「IQと成功」の関係について、あなたは何を思い浮かべますか?
「頭がいい人ほど成功する」というイメージを持っている人は多いでしょう。
でも、本当にそうなのでしょうか?
実は、この疑問に科学的に答えた研究があります。
2007年に発表された「知能と社会経済的成功:縦断研究のメタ分析レビュー」という論文です。
この研究では、多くのデータを分析した結果、IQと成功には確かに関連があることがわかりました。
特に教育レベルや職業的地位との関連は強いようです。
しかし、驚くべきことに、IQと収入の関連はそれほど強くないのです。
また、IQ以外にも成功に大きく影響する要素がたくさんあります。
例えば、親の社会的立場や学校の成績、そして誠実性などの性格特性も重要です。
粘り強さやコミュニケーション能力も無視できません。
この記事では、IQと成功の関係について科学的な視点から深掘りし、本当の成功につながる要素を探っていきます。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
※以下のHEXACO-JP診断は個人向けになります。サンブレイズテストは法人向けになります。


目次
IQと成功の関係を科学的に解明!知能指数は人生をどう左右するのか
IQ(知能指数)とは?基本的な知識と測定方法
IQ(知能指数)は人の知的能力を数値化したものです。
一般的に平均は100点とされています。
90から110の間に多くの人が分布しています。
IQテストでは、論理的思考力や問題解決能力を測ります。
また、言語能力や空間認識能力も測定します。
IQテストには様々な種類があります。
例えば:
- ウェクスラー式知能検査
- ビネー式知能検査
- レーヴン漸進的行列検査
これらのテストは、年齢に応じた平均と比較します。
その結果から知能指数を算出します。
ただし、IQテストには批判もあります。
文化的背景や教育環境により結果が左右されるためです。
さらに、創造性や感情理解力は測りにくいとされます。
それでも、知的能力の一側面を知る指標として活用されています。
IQテストは主に教育や臨床の場で使われることが多いです。
このように、IQは知的能力を数値化した指標であり、様々なテストで測定されますが、人間の能力の一部分しか反映していないことを理解することが大切です。
世界の研究者たちがIQと成功について調査した結果
世界中の研究者がIQと成功の関係を調査してきました。
特に注目すべきなのはストレンゼの研究です。
彼は85の異なるデータを分析しました。
その結果、IQと社会的成功には明確な関連があるとわかりました。
ただし、その関連性は成功の種類によって異なります。
例えば:
- 教育レベルとの相関は最も強い
- 職業的地位との相関は中程度
- 収入との相関は比較的弱い
また、他の研究者も同様の結果を報告しています。
ハーンスタインとマレーの「ベルカーブ」も有名な研究です。
彼らはIQが高い人ほど社会的な成功を収める傾向を示しました。
しかし、批判的な研究者もいます。
彼らはIQ以外の要因の重要性を強調しています。
例えば、家庭環境や教育機会の影響も大きいと主張します。
さらに、国による違いも見られます。
北欧諸国ではIQの影響が小さい傾向があります。
これは教育の機会均等が進んでいるためかもしれません。
このように、研究からはIQと成功には関連があるものの、それだけが成功を決定づける要因ではないことが明らかになっています。
知能と教育レベルの関係性~高いIQは学歴に影響する?
IQと教育レベルの間には強い関連性があります。
研究によると、相関係数は0.56と高い数値を示しています。
これは何を意味するのでしょうか。
つまり、IQが高い人ほど教育を長く受ける傾向があるのです。
大学や大学院まで進学する可能性も高くなります。
ただし、この関係は一方通行ではありません。
教育を受けることでIQが向上するという研究もあります。
両者は互いに影響し合っているようです。
なぜIQが高いと教育レベルも高くなるのでしょうか。
主な理由としては:
- 学習能力の高さ
- 試験での好成績
- 学問的な挑戦への適応力
- 抽象的思考への強さ
しかし、IQだけが教育の成功を決めるわけではありません。
学習意欲や家庭環境も非常に重要です。
経済的な要因も大きく影響します。
学費が払えなければ、高いIQがあっても進学は難しいでしょう。
教育システムの違いによる影響も考慮すべきです。
このように、IQと教育レベルには強い関連性がありますが、教育の成功にはIQ以外の様々な要因も関わっており、総合的に考える必要があります。
職業選択とIQの関連性~どんな仕事に就きやすい?
