社会情動的スキルを身につけることは、これからの時代を生き抜くために欠かせない力だと言われています。
自分の感情をコントロールしたり、他者の気持ちを理解したり、良好な人間関係を築いたりする力は、学校での学習だけでなく、将来の職場や社会生活でも必要不可欠だからです。
では、社会情動的スキルとは具体的にどのようなものでしょうか。
また、それはどのようにすれば育成できるのでしょうか。近年、学校教育の中で社会情動的スキルを育む取り組みが注目されています。
「The Positive Impact of Social and Emotional Learning for Kindergarten to Eighth-Grade Students」と題された大規模な研究レビューでは、社会情動的スキルの教育が子供たちに与える効果が実証されています。
この記事では、社会情動的スキルとは何か、なぜそれが重要なのかを解説するとともに、学校教育の中でのスキル育成の取り組みについて、最新の研究知見をもとに詳しく見ていきたいと思います。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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社会情動的スキル(SES)とは?
社会情動的スキルの5つの要素
自己認識、自己管理、社会性の認識、対人関係スキル、責任ある意思決定の5つの要素から成り立っています。
これらのスキルを身につけることで、自分の感情を理解し、目標に向かって行動し、他者と良好な関係を築き、良い選択をすることができるようになります。
具体的には以下のような要素が含まれます。
- 自分の感情や長所を正しく理解する
- 感情をコントロールし、目標達成に向けて努力する
- 他者の気持ちを理解し、思いやりを持って接する
- コミュニケーションや協力、問題解決のスキルを身につける
- 倫理的で安全、建設的な意思決定をする
これら5つの要素は互いに関連しており、バランスよく育成することが大切です。社会情動的スキルは、私たちが人生で直面する様々な場面で必要とされる基盤となる力だと言えるでしょう。
自己認識とは
自分自身の感情、価値観、長所などを正確に理解することを「自己認識」と呼びます。
自己認識が高い人は、自分の感情を言語化したり、感情の変化に気づいたりすることができます。
また、自分の得意なことや良いところを知ることで、自信を持って行動できるようになります。
自己認識を高めるためには、以下のようなことが大切です。
- 自分の感情に向き合い、感情に名前をつける
- 自分の行動や考え方のパターンに気づく
- 自分の長所や短所を客観的に見つめる
- 自己肯定感を持ち、自分を大切にする
自己認識は、自分自身を見つめ直し、受け入れることから始まります。自分の内面と向き合うことで、自己理解が深まり、自分らしく生きることにつながるのです。
自己管理とは
自己管理とは、自分の感情や行動をコントロールし、目標に向かって適切に行動する力のことです。
感情をうまくコントロールできると、ストレスに上手に対処したり、衝動的な行動を抑えたりすることができます。
また、自分の目標を立て、それに向かって計画的に行動することも自己管理の重要な要素です。
自己管理を身につけるためのポイントは以下の通りです。
- ストレスの原因を理解し、対処法を身につける
- 感情を言語化し、感情と行動の関係を理解する
- 目標を明確にし、達成までのステップを考える
- 時間管理やスケジュール管理のスキルを身につける
つまり、自己管理とは、自分自身を客観的に見つめ、感情や行動をコントロールする力と言えます。
この力を養うことで、ストレスに負けない強さと、目標達成に必要な粘り強さを身につけることができるのです。
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社会性の認識とは
社会性の認識とは、他者の感情や立場を理解し、社会的な状況に適切に対応する力のことです。
相手の表情やしぐさから感情を読み取ったり、相手の立場に立って考えたりすることが社会性の認識には欠かせません。
また、社会的なルールやマナーを理解し、状況に応じて適切な行動をとることも重要です。
社会性の認識を高めるためには、以下のようなことが大切です。
- 相手の表情やしぐさから感情を読み取る
- 相手の立場に立って、物事を考える
- 社会的なルールやマナーを身につける
- 多様な価値観や文化を尊重する
要するに、社会性の認識は、他者と適切に関わるための基盤となる力だと言えます。
この力を養うことで、他者と良好な関係を築き、社会の中で自分の役割を果たすことができるようになるのです。
対人関係スキルとは
対人関係スキルとは、他者と良好な関係を築き、維持するための力のことです。
コミュニケーションを円滑に行ったり、協力して問題を解決したり、葛藤を上手に処理したりするためには、対人関係スキルが欠かせません。
また、相手の意見を尊重しながら、自分の考えを伝えることも大切です。
対人関係スキルを身につけるためのポイントは以下の通りです。
- 相手の話を傾聴し、共感する
- 自分の考えを明確に伝える
- 協力して問題を解決する方法を考える
- 葛藤が起きた時は、互いの立場を尊重しながら解決策を探る
つまり、対人関係スキルは、他者と建設的に関わるための実践的な力と言えます。
この力を養うことで、友人や家族、同僚など、様々な人と良好な関係を築くことができるようになるのです。
責任ある意思決定とは
責任ある意思決定とは、自分の行動の結果を考え、倫理的で安全、建設的な選択をする力のことです。目先の利益だけでなく、長期的な影響を考えて行動することが求められます。
