「社会的手抜き」って言葉、聞いたことありますか?チームで作業するとき、一人でやるときよりも力を出し惜しみしてしまう現象のことです。
大学のグループワークやバイト先のプロジェクトで「あれ?なんか思ったより成果が出ないな…」と感じたことはありませんか?
それは偶然じゃなく、心理学で説明できる現象かもしれません。
誰かと一緒に作業すると、無意識のうちに「誰かがやってくれるだろう」と思ってしまうんです。これが「社会的手抜き」の正体!
シンガポール経営大学の研究「組織市民行動と社会的手抜き:性格特性、動機、状況要因の役割」によれば、この現象は誰にでも起こる可能性があるそうです。
でも安心してください。原因がわかれば対策も立てられます!
この記事では社会的手抜きのメカニズムから、見分け方、そして効果的な対策まで、最新の研究結果をもとにわかりやすく解説します。
学生生活でもバイトでも、将来の職場でも役立つ知識をゲットして、あなたのチームワークを劇的に向上させましょう!
ぜひ最後まで読んで、明日からのグループ活動に活かしてくださいね!
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
※以下のHEXACO-JP診断は個人向けになります。サンブレイズテストは法人向けになります。


目次
社会的手抜きとは?組織に潜む”見えない”生産性低下の原因
チームワークの落とし穴:社会的手抜きの基本概念
社会的手抜きとは、集団で働くときに個人が力を出し惜しみする現象です。
簡単に言えば、一人で作業するときより頑張らなくなります。
これは無意識に起こることもあれば、意図的なこともあります。
社会的手抜きは心理学の用語です。
最初に発見したのはリンゲルマンという研究者でした。
彼は綱引き実験でこの現象を確認しました。
チームの人数が増えるほど、一人あたりの力が減少したのです。
これには主に三つの原因があります。
- 自分の貢献が見えにくくなる
- 責任が分散される
- 他の人も頑張っていないと感じる
また、評価される機会が少ないとやる気も下がります。
人間は基本的に「損」を避けたい生き物です。
そのため、得られる評価と労力のバランスを取ろうとします。
集団の中では、頑張りが正当に評価されにくいと感じます。
すると、「なぜ私だけが頑張るの?」という気持ちが生まれます。
そして、結果的に全員の生産性が下がってしまうのです。
社会的手抜きは特別な人だけの問題ではありません。
誰にでも起こりうる自然な心理現象として理解すべきです。
この現象を知ることで、職場の生産性向上への第一歩となります。
「誰かがやってくれるだろう」心理のメカニズム
人は集団の中で「誰かがやってくれるだろう」と考えがちです。
この心理は「責任の拡散」と呼ばれています。
緊急事態でも大勢いると誰も行動しないことがあります。
これと同じ原理がチーム作業でも働くのです。
人間には「自分の行動が必要不可欠」と感じたいという欲求があります。
しかし、大勢いると自分の役割が見えにくくなります。
すると「私がやらなくても大丈夫」という思考が生まれます。
さらに、「埋もれ効果」という現象も関係しています。
これは集団の中で自分の貢献が目立たなくなる感覚です。
たとえば、次のような状況で手抜きが起きやすくなります。
- 役割分担が曖昧なプロジェクト
- メンバーが多すぎるチーム
- 個人の成果が見えにくい作業
- リーダーシップが弱い環境
また、心理的な「ただ乗り」効果も影響します。
これは他者の努力に便乗して利益を得ようとする心理です。
人間は無意識のうちに「最小の努力で最大の利益」を求めます。
集団作業ではこの傾向が強まりがちです。
こうした心理メカニズムは誰にでも働きます。
そのため、仕組みとして対策を講じることが大切です。
心理的傾向を理解し、それに対応した環境づくりが必要なのです。
社会的手抜きが会社に与える悪影響とは
社会的手抜きは組織全体の生産性を大きく低下させます。
最も直接的な影響は作業効率の低下です。
全員が本来の力を出さないため、成果が落ちます。
さらに、納期の遅れにつながることも少なくありません。
手抜きが常態化すると、組織文化にも悪影響を及ぼします。
真面目に取り組む人のやる気も次第に失われていきます。
「なぜ私だけが頑張るのか」という不満が生まれるのです。
このような状況では、以下のような問題が発生します。
- チーム内の信頼関係の崩壊
- 優秀な人材の離職
- 顧客満足度の低下
- 競争力の減退
- 組織全体のモラル低下
また、経済的損失も見逃せません。
人件費に対して得られる成果が少なくなるからです。
長期的には企業の評判にも傷がつきます。
「あの会社は社員が手を抜いている」という評判は致命的です。
さらに、イノベーションも起きにくくなります。
創造性は高いモチベーションから生まれるものだからです。
このように、社会的手抜きの影響は単なる効率低下にとどまりません。
組織の存続自体を脅かす重大な問題となりうるのです。
社会的手抜きの対策は、企業の健全な発展のために必須といえます。
あなたの周りにも?社会的手抜きの具体例
職場での社会的手抜きは、意外と身近に存在しています。
たとえば、会議での消極的な態度がその一例です。
意見を言わず、ただ座っているだけの人がいませんか?