IQは職業選択と密接に関わっています。
研究では、IQと職業的地位の相関係数は0.45です。
これは中程度の強さの関連性を示しています。
一般的に、IQが高い人ほど専門的な職業に就く傾向があります。
では、具体的にどのような職業と関連があるのでしょうか。
IQが高い人が多い職業には:
- 医師や研究者
- 弁護士や裁判官
- エンジニアや科学者
- 経営者や管理職
- プログラマーやシステム設計者
これらの職業は複雑な問題解決能力を必要とします。
また、長期的な学習や訓練も求められます。
ただし、職業選択はIQだけで決まるものではありません。
個人の興味や価値観も大きく影響します。
さらに、性格特性も重要な要素です。
例えば、対人関係が得意な人は営業職に向いているかもしれません。
社会的な機会や経済状況も考慮すべき点です。
職業訓練へのアクセスも重要な要素となります。
このように、IQは職業選択と関連していますが、それ以外の要素も職業選択において重要な役割を果たしており、バランスよく考えることが大切です。
収入とIQの相関関係~高いIQは高収入につながるのか
IQと収入の間には関連性がありますが、それほど強くはありません。
研究によると、相関係数は0.23と比較的小さい値です。
これは何を意味するのでしょうか。
つまり、IQが高いからといって必ずしも高収入になるわけではないのです。
他の要因も大きく影響しています。
では、なぜIQと収入の関連は限定的なのでしょうか。
主な理由としては:
- 収入は多くの要因で決まる
- 人脈や社会的スキルの重要性
- 運やタイミングの影響
- 産業や職種による賃金格差
- 経済状況や地域差
それでも、IQが間接的に収入に影響するケースはあります。
高いIQは良い教育につながり、それが高収入の職業への道を開くことがあります。
また、複雑な問題を解決する能力は多くの職場で評価されます。
しかし、起業家の中にはIQよりも行動力で成功する人もいます。
芸術やスポーツなどの分野では、別の才能が重視されます。
このように、IQと収入には弱い関連性があるものの、収入を決める要素は多岐にわたり、IQ以外の能力や環境要因も大きく影響しています。
IQと成功の相関性~数字で見る知能指数の影響力
教育レベルとIQの相関係数0.56が意味すること
教育レベルとIQの相関係数0.56は、かなり強い関連性を示しています。
この数字は何を意味するのでしょうか。
簡単に言えば、IQが高い人ほど教育レベルも高い傾向があるということです。
相関係数の範囲は-1から1までです。
0.56という値は、中程度から強いレベルの相関を示しています。
具体的には、この数値から以下のことがわかります:
- IQが教育達成の約30%を説明できる
- 残りの70%は他の要因による影響
- IQが高いほど大学進学率が上がる
- 難関大学合格率もIQと関連がある
- 中退率はIQが低いほど高くなる傾向
ただし、これは統計的な傾向であって、個人レベルでは例外も多いです。
IQが平均以下でも高い教育を受ける人はたくさんいます。
逆に、高いIQを持ちながらも教育を受けない選択をする人もいます。
教育機会へのアクセスも重要な要素です。
経済的な障壁が教育レベルを制限することもあります。
このように、教育レベルとIQの関連性は強いものの、教育達成はIQ以外の様々な要因にも影響されるため、一人ひとりの状況や選択によって大きく異なることを理解することが大切です。
職業的地位とIQの相関係数0.45から分かること
職業的地位とIQの相関係数0.45は中程度の関連性を示しています。
この数値は何を意味するのでしょうか。
簡単に言えば、IQが高い人ほど社会的に評価される職業に就きやすいということです。
具体的には、次のようなことが分かります:
- IQが職業的地位の約20%を説明できる
- 残りの80%は他の要因による影響
- 専門職ほど平均IQが高い傾向がある
- 管理職にもIQの高い人が多い
- 複雑な意思決定を要する職業とIQの関連が強い
ただし、この関連性にも限界があります。
IQが低くても高い地位に就く人はたくさんいます。
例えば、対人能力に優れた人や創造性が高い人などです。
また、機会の平等性も重要な要素です。
社会的背景によって職業選択が制限されることもあります。
さらに、職業的地位の評価基準も変化しています。
以前は肉体労働より事務職が「上」とされていました。
しかし現在は、技術職や専門的な技能職の評価が高まっています。
