政治的信頼って、正直あまり意識したことがないという人も多いのではないでしょうか。
ニュースで政治の話題を見ても、「どうせ変わらない」と感じてしまう。
そんな“あるある”の気持ちが、実は社会全体に影響しているかもしれません。
従来は「政治的信頼が下がると民主主義が危なくなる」と考えられてきました。
だからこそ、信頼の低下は不安材料とされてきたのです。
しかし、本当に政治的信頼はそこまで重要なのでしょうか。
感覚ではなく、データで確かめた研究は意外と少なかったのです。
そこで注目されたのが、ダニエル・ディバインによる論文「Does Political Trust Matter? A Meta-analysis on the Consequences of Trust」です。
イギリスのサウサンプトン大学(University of Southampton)の研究で、学術誌『Political Behavior』に2024年に掲載されました。
61本の研究、約360万件のデータをまとめた大規模分析から、政治的信頼が投票や政策への態度、感染症対策の協力とどう関係するのかが明らかになりました。
この記事では、その結果をやさしく解説します。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
政治的信頼とは何か――低下が不安と言われる理由から考える
政治的信頼が注目される理由
まず政治的信頼は社会の安定に関わる大事な力です。
政治的信頼とは、政府や議会を信じる気持ちです。
これは民主主義を支える土台とされます。
実際、長年重要だと言われてきました。
しかし、本当に影響があるのかは不明でした。
そこで61本の研究が集められました。
合計で約360万件の回答が分析されました。
一方で、信頼は減っているとも言われます。
だからこそ、不安が広がっています。
まとめると、政治的信頼は重要と考えられてきましたが、数字で確かめた研究は少なかったのです。
何を「信頼」するのか(政府・議会・政治家など)
政治的信頼は誰を信じるかで意味が変わります。
多くの調査では次の対象が聞かれます。
・政府
・議会
・政治家
・政党
つまり、特定の人や組織への信頼です。
これを制度への信頼とも呼びます。
さらに、いくつかを合計する方法もあります。
しかし、細かな違いは十分に測れていません。
そのため、信頼の中身は少しあいまいです。
要するに、政治的信頼は対象が広く、測り方にも幅があるのです。
信頼と不信の違いが議論されている
また信頼がないことと不信は同じではありません。
信頼がないとは、様子を見る状態です。
不信とは、強く疑う気持ちです。
つまり、気持ちの強さが違います。
近年、この違いが注目されています。
しかし、調査では多くが信頼だけを聞きます。
そのため、細かな感情は分かりません。
もしあなたが先生を信じないなら?
静かに様子を見るかもしれません。
ですが、強く疑えば反発するでしょう。
この違いを測る研究はまだ少ないです。
まとめると、信頼と不信は別物ですが、調査では十分に区別されていません。
信頼が「良いことだけ」とは限らない
政治的信頼は必ずしも良い結果だけを生みません。
一般に、信頼は前向きと考えられます。
しかし、注意も必要です。
例えば、強い信頼が誤情報を信じさせることもあります。
ある研究では、人物への信頼が陰謀的な考えと結びつきました。
つまり、信頼の向きが重要です。
制度全体への信頼と、特定人物への信頼は違います。
どちらも同じ結果になるとは限りません。
ですから、信頼は両面を持ちます。
結局のところ、政治的信頼は良い面もあれば、慎重に見る面もあるのです。
この論文が調べたことの全体像
この研究は信頼の結果を大規模にまとめました。
61本の研究が対象です。
329個の分析結果が集められました。
観察データは約360万件です。
分析では共通の基準にそろえました。
そのうえで全体の傾向を見ました。
結果は小から中程度の関係でした。
つまり、影響はゼロではありません。
ただし、すべてを決める力でもありません。
まとめると、この研究は信頼の影響を数字で整理し、全体像を示した点が重要です。
政治的信頼と投票行動のアウトカム――離れるのか、関わるのか
政治的信頼と投票率の関係
まず政治的信頼が高い人ほど投票しやすい傾向がありました。
投票率との関係は約0.06でした。
これは小さいが意味はあります。
つまり、信頼が高い人は参加しやすいです。
一方で、効果は大きくありません。
もしあなたが学校の選挙に参加するとします。
先生を信じていれば投票しやすいでしょう。
逆に不安が強ければ迷うかもしれません。
そのような差が少し見られました。
要するに、信頼は投票を後押ししますが、決定的ではありません。
政治的信頼と「挑戦者政党」への投票の関係
信頼が低いほど体制批判の政党を選びやすいです。
関係は約マイナス0.05でした。
小さいがはっきりした傾向です。
挑戦者政党とは既存政治を変えたい政党です。
つまり、不満が投票に表れます。
もしあなたが学校の運営に不満なら?
改革を訴える人に入れるでしょう。
その心理に近いです。
ただし、全員がそうなるわけではありません。
結論として、信頼の低さは変化を求める投票につながりやすいです。
政治的信頼は体制への関わり方を変える
信頼は政治との距離を左右します。
高い信頼は参加を保ちます。
低い信頼は距離を広げます。
この考えは出口と呼ばれます。
出口とは、関わらなくなることです。
一方、声を上げる行動もあります。
しかし、必ずしも増えませんでした。
したがって、信頼低下は離脱に近いです。
これは重要な発見です。
まとめると、信頼は政治に近づくか離れるかに影響します。
「信頼が高いと安心して投票しない?」はどうだったか
信頼が高いと投票しないという結果は出ませんでした。
一部では安心して参加しないと言われます。
しかし、平均では逆でした。
投票との関係は正でした。
つまり、安心が無関心にはなりませんでした。
ただし、効果は強くありません。
ですから、単純な図式では語れません。
それでも方向は明確でした。
信頼は参加を支えます。
結局、安心は参加を弱めるとは言い切れません。
若者が知っておきたい読み方(効果は小〜中程度)
効果は小から中程度でした。
数字は0.05から0.13ほどです。
これは決定的ではありません。
しかし、ゼロでもありません。
政治行動は多くの要因で決まります。
例えば家庭環境や関心もあります。
その中で信頼も一部を担います。
したがって、過大評価は禁物です。
同時に無視もできません。
まとめると、信頼は一因であり、全てではないという理解が大切です。
政治的信頼と政策選好のアウトカム――考え方はどう変わるのか
政治的信頼と環境政策への支持
信頼が高い人ほど環境政策に賛成しやすいです。
関係は約0.09でした。
これは中程度に近いです。
環境政策とは温暖化対策などです。
信頼があると政府に任せやすいです。
もしあなたが部活の予算配分を任せるなら?