また、グループメールへの返信が遅い人も要注意です。
「誰かが返信するだろう」と思っている可能性があります。
締め切り直前になって急に忙しくなる同僚もいるでしょう。
これも計画的な手抜きの結果かもしれません。
日常的な例としては、以下のようなケースがあります。
- 資料作成を他のメンバーに任せきり
- 会議の準備を「誰かがやるだろう」と放置
- グループチャットでの情報共有を怠る
- 細かいミスを「誰かが気づくだろう」と放置
- 集団での決断を常に他人任せにする
また、リモートワークでは特有の手抜きが見られます。
カメラをオフにしたまま他のことをしている人もいるでしょう。
チーム内の役割が不明確だと手抜きは増加します。
「それは私の仕事ではない」という言い訳が生まれるからです。
プロジェクトの初期段階での熱意が徐々に冷めていくケースも多いです。
最初は全員が積極的でも、次第に消極的になっていきます。
社会的手抜きは特定の人だけの問題ではありません。
環境次第で誰にでも起こりうる現象なのです。
日常の小さな兆候に気づくことが、対策の第一歩となります。
一人では頑張るのに、チームだと手を抜いてしまう理由
一人作業とチーム作業での態度の違いには、明確な理由があります。
まず、一人で作業すると結果の責任は全て自分にあります。
成功も失敗も、すべて自分の評価に直結するのです。
一方、チームでは責任が分散されます。
「私だけのせいではない」と考えやすくなるのです。
また、一人作業では自分の貢献がそのまま成果になります。
チームでは個人の努力と全体の成果が切り離されがちです。
さらに、次のような心理的要因も影響しています。
- 評価の不透明さ(誰がどれだけ貢献したか分かりにくい)
- 社会的比較(他のメンバーの努力具合を気にする)
- 公平性の意識(「みんな同じくらい」という期待)
- 目標の共有度(個人目標とチーム目標の一致度)
- 自己効力感の違い(一人よりチームでの効力感が低い)
人間は基本的に「損得」で行動を決める傾向があります。
一人作業では努力と報酬の関係が明確です。
しかし、チームでは頑張っても報われないと感じやすいのです。
また、「自分がサボっても誰も気づかない」という錯覚も生まれます。
人は監視されていないと感じると行動が変わります。
チームの規模が大きいほど、この傾向は強まります。
これらの心理メカニズムを理解することが大切です。
一人とチームでの行動の違いは自然な心理現象であり、適切な対策が必要です。
社会的手抜きを見抜く!職場での兆候と見分け方
「自分は頑張っている」のに成果が出ないチームの特徴
メンバー全員が「自分は頑張っている」と言うのに成果が出ないチームは要注意です。
この状況は社会的手抜きの典型的な兆候といえます。
各メンバーの認識と実際の貢献にずれが生じているのです。
こうしたチームには特徴的なパターンがあります。
まず、全体の進捗が常に遅れがちです。
締め切り直前になって突然忙しくなることも多いでしょう。
また、ミーティングでは活発な議論が少ないものです。
誰も主体的に動こうとしない雰囲気も感じられます。
このようなチームには次のような特徴が見られます。
- 決定事項の実行者が曖昧
- 「誰かがやるだろう」という空気がある
- 具体的な行動計画が立てられない
- メンバー間の連絡が不足している
- 互いの仕事内容を把握していない
また、責任の押し付け合いも頻繁に起こります。
「あの部分は私の担当ではない」という発言が増えるのです。
チームの失敗を外部要因のせいにする傾向も強まります。
一方で、成功の際には自分の貢献を強調する人が増えます。
このような状況では、個人の自己評価が実態とかけ離れています。
客観的な評価基準がないと、この問題は深刻化します。
メンバー全員が「自分だけが頑張っている」と感じる状態は危険信号です。
チーム全体の成果と個人の貢献を明確にする仕組みが必要といえるでしょう。
会議での発言が少ない人は手抜きをしている?誤解しやすいポイント
会議で黙っている人を単純に「手抜き」と判断するのは危険です。
確かに、発言しないことは社会的手抜きの一形態かもしれません。
しかし、様々な理由で発言できない人もいるのです。
たとえば、内向的な性格の人は考えをまとめるのに時間がかかります。