このように、職業的地位とIQには関連性がありますが、職業選択や成功にはIQ以外の様々な要素も大きく影響しており、多角的な視点で捉えることが重要です。
収入とIQの相関係数0.23の意味を理解する
収入とIQの相関係数0.23は、比較的弱い関連性を示しています。
この数値は何を教えてくれるのでしょうか。
簡単に言えば、IQは収入に影響するものの、その影響は限定的だということです。
相関係数0.23は、IQが収入の約5%しか説明できないことを意味します。
残りの95%は他の要因によって決まります。
では、収入に影響する他の要因には何があるでしょうか:
- 教育レベル
- 勤続年数や経験
- 業界や職種の選択
- 交渉能力
- 人脈や社会的つながり
- 経済状況や時代背景
- 運やタイミング
さらに、同じIQを持つ人でも収入に大きな開きがあります。
例えば、芸術家と医師では平均収入が大きく異なります。
また、起業家の中にはIQよりも冒険心で成功する人もいます。
地域による賃金格差も見逃せない要素です。
このように、IQと収入の関連性は弱いものであり、収入を決定する要因は非常に多様で複雑であることが分かります。人生の収入は、知能だけでなく様々な選択や環境要因によって形作られるものなのです。
IQが高いと成功する確率はどれくらい上がるのか
IQが高いと成功する確率は確かに上がりますが、その程度は成功の種類によって異なります。
具体的な数字で見てみましょう。
IQが15点上がると、どのような影響があるでしょうか。
教育面では、大学卒業の可能性が約35%上昇します。
職業面では、専門職に就く確率が約25%高まります。
収入面では、平均より約15%高い収入を得る傾向があります。
しかし、これらは統計的な傾向であって、保証ではありません。
IQが成功に与える影響には限界もあります:
- IQが120を超えると追加の恩恵は少なくなる
- 社会経済的背景の影響も大きい
- 努力や粘り強さも同様に重要
- 対人スキルの不足はマイナス要因になる
- 運や機会も無視できない
また、成功の定義自体も個人によって異なります。
高収入よりも充実感を重視する人もいるでしょう。
社会貢献を成功と考える人もいるはずです。
ワークライフバランスを優先する価値観も増えています。
このように、IQが高いと統計的には成功確率が上がるものの、その影響は万能ではなく、成功には多様な要素が関わっています。真の成功は自分の価値観に基づいて判断すべきものなのです。
年齢によって変わるIQと成功の関係性
IQと成功の関係性は年齢によって変化することが研究で明らかになっています。
この現象は様々な側面で見られます。
まず、テスト時の年齢の影響です。
年齢が高いほど、IQテストの結果は将来の成功をより正確に予測します。
例えば、16歳のIQは12歳のIQよりも成功との関連が強いのです。
これはなぜでしょうか。
主な理由としては:
- 年齢が上がると能力がより安定する
- 環境の影響が蓄積される
- 将来の進路がより明確になる
- 自己認識が高まる
また、成功を測定する年齢も重要です。
20代では収入とIQの関連は弱いですが、30代以降は強まります。
これは「重力効果」と呼ばれる現象です。
つまり、時間が経つにつれて、人は自分の能力に見合った地位に落ち着くのです。
若い時期は、運や短期的な要因の影響が大きいからです。
キャリアが成熟すると、本来の能力がより反映されます。
このように、IQと成功の関係性は年齢によって変化し、一般的には年齢が上がるにつれてその関連性が強まる傾向があります。人生のどの段階で測定するかによって、結果の解釈が変わることを理解することが大切です。
IQだけが成功の鍵?IQと成功の関係に影響する他の要因
親の社会経済的地位が子どもの成功に与える影響
親の社会経済的地位は子どもの成功に大きな影響を与えます。
この影響はどのように現れるのでしょうか。
研究によると、親の地位と子どもの教育レベルの相関係数は0.55です。
これはIQとの相関(0.56)とほぼ同じ強さです。
つまり、親の地位はIQと同じくらい重要な要素なのです。
親の社会経済的地位が高いと、子どもに与える利点には:
- 質の高い教育への機会
- 学習リソースの充実
- 安定した生活環境
- 広い人脈形成の機会
- 高い期待と支援
特に教育面での影響が顕著です。
高所得家庭の子どもは進学率が高い傾向にあります。
