADHDと2番目に関連が強かったのは、「神経症傾向の高さ」でした。MBTIだと最後のAかTのTになります。
神経症傾向は、情緒不安定、不安になりやすいなどの特徴を表す性格特性です。
ADHDの人は、ストレスへの脆弱性が高く、感情のコントロールが難しいことが知られています。
今回の結果は、こうした特徴が神経症傾向の高さと関連していることを示しています。
不注意症状、多動・衝動性症状のどちらとも、有意な関連が見られました。
ADHDの中核症状と神経症傾向の高さが結びついているのです。
この結果から、ADHDの人は感情面の問題を抱えやすいことが分かります。
ストレスに弱く、不安を感じやすいという特徴が、神経症傾向の高さに反映されているのでしょう。
また、神経症傾向の高さは、ADHDの二次的な問題とも関係があると考えられます。
ADHDによる生活の困難さが、情緒面の不安定さにつながっている可能性があります。
神経症傾向の高さは、ADHDの中核症状だけでなく、二次的な問題とも関連する重要な性格特性だと言えます。
ADHDの人の感情面の特徴を理解する上で、神経症傾向に着目することが大切だと分かりました。
第3位は「協調性の低さ」
ADHDと3番目に関連が強かったのは、「協調性の低さ」でした。MBTIだとTになります。
協調性は、思いやり、協力的、寛容さなどに関わる性格特性です。
ADHDの人は、対人関係での問題を抱えやすいことが知られています。
今回の結果から、こうした特徴が協調性の低さと関連していることが分かりました。
多動・衝動性症状との関連が特に強く、不注意症状とも関連が見られました。
つまり、ADHDの中核症状と協調性の低さが結びついているのです。
ADHDの人は、他者の気持ちを理解したり、協力したりすることが苦手なのでしょう。
衝動的な行動が、対人関係のトラブルにつながっている可能性もあります。
また、協調性の低さは、ADHDの二次的な問題とも関係があると考えられます。
対人関係の難しさが、社会生活での不適応につながっているのかもしれません。
協調性の低さは、ADHDの中核症状だけでなく、二次的な問題とも関連する重要な性格特性だと言えます。
ADHDの人の対人面での特徴を理解する上で、協調性に着目することが大切だと分かりました。
不注意と多動・衝動性で関連の強さが違う
誠実性の低さは不注意とより強く関連
誠実性の低さは、ADHDの不注意症状と特に強く関連していました。
一方、多動・衝動性症状とも関連は見られましたが、不注意症状ほど強くはありませんでした。
この結果から、誠実性の低さは不注意の問題と密接に結びついていることが分かります。
不注意症状は、計画性や自己規律の難しさを反映しています。
こうした特徴が、誠実性の低さと強く関連しているのでしょう。
一方、多動・衝動性症状は、行動のコントロールの難しさを反映しています。
誠実性の低さとの関連は見られるものの、不注意症状ほど強くないのです。
このように、ADHDの症状によって、誠実性との関連の強さに違いがあることが分かりました。
不注意の問題は、誠実性の低さと特に密接に結びついているのです。
この結果は、ADHDの症状の違いを理解する上で重要な知見だと言えます。
誠実性の低さがADHDと関連することは分かっていましたが、不注意症状との結びつきが特に強いことが明らかになりました。ADHDの症状の理解を深める上で、重要な発見だと言えるでしょう。
協調性の低さは多動・衝動性とより強く関連
協調性の低さは、ADHDの多動・衝動性症状と特に強く関連していました。
不注意症状とも関連は見られましたが、多動・衝動性症状ほど強くはありませんでした。
この結果から、協調性の低さは多動・衝動性の問題と密接に結びついていることが分かります。
多動・衝動性症状は、行動のコントロールの難しさを反映しています。
衝動的な行動が、対人関係のトラブルにつながっているのでしょう。
一方、不注意症状は、集中力や注意力の問題を反映しています。
協調性の低さとの関連は見られるものの、多動・衝動性症状ほど強くないのです。
このように、ADHDの症状によって、協調性との関連の強さに違いがあることが分かりました。
多動・衝動性の問題は、協調性の低さと特に密接に結びついているのです。
この結果は、ADHDの症状の違いを理解する上で重要な知見だと言えます。
協調性の低さがADHDと関連することは分かっていましたが、多動・衝動性症状との結びつきが特に強いことが明らかになりました。ADHDの症状の理解を深める上で、重要な発見だと言えるでしょう。
外向性の高さは多動・衝動性のみと関連
外向性の高さは、ADHDの多動・衝動性症状とのみ関連が見られました。
一方、不注意症状とは関連が見られませんでした。
この結果から、外向性の高さは多動・衝動性の問題と選択的に結びついていることが分かります。
外向性は、社交性、活発さ、積極性などの特徴を表しています。
こうした特徴が、ADHDの多動・衝動性症状と重なっているのでしょう。
活発で衝動的な行動が、外向性の高さに反映されているのかもしれません。
一方、不注意症状は、集中力や注意力の問題を反映しています。
外向性の高さとは直接的な関連がないと考えられます。
このように、ADHDの症状によって、外向性との関連の有無に違いがあることが分かりました。
多動・衝動性の問題は、外向性の高さと選択的に結びついているのです。
この結果は、ADHDの症状の違いを理解する上で重要な知見だと言えます。