信じる相手なら任せやすいでしょう。
同じような心理です。
ただし、全員が同じではありません。
まとめると、信頼は環境政策支持をやや高める傾向があります。
政治的信頼と移民政策への態度
移民政策でも信頼は関係していました。
関係は約0.09でした。
移民政策とは外国人受け入れの方針です。
信頼が高い人は寛容になりやすいです。
なぜなら、制度を信じているからです。
一方で、不安が強いと慎重になります。
この差が数字に表れました。
しかし、大きな差ではありません。
それでも傾向は明確です。
結論として、信頼は移民政策への前向きさと結びつきました。
政治的信頼と政府支出への態度
政府支出への賛成も信頼と関係しました。
関係は約0.057でした。
これは小さいが意味があります。
政府支出とは税金の使い道です。
信頼があると増額を受け入れやすいです。
なぜなら無駄遣いを心配しにくいからです。
しかし、影響は限定的です。
他の考えも影響します。
それでも無視はできません。
まとめると、信頼は支出支持を少し後押しします。
なぜ政策の好みに差が出るのか(分かりやすい説明)
信頼は判断の近道になります。
近道とは考えを簡単に決める方法です。
難しい政策は理解が大変です。
その時、人は信頼を頼ります。
もしあなたが難しい規則を読むなら?
信じる人の説明に従うでしょう。
これが近道の仕組みです。
したがって、信頼が高いと賛成しやすいです。
この考え方が支持されました。
結局、信頼は迷った時のよりどころになります。
研究で分かった「強めに関係しやすい政策」
環境と感染対策で関係がやや強めでした。
環境政策は約0.09でした。
感染対策は約0.13でした。
政府支出は約0.057でした。
つまり、分野で差があります。
特に危機時は影響が強まります。
これは重要な点です。
ただし、研究数に差があります。
今後の検証も必要です。
まとめると、政策分野により信頼の影響は少し変わります。
政治的信頼と政策協力のアウトカム――危機で試される信頼
政治的信頼と感染症対策の順守・協力
信頼が高い人ほど感染対策に従いやすいです。
関係は約0.13でした。
これは中程度の大きさです。
感染対策とは外出制限や接種です。
信頼があると指示を受け入れやすいです。
もしあなたが部活の安全規則を守るなら?
顧問を信じていれば守りやすいです。
同じ構図です。
ただし、個人差もあります。
結論として、危機時ほど信頼の影響は見えやすいです。
研究をまとめた規模(61研究・329結果・約360万件)
この分析は大規模でした。
61本の研究を統合しました。
329の結果を整理しました。
回答は約360万件です。
地域は主に欧米でした。
方法は多くが質問紙でした。
そのため傾向が見えました。
一方で偏りもあります。
それでも規模は大きいです。
まとめると、広いデータに基づいた結果だと言えます。
地域の偏り(欧米中心)という限界
データの約78%は欧米でした。
アジアや南米は少数です。
したがって一般化は慎重です。
文化により結果は変わるかもしれません。
例えば制度の違いもあります。
もし学校ごとに規則が違えば?
同じ信頼でも行動は変わります。
同様に国でも違い得ます。
今後の研究が必要です。
結局、地域の広がりは今後の課題です。
因果関係は言い切れない(横断研究が多い)
多くは1時点の調査でした。
約77%が横断調査です。
横断とは1回だけ測る方法です。
そのため因果は断定できません。
逆に行動が信頼を生む可能性もあります。
時間を追う研究は少数です。
実験も約6%だけでした。
したがって慎重な解釈が必要です。
ただし傾向は一貫しています。
まとめると、関連は示されましたが、原因と結果は今後の課題です。
それでも言える結論:政治的信頼は行動と態度に関係する
政治的信頼は無視できない要因です。
投票率と約0.06の関係でした。
政策支持は0.05から0.09でした。
感染対策は0.13でした。
小さいが確かな関係です。
すべてを決める力ではありません。
しかし、影響はあります。
だからこそ注目されます。
過度な期待も悲観も不要です。
まとめると、政治的信頼は行動と考え方に一定の関連を持つことが示されました。
最後に
ここまで見てきたように、政治的信頼は「あるかないか」で社会が一気に変わる魔法の力ではありません。
しかし、61本の研究と約360万件のデータをまとめた分析では、投票率や政策への態度、感染症対策への協力と、たしかに関係があることが示されました。
数字で見ると効果は0.05から0.13ほどで、小さめですが無視はできません。
つまり、政治的信頼はすべてを決める要因ではないものの、私たちの行動や考え方の一部を静かに支えている存在です。
「どうせ関係ない」と思う前に、自分が政治をどれだけ信じているかを少し振り返ってみることが、社会を理解する第一歩かもしれません。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、論文4本執筆(うち2本ジャーナル掲載)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。