また、良い学校区に住む可能性も高まります。
さらに、経済的な心配なく勉強に集中できます。
親の職業も子どもの職業選択に影響します。
ロールモデルとしての効果があるためです。
家庭の文化的資本も見逃せない要素です。
例えば、読書習慣や博物館訪問などが挙げられます。
このように、親の社会経済的地位は子どもの成功に大きく影響しており、教育機会や文化資本の面で有利な立場をもたらします。しかし、これが宿命ではなく、他の要素との複合的な関係で成功が決まることも覚えておくべきです。
学業成績と将来の成功の関連性
学業成績は将来の成功と強く関連しています。
研究によると、学業成績と教育レベルの相関係数は0.53です。
これはIQとの相関(0.56)にかなり近い数値です。
また、職業的地位との相関係数は0.37となっています。
これらの数字は何を意味するのでしょうか。
成績が良い生徒は、将来成功する可能性が高いということです。
その理由としては:
- 学業成績は知識の習得度を反映している
- 勉強習慣や継続的な努力の証拠となる
- 問題解決能力や論理的思考力が表れる
- 目標に向かって努力する姿勢を示している
- 社会で評価される特性を持っている証拠になる
特に大学入試では成績が重要な役割を果たします。
それによって将来の教育機会が大きく変わるからです。
ただし、興味深いことに、収入との相関はわずか0.09です。
つまり、学校の成績が良くても高収入は保証されません。
これは、ビジネスの世界では他の能力も重視されるためでしょう。
また、成績の重要性は分野によっても異なります。
医学や法律などの専門職では成績が特に重要です。
一方、芸術や起業の世界では、創造性や冒険心が優先されることもあります。
このように、学業成績は特に教育面と職業選択において将来の成功と関連していますが、収入面では他の要素も大きく影響することがわかります。
誠実性や情動性などの性格特性が成功に与える影響
性格特性、特に誠実性は成功に大きな影響を与えます。
研究によれば、誠実性は学業と職業の成功に強く関連しています。
誠実性とは、責任感や計画性、勤勉さを表す特性です。
この特性が高い人は様々な場面で有利です。
具体的には、誠実性の高い人には以下の傾向があります:
- 期限を守る
- 計画的に行動する
- 困難に直面しても諦めない
- 約束を守る
- 細部に注意を払う
誠実性は学業成績と0.25の相関があります。
これはIQの影響とは別の効果です。
職場では、誠実性の高い人は評価されやすい傾向にあります。
一方、情動性(感情の安定性)も重要です。
情動性が低い人は、ストレスに強く対応力があります。
これは特に高圧的な職場環境で役立ちます。
また、外向性も社会的成功に関連しています。
営業職や管理職などでは特に重要です。
開放性は、芸術や研究分野での成功と関連があります。
協調性は、チームワークが重要な環境で役立ちます。
このように、性格特性は成功の様々な側面に影響を与えており、IQだけでなく誠実性や情動性などのバランスが取れた性格特性も、長期的な成功のためには重要な要素となります。
努力や粘り強さが成功にもたらす効果
努力や粘り強さは成功において非常に重要な要素です。
これらの特性は「やり抜く力」とも呼ばれています。
研究によると、この力はIQとは独立して成功を予測します。
なぜ努力が重要なのでしょうか。
人生では困難が必ず訪れるからです。
その時に踏ん張れるかどうかが成功を分けます。
努力や粘り強さが成功にもたらす効果には:
- 挫折からの回復力が高まる
- 長期的な目標達成が可能になる
- スキルが着実に向上する
- 難しい課題にも取り組める
- 習慣化による成果の積み重ね
有名な例として、エジソンの言葉があります。
「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」と述べています。
また、マイケル・ジョーダンも何度も失敗していました。
それでも諦めずに練習を続けたからこそ成功したのです。
教育研究でも、粘り強さは成績を予測する重要な要素です。
IQが同じでも、諦めない生徒の方が成績が良い傾向があります。
ビジネスの世界でも同様です。
多くの成功者は失敗を繰り返しながらも継続してきました。
このように、努力や粘り強さは成功において決定的な役割を果たし、高いIQを持っていても簡単に諦めてしまう人よりも、継続して努力できる人の方が長期的には成功する可能性が高いと言えるでしょう。