外向性の高さがADHDと関連することは予想外の結果でしたが、多動・衝動性症状とのみ結びつきが見られることが明らかになりました。ADHDの症状の理解を深める上で、重要な発見だと言えるでしょう。
年齢や対象者の違いでも関連に差
子供は大人より誠実性と多動・衝動性の関連が強い
子供のADHDでは、誠実性の低さと多動・衝動性症状の関連が、大人よりも強いことが分かりました。
この結果から、発達段階によって、ADHDと性格の関連に違いがあることが示唆されます。
子供の時期は、自己コントロールの力が未熟で、衝動的な行動が目立ちやすいと言われています。
こうした特徴が、誠実性の低さと多動・衝動性症状の関連の強さに表れているのかもしれません。
一方、大人になると、自己コントロールの力が発達し、衝動的な行動が抑えられるようになります。
その結果、誠実性の低さと多動・衝動性症状の関連が弱まるのでしょう。
このように、年齢によって、ADHDと性格の関連の強さが変化することが分かりました。
特に、誠実性と多動・衝動性の関連は、子供の時期に強く、大人になると弱まる傾向があるのです。
この結果は、ADHDの理解を深める上で重要な知見だと言えます。
ADHDと性格の関連は、発達段階によって変化することを示唆しています。 子供のADHDでは、性格特性との結びつきがより強く現れる可能性があるのです。
ADHDの理解や支援を考える上で、発達段階の違いを踏まえることが大切だと分かりました。
臨床サンプルは一般サンプルより関連が強い傾向
ADHDと性格の関連は、臨床サンプル(病院などを受診した人)で、一般サンプル(地域の調査などで抽出された人)よりも強い傾向が見られました。
この結果から、ADHDの重症度によって、性格との関連の強さが変化することが示唆されます。 臨床サンプルは、ADHDの症状が重く、日常生活に支障をきたしている人が多いと考えられます。
こうした人では、性格特性との結びつきがより強く現れるのかもしれません。 一方、一般サンプルは、ADHDの症状が比較的軽い人も含まれています。
その結果、性格特性との関連が弱まるのでしょう。 ただし、一般サンプルでも有意な関連が見られたことから、ADHDと性格の結びつきは一般的な傾向だと言えます。
重症度によって関連の強さは変化するものの、ADHDと性格の関連自体は普遍的なのです。 このように、対象者の違いによって、ADHDと性格の関連の強さが変化することが分かりました。
臨床サンプルでは関連がより強く、一般サンプルでは関連が弱まる傾向があります。 ただし、一般サンプルでも関連は見られることから、ADHDと性格の結びつきは一般的な傾向だと言えるでしょう。
ADHDの理解を深める上で、重症度の違いを考慮することが大切だと分かりました。
単一原因か複数原因か?ADHDの病因モデル論争に示唆
不注意と多動・衝動性に共通の性格基盤を支持
今回の結果から、ADHDの不注意症状と多動・衝動性症状には、共通の性格的基盤があることが示唆されました。
誠実性の低さと神経症傾向の高さは、どちらの症状とも関連が見られたのです。
この結果は、ADHDの病因を単一の要因で説明する「単一原因モデル」を支持すると言えます。 単一原因モデルでは、ADHDの様々な症状は、共通の原因から生じると考えます。
今回の結果は、その共通の原因が、誠実性の低さや神経症傾向の高さなどの性格特性である可能性を示しています。
ADHDの不注意症状と多動・衝動性症状は、これらの性格特性を共通の基盤としているのかもしれません。 このように、今回の結果は、ADHDの病因理解に重要な示唆を与えています。
不注意と多動・衝動性に共通の性格的基盤があることが分かったのです。 この結果は、ADHDが単一の原因から生じるという考え方を支持しています。
ADHDの症状の背景には、共通の性格特性があると考えられます。 ただし、性格特性以外の要因も関与している可能性があるため、さらなる検討が必要でしょう。
ADHDと性格の関係についてのよくある質問
ADHDの特徴を示す最も重要な性格特性は何ですか?
メタ分析の結果、「誠実性の低さ」が最も強くADHDと関連していました。これは責任感、計画性、自己規律に関わる特性で、ADHDの中核的な困難をよく反映しています。
不注意症状と多動・衝動性症状で性格との関連に違いはありますか?
はい、症状により関連性に違いがあります。不注意症状は誠実性の低さと特に強く関連し、多動・衝動性症状は協調性の低さや外向性の高さとより密接な関係にあります。
ADHDの人は必ず神経症傾向が高くなるのですか?
必ずしもそうではありませんが、統計的に神経症傾向の高さはADHDと関連が見られます。これは感情面の不安定さやストレスへの脆弱性を表していると考えられます。
年齢によってADHDと性格の関連の強さは変わりますか?
はい、発達段階により違いが見られます。子供では大人よりも誠実性の低さと多動・衝動性の関連が強く、自己コントロール能力の発達が関係していると考えられます。
ADHDは性格の問題なのでしょうか?
いいえ、ADHDは性格の問題ではなく発達障害です。ただし、ADHDの症状は特定の性格特性と関連があることがわかっており、これは症状理解の手がかりとなります。
メタ分析の結果はすべてのADHDの人に当てはまりますか?
メタ分析は統計的な傾向を示すものであり、個々のADHDの人すべてに当てはまるわけではありません。症状の現れ方や性格特性には個人差があることを理解することが大切です。