また、職場の雰囲気が批判的だと発言しづらくなります。
さらに、以下のような要因も発言の少なさに影響します。
- 言語能力や表現力に自信がない
- 過去に意見を否定された経験がある
- 文化的背景の違い(遠慮の文化など)
- 専門知識の差による遠慮
- 立場や役職による心理的プレッシャー
一方で、本当の社会的手抜きには特徴があります。
それは「準備不足」という形で現れることが多いです。
会議資料に目を通していない人は手抜きの可能性が高いでしょう。
また、質問されても答えられない人も要注意です。
しかし、発言の量だけでなく質にも注目すべきです。
少ない発言でも核心をついた意見を言う人もいます。
大切なのは、発言の量ではなく貢献度を見ることです。
会議後のフォローアップや行動も観察しましょう。
黙っていても行動で貢献する人は少なくありません。
社会的手抜きの判断は多角的な視点で行うことが重要です。
単純な「発言の多さ」だけで評価すると、誤った判断につながります。
プロジェクト参加度のバラつきから見える社会的手抜き
プロジェクトへの参加度に大きな差があるチームは、社会的手抜きの可能性が高いです。
初期は全員が熱心なのに、途中から温度差が生じることもあります。
これは「社会的手抜き」の典型的なパターンといえるでしょう。
参加度のバラつきは様々な形で現れます。
最も分かりやすいのは会議への出席率の差です。
常に「急用ができた」と欠席する人は要注意です。
また、締め切りの守り方にも注目しましょう。
自分の担当部分をいつも遅れて提出する人がいませんか?
参加度のバラつきを示す具体的な兆候には次のようなものがあります。
- メールやチャットの返信速度の差
- 資料作成の質や量の偏り
- 自発的な提案や改善案の有無
- 問題発生時の対応の積極性
- 時間外の作業への姿勢の違い
また、発言の内容も重要な手がかりとなります。
「それは私の担当外です」という言葉が増えるのは危険信号です。
チーム全体の目標よりも個人の都合を優先する発言も増えます。
さらに、他メンバーへの依存度が高まる人も出てきます。
「○○さんに聞いてください」という丸投げが増えるのです。
このようなバラつきは、プロジェクトの進行を妨げます。
一部のメンバーに負担が集中し、不満が高まっていきます。
プロジェクト参加度の差は、早期に発見して対処することが重要です。
個人の貢献を可視化し、公平な評価システムを導入することで改善できます。
「責任の分散」が引き起こす手抜き行動のサイン
「誰の責任でもある」ことが「誰の責任でもない」状態を生み出します。
これが「責任の分散」と呼ばれる現象です。
この状態では、人は無意識に責任回避的な行動を取りがちです。
責任の分散によって起こる手抜き行動には特徴があります。
まず、決定の先送りが増えることです。
「もう少し情報を集めましょう」という発言が繰り返されます。
また、曖昧な言葉遣いも増えるでしょう。
「できるだけ頑張ります」という表現は要注意です。
責任分散による手抜き行動の具体的なサインには次のものがあります。
- 「みんなで」という言葉の多用
- 決定事項に対する消極的な同意
- 問題発生時の責任のなすりあい
- 具体的な数値目標の回避
- 記録や文書化への抵抗
また、報告の曖昧さも特徴的です。
「順調に進んでいます」という抽象的な表現が増えます。
質問されても具体的な進捗状況を答えられないこともあります。
さらに、失敗の際の言い訳が「システム」や「状況」に向かいます。
「あの部署が遅れたから」という外部要因への責任転嫁も見られます。
責任の分散は組織の規模が大きいほど起こりやすくなります。
特に部署間の連携が必要な作業で顕著です。
このような状況を改善するには、明確な責任者を設定することが重要です。
責任の所在を明確にし、成果と評価を直結させる仕組みが必要なのです。
マネージャーが見落としがちな社会的手抜きの兆候
マネージャーは表面的な「忙しさ」に惑わされがちです。
実際、社会的手抜きは巧妙に隠されることが少なくありません。
見落としやすい兆候にはいくつかのパターンがあります。
まず、「報告の質」の低下に注目すべきです。
量は多くても中身が薄い報告が増えていませんか?