社会的スキルやコミュニケーション能力の重要性
社会的スキルやコミュニケーション能力は現代社会での成功に不可欠です。
高いIQだけでは十分ではありません。
人との関わり方を知ることも同じくらい重要です。
研究によると、社会的スキルは収入と0.30の相関があります。
これはIQと収入の相関(0.23)より高い値です。
優れた社会的スキルの効果には:
- 良好な人間関係の構築
- チームでの効果的な協力
- 交渉や説得の成功率向上
- ネットワーク形成の促進
- リーダーシップの発揮
職場環境は以前よりもチームベースになっています。
一人で仕事をする機会は減少しているのです。
また、コミュニケーション能力は昇進にも影響します。
優れたアイデアでも、伝える力がなければ評価されません。
感情知能も成功に関わる重要な要素です。
これは自分と他者の感情を理解し管理する能力です。
特に管理職では、部下の感情に配慮することが求められます。
また、コミュニケーション能力は業種を超えて価値があります。
医師と患者、教師と生徒など、あらゆる関係で重要です。
初対面での良い印象も社会的スキルに左右されます。
このように、社会的スキルやコミュニケーション能力は現代社会での成功において非常に重要であり、高いIQを持っていても、人との関わりが苦手では成功が制限されることが多いのです。
様々な年代・地域におけるIQと成功の関係の違い
子供時代のIQと大人になってからの成功の関連性
子供時代のIQは大人になってからの成功と関連していますが、その強さは年齢によって変わります。
研究によると、年齢が上がるほど関連性は強まります。
例えば、3歳のIQよりも15歳のIQの方が成功をより正確に予測します。
これはなぜでしょうか。
いくつかの理由が考えられます:
- 脳の発達が進み能力がより安定する
- 環境要因の影響が時間とともに蓄積される
- 学校教育の効果が現れる
- テスト内容が実社会のスキルに近づく
- 自己認識や目標設定がより明確になる
幼少期のIQテストは変動が大きいこともあります。
しかし、12歳以降になると結果はかなり安定します。
それでも、3歳のIQでさえある程度の予測力を持っています。
長期追跡調査では、幼少期のIQと成人後の職業には関連が見られます。
ただし、その関連性は決定的なものではありません。
例えば、理解力が遅い子どもでも、努力次第で成功することがあります。
逆に、幼い頃は優秀でも、努力を怠ると期待通りの成功を収められないこともあります。
このように、子供時代のIQは将来の成功と関連していますが、年齢が上がるにつれてその予測力は高まり、また、IQ以外の要素も成功には大きく影響することを忘れてはいけません。
若年層と中高年層でのIQの影響力の違い
若年層と中高年層ではIQの影響力に明確な違いがあります。
この違いはどのように現れるのでしょうか。
研究によると、年齢が上がるほどIQの影響は強まる傾向があります。
20代よりも40代の方がIQと成功の相関が高いのです。
特に収入面での違いが顕著です。
20代前半では収入とIQの相関はわずか0.01しかありません。
それが30代では0.27、40代では0.31まで上昇します。
なぜこのような違いが生じるのでしょうか:
- 若い時期は初任給が標準化されている
- キャリア初期は経験よりも意欲が重視される
- 中高年になると複雑な意思決定の機会が増える
- 長期的な成果の積み重ねが反映される
- 能力に見合った地位に落ち着く「重力効果」
職業的地位についても同様の傾向があります。
20代では学歴の影響が大きいですが、年齢とともにIQの影響が強まります。
また、若年層では対人スキルや体力も重要です。
一方、中高年層では判断力や問題解決能力が求められます。
これらの能力はIQと関連が強いものです。
このように、IQの影響力は年齢とともに変化し、若年層よりも中高年層においてより強く現れる傾向があります。キャリアの段階によって成功の決定要因が変わることを理解することが大切です。
アメリカと他の国々におけるIQと成功の関係の比較
IQと成功の関係はアメリカと他の国々で違いがあります。
研究によると、国ごとに興味深い差異が見られます。
まず、アメリカではIQと収入の相関が比較的強いです。
相関係数は約0.2~0.3と報告されています。
一方、北欧諸国では相関が弱い傾向があります。
例えばスウェーデンでは相関係数が0.15程度です。
この違いはなぜ生じるのでしょうか?