また、自分の決定が他者や社会に与える影響を考慮することも大切です。
責任ある意思決定をするためには、以下のようなことが重要です。
- 行動の結果を予測し、評価する
- 倫理的な基準に照らして、行動を選択する
- 安全性や健康への影響を考える
- 社会的な責任を果たすことを心がける
つまり、責任ある意思決定は、自分の行動を自分でコントロールし、よりよい選択をする力だと言えます。
この力を養うことで、自分らしい人生を歩みながら、社会の一員としての責任を果たすことができるようになるのです。
社会情動的スキルが重要な理由
社会情動的スキルと学力の関係
学力と社会情動的スキルは密接に関係しています。 自分の感情をコントロールし、目標に向かって粘り強く取り組むことができれば、学習面でも良い成果を上げることができるでしょう。
また、他者と協力して学ぶ姿勢は、より深い理解につながります。
実際、社会情動的スキルを育むプログラムを取り入れた学校では、以下のような効果が報告されています。
- テストの成績が向上した
- 宿題をきちんとやるようになった
- 授業中の集中力が高まった
- 友達と協力して学ぶ姿勢が見られるようになった
このように、社会情動的スキルを身につけることは、学力向上にもつながるのです。
社会情動的スキルと学力は、相互に影響し合う関係にあると言えるでしょう。
社会情動的スキルと将来のキャリア
この能力は、将来のキャリアにも大きな影響を与えます。
社会に出れば、他者と協力して仕事をすることが求められます。コミュニケーション能力や問題解決能力、ストレスへの対処能力などは、どんな職業においても必要とされる力です。
以下のような能力は、社会情動的スキルと深く関わっています。
- リーダーシップ
- チームワーク
- 創造性
- 柔軟性
- 自己管理能力
つまり、社会情動的スキルを身につけることは、将来の職業人としての成功にもつながると言えるでしょう。社会情動的スキルは、生涯にわたって役立つ力なのです。
社会情動的スキルとメンタルヘルス
この能力は、メンタルヘルスとも深く関わっています。
自分の感情を上手にコントロールできれば、ストレスやトラウマ、心理的な問題に陥るリスクを下げることができます。また、他者と良好な関係を築くことは、孤独感や疎外感を防ぐ効果があります。
以下のようなメンタルヘルス上の問題は、社会情動的スキルの欠如と関係があると指摘されています。
- うつ病
- 不安障害
- 引きこもり
- 依存症
- 自傷行為
逆に言えば、社会情動的スキルを身につけることで、これらの問題を予防したり、乗り越えたりすることにつながるのです。
社会情動的スキルは、一生の心の健康を左右する重要な力だと言えるでしょう。
学校教育における社会情動的スキルの育成
学校でのSESプログラムの特徴
社会情動的スキル(SES: Social Emotional Skills)を学校教育のなかで育成するプログラムが注目されています。
SESプログラムは、学校の授業の一環として行われ、子供たちが社会情動的スキルを身につけるための体系的な指導を行います。
SESプログラムの特徴は以下の通りです。
- 教科学習と並行して行われる
- 発達段階に合わせて、スキルを段階的に指導する
- 体験的な活動を通して、スキルを練習する
- 日常生活の中でスキルを活用する機会を設ける
- 学校全体で取り組む
つまり、SESプログラムは、社会情動的スキルを教科のように体系的に指導するための工夫が凝らされているのです。子供たちは、日々の学校生活の中で自然にスキルを身につけていくことができます。
※似た言葉に「社会性と情動の学習(SEL)」があり、こちらは以下の記事で紹介しています。
SESプログラムの指導内容
SESプログラムでは、社会情動的スキルの5つの要素を育成するための具体的な指導が行われます。その内容は、子供たちの発達段階に合わせて、段階的に進められます。
例えば、以下のような指導内容が含まれます。
- 感情の言語化と感情管理の方法
- 目標設定とそれに向けた計画の立て方
- 他者の感情の読み取り方と共感の仕方
- 望ましい人間関係を築くためのコミュニケーションスキル
- 問題解決のためのステップと意思決定の方法
よくある質問(Q&A)
社会情動的スキルは何歳から身につけることができますか?
社会情動的スキルは幼児期から身につけることができます。就学前の3~5歳頃から基本的な感情理解や自己制御の能力が発達し始め、年齢に応じて段階的にスキルを育成することが可能です。
家庭で社会情動的スキルを育てるにはどうしたらよいですか?
日常の会話で感情について話し合ったり、子どもの気持ちを受け止めて共感したりすることが大切です。また、家族での協力活動や問題解決の場面を設けることで、実践的にスキルを育成できます。
社会情動的スキルが低い子どもの特徴はありますか?
感情のコントロールが苦手で癇癪を起こしやすい、友達との関係がうまく築けない、集中力が持続しない、他者の気持ちを理解するのが困難といった特徴が見られることがあります。
社会情動的スキルの効果はどれくらいで現れますか?
個人差はありますが、継続的な指導により数か月から1年程度で行動の変化が見られることが多いです。特に自己管理能力や対人関係スキルの向上は比較的早期に現れる傾向があります。
大人になってからでも社会情動的スキルは身につけられますか?
はい、大人になってからでも身につけることは可能です。意識的な練習と継続的な取り組みにより、感情管理や対人関係スキル、問題解決能力などを向上させることができます。
社会情動的スキルと学習障害との関係はありますか?
学習障害のある子どもは社会情動的スキルの習得に困難を感じる場合があります。しかし、適切な支援と個別に配慮されたプログラムにより、これらのスキルを効果的に育成することができます。