また、質問への回答が曖昧になることも兆候です。
具体的な数値や事実を示せない部下は要注意です。
マネージャーが気をつけるべき隠れた兆候には次のものがあります。
- チーム内の「お互い様」文化の過剰な発達
- 「みんな同じくらい」という評価の横並び意識
- 成功時の「私たち」、失敗時の「彼ら」という言い方
- 問題の先送りや「様子見」の増加
- 「忙しそう」に見せるための行動
さらに、会議での態度も重要な手がかりとなります。
議題と関係ない資料を読んだりスマホを見たりする人がいませんか?
また、締め切り直前の「突然の熱心さ」も怪しい兆候です。
普段は消極的なのに、評価直前だけ頑張る人も多いのです。
他メンバーへの「さりげない依存」も見逃せません。
「ちょっと確認してもらえる?」が常態化している場合は要注意です。
これらの兆候は個別には小さく見えるかもしれません。
しかし、総合的に見ると大きな生産性低下につながっています。
マネージャーは表面的な「活動」ではなく、実質的な「成果」に注目すべきです。
客観的な評価基準と定期的なフィードバックが対策の鍵となります。
社会的手抜きと性格特性の関係性〜最新研究からわかること
誠実性が高い人は手抜きしにくい!性格特性と行動の関係
誠実性の高さは社会的手抜きを抑制する最も強力な性格特性です。
最新の研究では、誠実性と手抜き行動には強い負の相関があります。
つまり、誠実性が高いほど手抜きをしにくいのです。
誠実性とは、責任感や自己規律を持つ性格特性を指します。
具体的には、次のような特徴を持つ人が誠実性高いといえます。
- 計画的に行動できる
- 約束を守る習慣がある
- 物事を最後までやり遂げる
- 細部に注意を払える
- 自分の仕事に誇りを持っている
研究によれば、誠実性の高い人は集団作業でも高いパフォーマンスを維持します。
彼らは「みんなが手抜きするから自分も」とは考えません。
むしろ、自分の責任を果たすことに価値を見出しています。
これは誠実性の「良心」という側面が関係しています。
良心が強い人は、たとえ誰も見ていなくても手を抜きません。
また、誠実性の高い人は長期的な視点で物事を考える傾向があります。
短期的な楽をするより、将来の評価や成長を重視するのです。
さらに、誠実性の高い人は自己管理能力にも優れています。
「今はやる気が出ない」という感情に左右されにくいのです。
このような研究結果から、採用時に誠実性を重視すべきといえます。
特にチーム作業が多い職場では、誠実性は重要な採用基準となるでしょう。
性格特性と行動の関係を理解することで、より効果的なチームづくりが可能になります。
「協力的」な人ほど頑張る?性格特性からみるチーム貢献度
協調性が高い人は、チーム内での貢献度が高い傾向にあります。
協調性とは、他者と円滑に協力できる性格特性のことです。
最新の研究では、協調性と社会的手抜きの間に関連が見られました。
協調性の高い人は、以下のような特徴を持っています。
- 他者の意見に耳を傾ける
- 対立を避け、和を重んじる
- チームの調和を大切にする
- 他のメンバーへの思いやりがある
- 助け合いを自然と行う
こうした特徴がチーム貢献につながるのです。
協調性の高い人は「みんなのため」という動機が強くなります。
そのため、自己利益よりもチーム全体の利益を優先します。
また、他者からの期待に応えようとする傾向も強いです。
「期待されている」と感じると、より一層頑張るのです。
さらに、協調性の高さは次のような行動と関連しています。
- 積極的な情報共有
- 他メンバーのサポート
- 公平な作業分担への配慮
- チーム内の摩擦解消
- 建設的なフィードバックの提供
一方で、極端に協調性が高すぎる場合には注意が必要です。
「イエスマン」になりすぎると、必要な意見対立が生まれません。
健全なチームには適度な多様性も必要なのです。
また、協調性が高い人が疲弊しないような配慮も大切です。
「いい人」は過剰な負担を黙って抱え込みがちだからです。
性格特性を活かしたチーム編成は、社会的手抜きの予防に効果的です。
協調性の高い人を中心に、バランスの取れたチームを構築しましょう。
自己評価と他者評価のギャップから見える性格傾向
自己評価と他者評価の差が大きい人には特定の性格傾向があります。
この「評価ギャップ」は社会的手抜きと関連していることが研究でわかっています。
自己評価が過度に高い人は、実際よりも自分の貢献を大きく見積もりがちです。
これは「自己奉仕バイアス」と呼ばれる心理現象です。