主な要因として考えられるのは:
- 教育制度の違い
- 社会保障制度の充実度
- 所得格差の大きさ
- 労働市場の柔軟性
- 文化的価値観の違い
北欧諸国では教育の機会均等が進んでいます。
また、社会保障も手厚いため、収入格差が小さくなります。
これに対して、アメリカは市場原理が強く働く社会です。
能力による差がより直接的に収入に反映されます。
イギリスやカナダなどは中間的な位置にあります。
また、アジア諸国では教育熱心な文化が見られます。
そのため、IQと教育レベルの相関が特に強い傾向があります。
このように、IQと成功の関係は国や地域の社会制度や文化的背景によって異なり、単純に比較することはできません。各国の社会制度や価値観が、能力と成功の関係にどう影響するかを理解することが重要です。
過去数十年間でのIQと成功の関係の変化
IQと成功の関係は過去数十年間で変化してきました。
研究によると、その変化には様々な側面があります。
まず注目されるのは、IQの重要性が全体的に増しているという説です。
特に1960年代から2000年代にかけての変化が研究されています。
しかし、実際のデータはやや複雑です。
教育面では、IQの影響力はやや低下している可能性があります。
これは教育機会の拡大によるものかもしれません。
一方、職業面では状況が異なります:
- 技術職では知的能力の重要性が増している
- 単純作業の仕事は減少傾向にある
- 複雑な意思決定を要する職種が増えている
- 情報処理能力の需要が高まっている
- 学習し続ける能力が重視されるようになった
収入面では、国による違いが大きいです。
アメリカでは学歴間の賃金格差が拡大しています。
これはIQの間接的な影響力増大を示唆します。
また、グローバル化の影響も無視できません。
国際競争が激しくなり、能力主義が強まる傾向があります。
さらに、インターネットの普及も大きな変化をもたらしました。
情報へのアクセスが容易になったことで、学習機会が平等化しています。
このように、IQと成功の関係は過去数十年間で複雑に変化してきており、技術革新やグローバル化によって知的能力の重要性が増す一方、教育機会の拡大によってその影響が緩和される側面もあります。
今後の社会でIQと成功の関係はどう変わっていくのか
今後の社会ではIQと成功の関係がさらに複雑に変化していくと予測されます。
未来を完全に予測することはできませんが、いくつかの傾向が見えています。
まず、AI技術の発展が大きな影響を与えるでしょう。
単純作業だけでなく知的作業も自動化が進みます。
このことで、どのような変化が起こるでしょうか。
専門家が予測する今後の変化には:
- 創造性や感情知能の価値が高まる
- 人間特有のスキルがより重要になる
- 学び続ける能力が不可欠になる
- 適応力や柔軟性の重要性が増す
- 専門知識と幅広い教養のバランスが求められる
また、働き方の多様化も進むでしょう。
リモートワークやギグエコノミーの拡大が予想されます。
これにより、従来とは異なる能力が評価されるようになります。
さらに、社会の価値観も変化しています。
ワークライフバランスや幸福度を重視する傾向が強まっています。
高収入だけが成功ではないという認識が広がっているのです。
教育システムも変わりつつあります。
暗記よりも思考力や問題解決能力を重視する方向です。
このように、今後の社会では技術革新や価値観の変化により、純粋な知的能力だけでなく、創造性や感情知能、適応力などを含めた総合的な能力が成功につながるようになると予測されます。変化する社会に対応できる柔軟性が一層重要になるでしょう。
最後に
IQと成功の関係について見てきましたが、いかがでしたか?
確かにIQは成功と関連していますが、それだけが成功を決める要素ではないことがわかりました。
教育や職業では比較的強い関連があるものの、収入との関連は意外と弱いのです。
また、親の社会的地位や学業成績、誠実性などの性格特性も同じくらい重要な要素です。
さらに、努力や粘り強さ、社会的スキルも成功には欠かせません。
年齢が上がるにつれてIQの影響力は強まる傾向がありますが、国や時代によっても関係性は変わります。
今後の社会では、AIの発展により創造性や感情知能、適応力といった能力がより求められるようになるでしょう。
大切なのは、自分の強みを理解し、伸ばしていくこと。
IQだけにこだわらず、様々な面から自分を成長させることが本当の成功への道なのかもしれません。
あなたなりの「成功」を考え、そこに向かって一歩ずつ進んでいきましょう!

ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。