メンタルを強くするには、まず自分の性格特性を知ることが近道です。
性格心理学の研究では、情動性(神経症傾向)が高い人ほどストレスに弱い傾向があります。
一方で、誠実性や情動の安定性を意識して高めることで、メンタルの強さは後天的に改善できることがわかっています。
この記事では、ビッグファイブ・HEXACOの知見をもとに、メンタルを強くするための具体的な方法を5つのステップで解説します。
より体系的にメンタルを強くする方法の背景を知りたい方は、ストレス・メンタルヘルス完全ガイド|性格心理学で科学的に改善する方法も合わせて参照してください。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
情動性とメンタルの強さの関係
情動性とは、不安や怒り・落ち込みを感じやすい性格傾向のことです。
ビッグファイブ性格理論では「神経症傾向」と呼ばれることもあります。
情動性が高い人は、同じ出来事でも強いストレスを感じやすい傾向があります。
たとえば、友人に少し冷たくされただけで深く落ち込むことがあります。
情動性が低い人は同じ状況でもあまり動じず、メンタルが安定しやすいとされています。
- 情動性が高い人:不安・落ち込み・怒りを感じやすい
- 情動性が低い人:感情の波が小さく、ストレス耐性が高い
- 誠実性が高い人:目標に向かって行動でき、ストレスを管理しやすい
- 外向性が高い人:社会的サポートを得やすく回復が早い
メンタルの強さは生まれつきの部分もありますが、約40〜60%は環境や習慣で変化すると研究では示されています。
つまり、自分の性格傾向を知った上で適切な対処をすることで、メンタルは確実に強くなれます。
論文が示す:性格とストレス対処の関係
性格特性とストレス対処法の関係は、複数の研究で体系的に明らかにされています。
サンブレイズでは、この分野の研究を詳しく解説した記事を公開しています。
上記の記事が参照している研究『Relations Between Personality and Coping: A Meta-Analysis』では、性格特性によってストレス対処のパターンが大きく異なることが示されています。
主な発見を以下にまとめます。
- 情動性が高い人は「回避」「否認」「願望的思考」などの非適応的な対処を使いやすい傾向がある
- 誠実性が高い人は「問題解決」「計画立案」など積極的な対処を好む傾向がある
- 外向性が高い人は「社会的サポートの活用」が得意で、孤立しにくい
- 協調性が高い人は「受容」や「感情の表現」によってストレスを和らげやすい
- 開放性が高い人は「認知的再構成」(物事の捉え方を変える)を活用しやすい
特に注目すべき点は、情動性が高い人が使いがちな「回避」や「否認」は、短期的には楽になれますが、長期的にはストレスを悪化させるリスクがあるということです。
一方で、誠実性の高い人が行う「問題解決型」の対処は、ストレスの根本原因を取り除く効果があるとされています。
さらに、社会的サポートを積極的に求めることは、外向性に関わらず多くの人にとって有効だとわかっています。
この研究から導かれる重要な示唆は、「自分の性格に合った対処法を意識的に選ぶことで、メンタルの強さを高められる」という点です。
情動性が高いからといって諦める必要はなく、誠実性や外向性の側面を意識的に活かすことでメンタルの底上げができます。
誠実性を高めてメンタルを強くする3つの習慣
誠実性とは、目標に向かって計画的・自律的に行動できる性格特性です。
誠実性が高い人はストレスに直面したとき、問題を整理して解決しようとする傾向があります。
逆に誠実性が低い人は、やるべきことを後回しにしてストレスをため込みやすい傾向があります。
以下の3つの習慣は、誠実性を意識的に育てるための具体的な方法です。
- 小さなタスクを毎日完了させる:1日に1つだけ「やり切ること」を決める。達成感が自己効力感を育てる
- ストレスの原因を書き出す:問題を紙に書くことで頭の中を整理し、解決できることとできないことを分ける
- 睡眠・食事・運動を整える:規則正しい生活習慣は誠実性の「自己管理」面を直接鍛える
研究では、誠実性を高める行動を繰り返すことで、性格そのものが少しずつ変化する可能性が示されています。
1日1つの達成を3週間続けるだけでも、問題解決型の思考パターンが定着しやすくなると考えられています。
具体的な数字を意識することも大切で、「今週3回運動する」「毎朝5分タスクリストを書く」のように目標を数値化すると効果的です。
情動性が高い人向けの対処法4選
情動性が高い人は、感情の波を「抑える」のではなく「上手に扱う」ことがメンタルを強くする鍵です。
無理に感情を押し込めようとすると、かえってストレスが増大する傾向があります。
以下の4つの方法は、情動性が高い人でも実践しやすいと考えられています。
- 感情日記をつける:今日感じた感情を1〜2文で書くだけ。感情を言語化することで客観視できるようになる
- 認知的再構成を試みる:「最悪だ」という思考を「つらいけど対処できる」と言い換える練習をする
- 信頼できる人に話す:情緒的サポートを求めることは弱さではなく、効果的なストレス対処法の1つ
- マインドフルネスを取り入れる:1日5分間、呼吸に集中することで感情の過剰反応が和らぐ傾向がある
また、情動性が高い人が陥りやすい「回避」「否認」には要注意です。
一時的に楽になる代わりに、問題が先送りされてストレスが蓄積します。
不安を感じたとき、まず「これは回避しているだけではないか?」と自問する習慣を持つことが第一歩です。
社会的サポートがメンタルを守る理由
社会的サポートとは、他者から受ける情緒的・実用的な支援のことです。
研究では、社会的なつながりが強い人はストレス耐性が高く、メンタル不調からの回復も早い傾向が示されています。
特に情動性が高い人にとって、1人で問題を抱え込まないことは非常に重要です。