このバイアスが強い人には次のような特徴が見られます。
- 成功は自分の能力、失敗は環境のせいと考える
- 自分の欠点より長所に注目する
- 批判やフィードバックを受け入れにくい
- 他者の貢献を過小評価する
- 「自分は平均以上」と思い込んでいる
このような傾向は外向性や自己愛と関連することがあります。
特に、自己愛傾向が強い人は自分の貢献を誇張しがちです。
また、情動性(神経症傾向)が高い人も評価ギャップが生じやすいです。
不安が強いと、自分の評価に過敏になるからです。
一方、誠実性や協調性が高い人は評価ギャップが小さい傾向にあります。
彼らは自己と他者を客観的に見る能力に優れているからです。
このギャップを小さくするには、定期的なフィードバックが効果的です。
360度評価などの多角的な評価システムも役立ちます。
評価の基準を明確にすることも重要です。
「良い仕事」の定義があいまいだと、評価にずれが生じやすくなります。
自己評価と他者評価のギャップを認識することは、チーム内の相互理解を深めます。
また、各メンバーの強みと弱みを正確に把握するのにも役立ちます。
性格特性テストを採用に活かす方法とその効果
採用時の性格特性テストは社会的手抜きを防ぐ効果があります。
特に誠実性や協調性を測定することで、チーム貢献度の高い人材を見つけられます。
性格特性テストには様々な種類があります。
代表的なものとしては次のようなテストがあります。
- ビッグファイブ性格検査
- ディスク(DISC)性格診断
- 適性検査(SPI)の性格部分
- エニアグラム
- 職業適性テスト
これらを採用プロセスに組み込む方法はいくつかあります。
まず、応募者全員に基本的なテストを実施する方法です。
一定の基準を満たした人だけを面接に進めることができます。
あるいは、最終選考に残った候補者にのみ実施する方法もあります。
どちらの場合も、テスト結果を絶対視しないことが重要です。
テストはあくまで参考情報の一つと考えましょう。
性格は変えられる?社会的手抜きを減らすための性格トレーニング
性格は完全に固定されたものではなく、ある程度は変化させられます。
最新の研究では、意識的な努力で性格特性を変える可能性が示されています。
特に、社会的手抜きに関連する特性は改善できる部分が多いのです。
性格変化のメカニズムは「神経可塑性」と関連しています。
これは脳の神経回路が経験によって変化する性質です。
性格トレーニングには、以下のようなアプローチがあります。
- 認知行動療法的手法
- 目標設定と振り返りの習慣化
- マインドフルネス瞑想
- ポジティブ心理学のエクササイズ
- ロールモデルの観察と模倣
特に誠実性を高めるためには、次のような訓練が効果的です。
計画性を養うには短期目標の設定と達成を繰り返します。
時間管理スキルも重要な要素となるでしょう。
また、自己規律を高めるには「小さな成功体験」を積み重ねます。
できることから始め、徐々に難易度を上げていくのです。
社会的手抜きを防ぐ!効果的なチームマネジメント術
「見える化」の力:タスクの可視性を高める具体的方法
タスクの可視性を高めることは社会的手抜きを防ぐ最も効果的な方法です。
人は自分の貢献が見えるとわかると、より努力するようになります。
可視性を高める方法はいくつかあります。
まず、プロジェクト管理ツールの活用が挙げられます。
誰が何をいつまでにするかを全員が確認できるようにします。
具体的な可視化の方法としては、次のようなものがあります。
- カンバンボードの活用
- 進捗状況のダッシュボード設置
- 毎日の短時間ミーティング
- 個人ごとの成果指標の設定
- 共有カレンダーの活用
特に効果的なのは「貢献の見える化」です。
各メンバーの成果を数値やグラフで表すことが有効です。
たとえば、タスク完了数や品質評価などを可視化します。
また、成果発表の機会を定期的に設けることも大切です。
自分の仕事を説明する場があると、責任感が高まります。
チームの結束力を高めて社会的手抜きを減らすアクティビティ
チームの結束力が高まると、社会的手抜きは自然と減少します。
結束力の高いチームでは、メンバー同士の信頼関係が築かれています。
そのため、「仲間を裏切りたくない」という気持ちが生まれるのです。
結束力を高めるアクティビティには様々なものがあります。
職場ですぐに実践できるものとして、次のようなものがあります。
- チームランチや親睦会
- 共通の目標設定ワークショップ
- チームの価値観や行動規範の策定
- 相互理解のためのパーソナリティ共有
- 成功体験の共有と祝福
また、少し時間のかかるものとしては以下のようなものがあります。
- チームビルディング合宿
- 社会貢献活動への共同参加
- プロジェクト成功後の振り返りと祝賀会
- 共同で乗り越える挑戦的な課題
- チーム名やシンボルの作成
これらのアクティビティで重要なのは「心理的安全性」です。
失敗を恐れずに発言できる環境が結束力を高めます。
また、メンバー間の「相互依存」も大切な要素です。
互いに助け合う経験が信頼関係を深めるのです。
「この仕事は私にしかできない」責任感を育てる割り当て方
各メンバーに「不可欠感」を持たせることが社会的手抜きを防ぎます。
「私がやらなくても誰かがやる」ではなく「私にしかできない」と思えることが重要です。
そのための業務割り当て方には、いくつかのポイントがあります。
まず、個人の強みや専門性を活かした役割分担が効果的です。
得意なことを任されると、自然と責任感が生まれます。
効果的な役割割り当ての方法としては次のようなものがあります。
- 各メンバーの強みを事前に把握する
- 専門知識や経験を考慮した割り当て
- 個人の成長目標に合わせた挑戦的な役割の付与
- 「○○担当」という明確な役割の設定
- 相互に重複しない固有の責任範囲の設定
また、「役割の独自性」も重要な要素です。
「あなただけの特別な視点」を活かす役割を与えましょう。
さらに、業務の「全体の中での位置づけ」を明確にします。
自分の役割がプロジェクト全体でどう重要かを理解させるのです。
責任感を育てるには、適切な権限委譲も必要です。
決定権を与えることで当事者意識が高まります。
同時に、成果に対する「個人の可視性」も確保しましょう。
誰がどの部分を担当したかが明確になる仕組みが大切です。
フィードバックの質が変える!手抜きを防ぐコミュニケーション
適切なフィードバックは社会的手抜きを大幅に減少させます。
人は自分の行動が認識され、評価されていると感じると頑張るものです。
効果的なフィードバックには特徴があります。
まず、タイミングが重要です。
行動からフィードバックまでの時間が短いほど効果的です。
良いフィードバックの特徴としては次のようなものがあります。
- 具体的な行動や成果に言及している
- 主観的評価ではなく客観的事実に基づいている
- 建設的で改善につながる内容を含む
- ポジティブな側面と改善点のバランスがとれている
- 個人を攻撃せず行動にフォーカスしている
特に効果的なのは「サンドイッチ法」です。
ポジティブな評価→改善点→ポジティブな展望という順序で伝えます。
また、フィードバックの「頻度」も重要な要素です。
年に一度の評価ではなく、日常的な小さなフィードバックが効果的です。
リモートワーク時代の社会的手抜き対策とモチベーション管理
リモートワークでは社会的手抜きが起こりやすくなる傾向があります。
物理的な監視がなく、孤立感も生じやすいからです。
しかし、適切な対策でリモートでも高いモチベーションを維持できます。
リモートワークでの社会的手抜き対策には様々な方法があります。
まず、コミュニケーションの頻度と質を高めることが重要です。
具体的な対策としては次のようなものがあります。
- 定期的なビデオ会議の開催
- デイリーチェックインの仕組み化
- チャットツールでの積極的な情報共有
- 成果物の共有と振り返りの習慣化
- オンラインの雑談タイムの設定
また、明確な目標設定も効果的です。
曖昧な指示ではなく、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。
最後に
チームで働くとき、ついつい「誰かがやってくれるだろう」と力を出し惜しみしてしまう現象が「社会的手抜き」です。
これは特別な人だけの問題ではなく、環境次第で誰にでも起こる自然な心理現象です。
でも大丈夫!対策はあります。
まず、自分の性格特性を知ることが大切です。誠実性が高い人は手抜きしにくい傾向があります。
チーム内では「見える化」を意識しましょう。誰が何をどれだけ頑張ったのか分かると、自然と頑張れるものです。
また、「私にしかできない役割」を持つことで責任感が生まれます。自分の貢献が不可欠だと感じられると、やる気も上がります。
リモートワークでも定期的なコミュニケーションや明確な目標設定で手抜きを防げます。
結局のところ、社会的手抜きを防ぐ鍵は「つながり」と「認められている実感」です。

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。