- 情緒的サポート:共感や励ましを受けることで孤独感が減り、感情が安定しやすくなる
- 情報的サポート:具体的なアドバイスをもらうことで問題解決の糸口が見つかりやすい
- 実用的サポート:手伝いや資源の提供により、物理的なストレス要因が減少する
「人に頼るのが苦手」という場合でも、まずは身近な1人に「少し聞いてほしいことがある」と伝えるだけで十分です。
外向性が低い人でも、信頼関係のある少数の人とのつながりを大切にすることで、十分な社会的サポートが得られます。
実際に、友人・家族との会話時間が週に1時間増えるだけで、ストレス指標が改善されるとする研究報告もあります。
性格別:メンタルを強くする方法まとめ
メンタルを強くする方法は、性格タイプによって最適なアプローチが異なります。
以下の表に、ビッグファイブの主要な性格特性別に推奨される対処法をまとめました。
| 性格特性 | メンタルが弱くなりやすいパターン | おすすめの対処法 |
|---|---|---|
| 情動性が高い | 不安・落ち込みが大きく回避しやすい | 感情日記・認知的再構成・人に話す |
| 誠実性が高い | 完璧主義で自分を追い込みやすい | 問題解決・タスク管理・適度な休息 |
| 外向性が低い | 孤立してサポートを求めにくい | 信頼できる少数との関係を深める |
| 協調性が高い | 他者を優先しすぎて自分が消耗する | 受容・自己主張の練習・境界設定 |
| 開放性が高い | 考えすぎて頭が疲れやすい | 認知的再構成・新しい視点の探索 |
自分の性格特性を正確に把握することが、適切なメンタル強化法を選ぶための最初のステップです。
たとえば情動性が高い自覚がある場合は、問題解決より先に「感情の安定化」に取り組む方が効果的です。
一方で、誠実性が高く完璧主義な人は、「休むこと」自体をタスクとして計画に組み込む発想が有効です。
性格を「変えなければならないもの」と捉えず、「活かし方を工夫するもの」と捉えることが、長期的なメンタル強化につながります。
よくある質問
メンタルを強くするには何から始めればいいですか?
まず自分の性格傾向(特に情動性の高さ)を把握することが第一歩です。
情動性が高いと感じる場合は、感情日記や認知的再構成から始めると効果的です。
誠実性を高める小さな習慣(毎日1つのタスクを完了するなど)も、メンタル強化に役立ちます。
神経症傾向(情動性)が高いとメンタルは強くなれないですか?
そんなことはありません。
研究では、性格の約40〜60%は環境・習慣・意識的な行動によって変化する可能性が示されています。
情動性が高い人でも、認知的再構成・社会的サポートの活用・マインドフルネスなどを実践することで、ストレス耐性を高められる傾向があります。
ストレス対処法はどれくらいで効果が出ますか?
個人差がありますが、毎日継続した場合、早い人では2〜3週間で気持ちの変化を感じやすいとされています。
感情日記や呼吸法などの習慣は比較的早く効果が感じられる一方で、認知的再構成のような思考パターンの変化には1〜3か月程度かかる場合があります。
内向的な人はどうやって社会的サポートを得ればいいですか?
内向的な人は大勢との交流よりも、信頼できる1〜2人との深いつながりを大切にする方が効果的です。
「話を聞いてほしい」と一言伝えるだけで、情緒的サポートを得やすくなります。
無理に多くの人と交流しようとすると逆にストレスになるため、質を重視したつながり方が向いています。
メンタルを強くするのに運動は本当に効果的ですか?
はい、運動はメンタル強化に科学的に支持された方法の1つです。
週3回以上、20〜30分程度の有酸素運動がストレスホルモンの低減や気分の安定に効果があるとする研究が複数あります。
さらに運動習慣を持つことは誠実性(自己管理)の強化にもつながる傾向があります。
MBTIタイプによってメンタルの強さは違いますか?
MBTIタイプそのものがメンタルの強弱を決めるわけではありません。
ただし、ビッグファイブの情動性(神経症傾向)との関連が研究で示されており、INFPやINFJなど内向・感情型のタイプは情動性が高い傾向があるとされます。
いずれのタイプでも、適切なストレス対処法を身につけることでメンタルは強化できます。
回避や否認をやめるにはどうすればいいですか?
まず「自分が今回避しているのではないか」と気づくことが第一歩です。
不安な状況から目をそらしたいと感じたとき、「この問題を放置するとどうなるか」を5秒考える習慣を持つことが有効です。
小さな問題から少しずつ向き合う練習を積み重ねることで、問題解決型の対処パターンが育ちやすくなります。
自分の性格特性を正確に知ることが、メンタルを強くする最短ルートです。
psych性格診断では、ビッグファイブ・HEXACOの観点から情動性・誠実性などの特性を科学的に測定できます。
「自分はどのタイプか」を把握してから、この記事で紹介した方法を実践すると、より効果的に取り組めます。

ライター兼監修者:トキワエイスケ
性格心理学研究者 / 株式会社SUNBLAZE 代表
子どもの頃、貧困・虐待家庭・いじめ・不登校・中退など社会問題の当事者として育つ。社会問題を10年間研究し、自由国民社より『悪者図鑑』を出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究し、査読付きジャーナル論文2本掲載(Frontiers in Psychology、IEEE Access)。社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。
専門:性格心理学 / ビッグファイブ / HEXACO / MBTI / 社会問題の予測
研究者プロフィール: ORCID / Google Scholar / ResearchGate
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